瘴鬼、来る
ノルトハイムから12クロイエの距離にあるスズダリの野に、アルドは立っている。初夏の心地良い風を頬に感じながら、アルドは四肢を伸ばして緊張をほぐしていた。
西の方角を眺めると、遠くに小高いナバラの丘が見える。カムチャダール聖戦の走者は敷石で舗装された街道を辿ってこの丘へ登り、下った後は平坦な一本道をノルトハイムの市門まで駆けることになる。
一千年の昔、兎耳族と亀甲族が和平協定を結んだというこの地から、アルドは千年紀を記念する聖戦に臨もうとしている。
今回の聖戦は千年紀を祝うため、勝者には都市参事会員の席に加え、終身市政顧問の地位と黄金120ギルダスが贈られるという大盤振舞いぶりだが、それを勝ち取れるとはアルドは思ってはいない。
千年紀の災厄など、アルドは恐れてはいなかった。
先日禁忌を破ってバトス山へ侵入したラウルの身には神罰が下ることもなく、それどころか兎耳族代表の走者になることすらできている。
おそらく千年紀のこの日も、聖導師やイリヤが説いていたような凶事は何も起こらず、平穏無事に終わるのだろう。アルドはそう確信していた。
今、隣でしきりに足を踏み鳴らしている男も同じことを考えているようだった。
「実にいい天気だ。災厄どころか、天が僕らを祝福しているとしか思えないじゃないか」
ラウルは雲一つない空を見上げると、そんな呑気なことを言った。
「同感だな。千年紀の災厄など聖導師連中の金儲けの手段に過ぎんだろう。奴らは今日が平穏無事に過ぎたらどう言い訳するつもりなのだろうな」
「そうなったら、護符を買ってくれた皆の信仰心のおかげだと言うつもりなのさ。実に上手く出来た仕組みだよ、宗教というものは」
「相変わらず罰当たりなことを言う奴だ」
「それはお互い様だろう」
ひとしきり軽口を叩き合うと、アルドはラウルと顔を見合わせて笑った。
「言っておくが、僕は手加減などしないよ。君達に不利な勝負なのはわかっているが、だからといって歩みを緩めるほど僕は甘くはない」
「望むところだ。互いに全力をぶつけてこその聖戦だからな」
ラウルが手加減などすればかえってアルドが傷つく、とラウルは考えているのだろう。アルドもラウルには全力で駆けて欲しいと願っている。同じ兎耳族でも、この男に負けるのならば後悔はしないはずだ。
「これより、千年紀記念聖戦を始める。二人とも位置につけ」
二人の前に、兎耳族の記録官が長い旗竿を振り下ろした。アルドは地に両手をつき、四足走行の体勢になった。
脇ではラウルも同じ態勢を取っている。アルドの身体に武者震いが走った。
「始め!」
記録官が旗竿を振り上げると、二人は勢いよく飛び出した。アルドは巧みに手足を操り駆けてゆくが、それでもやはりラウルの俊足にははるかに及ばない。
アルドは見る見るうちに距離を離され、ラウルの姿は遠くナバラの丘の向こうへと消えていった。
(見事なものだな)
ラウルに先を越されることには、むしろ清々しさがあった。
アルドに遠慮などせず存分に駆けてゆくその姿には神々しさすら感じられる。
やはりあの男も兎耳族の誇りを賭けて戦っているのだな、と思うと、妙に嬉しくなった。
脚の速さに格段の違いはあっても、ラウルはアルドを対等な敵手と認めていればこそ、手加減などせず全力で駆けていったのだ。
ならば、こちらも全力で駆ければ良いだけだ。
結果など問題ではない。
ラウルの元にたどり着くまで、亀の歩みを止めなければ良い。
そう思い定めると、亀甲族には理不尽なカムチャダール聖戦も、尊い意味を持つものに思えてきた。
(勝つことに執着しなければ、鈍足もまた良し、だ)
