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二章1話 フリージア到着


課題を貰った翌日に僕たちはクインシスを発ち馬車や徒歩で数日かけて自由都市フリージアにやって来ていた。


この都市はナインティリア大陸のほぼ中心に位置する、その為か様々な人種や物が集まって来る、あと冒険者たちの拠点が一番多い街だったりする。


今日から大会の終わる日までこの街に滞在することになるから、まずは宿の確保からやらないと・・・


とはいえ、僕たちの手持ちもそう多くない、出来るだけ安い宿を探さなければならない。


「で・・・どうしてこうなってるのよ?」


安い所安い所と回って行くうちにずいぶんと薄暗い通りに入り込んでいた。で、お約束のようにガラの悪い連中に絡まれてしまっている。


「「師匠(兄さん)いわく、馬鹿はとっととぶっ潰せ・・・」」


うわぁ、トモカさんとエリス殺る気満々だぁ。


「いきます!」


「碧の欠片を番え弓を鳴らす

 悠久の風よ此処に集いて吹き飛ばせ! 『ブラストアロー』」


エリスが刀を手に馬鹿共に突っ込んでいった。トモカさんはトモカさんで魔法の詠唱を始めている。あ、射撃魔法みたいだ、使えるようになってたのか・・・あ~あ、ごろつきが面白いほど吹っ飛んでいく。




「「「すいませんでした、自分等調子こいてました」」」


数分後、ごろつき達が僕らの前で見事に土下座していた。

因みに僕は何もやってません、全部トモカさんとエリスで片付けました。


「すみませんですまないんですよ、アタシ達だからあなた達は返り討ちに会いましたけど、そうじゃない人だっているんですからね」


あぁ、エリス、ごろつきの一人の髪を刀で剃るの止めてあげて、しかも『ザコ』って、エルリオールの文字じゃないからなんて書いてあるか分からないのが唯一の救いか?


「そうだよね、二度と同じことをしないように徹底的に心を折ってあげないとね~」


「「「ひぃぃぃぃぃぃっ!!」」」


駄目だ、僕じゃこの二人を止められない。

下手に手を出してごろつきに向いている2人の怒りが僕に向くのも嫌だし、

この人達の自業自得だ、2人に気の済むまで放置しておこう・・・



「お前ら!そこで何をやっている!!」


2人のお仕置きでごろつき達の目が虚ろになってきた頃、後ろから誰かが怒鳴りつけてきた。

不味い、今の僕らってあきらかに悪人だよね?最初はただ撃退しただけだけど、今の状況は完全に過剰防衛だ。


「自警団だ、直ぐに武器を下ろせ、話を聞かせてもらおうか、抵抗するなら容赦はしない」


「自警団?警察みたいなものでしょうか?」


「だと思うよ、トモカさん、手出しちゃ駄目だからね」


エリスは既に刀を鞘にしまっているのでトモカさんだけ宥める。


「おっさん、捕まえる相手が逆だ、逆」


今度は頭上から声が降って来た。

近くの建物の二階の窓から、僕達とそう歳の変わらない位に見える男の人がこっちを覗いていた。


「今は逆転してるけど最初に絡んで行ったのはそいつらじゃない、連れて行くならそっちの逃げようとしてる奴等にしろ」


あ、ホントだ、ごろつき達が今のうちにって逃げ出そうとしている、この人達、反省してないのかな?

この状況で逃げると不利になるのにね。


「な!逃げるな!」


「「「ひぃぃぃぃぃぃっ!!」」」


自警団を名乗る男性は逃げ出したごろつきを追って行った。


「あははははは」


「一応、お礼を言った方がいいのかな?ありがとう」


自警団員とごろつきを見送り笑っている男に声をかける、一応助けてもらったみたいだしね。


「はは、いいって、十分楽しませてもらったからな」


最初から見ていたみたいだ、出来れば2人を止めて欲しかった。


「この辺りは駄目ね、戻ってみましょう」


「ん?なんだ、お前ら宿でも探してるのか?なんだったら、安い所紹介しようか?」


だいぶ日も暮れてきた為、僕達は男の言う安い宿を紹介してもらうことにした。


「とりあえず、俺の居る建物の壁沿いに進んで正面に回って来いよ」


言われた通り正面に回ると雰囲気ががらりと変わった。通りには人が行き交い活気に満ちている。


「ここ、宿だ・・・」


正面に回りこんで分かった、この建物は宿屋のようだ。


扉を開け中に入ると、まだ夜になっていないのにもうお酒を呑み始めている人の着くいくつかのテーブルとカウンター、客の間を縫うようにお酒や食事を運ぶウエイトレスと思われる女性が数名、カウンター内には宿の主人と思われる男の人、1階部分は酒場か食堂になっているようだ。


「よ、来たな、ここどうだ?裏に回らなければそんなに面倒なことも起こらないし値段も手ごろだと思うぞ」


2階に続く階段からさっきの男の人が降りて来た。


宿泊代金を聞いたところ確かに値段は安かった、それに冒険者には割引が効くそうだ、普通の店なら僕達見習いには適用されないそうなんだけど、この宿は僕らにも割引してくれるそうだ。あと安全の為か?この宿の一階部分の裏路地側に全く窓が無いみたい。


男の紹介も有って宿の主人も僕達に快く対応してくれた。僕達は大会中滞在する宿をここに決め数日後に迫った大会に備え休むことにした。




「やっぱりお前等も大会の出場者か、この次期にフリージアに来る冒険者なんて大会の一般参加者が殆んどだからな」


宿の一階で食事を摂る、なぜかここに案内してくれた男も一緒だけど、ま、いいか。

男の名前はリジア、冒険者だけど協会にはあまり顔を出さずに自分で依頼を探し、協会へ依頼するよりも安値で請け負う請負人だって言ってた。


()ってことは?」


「あぁ、俺も参加者だ、俺が出るのは本戦からだけど当たったらよろしくな」



今日はもう遅いから無理だけど、明日は大会の参加登録をしに行かないといけない。


1対1の試合、エリスは強そうだよね、僕はあまり自信は無いけどやれるだけやってみよう。


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