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神々と行く異世界物語  作者: 雪待涼介
第一章-ダレイ国-
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魔法と剣

気がつくとそこは壁に隔たれてた場所だった。

「目が覚めましたね」

そう言ってツラナギがこちらへ近づいてきた。どうやらここは昨夜襲撃してきた盗賊のアジトをぶん取った場所らしい。そこで自分は昨日の出来事を振り返った。

「やっぱり夢じゃなかったんだ」

異世界生活二度目の目覚めだ。もしかしたら夢なんじゃないかと思っていたのだがそれは違うとツラナギに言われた。

「では、昨日教えていなかった話をしましょう」

目覚めたばかりでぼぅっとしている頭で入るのかと思ったがツラナギ曰く、寝起きの時こそ頭に入りやすいんだそうだ。本当かは分からないが知りたい事がたくさんあるのでツラナギの言葉に耳を傾けた。

「まず、昨日あなたが使った魔法について説明しましょう」

そう言って自分の属性は何か、属性は何種類あるのかを説明しだした。

「まず始めに、魔法には属性があります。それぞれ火、水、土、風、光の5種類がありその中であなたは火の属性を操ることができます」

昨日の時のように発火をしようとしても魔法は発動できなかった。

「どういうことだ?」

「焦らない焦らない」

宥めるように言いながら説明を続けていった。

「先の5種類は更に分類され、それぞれ爆、氷、木、空、雷の5種類があります。因みに私は水面を司る神なので属性は水ですね」

そう言って右手に水の球体を作り出した。

「じゃあ氷は使えないんですか?」

自分の中では水属性があるなら氷属性も使えるんじゃないかと思ったがどうやら違うらしい。水を扱えるからと言って凍らせることはできないし、凍ったものは水じゃないかららしい。液体と個体で扱いが違うのと同じなのかもしれない。

「当たらずも遠からずですね。例えば、火を取り扱うことと爆発物を取り扱うことでは勝手が違いますからね」

つまり10種類の属性があるわけだ。そして自分は爆属性なら使えるらしい。試しに近くの手頃な岩に爆発するよう念じるとボンッと爆発した。だが、岩を粉砕するには火力が足りない。

「そこは練習あるのみですよ。私達も転生してから練習を積んできたのですから」

ここでも転生したからこそのペナルティが課されているわけだ。神様だって万能じゃないんだなと思っていたらシナツヒコとタケミカヅチが熊を担ぎながら戻ってきた。

「おはようさん。と言っても今は昼だがな」

「おはよう。よく眠っていたが体調はどうだ?」

どうやら気絶してから昼まで寝ていたらしい。体の調子は問題なかったが疲労感があった。

「昨日の稽古で疲れただけだろ。しばらくすれば元に戻るはずだぜ」

そう言って担いでた熊を下ろした。もしかしてこれが飯なのか。








「偵察に行ってみたがどうやら隣町までは届いていないようだ」

熊の丸焼きを食べながらシナツヒコが近隣の情報を報告してきた。街も自分たちの事は知られてはいないようでなんとも不気味だ。

「奇妙だな。普通なら警備の強化くらいするだろうに」

「もしかしたらあの少年と何か関係があるのかもしれませんね」

通常、王宮に異常があれば警戒の強化をするだろう。しかし今回はそのような様子がなく何事もなかったかのように平然としていたらしい。もしかしたら彼と何か関係があるのかもしれない。

「もしかしたら少年の魔法と何か関係があるのかもしれませんね」

確証があるわけでもないが直感的にそう思った。それはこの場にいる全員が思っていたことだった。

「向こうが警戒してないならこちらから出向くか」

シナツヒコがそう提案したがタケミカヅチがそれを否定した。この場合罠だと考えるのが常識だからだ。しばらくは様子見をしつつ稽古をつけることになった












それから4日が過ぎた。時刻は丁度昼に差し掛かる辺りだ。あれから王城の動きは無く何事もなかったかのように暮らしているとのこと。そしてこちらは魔法をようやくまともに使えるようになった。と言っても、初級魔法しか使えないが・・・

「この4日間でよくここまで出来ましたね。私達なんかはもっと時間が掛かったというのに」

それは肉体と精神が完全に融合できていないからなのではないか。対して自分は神の加護を受けつつも人の身であるからそういったプロセスを飛ばせたのかもしれない。

「まぁ何はともあれこれで実践に挑めるようになったな」

「あとは実践の中で身につけていくのが手っ取り早いか」

今回はそれぞれ単独で行動することにした。まずシナツヒコの魔法、フライハイで全員を城門の中へ行きそこでそれぞれ別れて行動することになった。見つかったら魔法や武器で仕留めればいいとの事。だが、自分には武器がないので途中で調達する必要がある。