アルドの胸中は、今日の天と同じく晴れ渡っていた。今はただ過去の自分を超えることだけ考えれば良い。
しかし、アルドのそんな思いは、ナバラの丘で打ち砕かれることになった。
息を弾ませつつ夏草の萌える丘の頂上を超えると、その先の斜面にラウルがうずくまっている。どうやら体調を崩し立ち上がれなくなっている様子だ。
「おい、どうしたんだ、ラウル。どこか具合でも悪いのか」
アルドは急いで駆け寄り、心配そうにラウルの顔を覗き込んだ。ラウルは眠そうに紅い目をこすりながら話す。
「やあ、なんだか急に眠くなってきてしまってね」
「眠いだと?昨日は夜更かしでもしたというのか」
「そうじゃない。千年前にノウラが何をしようとしていたのか、この身で確かめてみようと思ったのさ。アラムダル聖典を読んでいたら、そうせずにはいられなくなった」
どうも話が見えない。ラウルは一体何を言おうとしているのか。
「アラムダル聖典に一体何が書いてあった?」
「どうやら僕たちは思っていた以上に罪深い一族だったようだ。亀甲族に敗北したノウラは遺体を鞭打たれ、ノウラの一族は全員火刑に処せられていたよ」
「ノウラの犯した罪とは、それほどまでに重いものなのか?石版に書いてあったことが真実なら、ノウラはただカムチャダール聖戦で敗北しただけなのだろう?」
「俊足を何よりの誇りとしている僕たちにとり、聖戦で亀甲族に負けたことはこれ以上ないほどの屈辱だったんだろう。だから僕たちはこの聖戦自体をなかったことにしなくてはならなかったんだ。殺されたのはノウラの一族だけじゃない。亀甲族の勝利を主張する者も、ノウラ一族の処刑に異議を唱える者も、全て殺された」
「何ということを……」
アルドの体が小刻みに震えていた。兎耳族はノウラの敗北を恥じ、その事実を正史から抹殺したのだ。
「アラムダル聖典の内容はこんな話ばかりさ。ノルトハイム政府は密告を奨励し、少しでもノウラの敗北に触れた者は次々に拷問にかけ……正直、これ以上はあまり話したくはない。僕たちが一体どれだけの命を闇に葬ってきたのか……気が遠くなる話だよ」
ラウルは自らを嘲るように笑った。
「僕たちはノウラの敗北を口にする者を、この世界から根絶しようとしていたんだ。千年もの間ずっとね。しかし真実をこの世から消し去ることなど出来はしない。あの石版やアラムダル聖典の存在にまで、僕たちの力は及ばなかった」
「だが、そのことと今のお前の有様とどう関係があるんだ。祖先の罪を知って具合が悪くなったとでも言うのか?」
「僕たちにとって、この聖戦で君達に負けることはそれほどまでに許しがたいことだった。ノウラもそれは理解していただろう。しかしそれでもノウラは『誇りある敗北』を選んだ。ノウラが一体何をしようとしていたのか……文献ではこれ以上千年前の真実に迫ることはできない。ならばあとは手がかりとなるのは聖餐だけだ。僕はノウラと同じことをしてみることにしたのさ」
「まさかお前、あの人参を食べたのか」
ラウルは無言でうなづいた。
「何てことをしてくれたんだ。じゃああの人参は毒だったというわけだな。ノウラは毒人参をかじって俺たちに勝利を譲ろうとしていたのか」
「ここらでちょっと一休み。君達の童謡ではそう歌われているんだろう?」
アルドは愕然とした。あの童謡はただ亀甲族を慰めるための歌ではなく、毒人参をかじったノウラの姿を歌ったものだったのだ。今目の前で起き上がれずにいるラウルの姿は、千年前のノウラの姿そのものだったのだろう。
「ノウラにだって兎耳族としての誇りがあったはずだ。聖戦を棄権したり、わざとゆっくり走ったりするわけにはいかない。全力で駆け、それでもなお亀甲族に敗北したという形をとるには毒を摂取するしかない」
