表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

【短編・1話完結】友達を救うために、別の友達を殺せますか? 《願いを諦めますか。それとも、人間やめますか》 (ビターエンド)

作者: 無敵ざかり
掲載日:2026/02/19

 鮮血が飛ぶ。また1人、僕は殺した。


「おめでとうごさいます。残るプレイヤーは貴方を含めて5人。願いを叶えるまで、あと少しですね」


 ゲームマスターの女は言う。


「優勝すればどんな願いも叶う、100人のプレイヤーが争うバトルロワイヤル。さて、誰が勝ち残るでしょうね」


 そう言って女は消えた。


「解除」


 僕は魔人の姿から人に戻る。女が僕の前に現れたのは、1年前のことだった。


 1年前、友達が事故にあって目覚めなくなり、僕はいくつもの病院を回っていた。


「治せないのかよ……ここもヒナタくんを!」


 その時、女が現れた。


「願いを諦めますか。それとも、人間やめますか」


「何なの、貴方」


「100人の殺し合いに生き残れば願いが叶う。そういうゲームを主催してまして」


「……漫画の話?」


「現実です。やりますか。やりませんか」


「……やる」


「契約、成立ですね」


 そして僕は、魔人の力を得て、バトロワのプレイヤーとなった。


 プレイヤーと遭遇しては、殺したり、殺されかけたりしてきた。


 こんな殺伐とした日常が続くと、気晴らししたくなる。





 気晴らしに、僕は映画館に来ていた。


「お待たせ、チヒロくん」


 僕を呼ぶ、青年の声が聞こえる。


「今来たところですよ。ミヅキ先輩」


 今年出来た友達に、僕はそう答えた。


「先輩も推理もの好きだったんですね」


「真相にたどり着く瞬間がワクワクするんだよー」


 映画が始まった。楽しい時間は、あっという間に過ぎた。





「まさかあのキャラが犯人だったとは、驚きましたねっ」


「いやー、びっくりな真相だったよねー」


 カフェでお茶をしながら、二人は語る。その時、爆音がした。


「俺の、勝ちだァァ!」


 赤い魔人が、青い魔人を踏みつけていた。


「また一人脱落しましたね。プレイヤーはあと、4人です」


 例の女が現れた。


「残りのプレイヤーは、どこだぁぁ!」


 赤い魔人は炎を巻き起こす。


「化け物だ!」


「みんな逃げろ!」


 逃げ惑う市民達。


「チ、チヒロくん、ボク達も……」


 ミヅキ先輩が逃げるよう促すが、僕は――


「変身」


 僕は緑の魔人と化した。


「……!!」


「下がっててください」


 僕はチヒロ先輩を下がらせ、赤い魔人に挑んでいく。


「お前を殺し、俺は世界の覇者になるんだァ!」


 そう叫ぶ赤い魔人の炎をかわし、僕は木の葉で吹雪を起こす。


「み、見えねぇ! 奴はどこに……がっ!!」


 赤い魔人に、僕は茨を巻き付けた。


「動けねぇ……」


「僕はヒナタくんを助ける……トドメだ」


 その時。


「チヒロくん」


「ミヅキ先輩!?  危ないです!」


 先輩が後ろにいた。


「僕、推理もの嫌いになっちゃったな……こんな真相には、たどり着きたくなかった」


「先、輩……?」


「変身」


 ミヅキ先輩は、黄金の魔人に変身した。


「お前もプレイヤーかぁっ! 丁度いい、2人まとめて倒してやるぜェ!」


 赤い魔人は、茨を振りほどいて先輩に襲いかかる。


「かわいそうに……もう、終わってるのに」


「……え?」


 ミヅキ先輩が哀れんだ時、赤い魔人は真っ二つになった。飛沫で通りが赤く染まる。


「残り……3人。いよいよですねぇ」


 女は妖しく笑う。


「先輩……」


「チヒロくん……場所を変えて話そう」


