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俺は魔法使いの息子らしい。  作者: 高穂もか
第一部 決闘大会編
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第六十七話

 虫眼鏡を握り、葛城先生は激を飛ばしている。


「いいか? 魔力コントロールに置いて、大切なのは「知ること」だ。自らの元素がどこに有り、どう動くのかを知り、理解するんだ。そのためには、日常的に自らの体に向き合い、自らの元素の動きを知ることが肝要!――というわけでお前達、リラックスして呼吸だ呼吸!」

「はい!」


 机を端に寄せて開けたスペースに、俺たちは縦一列に胡坐をかいていた。葛城先生がフカフカ座布団を用意してくれて、地べたでも快適だ。

 片倉先輩・森脇・俺の順番で並んでいて、先生はその間を縦横無尽に練り歩いている。


「すーはー、すーはー」


 リラックスして大きく息を吸って、吐いてを繰り返す。このとき、自分の体に起こった変化をそのまま受け取ることが大事なんだって。あったかいならあったかい、ソワソワするならソワソワする……みたいな感じでさ。

 なんかあれだ、部活で何回かやった瞑想に似てる。


「元素のありかが掴めてきたら、その一つに注目して全身を巡らせてみろ」

「はい!」


 しばらくすると、次の指示が飛ぶ。

 元素を巡らせるって言うと。

 昨日の昼、イノリがぐるぐる全身に「風」を回してくれた、ああいう感じだよな。


「よしっ。まず土から」


 昨夜イノリに起こしてもらったから、今日は「土」を強く感じるし。

 意識を集中すると、すぐにずーんって体が重くなって、腹の真ん中に力が溜まってくる。

 頑丈で、かなり重い感覚だ。

 これを巡らせるとなると、力いっぱい押さないとだな。


「片倉、構えなくていい。もっとダラッと気を抜いてやってみろ!」

「ちょ、近っ。……近いんすけど」

「何がだ。目を背けるな、魔力の流れを観察しているんだから」

「勘弁してくれよ……」


 虫眼鏡を構え身を乗り出す先生に、片倉先輩はのけ反った。

 やり取りが面白くて、くふふと笑っていると葛城先生がガバッと振り向く。


「吉村! また出力があがりすぎている。だから、コントロールが暴れ馬になるんだ」

「うすっ」

「巡らせにくいときは、出力を上げるのではなく他の元素をコントロールしろ。例えば、「土」を巡らせるときは、「水」で和らぎを与えると容易になる――が、お前はまだ無理だから、「風」で動きを与えろ。――いいか? 元素は互いに補いあっているんだ。元素を一つに注目するときも、その他の元素の働きを利用すれば、楽にコントロールできる」

「う、うす!」


 ええと、つまり。

 元素同士協力したほうが動かしやすいってことだよな。

 土に風を足すっていうと……ずーんとしつつ、ふわふわさせりゃいいんだ。

 俺はむんと気合いを入れ直した。






 うーん、元素元素。

 こうやって、歩いてたらさ。ふわふわする中にも、ちょっと重いのがまざってるのわかるんだけどな。

 自分で量をコントロールするとなると、また難しいもんだなあ。風が少な過ぎたら、土が重いままだし。風が多すぎたら、土のパワーが軽くなるし……。

 ふくらはぎに力をこめて、階段を下りる。

 って、のんびり歩いてるうちに、クラスメイトの姿がねえや。まあ、次は移動教室じゃないし、ゆっくり戻ろう。

 人気のない廊下をぷらぷら歩いていると、前から見覚えのある人がやってくる。

 スポーツ刈りで、あかがね色の風紀の腕章をつけた爽やかな男前――白井さんだ。

 一応、ペコッと会釈してすれ違おうとして。


「ちょっと待ってくれ」


 はしっと、腕を掴まれる。

 俺はぎょっとして、振りかえった。


「えっ、はい?」

「すまない。少し、話がしたいんだ」


 そう言いながら、白井さんはすでに歩き出している。ずるずる引きずられつつ、俺は盛大に混乱した。

 ちょ、なんだなんだ。



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