第一話 出会い
薬の魔女(α):死の学園
空が青く澄み渡っている。
春の風が吹く河川敷に、
ある少女が佇んでいた。
彼女は幕水皆世。
現在、黄泉坂学園高等学校一年生。
容姿端麗、品行方正、文武両道の良家の長女で、誰が見ても振り返る程の美しさをもつ彼女は、
中学時代、風紀委員長と生徒会長を歴任し、誰もが憧れていた…
だが、その裏には悪魔と謳われ、女神と称される魔女の姿があった。
学園の裏サイトには"死神"や"悪魔"、
学園内では"薬売り(薬師)"と呼ばれている。
裏の世界においては違法薬物から合法薬物、更には成分の調合までなんでもござれの
"薬物界の重鎮"であり、
政府公認の"闇の薬剤師"なのである。
だが、表は本日、高等学校に上がる高校生。
中央棟大講堂では入学式が終りかけていた。
司会「最後に、皆さんと同じく、黄泉坂学園高等学校に入学する一貫生の代表から挨拶があります。幕水さん、よろしくお願いします。」
幕水皆世「皆さん初めまして。
私、黄泉坂学園高等学校の六年一貫生の代表をしております、幕水皆世と申します。
高校入学組の皆様。
この学園に来られたのなら、
私共々仲良くしてくださいね?
三年間よろしくお願いします。」
幕水は会釈をして踵を返し、
中央棟大講堂を取り巻きと共に去った。
夜見川泰斗「相変わらずだな、幕水。」
幕水「そりゃどうも。」
虹尾縁「それはそうと、
ここからまた来客がありますが?」
幕水「誰だったかしら?」
虹尾「えーと…黒蠅組ですね。」
幕水「また人使いの荒いとこね。」
夜見川「車はあるけど?」
幕水「迎えに来てもらうからいい。」
虹尾「私は少し教室に戻って用意してきます。」
幕水「えぇ。来たらいつもの所で待機ね。」
虹尾「了解しました。」
幕水「私も品物の用意して来るわ。
連絡よろしくね。」
夜見川「はいはい。また俺かよ…」
学園地下(南館)開発棟
幕水「えーと…どこだったかしら。」
"5分後"
幕水「……あ、あった。」
小さめのアタッシュケースを取り出した。
貼り付けられたタグには
"黒蠅 No.12" とある。
幕水「あいつら…これで何するのかしら。
暴力団の考えることは分からないわね。
ま、報酬良いし、文句は言わないけど。」
小さめのアタッシュケースと革製の正鞄を持って、正門前に向かった。
急いでいるので、小走りて正門に向かう。
夜見川「呼んどいたぜ。いってら〜」
幕水「ありがとう。後よろしく♪」
夜見川「了解」
幕水が小走りで向かう途中、
ある意味の悲劇、
ハタから見れば喜劇の、
線と線が交錯する瞬間が訪れた。
はじめまして。(実は二回目かもしれない)神凪というものです。
初めての連載小説なので、至らぬところもたくさんあるかと思いますが、
温かい目で見てくれたらと思います。