 ミヅキ先輩は、僕の手を取った。魔人から人の姿に戻った2人は、逃げるように駆け出していく。





 夜の海辺の公園で、僕達2人は語り合う。


「僕達が化け物になったって知ったら、ヒナタくんはどう思うでしょうね」


「どうだろう。喜びはしないかもね。でも、悲しんでくれると思う」


「先輩もヒナタくんと友達で……彼を助けたいんですね」


「うん。願いを叶えるためには、友達を救うためには、別の友達を殺さないといけない」


「それは、僕も同じです」


 先輩は船を眺める。


「この前のフェリー旅行、楽しかったね!」


「そうですね! 野生のイルカも見れましたし」


「友達って、やっぱりいいよね」


「はい。叶うことなら……僕と先輩と、ヒナタくん……3人で遊びたいですね」


「そう、だね……」


 沈黙。


「あの女……ヘビカワが言ってたけど、残るプレイヤーはあと3人。ここまで生き残ったんだから、あと1人も相当強いはず……」


 その時、飛行機が落ちた。


「あははは! あはははは! すごいすごい!」


 紫の魔人が、視界の先にいた。魔人は銃を乱射する。光弾を受け、次々に飛行機が落ちてくる。


「何、してるの……」


 僕は魔人に問いかけた。


「えぇ? 遊び(・・)。魔人を殺しまくってて思ったんだけどさ、こんな強い力、魔人同士のバトルだけで使うのもったいないよ」


「こんなの、許されないよ!」


 ミヅキ先輩が紫の魔人を非難する。


「おたくらも人殺しでしょ? 人のこと言えるの?」


「っ……」


 先輩は唇を噛む。


「確かに僕らは、人殺しの化け物だ。そして……化け物を殺せるのは、化け物だけだよ。変身」


 僕は緑の魔人に変身し、紫の魔人に飛びかかった。


「無駄無駄ぁ! ぼくは強いんだから!」


 紫の魔人は銃を連射する。ゼロ距離で銃撃を受け、僕は膝を着く。


 その時、電柱が真っ二つになった。


「外した……」


「違う違う、避けたんだよ」


 黄金の魔人と化したミヅキ先輩の言葉に、紫の魔人は飄々と返す。


「あれでしょ、カマイタチ的な。ぼくは銃撃の魔人なんだけど、おたく斬撃の魔人ってとこだよね」


 紫の魔人は、先輩に紫紺の光弾を浴びせる。


「ああっ……!」


 先輩は人の姿に戻り、地べたを転がる。


「さよーなら♪」


 トドメを刺そうとした紫の魔人を、僕は突き飛ばした。


「何。こいつが死んだら、君も願いに近づくんだよ?  君のやってることムジュンしてるよ」


「そうだね。人間、一貫できないよね」


「今のぼくらは、人間じゃないだろ?」


 紫の魔人は銃口にエネルギーを貯めていく。


「君はあれかな。ムチの魔人ってとこ? まぁいいや。じゃあさよーな……」


「うん、さよなら」


「らっ?」


 紫の魔人の首が落ちた。


「先輩、借りました」


 僕は、ムチの先にくくりつけた、黄金の剣を見ながら言う。


「ああ、そーいうこと」


 首だけになった紫の魔人が、ぐるりとこちらを向いて言う。


「今気づいたけどあれか、おたくら(ほだ)されちゃった感じ」


「……どうかな」


「まあいいや。あーあ。面白かった」


 紫の魔人は、塵になった。





「あと2人ですね。さあ、ゲームを終わらせてください。私は、ここまでです」


 謎の女、ヘビカワが現れ、そして光となって消えた。


「先輩。2人で遊んだこの数ヶ月、楽しかったですね」


「うん。夢みたいな時間だった」


「忘れないで、くださいね」


「君も、覚えてて」


 朝日が昇りかけている。


「先輩」


「チヒロくん」


「いきますよ……!」


「いくよ……!」





 日差しが病室に差し込む中、ヒナタはゆっくりと目を開けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