戦闘、空は今日も平和で
さて、まずは全員集まって出欠確認……のはずなのだが、聞いてみよう。
貴方は殺気が可視化出来そうなほど血の気の多そうな集団に近付こうと思えるだろうか。
もしボクの心を読める人がいたなら、アンケートに投票願いたい。
と、冗談はこの辺にして。
「皆、どうしたのそんなに怖い顔して」
出来るだけ刺激しないように話し掛ける。
「皆の者!我らが望む大祭の邪魔をしたものは誰だ!」
「「「空の敵!敵!敵!」」」
大音量。
この空を裂きかねないほどの大声で、夕顔の声に仲間達が応える。
「ならば我らがするべきことはなんぞや!」
「「「蹂躙なりいいぃぃぃぃ!」」」
雄叫びを上げて、遠くの空へと消えていった。
「って、やば!藍、ボク達も行こう!」
「はい、野苺様」
信じられない速度で飛んでいく彼らにおいていかれないように、ボクと藍は空を翔るのだった。
***
ボク達が到着する頃には、空はもう阿鼻叫喚地獄と化していた。
元々数も少なかったのだろう、砕かれ切り裂かれ蜂の巣にされた敵機が地上に落ちる様はもはやどちらが人類にとっての正義なのかわからなくなる。
「あ、一機生き残ってる」
もうふらふらで可哀想になるが、殲滅するのがボク達のルールだ。
「藍、今日は一緒にやろう、次の大会はタッグ戦らしいし」
「はい、後方から援護します」
戦闘前のコミュニケーションは大事だ。
緊張を解してくれるし、視野が広くなる。
可哀想な敵の新兵君は藍の短機関銃による撹乱で動きが止まり、ボクの刀で真っ二つにされた。
「ナイスショット、普通に良いとこ当たってたよ」
「元よりそのつもりで撃っています」
ハイタッチの1つでもしようと思ったのだけど、まだまだ藍の扱いには慣れないなぁ……。
「うおおおお!我々の勝利だあああああ!」
「「「おおおおおお!」」」
うわ、聴覚鈍らせておくんだった。
さっきの決闘の熱と設営邪魔された怒りで皆のボルテージが上がりっぱなしだ。
このあと設営の手伝いかぁ。
ボクは自分の力で敵を倒した喜びに浸る間もなく妙な憂鬱に体を埋めることになったのだった。