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一章6話 武器選び


初の依頼から数日、あれからいくつか依頼をこなし、そこそこの資金が溜まったので僕とトモカさんはそれぞれの装備を探して街をうろついていた。


とりあえず一軒の武器屋に入り武器を探すことにした。

武器を調達する資金も無かった為これまでの依頼、僕は全て魔法のみで挑んでいる。

剣、斧、槍、杖、短剣、棒、槌、鞭、弓、色々有るけどどれも僕には扱えそうに無い、ま、そうも言ってられないから小振りの剣を手に取り感触を確かめるんだけど・・・やっぱりしっくり来ない、だいたい武器の扱いなんて普通の高校生が知っている訳が無いだ。


トモカさんは地球では弓道部だったらしい、今は弓道の弓では耐久性に問題があるとかで、店に置いている弓を物色している。


僕の方は・・・


剣、授業の剣道で使う竹刀でもまともに振れなかった僕が鉄の剣をまともに振れる訳が無い。


斧、剣より重い、もっと無理だ、振ると言うより僕が振り回される、危険だ。


槍、槌、この辺も重くてまともに振れない、僕どれだけ運動不足なんだ?これはちゃんと筋トレしないと駄目だな。


杖、棒、杖術なんて知らない、棒術も然り。適当に振り回すことしか出来ないだろうなぁ。


短剣、これは軽いから使えないことは無いけど・・・魔法使ったほうがいいんじゃないかな?


鞭とか無理、どう使っていいかまったく謎だ。


剣よりも軽いであろう刀は見当たらない、有っても使えるかどうか分からないけどね。


弓、トモカさんと被る、素人の僕が当てられるとも思えない、ゲームセンターのガンシューティングなら百発百中位までやりこんだけど・・・銃なんて見当たらないし本物の銃は反動が有るから僕には使えないだろう。


もしかして使える武器が無い?これは・・・魔法を鍛えろってことか・・・?


やっぱり身体を鍛えないと話にならないな、引きこもり現代人の体力じゃ異世界には通用しないってことか・・・


「イズミ君、何か良いの有った?」


択ぶのを終えたのか、トモカさんが新しい弓、基本的なロングボウを手に戻ってきた。

ま、資金が多いわけじゃないから妥当な所だろう。


「いえ、どうも運動不足の僕じゃまともに扱える武器がなさそうで・・・」


「刀は?日本刀、普通の剣よりは軽いと思うよ」


「それが、見当たらないんだよね・・・」


もう一度店内を見回してみるけど刀らしき物は見当たらない、そもそも日本刀なんてこの世界にあるのかな?


「なんだ、君は刀が欲しかったのか?うちにある刀はこの二つだ」


店主がそう言ってカウンターの奥から2本の刀を持って来る。


「銘は『空牙』かの斬空の英雄の使っていた刀だ。

もう1つは『闇夜』最近噂の悲劇を断つ者(ブレイカー)の愛用していた刀だ

どっちも伝説級の品だ値段はそれなりに張るぜ」


高価(タカ)!値段を聞いて僕らには買えない事を確認する。


「ふ~ん、英雄の使ってた武器なんだ・・・」


「そう、お嬢さんもどうだい?弓だけでは敵に接近された時大変だろう?」


「そうだね~、でもこの値段は高価すぎるよね~」


「はは、なんたって英雄の使ってた武器だからな!」


「ふふ、どうせどっちも紛い物か良くてレプリカってとこでしょう?

こんな値段つけるなんて・・・イズミ君、ここでの買い物は止めた方がいいみたいね」


「え?」


トモカさん何言ってるんだ?あ、店主の人も怒っちゃったじゃないか。


「何!?言いがかりは止してくれ!見ろこの刀身どっからどうみても超業物だろうが!

は、まぁ刀身も見ずに紛い物扱いするような見習いには分からないか!?」


店主曰く『闇夜』を鞘から抜き白銀に煌く刀身を僕らの前に晒す。おぉ・・・素人の僕でも魅入られそうな輝き、これが業物か・・・


「そこなのよイズミ君、この店主私達が見習い冒険者だって気付いて騙そうとしてるのよ~」


あぁ、そういえば今この店主、『見習いには分からないか!』って言ったなぁ、そんなことを見抜くトモカさんって本当に何者だろう?普通の学生って事は絶対に無いよね。


「何を根拠に、確証も無いのに言いがかりを付けるのは止めてもらおうか!」


「ふ~ん、認めないんだ、だったら教えて上げる、斬空の英雄の『空牙』だっけ?確かに斬空の英雄が使っていたのは『空牙』で間違いないけど、その刀は既にこの世界に無いもの魔人との対戦で一度折られ、修復させた後、試合でもう一度折られている、だから『空牙』はこの世界に存在しないの(あっても地球だしね)」


「・・・・・・・・・」


店主押し黙っちゃったな、英雄の妹、トモカさんの言ってる事は間違い無いだろうし・・・店主哀れだ。


「あと『闇夜』?それ業物だって言うのは信じても良いけど、間違い無く偽物ね、本物の刀身は黒いもの、常夜の石って鉱石を加工して創った物だって聞いた事が有るわ(使ってる本人からね)」


「・・・・・・・・・」


「さて、この刀、いくらで売ってくれるかしら?」


店主曰く『闇夜』を手に良い笑顔を浮かべる・・・トモカさんなんか怖いですよ。

暗に安くしないと店の悪評を流すって言ってるよね?



