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流天のデザイア  作者: 蛮装甲
第一章:妄心讐奴のスクリプチャー
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第五星軍

「……遅い。遅すぎる」


部屋の中には5人居た。眼鏡の男はイラついた顔で窓からドアを行ったり来たりしている。緑髪の男は壁にかかった時計を見た後、眼鏡の男に話しかけた。


「ラプラス……本当に来るのかな、その『新入り』って人」

「父上から連絡を受けた。何事も無ければ着く頃のはずだ」

「なら道中で何かトラブルが……」


机の上で頬杖を突きながら指遊びをしていた女は、眠そうにあくびをして口を開いた。


「もしかして、バックレたんじゃね~?」

「流石にそんな事は無いんじゃないかな……」

「だって元老のおじーちゃんを殴った『狂犬』なんでしょ? 何したって不思議じゃないよ」

「まぁそうかもだけどさ……」


緑髪の男は、眠そうな金髪女の横に目をやった。横の紫髪の女は……いつも通り退屈そうに本を広げている。緑髪の男はため息を吐いた。


「どうしよう、僕が見に行ってこようか?」

「いいや、行くならオレ様に任せな! ひとっ走りして、『新入り』君を見つけてくるぜ!」

「ペレーはどうせまた筋トレの事しか考えてないんだろ……第一、お前が行ったらまた道に迷うにきまってら。『ミイラ取りがミイラに』ってヤツだよ」

「へへ、バレたか?」


緑髪の男は仲間に軽く挨拶してから、遅刻した問題児を迎えに行こうとドアノブに手をかけた。


「じゃあ行ってきま……」


その瞬間、勢いよくドアが開いた。


「へぶっ! ちょ、ドアを開けるなら普通ノックしてから……って君は!?」

「あー、すまん。遅れた」


緑髪の男はドアに顔をぶつけてもんどりを打ったが、遅刻者の顔を見た瞬間、彼の表情は抗議から驚愕へと変わった。10キロダンベルを両手に持って上げ下げしていたペレーは、遅刻者を見てククク……と愉快そうに笑った。


ドアから入ってきた遅刻者、泥だらけの服装をした白髪の男は、部屋の中の者達にその名を告げた。


「俺の名前はニコル・オーガスト。新しい『第五星軍』の一員として、只今参上した」






* * * * *






馬車に乗ってから……俺は散々な目にあった。


首都近くの兵営は都市外れの山中にあるのだが、そこに行くまでのメインストリートが丁度工事中だったようで迂回を余儀なくされた。そしたら運転していた新人の御者が道を間違えたらしく、10分程ぐるぐる遠回りした挙句、「辿り着けそうにないから降りてもらって結構です、お代は頂きません」とか言い出した。

仕方ないから徒歩で向かう事にしたんだが、地図が無かったせいで俺も山道を間違ってしまい……いや、これに関しては朽ちて読めなくなってる看板が悪いんだが。山中で遠回りした俺は途方に暮れ、面倒臭くなって、獣道を強行突破する事にしたのだ。

そしたら足元の沼を見落としてしまい……


「……挨拶はいい、その格好を着替えてこい。ほら」


険しい目をした眼鏡の男は、俺の方に綺麗な制服を投げ渡してきた。しかし、服を渡された所で今の俺は……


「いや、更衣室の場所を知らないんだが……」

「チッ、面倒な……!」

「ちょっとラプラス、落ち着いて……僕が案内するよ、ニコル君」


緑色の髪をした、少し小柄な男が話しかけてくる。俺はそいつに見覚えがあった。


「あ、1日ぶりだな」

「まさか『新入り』が君の事だとは思わなかった。さあ、早く着替えに行きましょう」


緑髪の男、確かカズヤとかいう名前のそいつに、俺はついて歩いていく。




* * *




「さて、まずは大胆にも遅刻した『新入り』……貴様から改めて名乗ってもらおうか」


なんか、眼鏡男の圧が凄い。まるで尋問みたいな……


新品で固い中央部の制服に身を包み、俺は『第五星軍』詰所の部屋に戻ってきたんだが……戻ったなり全員デカい机に集まって着席した。他の5人全員、それぞれのスタイルなりに俺を見ている。


「俺の名前はニコル・オーガスト。北部に1年居たが、王様の召集を受けて戻ってきた。そして……何故かお前達『第五星軍』のメンバーに入る事になった」

「ふっ、『何故か』……全く同感だな。まさか初日に大遅刻して、浮浪者同然の格好で部屋に入ってきた下郎が、俺達の新しい()()だなんてな」

「……」


眼鏡男は待たされた事を相当根に持っているのか、嫌味ったらしい長台詞を吐いた。流石にここまで無愛想な態度は良くないと思ったのか、金髪の女が眼鏡男に対して口を開いた。


「ちょっとプリンくーん、流石にその態度は酷いんじゃないの? この白髪君だって事情あって遅れたかもしんないんだし、遅刻くらい許してあげなよ~」

「ライラ、その呼び方はやめろと言っただろう……!」

「いいじゃん、『プリンくん』って……可愛いんだし」


金髪の女は俺の方を向くと、ウインクして話しかけてきた。


「ほら、肩の力抜きなよ。安心して……あたしらは君の敵じゃないし、これから背中を預け合う仲間なんだからさ。まずはお互いを知るところから始めないっ?」


コイツ、「君の敵じゃない」って……まさか心を読んだのか……いや、俺の考え過ぎか。


「あたしの名前はライラ。これからよろしく……って、はは。ここじゃ握手もできなかったね」


この金髪女、いやにテンションが高いな……俗にいう「ギャル」ってコレの事か?

テンションが高すぎて演技感すら感じる。必死に険悪な空気を打ち消そうとしているのか、あるいは……

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