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一章3話 いつの間にか入学


ナインティリア大陸の北西に位置する白亜の森その中に冒険者の学園クレンシスは存在する、驚く事にこの学園は国の中心を担っているらしい、この国の代表は王ではなく学園長なんだそうだ。


この学園の生徒は全て寮暮らしで学園内にいくつか学生寮が建っている、しばらくこの学園でお世話になる事になった僕たちにも寮の一室が与えられた。本来ならここの学生は2人一部屋なんだけど僕とトモカさんを男女で同じ部屋にするわけにもいかずそれぞれ一部屋ずつとなった。


僕たちが入ることになった学生寮は、先日騒ぎを起こした講義棟から歩いて10分ぐらいの所にある、フライハイトと呼ばれる寮だ、この学園の広さはかなりの規模のようで講義棟に近いのは有り難い、僕達がここに来た日外壁に沿って歩き直ぐに校門を見つけられたけど、逆に歩いていたら大変な事になったんじゃないだろうか?


カーム ベーチェル、僕達と話をしてこの学園にしばらく滞在する事を勧めてくれた先生だ、この人からこの世界(エルリオール)の文字を教わっているんだけど、どうしてだろう?勉強のそれ程得意でない僕だけど教わる事がするすると頭に入って来る、トモカさんは少し苦戦しているようだけど、僕はもうこの世界の文字の読み書きをほぼ完璧にマスターしていた。


時間に余裕の出来た僕はここが学園なら必ずあるだろうと、1人で図書室を探していた(トモカさんは勉強中)。


読み書きをマスターした僕は先日のようなヘマはしない、ドアの上に掛けられたプレートの文字を読み底が何の部屋かを確認していく、しばらく構内を彷徨いようやく図書室を見つける事ができた。


中に入ると入り口近くにカウンターが有りそこに史書官かな?長い耳の眼鏡の似合う女性が座っていた。


・・・・・・・・・長い耳!?え?人間じゃ無い?もしかしてエルフかな?流石ファンタジー色が強いだけあるなぁ、この分だと他にも色々居そうだな、ドワーフとか妖精とか・・・


死後の世界もなかなかに面白い、どうせ一回死んだ身だ、せっかくだからゲーム感覚で楽しんでおく事にしよう、魔法なんかも使えるみたいだし少し楽しみだ・・・



本当に色々な本があるな・・・


基礎魔法書、これは気になる、僕に魔法が使えるかどうかは分からないけど使えるなら使ってみたい。まぁトモカさんはもう魔法みたいなことをやってたけど・・・聞いてみたらなんかお兄さんの創った剣術の応用で、気とかそういう力を想像(イメージ)で技に変えているらしい、出鱈目過ぎる・・・でも、この世界の魔法も想像力と相性が大事みたいだ、まぁ魔力が無いと話にならないんだけど・・・基礎魔法書を少し読んだらそんな事が書いていた。

決まった呪文というのは無いから無詠唱でも魔法を使えるみたいだけど、集中力を高めイメージを明確にする為に呪文を唱えるのが普通になっているみたいだ。

これなら魔力が有るか無いか確かめるだけで相性のいい魔法は使えるみたいだ、後で試してみよう。



エルリオール・・・世界の成り立ち、よく有る創世の神話のようだ、あまり興味が無い、それよりも今の地理について知りたいんだけど良い本は無いかな?


ナインティリア大陸の地図、これは・・・確かに地名は分かるけど、それだけで何の説明も無い、まぁ地名だけでも頭に叩き込んでおこう。


文字の兼でも分かっていたけど、不思議な事にこの世界に来てから僕の記憶力とか理解力っていうのがグンと上がっているみたいで、見聞きした知識がまるで最初から知っていたみたいに頭に入ってくるんだ、これくらい造作も無く覚えられる、不思議な事だけど死後の世界だし、別に困っているわけじゃないのでよしとしよう。


