1/1
嘘と誠
『嘘は優しい』と彼が言った。
そして彼はこう続けた、『嘘は嘘と気づかれるまで、真実よりも誠だ』と......。
それに感化させられた奴らは、嘘をついた。
自分を守るため、相手を傷つけないため、使用方法はそれぞれだ。
この世はすべてがとまでは言わないが、ほとんどが嘘でできている。
悪党は嘘を付く、そしてどんな善人であれ人生に一度ぐらい嘘を付く。
この話に登場する彼、信条凛もまた、嘘を付いて生きている。
しかし、誰も彼を咎めることはない。
それは、彼が特殊なにんげんであるからか......?
違う。
それは、自分自身が嘘をついているからか......?
違う。
なんてことはない、彼の嘘は優しく嘘こそ彼の真実だからだ。
こんな彼にも悩みがある。
それは嘘をついていく中で自分にとって何が真実で何が嘘なのか、
自分自身ですら分からなくなってしまった、ということなのである。
こんな曖昧な感情の中で、彼は人生を送ってきた。
小学、中学、そしてこれから始まる高校生活もであろう。
今日は、高校入学式さて何が起きるのであろうか......。