序 女子校育ちの私がゾンビと戦う?!冗談きついって(笑)
美島尚は考えを巡らせていた。最近ニュースで目にする東京都内各地での集団失踪事件についてである。尚は都内でも有数の進学校の女子校区立三花女学院に通っている。授業中尚の大好きな生物の授業であるにもかかわらず、どうにもこうにも最近の事件のことが頭から離れない。
最近はテレビをつければ集団失踪事件の話題ばかりである。確かに異常ともいえる頻度で、ある一部の人たちの消息がとだえているのだ。ニュースにならない方がおかしい。
尚は一抹の不安感をおぼえていた。それは都内すべての人が抱いているものと異質のものであった。
人々が不安に思っているのはこの集団失踪事件が何らかの犯罪組織による大規模拉致ではないかというものである。
ある日忽然と都内の一部の人間が全員消息を絶つなどありえない。普通に考えれば何かしらの事件に巻き込まれたと考えるべきであろう。
しかし尚の不安はそうではなかった。なにか、なにかが引っかかる。そう思い尚はその思考を練っていく。
深く、より深く。尚はまだ気づいていない。尚の聡明さが決定的に日本に与える影響を。
尚とはかけ離れた場所でそれは息をひそめている。
それは都内、関東、そして日本全土へ伝搬していく。それはもう始まっていたのだ。