結局、『闇夜』(本来の銘は『閃華』)は最初提示された値段の50分の1位の値段に値切られ、トモカさんのロングボウも半額にさせてしまった。


『閃華』は今僕が持っているけど正直まともに使えるかどうか不安だ。


「いいんじゃない?今はそれで、その内使えるようになるって」


トモカさんは気楽なことを言ってくれるけど、使いこなせるようになるのには時間がかかるだろうなぁ。


「まぁ、安く手に入ったから良いか・・・」



寮に戻り刀を振ってみる・・・


「うわぁ・・・あ、ごめん」


僕のヘナチョコ具合を見て思わず洩れたんだろう、ま、仕方ない、トモカさんは刀を武器にしていた英雄の妹だ、彼らの剣技も見たことがあるのだろう、僕と比べるとそりゃため息も洩れるだろう。


「いや、全然駄目駄目だって自分でも分かってるから」


どうやら僕は完全に魔法使いタイプのようだ、でも魔法もまともに使えるのって『ゴーレムメイク』とか明かりを点けるの位なんだよね・・・

どうも魔術書で学べる既存の魔法とは相性が悪い、これは使える魔法を元に自分で作った方が良いかも知れないなぁ。


「確かに、危険な扱い方しているね、イズミ君」


刀を鞘に納めたところで後ろから声がかかった、さっきからカーム先生が見てたんだけど僕が刀をしまうのを待っていたみたいだ、そこまで危ない扱いしてたかな?


「ほう、自分に合う武器が見付からないのか・・・そうだねぇ、僕に1つだけ、魔力さえあれば誰にでも扱える武器に心当たりが有る、夕食の後にでも持ってくるから試してみるといい」


事情を話してみると良さそうな武器を紹介してくれるらしい、ありがたくその申し出を受けることにする。


そして夕食時・・・寮生の皆にどんな付きを遣ってるのか聞いてみた。


「ワタシは短剣と風魔法の組み合わせでの戦闘が基本よ」


アリアさんは盗賊技能を持った風魔法使い。短剣とはいかにもって感じだ。


「俺は武器の特性上何でも使うぞ、剣、槍、斧、弓・・・まぁ数えだしたら限が無いな」


ジーンは前に特殊な武器を使う戦士と聞いている、どんな武器も扱う戦士か・・・僕とは正反対だなぁ。


「今日居ない二人は・・・槍と格闘ね」


「あぁ、ティックが槍と付術を使う聖戦士、

セツカは格闘以外に『音』の特異能力を使うんだったか?」


特異能力?初めて聞く言葉だな、ま、今度調べとこう。


「あぁ、そうだったわイズミ君、これ、あの人から預かってたの、今日は帰るのが遅くなりそうだからイズミ君に渡しておいてくれって」


フラムさんが食堂を出て行き何かを手に戻ってきた。カーム先生が昼間言っていた武器だろうか?


「「な!!」」


その武器、銃を見て僕とトモカさんが驚く、この世界に銃って有ったんだ。


でも銃はさっきも思ったけど反動が有るからぼくじゃ扱え無いと思うんだけど・・・


「えっと、これは少し前に魔法科の学生が創った武器で、魔力を弾丸として打ち出す武器みたい」


メモを読みながら説明を続けてくれる。


「魔力さえあれば誰にでも扱えるのだけど、命中率がもの凄く悪くて今は誰も使って無いそうよ、だから名前もまだ決まってないみたいね」


魔力を撃ち出す銃、魔銃かな?命中率が悪いってどれくらいなんだろう?


「狙撃の上手い弓使いの生徒に試しに使ってもらった結果、命中率は2割を切ったそうよ」


それって全く駄目なんじゃないかな?


「試しに使ってみる?」


「そうですね、試すだけ試してみます」


夕食後、日の落ちた裏庭に『ライト』の魔法をいくつか上げて明かりを取る、とりあえず50メートル位離れた場所にりんごのような果物、りんごで良いか・・・を置いて準備完了。


弾倉(マガジン)に魔力を込め銃把(グリップ)に装填、安全装置(セイフティー)を外し照準を合わせる・・・あ、この銃照星(フロントサイト)が無いのか、まぁいいや、ゲームでやってるように照準を合わせ・・・りんご目掛けて引き金(トリガー)を引く。


バシュっと乾いた音を立て魔力の弾丸が打ち出される、薄く灰色に光る弾丸は50メートル先のりんごを撃ち抜いた、りんごが爆発するように弾けた事よりも、撃った時の衝撃、反動の無さに僕は驚いていた。


「うゎ、反動が全く無い、これじゃゲーセンと同じ感覚で使えるじゃないか、確かに魔力があれば誰にでも使えるなぁ、いいのか?こんな危険な物創って・・・って命中率が悪いんだっけ?・・・あれ?」


一発で命中したけど、まぐれかな?とりあえず何度か試してみよう。


「あ~・・・・・・・・何コレ?本当に命中率悪いの?」


全弾命中、並べたりんごは1つ残らずに撃ち抜かれ爆散していた。


「あれじゃない、ここの人には銃の概念が無いから使い方が分からないのよ」


「でも創った本人ぐらいは構造を理解してるから扱えるんじゃ・・・ま、いいか、フラムさんコレ貰っても良いんですよね?後コレ(マガジン)と同じのがいくつか有ると助かるんですけど」


「えぇ、イズミ君に用意した物だからそのまま貰ってくれてかまわないわ。あと、同じものなら魔法科の倉庫に有るって言ってたから、あの人に持って来てくれるように言っておくわね」



僕の武器が決まった。

翌日にはカーム先生から予備の弾倉マガジンを貰い全て整った。


この銃、名前が無かったので安直に魔銃(マジックショット)と命名、

一応『閃華』、刀も扱えるように筋トレは続けよう。


後は相性の良い魔法を創らないとね、うん、なんかワクワクして来た!


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