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二章5話 エリス、第二試合

今日はエリスの第二試合が有る、相手はアステアという国の騎士に決まったみたいだ。

アステアは騎士の国、それも竜を操る竜騎士で有名な国らしい、エリスの対戦相手は竜騎士ではないようだけど、最近近衛騎士になったばかりの僕たちより少し年上ぐらいの青年だった。

それにしても、この情報を仕入れてきたトモカさんはどこでこの情報を調べてきたのだろう?

たいした情報じゃないかもしれないけど・・・ま、僕には無理だよね・・・


「昨日の試合を見た感じではアテアスさんは純粋な騎士のようです。

ミストさんの様に魔法を使ってはいませんでしたのでまだやりやすいかと思います」


「でも、魔法を使えるけど前の試合では魔法を使ってないって言うだけかもしれないから、注意はしとこう」


「そうですね、それじゃ行って来ます」


「うん、頑張って」


「はい、ちゃんと見ててくださいね!」


エリスを送り出し選手用の観覧席に落ち着く、試合が終わった僕やトモカさんも、決勝までこの席で試合を見て行っても良いってことを昨日聞いたので遠慮無く使っている。


「なんだかエリス、イズミ君に懐いてない?」


「そう?」


「どうやって誑しこんだのかなぁ?」


人聞きの悪いことを言わないでほしいな・・・って、なんだ、からかわれてるだけか・・・そう、トモカさんの人の悪い笑みを見て分かったけど慌てないわけでは無い、生前、女の子と親しくすることも無かったからそっち系でからかわれると妙に焦る。


「何もしてないよ!そんなことより、エリスの試合が始まるよ」



_______________________________________________________________________________


二回戦第3試合


  雷光の剣士        竜姫の近衛

  エリス アサギリ  対  アテアス ガルディアス



試合開始、アテアスさんは動きません、しかし、剣を構える姿に隙は無く、九薙の技無しではアタシもどう攻めるか悩みます。


まずは死角に潜り込み奇襲を仕掛けようとしますが、アテアスさんは雷光石火(ライコウセッカ)で加速したアタシをしっかりと捉えていて、上手くいきません。

完全に防御に回られていますね・・・やはり予選の時のようには行きませんか。


方針変更、正面から行きます。雷光石火は維持したまま上段から袈裟斬り、反す刀で逆袈裟、右薙、そのままの勢いで斬上・・・技抜きの限界の速度で斬り掛かっているのに全て剣で防がれてしまいます。

それでも手を休める事無く攻め続け隙を探します。


アテアスさんの防御は超一流、攻撃を防ぎ反撃で相手をしとめるのでしょうけど、そんな隙は与えるつもりはありません。


アタシは防御の隙を探し、アテアスさんは反撃をする隙を探し攻防を続ける・・・

お互いが隙を見出せないまま攻防は続き、どれぐらい経ったのでしょう?流石にお互い息が上がってきました。

これでは負けはしませんけど、勝てもしません。


・・・


・・・


・・・


九薙の技を使っちゃいましょうか。


このままじゃ何時までも終わりませんし続けていても体力の無駄、トモカさんからは止められていますけど体力の残っている内に一気にかたを付けましょう。


必要なのは隙を作り出す為の一撃、初見での回避は難しく、意表を突くのに良い技が九薙流には在る。


「九薙流・・・双薙(ソウナギ)!!」


「なッ!?」


一速で放たれる、ほぼ同時の2本の斬撃、防いだ筈の斬撃がもう一度来た事でアテアスさんは剣を弾かれ体勢を崩す、剣を手放さなかったのは流石ですけど、これだけの隙が在れば十分です。


「はあぁっ!!」


「しまっ!ぐっ!!」


柄頭でアテアスさんの顎を打ち抜く、上手く衝撃が徹ったようで、そのまま倒れ動かなくなった、気絶したようですね。

ふと、イズミさんたちの方を見ると・・・あれ?トモカさんが居ない?