「しかし、なぜノウラはこんな真似をしたのだ。自らの命を犠牲にしてまで、俺達に勝ちを譲らなければいけない事情とは一体何だ」
「それははっきりとはわからない。でも僕も兎耳族の一人として、これだけは言える。僕たちはよほどの罪悪感を背負わなければ自死など選びはしない。おそらくノウラは兎耳族は何らかの罪を背負っていると考えていたはずだ。君たちに勝利を譲らなければ気が済まないほどの罪をね」
ラウルは眠り込んでしまわないよう、右腕を強くつねりながら話す。
「いいかい、アルド、ノウラの思いを無駄にしてはいけない。千年遅かったが、今なら彼女の願いを叶えることができる。それが今の僕にできるせめてもの償いだ。この勝負に勝てば、君は市政に参加する権利を手に入れることができる。僕に構わず行け。そして未来の歴史を勝ち取るんだ」
そこまで一息に話すと、ラウルはゆっくりと瞳を閉じた。
「おい、ラウル、眠っては駄目だ。目を覚ませ!」
アルドはラウルの肩を掴んで何度も揺さぶったが、一向に目を覚ます気配がない。
その時、地面の下から静かな地響きのような音が聞こえた。
その音は次第に近くなり、やがてアルドの目の前の地表に穴が空き、土竜族の老婆が顔を出した。
「イリヤ婆さん、何故ここに?」
「こんな事だろうと思ったよ。あの馬鹿者なら三股の槍を呑むくらいやりかねんと思ってな」
「三股の槍とは何だ」
「お主がマグニを去って以来、どうも胸騒ぎがしてアラムダル聖典を調べてみたんだが、詩篇の中に『三股の槍を呑みし勇士、ナバラの丘に永遠にその身を横たえる』という一節があってな。この三股の槍が何を意味するのか我らの一族でもずっと謎だったのだが、あの人参のことではないかと思うと居ても立ってもいられなくなったのだ」
アルドは「聖餐」と呼ばれた人参の形状を思い出した。確かにあの人参は根が三本に分かれていた。
「アラムダル聖典には千年前の聖戦のことも書かれていたのか……いや、待てよ」
アルドは心の隅で嫌な感情が頭をもたげるのを感じていた。
「そういえばあんたは瘴鬼がどうこうとか言っていたな、イリヤ婆さん。その瘴鬼とやらもアラムダル聖典のどこかに書かれているのか?」
「……随分と勘の良い亀だ。ますます天人に近づいてきておる」
「どういう意味だ」
「アラムダル聖典は現存するものは先の千年紀以降のものしかないが、実は千年紀以前の内容も私らの記憶にはある。第二紀以前の記録は聖導師の連中に燃やされたが、その内容は密かに口伝で伝えられてきた。瘴鬼の存在も口伝の中にあるのだよ。そしておそらくノウラの恥じた罪も、瘴鬼に関わるものだ」
「それなら、なぜそうと教えてくれなかったんだ」
「この口伝の内容はどこまでが事実なのか、アラムダル派の中でも議論が割れていたのでな。だが今こうしてノウラが一族の罪を恥じて死を選んだことが実証された以上、あの口伝も事実だと考えなければならぬ。兎耳族も我が土竜族も、取り返しのつかない過ちを犯してしまったのだ」
「今から千年前、一体何があった?瘴鬼とやらは本当に存在するのか?」
「あれを見るがよい」
イリヤは天を指差した。その指の先に視線を向けると、アルドの背筋を今まで感じたことのない恐怖が駆けのぼった。
「天が、割れている――だと」
雲一つない晴天に、禍々しい亀裂が走っていた。その亀裂の中から黒い霧のようなものが吹き出し、次第に無数の小さな子鬼の姿を取りつつあった。
「あれが、瘴鬼よ」
アルドの全身が粟立った。千年紀の災厄の正体を目の前にして、アルドはなすすべを知らず立ち尽くしていた。
