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二章7話 観戦、準決勝


準決勝の一回戦は僕達がこの街に来た時に出会った冒険者のリジアさんと、リョウイチ アカヤと言うエリスと戦い勝った人の試合だった。


それにしてもリョウイチさんのあの銀髪、どこかで見たような気がするんだけど・・・気のせいかな?


「どっちが勝つと思う?」


「リジアさんの試合を一度も見ていませんからね、なんとも言えません」


ナクル先生に勧められて今日も試合観戦、僕とエリスが試合の予想をしている隣で、トモカさんは今日も観客席を気にしている、ま、そっとしておこう。


しばらくして試合が始まった。


双剣と拳がぶつかり合い互いに攻防を繰り返す。

互いの攻撃を防ぎ、逸らし、避ける、クリーンヒットはどちらにも無い。

力量が高すぎて僕にはどちらが圧しているのかすら判断できない状態だけど・・・


「リジアさんのほうが少し有利でしょうか?」


「ん?どうして?」


「リョウイチさんの動き、出鱈目なんです。リジアさんは訓練の末に身に付いた動きという気がするのですけど、リョウイチさんのそれはその場その場で反射神経と身体能力に物を言わせた動きといった感じです。あの動きは、まるで不良の喧嘩ですね・・・因みに、イズミさんの動きも素人に毛が生えたような物です。そのまま身体能力が上がって行くとああなりますよ」


「いや、あの動きは無理でしょ・・・」


「まぁ、そうですね、イズミさんは銃を使ってますし、魔法も有りますから違う戦い方になるでしょうね、でも今後の為に少し戦闘時の動きを訓練しておいた方が良いかも知れませんね」


これでも自分なりにトレーニングはしているんだけどなぁ、まぁ、学園に帰ったらカーム先生に相談してみようかな、でも僕は魔力頼みの戦い方が基本だしなぁ・・・っとそんな事より試合試合。


―バキン―


「え?」


妙な音のした後リョウイチさんが倒れた。


「お、おい?どうした?!」


リジアさんも戸惑っているようだ、リジアさんが何か仕掛けたという訳ではないみたいだ。


訳の分からないままに準決勝の一回戦はリジアさんの勝利に終わった。


「何が起こったのでしょうか?」


「さぁ?リョウイチさんがリジアさんの剣を掴んだように見えましたけど・・・」


剣に毒でも仕込んでたのかな?いや、リジアさんの困惑具合からそれは無いか。

と言うことは2人の関知しない別の要因で今の状態になったってことかな?

ま、分からないし後でリジアさんにでも聞いてみよう。


「それにしても、参考にならない試合だなぁ・・・」


「魔法使いのイズミさんはそうかもしれませんね、今のは2人とも戦士系、リジアさんは魔法攻撃のような特殊能力を使っていたようですけど、アレは魔法じゃなさそうですしね」


「無詠唱で魔法を使ってるのかもしれないけど・・・

多分リジアさんの持ってる双剣が魔剣なんじゃないかな?なんか凄い魔力を感じるしね・・・」


「次の試合は魔法使いとクレンシスの教師、ナクル先生の他に出場している人だね」


「その先生も魔法使いらしいよ」


いつの間にかトモカさんが会話に加わっていた。人探しはもういいのかな?


「ようやく分かったわ、今探しても無駄だって事が、まだ悠にぃに会う時期じゃないんだと思う。

多分私がこの世界での役目を終えたときに会う機会が有ると思うんだ」


どうしてその結論になったのか分からないけど、ま、いいか。


今度は3人で試合観戦をする事に、と言ってももうこの試合で最後なんだけどね。




魔法戦、今回の試合は両者が魔法使いと言うことで魔法の撃ち合いになっていた。


「ふむ、これだけの才が有りながら無所属で冒険者ですらないとは・・・」


「・・・・・・」


先生の方が相手の魔法使いに話しかけるけど、魔法使いの方は無言、呪文以外は何も喋ろうとはしない。

そういう無愛想な性格なのか、僕みたいに会話が苦手なのか・・・ま、どっちでもいいか。


先生が風の矢?槍?を相手の魔法使いに放つ。

風属性の緑色の魔力の色を消し、見えないようにしているせいで形状は分からないけど、相手は地の壁で風を防ぐ、『アースウォール』僕が良く使う魔法と同じだ。


「あれ?でも防ぐだけ?せっかく出したんだからもう少し高くして相手に向かって倒せばいいのに・・・」


僕はそうする、その方が新たに魔法を使うよりも格段に低い魔力消費で済む。


「あ~、カーム先生に聞いたけど、イズミ君が使う魔法は本来なら在りえないんだって、魔法は発動前に効果を調整する事はできるけど、発動後に別の効果に変えるのは不可能なんだって、出来ても魔力を込めて威力を上げるぐらいが精々らしいよ」


え、と言うことは・・・僕がやってるのっつて普通の事じゃないの?


「少なくとも予選でやった『アースウォール』を押し広げて参加者を場外に落とすなんてこと出来る人、イズミ君以外に居ないんじゃないかな?」


そうか、予選の時、僕のやった事が出来る人が居ないから対処出来ない人ばかりだったのか、出来るなら他の人が過去にやってるはずだから対処法も考えられている筈だし・・・


「あ~、僕結構目立っちゃってたりする?」


「うん、大魔導師?が要るって噂になってるよ」


トモカさんの何処かから仕入れてきた情報によると、僕は第一試合敗退とは言え、かなり注目されているらしい。

これは予想外な所から目立ってしまった。今後自重しないと、厄介な事に巻き込まれても困る。回避不能の強制イベントなんて碌な事が無いからね・・・


「大魔導師?、『?』って、どうしてですか?」


「いや、技術は確かに誰にも出来ない凄い事なんだけど、見習い冒険者だし、第一試合で使ったのって、少し特殊だけど射撃魔法だけだからね~、しかも負けたし、だから大魔導師『?』なんだよ」


ま、僕としては何かの間違いだったって思ってもらえる方がありがたい、そのまま噂も消えて行ってくれないだろうか?


「あ、決まりましたね」


エリスの言葉に思考を試合の方に戻す。


先生が相手の魔法だろうか?複数の石の矢に囲まれた状態で降参していた。


うわ~、今のは僕にも出来るなぁ、『アースウォール』で囲んで内側を棘状に形状変化・・・えげつない、人相手には使えないなぁ。

ま、今の試合は前の試合よりは参考になったかな。

収穫は有った、今の試合で新しい魔法のイメージも出来たし、『ゴーレムメイク』の別バージョンも考え付くことが出来た。

この世界で生きて行くには力が要る為、今の試合を見たのも良い経験だろう。

うん、観戦も悪くない、、明日の決勝もいい刺激になることを期待しよう。


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