6 恵里、音信不通
尚が学校につくと、あれっ?と異変を感じた。
恵里がいないのだ。恵里は大体尚より先に学校にいる。遅刻かな?そう思っていたが1限目が始まっても恵里は来なかった。
体調でも悪いのかな?普段なら休む時などはLINEで教えてくれるのに。少し心配になり
「恵里?どうしたの?風邪とか?体調悪かったら無理に返信しなくてもいいよ。」
そうLINEを送り、携帯の画面を閉じた。
今日恵里は学校に来なかった。無断欠席らしく担任の先生に何か聞いてないか?と問われたがLINEに返信はない。既読も付いていなかった。
珍しいな。尚はそう思った。恵里は三女の中でははじけている方だったが、こんな風に無断欠席をしたりすることはなかったからだ。ずる休みをするときはうまく仮病を使ったりしていた。
そう思いもう一度LINEを見てみたが相変わらず既読はついていなかった。もしかしたら親戚に何か不幸があったのかもしれないな。そんなことを考えつつ、家に帰った。
-16:30分ー いつもどおりの時間だ。尚は昼寝を始めた。
-同日09:45分東京都世田谷区成城-
成城のある一画が封鎖されていた。昨日、行方不明として捜索届が出されていた佐々木照子さんの遺体が発見されたからだ。第一発見者はごみ収集に来ていた区の職員2人だった。はじめは何かわからなかった。少し大きい段ボールか何かに見えた。近くによってみると、職員たちはギョッとした。
それはカラカラに干からびた人間の遺体だったからである。
-17:30-
尚は昼寝を終え、ご飯の支度をし始めた。いつも通りお米を炊いて味噌汁を作る。
ふと恵里から返信が来ていないか、LINEを開いてみるが相変わらず既読はついていなかった。
代わりに素からLINEで
「今日給食センターに害虫駆除業者の人が駆除剤の散布に来るので遅くなります。だから今日は外食でもしよっか」
ときていた。尚は溜息をつきつつ
「もうご飯炊いちゃったよ。なんで朝に言ってくれなかったの!」
とやや怒りの返信をした。
しばらくすると
「ごめーん、すっかり忘れてたの。埋め合わせで今日は尚のリクエストにするからご飯は冷凍にしといて。あとみそ汁は冷蔵庫ね。19:00くらいになるから。」
そう返事が来た。リクエストにするか。この文字で尚の留飲は少し下がった。確かにここのところ外食はあまりなかった。しかも今日はなんでもいいとのことだ。
尚は少し考え、駅前のイタリアンに連れていってもらおうと決めた。あそこなら値段もそんなにしないし、何よりトマトソースのパスタは絶品だ。
19:00をやや回ったところで素が帰ってきた。尚は明日の予習と、生物の参考書を交互に見ながら時折恵里から返信がないか確認した。既読はついていなかった。
「尚-、ごめんね遅くなって。食べにいこっか」
「うーん分かった。今行く」
尚はさささっと着替えを済ませ、素に駅前のイタリアンに連れて行ってもらった。
-同日10:00-
成城での遺体発見現場にいた刑事、大軒大悟は驚愕していた。現場一筋で20年やってきたが、こんな異様な死体は初めて見た。体はカラカラに干からびまるでミイラのようであり、両足は他の骨ばった体の部位と違い、干からびていながらも以上に発達していた。それは84歳の老婆の足だけラガーマンの足に取り換えたような姿だ。
いったいこれはなんなんだ?そう思わずにはいられなかった。