表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

馬鹿で鈍感なキミに贈る愛の歌

作者: うい
掲載日:2026/03/16

昔から、私は歌うのが好きだった。


「ほら、あかね。逃げたって仕方ないだろ?」


ズイッ、と、遠慮なく私の目の前に顔を見せるこいつは、私の幼稚園からの幼馴染。顔はそこそこいい方らしい。が、ウザいし、馬鹿だし、デリカシーないし。とんだクソ野郎だと幼馴染としては思う。


「うるさい馬鹿」


「間違ってはないな!」


「ふっ……」


「お、笑った」


「馬鹿って言われてドヤ顔って……ふふ」


隣の馬鹿は、私が笑うと心底嬉しそうにニマーっとする。馬鹿馬鹿言っているけど、そんな馬鹿を好きになってしまった私は大馬鹿なのかもしれない。なんかむかつく。


「ほら、もどろーぜ」


「やだ」


「んでだよ!」


「いやなもんはいーや!」


「あかね、歌上手いじゃん」


私は、今逃げている。高校生になって、軽音部に入って、明日がライブ本番だと言うのに。


「上手い人なんて、たくさんいるよ」


「じゃあ、言い方変える!」


「はぁ?」


「俺、あかねが歌ってるの好きだ!」


「知ってる」


「え、知ってるの!?」


「まあ、長年の勘?」


ずっと見てるから、わかる。


「なんだよーカッコつけようと思ってたのに」


「馬鹿には無理だね」


「酷いな……泣きますよ」


「どうぞ」


「止めろよ」


こうやって軽口をたたき会えるのが心地良い。


「なぁ。あかね」


「なに。もどらないよ」


「今回歌うのって、ラブソングなんだろ?」


「まあ……うん」


「じゃあ、俺に歌ってよ」


「はぁ?」


「俺に向けて歌って」


「なんで」


「俺のために歌って」


「だからなんでって」


「だって、俺のこと好きだろ」


当たり前だろ、というように言った。


「は、なんで」


言ったことも、態度に出したこともないのに。


「んー……長年の勘ってやつ?」


「さっき私が言ったやつ……」


「ちょっと使ってみたかった」


「やっぱ馬鹿」


「じゃ、頑張れよ」


そう言って去っていくキザで鈍感な馬鹿の耳は、赤く染まっていた。多分それは、私も同じ。


「そんな事言われたらやるしかないじゃん……」


鈍感だけはちょっとだけ訂正してあげてもいいかな。


「さて、がんばりますか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