「それならいい店を教えますよ」

そう言って王都の地図と十数枚の銀貨を渡してきた。言いたいことが分かってきた気がする。

「では最初の試練、一人で王城まで赴き武器を調達すること。いいですね?」

ここで拒否しても無理矢理行かされるだろうし渋々頷いた。

「街道まで案内するし待っててやるから安心しな」

どうやら行き帰りは安心してもいいらしい。が、目の前で戦闘が起こっても手出しはしないとのこと。どうやらそれも試練の一つらしい。






あのあと賊や魔物に襲われることもなく王都へと入ることが出来た。相変わらず白と金が太陽に反射して輝いている。古めかしい建物は存在せず真新しいような建物ばかりである。すれ違う人々に武器屋が何処にあるのか、何故古い建物がないのかを聞いてみた。武器屋は自分のいる方角から西へ行った突き当りにあるらしい。

建物が新しい理由は突如、何者かが王都を襲撃しその殆どが半壊。古い建物はすぐに壊れ改装されたばかりの建物だけが残っていたからとのこと。その時に止めたのがこの国の王、トロヴァ・スレイ・ダレイとの事だ。だが、疑問に思ったのはあの王一人だけで勝てたのか、他に協力者はいなかったのかということ。なんでもトロヴァ王しかその場に姿はなく無双していたとか。そんな事を聞きながら武器屋にたどり着いた。

「へいらっしゃい!」

扉を開けると威勢の良い声が店内を木霊した。店内は外側と違い木製の床に木製の壁、大雑把に置かれた武具が散乱していた。店主に何故外側と違うのか理由を聞いたら予算の都合上こうなってしまったらしい。

なんでもこの辺りは先の騒動の被害が一番多く同時に、庶民層であったことからこのような形となったらしい。それでも王様には感謝しているらしく、外側だけでも国で直してくれてありがたいとのこと。

「で、今日は何をお探しで?」

そういえばまだ決まっていなかった。とりあえず手頃な片手剣を手にとって見たがイマイチ馴染まなく元の場所に戻した。

「この金額で一番おすすめなのはあります?」

そう言って袋から十数枚の銀貨を出した。店主が首を捻ると奥へ戻っていった。そして剣を抱えて戻ってきた。

「これなんかどうですかね?」

そう言って見せたものは長さ1.3m程の黒く光る両手剣だ。その重さは以外にも軽く10k程であり重心は先端部分にある。

「そいつは黒竜の外郭で作った魔剣だ。使用者は全員不審死をしていてな、誰も買い手が付かなくなっているんだ」

そう言ってため息を付いた店主を他所に軽く振るってみた。中々使い勝手が良く自分はこれを気に入った。だが、魔剣と言うからには何か不吉な制約が課されているはずだと思い、中々踏ん切りが付かないでいた。この剣が魔剣であると言う確証はなかったが、デザインや取り回しが良かったというのもあって中々決められなかったのだ。

「なんならその金額でその魔剣ともう一つ付けてやるぜ?」

よし買った。そう言って自分は全額を渡し、魔剣とショートソードを買い、来た道を戻っていった。





帰り道、魔獣に襲われどれほどの切れ味があるのか鞘を抜いてためしてみた。襲ってきたのはリザードマンと呼ばれる二足歩行のオオトカゲだ。知能もあるらしく左手に盾を構え右には片手剣を装備していた。鎧のようなものは無く関節を守るエルボーと呼ばれる物が装備してあるくらいだ。そのエルボーは元いた世界のものとは違い鉄で出来ている。そのリザードマンが10匹いるのだ。勝てなくは無いのだろうが油断は禁物。一気に先頭にいたリザードマンの腹を貫いた。血は緑でモロに被ってしまった。

「切れ味はまずまずかな。」

そう言いながらも不快感を拭えず足を止めてしまった。そこに二匹目のリザードマンが攻撃をしようと仕掛けてきたので初級の爆発魔法リトルボムを放った。発生は早いが威力が不十分であるが硬直させる分には丁度よかった。足を止めたリザードマンに左から横薙ぎをし胴体を真っ二つに切り裂いた。

「やっぱり罪悪感はあるよなぁ」

やらなければやられる。それは分かっているのだが理解しているのと心は別物、罪悪感があるのは否めない。

「割り切るには時間が掛かりそうだ」

そう言って迫りくる8匹のリザードマンを軽々倒していった。それが可能なのは神様の加護があるからであって自分の力ではないのだ。そこを履き違えないよう肝に銘じ帰宅していったのだった。

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