表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/26

一章1話 迷い込んだ森の中


死後の世界か・・・まさか、死んだ後もこういう世界があるとは思ってなかった、完全に漫画やゲームの世界だな、問題はここが魔物なんかが居るファンタジーな世界だって事か・・・運動も頭もまるっきり駄目な僕がこれからどうして行けばいいんだろう?


「えっと、大丈夫?」


弓道の物と思われる弓と矢を手に僕の前を歩く女の子、九薙(クナギ)ともかさん、僕と同じ歳らしい、元の世界に帰る方法があるって言ってたけど、死んだ僕が元の世界に帰るって無理だと思う。多分彼女は僕とは違う方法でこの世界に来たんじゃないだろうか?

いろんなゲームをやってファンタジーな知識は多い方だと思う僕はそう予想する。


「あ、うん、大丈夫、それよりだいぶ暗くなってきたね」


川沿いに結構歩いているけど、まだ人の住む場所は見付からない、日もだいぶ傾きこのままだと夜の森で野宿することになりそうだ・・・いや、まだ出合って無いけど、魔物の居る森で野宿は自殺行為か・・・僕はもう死んでるんだけど、この世界じゃもう一回死ぬのかな?


「うう、まずいなぁ、何の準備も無しに野宿なんて出来ないし、どうしよう」


「どうにも出来ないと思う、この辺の物で簡単な寝床を作る知識は有るけど、上手く実践できないと思うし、寝ている所を襲われる危険性は想像出来ない、歩くしかないんじゃないかな?」


ゲームや漫画で得た知識なんて使えるとは思えない、日が落ちて暗くなった森をただ黙々と歩き続ける。


「あ、明かり」


しばらく進むと、まだだいぶ先にだけど、前方に明かりの灯った建物を発見することが出来た。


「キキ・・・」


「「え!?」」


僕とトモカさんの間を何か黒い物が通り過ぎて行った。まさか・・・


「魔物!!イズミ君下がって!」


トモカさんは弓に矢を番え周囲を警戒する、今のは魔物?暗い上に速くてよく見えなかったけど、トモカさんには相手が何か見えたのかな?


「あれから一年かぁ、兄さんが余計なこと教えてくれたのは無駄にならなかったわね」


暗闇に向かい矢を放つ、数瞬後地面にどさりと何かが落ちる音がした。


トモカさんが警戒を解き、そっちへ向かう、音のした場所には真っ黒な大きい蝙蝠が矢に貫かれて絶命していた。トモカさんは矢を引き抜き、血を払う、鏃を確認して矢をその場に捨てた。


「まぁ、弓道でもなければ矢なんて使い捨てだし、仕方ないか」


凄い、普通より大きいとは言っても動きの早い蝙蝠、それも夜という視界の悪い中、一発で命中させた。


「さぁ、行こう、アナタは私が守るから、大丈夫だよ」


明かりを目指して進むとレンガ造りの塀にたどり着いた。さっき見えた明かりはこの塀の向うに立っている高い建物から漏れた光のようだ、でも入り口が見当たらないなぁ・・・


「上る?」


「いや普通は入り口を探して壁沿いに歩くんじゃないの?」


トモカさんの発想とか行動がどこかずれている気がする。とにかく塀沿いに歩いて行く、幸いなことにしばらく歩くと頑丈そうな門を発見した。しかし・・・


「閉まってるわね」


「うん、呼び鈴なんて無い・・・よね、やっぱり」


「仕方ない、勝手に入っちゃいましょう!」


「ちょっと!いいの!?駄目でしょ!」


「森の中で野宿したいの?」


それは嫌だ、仕方ないのかな?でもこの門・・・

軽く押してみる、開かない。

力を込めて押してみる、開かない。

トモカさんと2人で押してみる、やっぱり開かない。


駄目じゃん、向こう側に鍵でも掛かってるのかな?


「イズミ君、離れていてね」


え?弓に矢を番えて何やってるんだろう?そんなのでこの頑丈そうな門をどうにかできると思えないけど。


「九薙流弓術、貫け!雷牙(ライガ)!!」


ちょっとまって!今のどうやったの!!何か叫びながら矢を放っただけなのに、矢はトモカさんの手を離れた途端青白い雷光を弾けさせながら進み、門に当たったと同時に爆発した。この娘、ホントに人間!?


門は少し焦げただけみたいだけど門の向こう側が騒がしくなり始めた。


「逃げた方がいいんじゃない?」


「逃げてどうするのよ、せっかく野宿しなくて済みそうな場所見つけたのに・・・」


いやいや、今のあなたの行動で牢屋とかに入れられそうな気がするんだけど!相手が悪かったらここで殺されるかも!?って、僕はもう死んでるか・・・また死んでも別に変わらないよね~、でも痛いのは嫌だな~


そうこうしている内に門が重い音を立てて開いた。

門から数人の剣と鎧で武装した人たちが出てきた。


「なんだ?君たちは?」


剣を突きつけながら聞かないで下さい、めちゃ怖いです。


代表の人かな?無精髭と眼鏡の中年男性が話しかけてきた。


「すみません、道に迷ってしまって困ってるんです。今晩ここに泊めていただけませんか?」


えっと、誰ですか?って、トモカさん声色まで変えてまるで別人だよ。女の子って怖い・・・


「ほう、道に迷ったと・・・なら、どんな理由でこの森に入ったのかな?」


「えっと、旅の途中です」


「どこに向かってるのかな?良ければ道を教えるけど・・・」


やっぱりだいぶ怪しまれてるんだろうなぁ、いきなり門を壊そうとしたんだし仕方ないか・・・


「・・・・・・・・・アクアリスまで」


どこそれ!?トモカさん適当な地名言ってない?僕、この世界の地名をまったく知らないけど・・・


「アクアリス・・・ウィザレスク大陸か、この大陸からは随分と離れているね」


え?アクアリスって地名、有るの?


「なら、ユウヤという名の旅人を知りませんか?」


「ユウヤ?なるほど、彼の最初の活躍の場がアクアリスの近くだったね」


「今どこに居るか知りませんか?噂だけでもかまわないので」


「すまないが、最近はあまり彼のことは聞かないね、でも君達の旅の目的は分かった。いきなり門を破壊しようとしたのは褒められないが、今日の寝床ぐらいはお貸ししよう」


おお、交渉しちゃったよ、トモカさんすごいな、人見知りの僕じゃこうはいかないんだろうな。


こうして僕たちは森の中での野宿を逃れ寝床を確保することが出来た。


はぁ、死んだ後ってのも結構大変なんだなぁ・・・


イズミはエルリオールを異世界ではなく死後の世界だと思っています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