一章7話 討伐依頼1
武器も新調して冒険者見習いとしていくつか依頼をこなした結果、私達は冒険者レベルが1つ上がった、コレでやっとレベル1、レベル1からは初めに受けたような、魔物との戦いを含む依頼を受けることが出来る。
「と言う訳で!早速行ってみよう!」
「レベル1おめでとう、魔物討伐の依頼ね、今のところこの2つよ」
受付のお姉さんが討伐系の依頼を案内してくれる、私達が最初に受けた依頼の時も案内してくれた人だ、最初がちょっとした騒ぎになったせいか?私達はすっかり打解けていたりする。
ある村に定期的に攻めて来るゴブリン共の討伐。
街道に居座るストーンゴーレムの討伐。
「どっちもいけそうじゃない?」
「う~ん、ストーンゴーレムなら僕の『ゴーレムメイク』で同じようなのを作れば勝てるだろうね」
「ゴブリンって雑魚よね、なら大丈夫でしょう」
報酬はゴブリン討伐の方が良いみたい、街道のゴーレムは迂回すればいいだけだからそれほど危険視はされていないみたいね、村を襲われる方は被害もたまった物じゃないから結構いい報酬になってるのかな?
まず、ゴブリン討伐の依頼を受けることに決めた。
毎年決まった時期になると村に30匹程のゴブリンが襲撃に来るので、その討伐を頼みたいという依頼だった。村人だけでも退治はできるのだけど、見習い冒険者の為に安値で依頼を出しているんだって。
手続きを済ませ準備を整えるのにその日1日使い、翌日朝早くから依頼の村に出発した。
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冒険者協会受付で依頼の整理をする受付嬢の所に、職員の1人が追加された依頼を持ってやって来た。
書類を受け取り、内容を机に埋め込まれた青い球体に記憶させていく。
「あれ?この依頼って・・・」
ゴブリンの大群の討伐。(緊急)
・・・ごぶりんの量が尋常じゃないです。助けてください!(レベル5)
「昨日トモカさん達が受けた依頼と同じ村?
・・・・・・・・・・・・・・・ええぇぇぇ!!!」
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何度かスライムなどの魔物に襲われはしたけど、難無く撃退し、昼を過ぎた辺りで目的の村に辿り着いた。
えっと、協会で聞いた話だと、村長さんの家に行けばいいんだよね・・・
誰かに聞いて村長宅へ向かおうと思うのだけど人が見当たらない、適当に歩いてみたけど全く人と出会わなかった、おかしいわね、こんな時間から家の中に篭っているのかな?
「あ、居た・・・」
適当に家の中を探ってみようかと思っているとイズミ君が誰か発見したみたい。
「多!!」
他の家と比べると2回り位大きい家、多分あれが村長のうちでしょうね・・・そこに村人が集まっていたんだけど、多い多い!家に入りきらない人が家を囲んでるから、何コレ?何やっているの?
「あ~どうやらゴブリン対策の話し合いみたいだね、村人全員集まってるのかな?馬鹿?」
確かに話し合いをするにしてもこの人数では話が纏まらないでしょうね、外に居る人たちは話しに参加できているのかな?
「どうしよう?このまま帰っちゃおうか?」
「そういう訳にも行かないって、村長さんに話を聞かないと」
とにかく中に通してもらおうと人だかりに近付いて行き、外の人たちの話し声が聞こえる処まで来た。
「前までとゴブリンの数が全然違うんだってよ!」
「あ?俺は黒色の妙にでかい奴が居たって聞いたぞ?」
「協会に依頼はしてるんだろ?」
「あぁ、それと今朝緊急の依頼を出したらしいぞ」
「だったら、冒険者はまだかよ?!」
「やっぱり俺たちで戦うしかねぇんじゃねぇか!?」
凄く、この中に入って行きたく無いな・・・でも、そうも言ってられないから、仕方なく近くの人に声をかけたんだけど・・・
「おお!冒険者!やっと来たか!!」
「なに!?来たのか!早く村長の所へ!!」
あっという間に村長の家に通され村長と対峙することになった。
村長から依頼の詳しい内容を聞く・・・って、あら?協会で聞いた内容と変わってる?今聞いた話だとゴブリンの数は少なくても200以上、見習いの冒険者に任せるような依頼じゃないと思う。
「なに!君たちは緊急の依頼を受けて来た冒険者じゃないのか!?なんてこった・・・」
私たちの聞いている話と違うと言うと、村長が驚いて泣きそうになる、泣きたいのはこっちだよね。
「とりあえず話を続けてもらえる?どのみち私たち2人じゃどうにも出来ないけど、村の人も協力してくれるなら対策はいくらでも立てられるでしょ?」
「そうだね、敵の来る場所に罠を仕掛けるとか、村を守る防壁を作るとか・・・
あ、弓と矢はたくさん用意しておいた方がいいよ、ゴブリンが集団でまとまって来るなら適当に撃っても当たるだろうから・・・近付かれる前にだいぶ数を減らせると思うよ」
イズミ君が話に加わってくる、こういう時は黙って話を聞いていることが多いだけに珍しい。
戦略とかはよく分からないけど、来ると分かっている敵に対する備えとしては基本かな?
でも村の人は直接迎え撃つことしか考えてなかったみたいで、早速防壁や罠を作るように指示を出していた。
「で?敵は何時頃来るの?」
「早くて五日後です。遅くとも7日後、何時もそれ位の時期に襲撃が有るので・・・」
相手は何考えてるか分からない魔物、下手したらもっと早くなるって考えといた方が良いかな?
ま、何とかしてみましょうか・・・
ゴブリンを適当に倒して直ぐ帰れるものだと思っていたんだけど、今回の依頼が片付くまで私達は村に留まる事になった。小さな村なので宿は無いらしく、村長さんの家の空き部屋で寝泊りすることになった。
ま、協会には緊急の依頼を出しているみたいだし、ゴブリンが攻めて来るまでに他の冒険者が来るのを期待しておきましょうか。
翌日
「ちょっと防壁や罠の様子を見てくるよ、僕の魔法で多分手伝えると思うから・・・」
確かに、ゴーレムの力は作業には役立つでしょうね、私も出来ることをやっておこうかな。
村にある弓と矢の確認、投石器とかは・・・作ってる時間無いかな・・・
弓は狩猟で使用する物だけどそこそこの数はある、これなら襲撃までに矢を大量に用意すれば迎撃の一手となるでしょう。
弓を扱える人間がどれだけ居るかだけど、この村の人は狩猟を主としているようで、問題無さそうだった。
「え?私が指揮するの?」
迎撃準備を手伝っていると村長さんが来て私に弓隊の指揮を執って欲しいと言って来た。私が弓を持ってるのを見て言って来たんだろうけど・・・
「無理ですよ!私が見習いの冒険者だって言いましたよね?」
それでも頼むと、村人で話し合って決めたとか、済し崩し的に引き受けることになってしまった。
う~、不安だけど、引き受けた以上しっかりやらなくちゃね、弓隊になる人達との打ち合わせ頑張ろう。
イズミ君はどうしてるだろう?面倒なこと引き受けさせられてなければいいけど・・・