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間章 序章3話 エリス 越えるのは世界と時間

名前は朝霧(アサギリ) エリス、高校一年になったばかりのどこにでも居る女子高生。


名前が外人っポイのはクオーターだから、特に気にする事でもない。


学校が終わると直ぐ、エリスは夜上剣術道場を訪れた。

エリスは数年前からここで剣術とか色々教わっていたりする・・・


エリスが道場に顔を出すともう既に師匠は道場に来ていた。


「師匠、早いですね、まだ時間まで30分位有りますよ?」


「ったく、お前がいつも早く来るから俺まで早く来ちまっただろうが、もう少しのんびり生きろよな」


師匠の名前は九薙(クナギ) 朝日(アサヒ)、小さなゲーム会社に勤めるいい歳したおっさんだ。


休日など時間が有る時は、ここ、夜上剣術道場で子供に剣道を教えていたりする。


だが、朝日がエリスに教えているのは剣道ではなく剣術・・・


普段は模造刀で修練をするのだけど今日は違った、朝日は模造刀ではなく竹刀を手に取った。


「師匠今日は竹刀でやるんですか?」


「あぁ、そうしないとお前に怪我させちまうからな下手すれば死ぬし・・・・・・

今日は奥義見せるからな、まぁ、今は使えないだろうけど見てちゃんと覚えとけよ」


「奥義!やっとですね!」


エリスが朝日に剣術を習いだしてから早五年、五年で奥義に辿り着くのは・・・これは早いのか?遅いのか?


「ホント、やっとだ・・・正直、まだ教えても全然理解できないとは思うけど・・・時間もなさそうだしな・・・」


朝日の後の方の言葉は小声でエリスには聞き取れなかった。いや、奥義を教えてもらえることに浮かれているエリスには、朝日の今の言葉は1つも聞こえていなかったかもしれない。






「九薙流奥義の壱、刹那の内に無数に煌く斬撃・・・これが、九薙(クナギ)だ」


「っつ!!」


奥義を受けた竹刀はボロボロに裂けていた、手も痺れ竹刀を取り落としてしまう。


「今のは竹刀でやってるから速度も威力も落ちてるけど、なかなか奥義に相応しいだろ?」


エリスは痺れる手を握り締めコクコクと肯く。


「んじゃ次ぎ行くぞ!九薙流奥義の弐、戦場を斬り裂く風の円舞・・・風陣円舞(フウジンエンブ)だ!」


「はい!」


エリスは新しい竹刀を手に持ち構えるが・・・


「あ~、これは受けなくて良いぞ、対多用の奥義だから道場の入り口辺りで見てろ」







「・・・・・・師匠、道場こんなにして良いんですか?」


朝日が風陣円舞を行使した後の道場は先程エリスの持っていた竹刀のような状態になっていた。

つまり・・・ボロボロ。床や壁、あちこちに引っかいたような傷が出来ていて、修理するまでしばらく使えそうにない状態だ。


「よし、俺に教えられることはもう何も無い!後はお前自身でお前の九薙流を完成させろ!」


「問題を無視しましたね・・・」


「あ・・・・・・」


突然一点を見つめ動きを止めた朝日、何かあるのかと、エリスは朝日の見つめる先、自身の背後を振り向き朝日と同じように動きを止めた。


「え?」


「・・・・・・・・・」


二人の見つめる先、何も無い空間にひびが入っていた。


呆然とそれを見続ける間にひびはどんどん大きくなっていく。


「・・・・・・・・・来たか」


「え?」


朝日が何か呟いたのが聞こえ、確認しようとエリスがひびから目を離した瞬間ひびが弾けた。


「え?え!?ええぇぇぇぇぇぇぇ!?」


ひびは一瞬で大きな裂け目となり、目の前に居たエリスを裂け目の中へと吸い込んだ。


エリスを吸い込んだ後、何事も無かったかのように消える裂け目、道場には朝日のみが残された。


「行っちゃったね・・・」


道場に女性がやって来て朝日の背中に声をかける。


「ん?なんだ、止めた方が良かったか?」


「それじゃこの10年間が意味無くなっちゃうよ」


「でもまぁ、九薙流は教えたぞ、これで良かったんだろ?」


「うん、ありがとうね」


「で、お前は結局一度もあいつに会わなかったな・・・」


「エリスは私のこと知らないもの、会う訳にはいかないよ」


「でも俺はお前に言われた以上にあいつを鍛えたつもりだぞ、何か変わったんじゃねぇか?」


「多分それも誤差の範囲内だと思うよ」


「ちっ、悠夜を負かしてやろうと思ったんだけどなぁ・・・

まぁ、後はあいつらの頑張り次第か・・・」


「大丈夫だよ、エルリオールは彼が見守っているんだもの」







気付くとエリスは森に居た、周りに朝日の姿は無い、

代わりに目の前でエリスの少し年上かと思われる男女と怪物が対峙していた。


事態は異常、裂け目に呑まれ見知らぬ場所に突然放り出された。


だがエリスは直ぐに目の前に居る2人の危機を察知する。


エリスは昔、事故に遭いそうなところを救われた。彼女は自分を救い犠牲になった少年の分まで生き、自身の命、誰かの為に役に立てたいそう思い生きてきた・・・その為に朝日に色々教わっていたのだ、九薙の剣術もその為の手段の1つに過ぎない。


だからエリスは普段通りに行動する、誰かを助ける為に躊躇わない・・・


それは相手が怪物だろうと変わらない。


何の躊躇いも無くエリスは2人のもとに駆け出した。


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