「イリヤ婆さん、俺はどうすればいい。あれに立ち向かう術は何かないのか」
天を舞う無数の黒い子鬼を眺めながら、アルドは震える声で言った。
「そう急くな、亀よ。口伝の内容が真実なら、まだ打つべき手はある」
「俺のするべきことは何だ」
「お主には千年前の姿に戻ってもらうとしよう。さすれば先の千年紀に何があったか、自ずから明らかとなる。そこを動くな」
イリヤの両手が複雑な印を結び、口からは聞いたことのない言語が漏れてきた。呪文のような言葉が全身にまとわりつくように響き渡り、音韻の海の中にアルドの意識が沈みそうになる。やがて最後に一言、
「天人五衰、解呪」
そうイリヤはつぶやいた。その瞬間アルドの全身が眩い光に包まれ、恐ろしい勢いで変容を遂げていった。背中の甲羅が身体の中に埋まり、緑色の肌は薄らいで白く変わり、頭を金色の頭髪が覆った。背に鋭い痛みが走り、そこから二本の翼が生え、頭頂から膝まで伸びるほどの大きさとなった。
「これが――俺なのか」
アルドが不思議そうに眺め回している己の姿は、紛れもない天人のものだった。
「やれやれ、どうにか上手くいったようだわい。口伝の解呪の儀式は正確だったようだ。千年紀が近づき、お主らにかけられた天人五衰の呪が弱っていたことも功を奏したのだろう」
「これが、俺達亀甲族の本来の姿なのか。では千年前、なぜ俺たちは天人から亀の姿に変えられた?」
「その問いに答えている暇は、今はなさそうだ。見よ」
イリヤが天を見上げると、飛び交う無数の瘴鬼の一群が地上を目掛けて舞い降りてきた。
「天人族なら、瘴鬼の群れなど剣のひと振りで片付けられよう」
「だが、俺は剣を持っていない」
「心に強く念じよ。天人族の武器は、心中の映像を具象化したものだ」
アルドは目を閉じると、心の中に剣の姿を思い描いた。
(――顕現せよ、来迎剣)
天人としてとしてのわずかな記憶の為せる技か、アルドは自然とそう心に念じた。気が付くと、アルドの右手には黄金色に輝く長剣が握られている。
「さあ行け、アルドよ。瘴鬼を屠って来るのだ」
アルドは深くうなづくと翼を広げ、瘴鬼の一群を目掛けて飛び立った。
瘴鬼が眼前に迫ると、アルドは来迎剣を横薙ぎにひと振りした。剣の切先からは黄金色の衝撃波が放たれ、瘴鬼を次々に切り裂いていく。おぞましい悲鳴を残して、瘴鬼の群れは虚空の中に消えた。
「……これが、天人族の力なのか」
来迎剣を持つアルドの右手が震えた。これほどの力を持つ一族がかつて存在していたとは、アルドの想像を遥かに超える事実だ。
(アルドよ、お主はその力、どう思う)
イリヤの声が聞こえた。どうやらその声は耳にではなく、心の中に直接響いているらしい。
(念話で話しておる。言葉を思い浮かべれば私にも聞こえる)
(恐ろしい程の力だ。この力が瘴鬼に向けられる分には良いだろうが、他の種族に向いたらどれ程の脅威となるだろうな)
(そう、私らの祖先もそう考えたのさ)
アルドの右方向から再び瘴鬼の一群が迫っていた。アルドは来迎剣を振るい、その一群を薙ぎ払った。
(アラムダルの口伝によれば、兎耳族と争っていた天人族はわずか七人だった。天界で罪を得て地上に追放されたお主ら天人族は、神性をその身に宿している。だから瘴鬼に対抗することができるのだ)
イリヤの声を聞きながら、アルドは次々と瘴鬼の群れを屠っていった。
(七人の天人族に、兎耳族は三百人にまでその数を減らされていた。兎耳族は存亡の危機に立たされていたが、その時ちょうど、先の千年紀の時期にさしかかったのさ)
(では、その時も今のように、瘴鬼が天から降ってきたのか?)