イズミさんも何だか焦っているようにも見えます。

審判の宣言が終わるのと同時にアタシは急いでイズミさんの元に向かいます。



_______________________________________________________________________________


「え?何でここに?」


エリスの試合の途中、リングではなく、僕たちの居る対面の観客席に、ふと目を向けたトモカさんが呟いた。


「ん?」


何を言ったかはよく分からなかったので聞き返そうとしたら、その間も無くトモカさんが立ち上がり駆け出した。


「え~?」


僕はどうしたらいいんだろう?トモカさんを追いかける?でも、エリスを置いて行く訳にも行かないし!!そうすれば!?


「九薙流・・・双薙!!」


「え!?」


答えを出せないでいると、リングの方からエリスの声が聞こえた。

エリス・・・トモカさんに技の使用は止められていたのに使っちゃってるよ、確かに何か変化が無いと膠着した状態は終わりそうに無かったけど・・・技名を叫ぶ必要は無いと思う、それとも魔法のように言葉にしないと出せない技なのだろうか?


と、そんな事は今はどうでもいい、相手を倒し勝利したエリスが駆け寄ってくる。


「イズミさん、トモカさんは・・・?」


「急に走って行っちゃったんだ、試合後で疲れてるとこ悪いけど追いかけるから!」


「はい」


僕らはトモカさんを追って駆け出した。当然トモカさんの姿はもう見えなくなっているけど、トモカさんは向うの観客席を見て何か言った後で走って行った。だから僕らはとりあえずそっちへ向かう・・・


「キャ!」

「うあ!」


急いでいたから目の前に現れた女性にエリスと2人して正面からぶつかってしまった。


あれ?この人、今急に現れなかった?


「すみません、大丈夫ですか?」


倒れてしまった女性に謝罪しエリスが手を差し出す。


「ええ、大丈夫ですよ、こちらこそすみません」


女性はエリスの手を掴み立ち上がると、白いローブについたほこりを掃う。


「すみません急いでいたもので・・・怪我とかホントに大丈夫ですか」


「はいどこも問題ありません」


そう答えた女性は見た目では確かに問題ないように見える。


「よかった、じゃぁ僕たちは急ぐので・・・」


「あ、待ってください」


トモカさんを追おうと女性の横を通り過ぎると呼び止められた。

やっぱり何処か怪我していたのだろうか?困ったな、僕たち回復魔法は使えないんだけど、医務室に連れて行くしかないかな?


「この大会、良くない事が起こります。気を付けて下さいね」


「「え?」」


「占い師の助言です。気に留めておいて下さい」


そう言って女性は立ち去ってしまった・・・ま、よく分からないけど、今はトモカさんを追おう。



女性と別れしばらくしてトモカさんと合流出来た。


「トモカさん!やっと見つけた!」


「あ、イズミ君、エリスも・・・そっか、私一人で勝手に飛び出して来ちゃったんだ、ごめんね」


こういう時は携帯電話等の連絡手段の無い世界なのが辛い、今度そういった通信の魔法が無いか調べてみよう。


「ホントだよ、で?急にどうしたの?」


「悠にぃが居た・・・」


悠にぃ?あぁ、確か一年ぐらい前にこの世界(エルリオール)に残ったトモカさんのお兄さん、九薙(クナギ) 悠夜(ユウヤ)さんのことだよね、トモカさんやエリスが元の世界に帰る(すべ)を持っているって言ってた。その人が・・・え?今居たの?


「見失っちゃったし、顔をはっきり見れたわけじゃないから人違いかもしれないけど・・・」


「師匠の弟さんですか・・・」


「そう、居たと思ったんだけどなぁ・・・」


ホントにユウヤさんが居たらトモカさんとエリスが元の世界にかえれるんだけどなぁ~


「見失っちゃったんじゃしょうがないよ、それに、人違いかもしれないんでしょ?」


この後もしばらく闘技場内を探してみたけどそれらしい人は見付からなかった。


「ん~、ま、今回は仕方ないね、また機会があるでしょ?」


いつになるかは分からないけどね・・・


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