・・・そろそろトモカさんの方も終わる時間かな?今日はこれくらいにして戻ろう。


あ、でも基礎魔法書は借りて行きたいな、どうすればいいんだろう?カウンターのエルフさんに聞いてみよう。


「貸し出しですか?それでは学生証を出してください」


学生証、ここの学生じゃない僕が持っているはずが無い、仕方ない諦めよう、幸い記憶力が上がっているからまた読みに来ればいいだけだしね。


「学生証を忘れたのですか?なら書庫で確認しますので名前と学生番号を言って下さい」


いや、だからそもそもここの学生じゃないからいっても無駄だと思うんだけど・・・

答えられないでいると不審に思ったのか警戒するような雰囲気が漂いだした。拙いな、もう前の覗きの時みたいな騒ぎは嫌なんだけど・・・


「名前は?」


「えっと、イズミ ユウナギ・・・」


答えちゃったよ!ここは逃げた方がよかったのかな?でももう名前いっちゃったし!どうしよう!?


「イズミ ユウナギ、認証開始・・・」


カウンターに備え付けられている青い球体に手を伸ばし手作業を始めるエルフさん、やばい、どうしよう?どうしよう?


球体から光る文字が飛び出し空中に文を表示する。何これ!?凄いハイテクなんですけど!?機械・・・には見えない・・・魔法のアイテムかな?

表示される文を目で追っていく・・・該当無しって出てくるんだろうなぁ、仕方ない逃げる準備をしておこう。


『認証開始・・・・・・・・・・・・完了


 イズミ ユウナギ 一年

  学生番号 01522

  担当教師 カーム ベーチェル

  専行学科 未定

  単位 0000              』



は?どうなってるの?この装置がこの学園の生徒のデータベースなのは予想が付いたけど、何で僕の名前が登録されているんだろう?


「転入生でしたか、どうりで見覚えが無い筈です。基礎魔法書、貸し出しは一週間となります。延滞する場合はもう一度ここへ来て下さい・・・はい、貸し出し申請完了です。では、よく学んで立派な冒険者になってくださいね」


まぁ、騒ぎにならずに済んでよかったんだけど、確かめておかないといけない事ができたみたいだ。トモカさんを迎えに行くついでにカームさんに聞いてみよう。




「は~疲れた~!!」


僕が行くと丁度勉強も終わったらしく、トモカさんの気の抜けた声に出迎えられた。


「お疲れ、随分苦労してるみたいだね」


「あ~イズミ君、迎えに来てくれたの?ありがと~

ホント、言葉は普通に通じるのに文字は全然違うんだもん、こんがらがって覚えるのが大変だよ。イズミ君はよく早々に覚えられたね、私勉強は別に嫌いじゃないけど、これは苦労するよ」


何かの事故でこの世界に来たトモカさんには、死んだ後この世界に来た僕のように都合のいいこと(記憶力の上昇など)は起こっていないみたいだ。


「頑張ってとしか言えないね・・・」


「でもトモカ君もよく頑張っているよ

ところでイズミ君は今日は図書室に行ってたのかい?」


僕の持っている本を見てか?カームさんが訊ねて来る、そうだ、カームさんに聞く事が有ったんだった。


「カームさん少し良いですか?この本を借りる時に学生証の提示を求められたんですけど・・・なんか僕の名前が学生として登録されてましたよ?」


「あぁ、そういえば言ってなかったな、君達がここに滞在するのに学園長から条件が出されてね」


学園長?この国のトップじゃないか、何でそんなとこまで話が行ってるんだ?この世界に居るトモカさんのお兄さんが英雄扱いされてるみたいだし、この前名乗る時にトモカさんクナギって苗字まで名乗ってたから英雄との関係に気付かれたのかもしれない・・・


「君達をそのまま旅に出すと危険だから、ここで最低限の知識と経験は積ませるようにって話になってね、ま、嫌ならいいけど、どうだろう?ここの学生として学んでみないかい?英雄探しならここに居ても出来ると思うよ、学園側でも英雄(ユウヤ)の情報は集めてみる、悪い条件じゃないだろう?」


「そうですね、イズミ君はどう?」


「僕は別にトモカさんが良いと思う方法でいいよ、今の僕はこの世界を楽しんでいるからね」


「それじゃ、決まりね、カームさん、いえ、カーム先生よろしくお願いします」


こうして、僕達はいつの間にか冒険者の学園の学生になっていた。


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