迫り来る瘴鬼を右に左に斬り伏せながら、アルドは心の中で問いかける。
(その通りだ。天界を追放された身とはいえ、本来お主らは神の子。その時天人族は一旦兎耳族との争いを止め、瘴鬼の殲滅に専念したのだ)
(俺達の祖先は、この地を災厄から守ったということか)
(そこまでは良かった。だが問題はその後だ)
イリヤの低く呻くような声がアルドの心の中に響いた。
(いくら天人族といえども、瘴鬼と戦い続ければその身は弱る。増してや前回の千年紀は兎耳族と天人族の果てしない戦いの続いていた時期に訪れた。積み重ねられた罪業は今回の比ではなかったのだよ。戦いで命を落とした者達の魂は無数の瘴鬼となりて天から降り注いだ)
(では、瘴鬼とは怨恨を抱き逝った魂が魔物の形をとったものだと?)
(そういうことだ。どうやら天人族の記憶が戻りつつあるようだね)
(そして、瘴鬼と戦い続け弱った俺達にようやく付け入る隙が訪れたというわけだな)
アルドは背後に迫る瘴鬼を振り向きざまに斬り飛ばすと、そう確信した。
(相変わらず勘の良いことだ。地上の者を遥かにしのぐ力を持つ上、知恵も回る。そのような一族を放置していてはいけない、と私らの祖先は考えたのさ)
(それで、俺達を亀甲族に変えたというのか)
(事実はもっと酷い。瘴鬼との戦いで弱りきった天人族と兎耳族は和平を結び、神の前で今後は争い事の決着は長距離走で付ける、と誓いを立てた。ここはお主も知っていよう)
(スズダリの誓いだな。で、それから何があった)
(天人族は走行能力でも兎耳族に決して引けを取らぬ。長距離走ならば良い勝負になるし、弱っていた天人族には悪くない申し出だと思われた。だが、そこに以前から兎耳族に協力していた私ら土竜族が現れ、天人五衰の呪をかけたのだ。天人は私ら地底に住まう者の呪法には弱い。増してや瘴鬼との戦いに消耗した身では抗う術もなかった)
(――つまり、俺達を罠にかけたと)
祖先の蛮行に後ろめたさを感じているのか、イリヤは何も答えなかった。
(対等な誓いのように見せかけておいて、天人五衰の呪で俺達を亀甲族に変え、決してカムチャダール聖戦で勝てないようにしたというわけだな。ノウラの恥じた罪とはそのことか)
アルドの心に沸々と怒りが湧いてきた。
(許しを乞うつもりはない。弁解するつもりもない。だがひとつだけ言わせてもらうなら、我等も兎耳族もそれだけ天人族を恐れていたのだ)
(だからといって、瘴鬼と戦い弱っていた天人族を呪い、不公平な聖戦を行うなど許されるはずがないだろう)
(……そうだな、おそらくノウラもそう思ったのだろうよ)
イリヤの絞り出すような声がアルドの心の中に聞こえた。
(だが、ノウラの命をかけた抗議すら、兎耳族は握りつぶした。ノウラの恨みはさぞ深かろう。――見よ、あれを)
瘴鬼の群れは一旦アルドから離れると、アルドの遥か頭上に集まり、巨大な黒い闇として凝り固まりつつあった。やがて闇は一匹の巨大な兎の形をとり、不気味に紅く輝く両の目がその頭部に現れた。
(まさか、あれは――)
無数の瘴鬼は今、一千年の間その存在を消されていたノウラ・アトランザとして、アルドの目の前にその姿を顕した。