サービス回
⋇性的描写あり
「美しい……」
眼前の光景のあまりの素晴らしさに、僕はうっとりしながら最高の賛辞を口にした。
えっ、気持ち悪いから変な事言うのやめろって? 失礼だな、美しいものを美しいと言って何が悪いんだ。大体僕が見てる光景を見たら、男なら誰だって似たようなセリフを口走るよ。だって今、僕の目の前には湯煙のパラダイスが広がってるんだもん。
ロリロリボディの奴隷二人も、比較的スタイルの良い殺人猫も、結構痩せぎすなカルナ先生も、ダイナマイト悩殺ボディ大天使ハニエルも。みーんな裸で温泉に浸かって、白い肌を上気させて球の汗を浮かべてるんだぜ? この光景を礼賛しないようなら、もう男として終わってるよ。おう、僕の言葉が気持ち悪いってもういっぺん言ってみろや。
「紛争地帯の森の中で、傍らに心の壊れた大天使を伴って、種族に関係なく肌を晒して温泉に入る……風流だねぇ……」
「クラウンがいなくなったせいか、本当に君はもう自重しなくなってきているね……ふうっ……」
レーンが呆れた感じにツッコミを入れるけど、熱い湯に浸かる快感には逆らえないみたいで、気持ち良さそうな吐息を零してた。
そう、僕らは今森の中で温泉に浸かってるんだ。ここまでずっとお風呂入れなかったから、欲求が爆発しちゃってね。魔法でドーンって穴掘って、ドッパーンってお湯を張って。気分はジャングル風呂って感じかな? 上を見上げると綺麗な星空が見えるから雰囲気もバッチリだよ。まあ僕は目の前の女体の神秘しか見てないけどさ。
あ、そうそう。ハニエルはやっぱり心が壊れちゃったみたいで、死んだ目をして何の反応もしなくなっちゃったんだよね。たぶん魔法で失神を防いでたから、心が自分の罪と殺人の衝撃を受け止めきれなかったんだと思う。温泉に入れるために法衣を脱がして巨乳を直に鷲掴みにしても、何も反応してくれなくて全然つまらなかったよ。まあ僕の下半身は大変凄まじい反応を示したわけですがね?
「ほわ~……あったかくて、気持ちいいぃ……」
「クソ野郎に裸を見られてるのは屈辱の極みだけど、これは正直気持ちいいかも……はふぅ……」
もうここには僕以外女の子しかいないし、ハニエル以外の女の子は僕にお風呂で身体を洗われた経験があるせいか、皆わりとリラックスしてる感じだね。あのミニスもふにゃふにゃした感じの表情で首まで湯に浸かってるし。あ、もちろん僕はふにゃふにゃしてないよ?
「さて、それじゃあ今後のお話を始め――おい、連続殺人鬼。温泉の縁に目玉を並べてくのやめてくれる? さすがの僕でもちょっと嫌なんだけど?」
この状態で今後のお話を始めようとしたのに、連続殺人鬼が温泉の縁に瓶詰めの眼球を並べる奇行を始めやがったのでいきなり中断させられました。何を思ってそんな真似してるんだ、コイツは……。
「あ? 風流なのが良いんじゃねぇのか?」
「何十もの眼球に囲まれた光景を風流って言えるのはお前だけだ。とりあえずしまって、それ。見られてるみたいで恥ずかしいし」
「チッ……」
お願いすると、渋々って感じだけど従ってくれた。僕はサイコじゃないからそれを風流とは思えないんだよ。ごめんな?
「……さて、それじゃあ今後のお話を始めるよ。魔獣族の国に向かうのは当初の予定通りだけど、レーンにはハニエルを連れて聖人族の首都に戻ってもらうことになった。勇者一行は死にましたって感じの報告をしてもらうためにね」
「えーっ!? カルナちゃんとはお別れなの!?」
ザバーン! と湯から立ち上がって驚きを露わにするリア。
もちろん温泉の作法はしっかり守らせてるから、湯から上がった未成熟な身体は素っ裸だよ。映像として出てたら容赦なく発禁くらいそう。でも合法ロリだし、下の方を湯煙とか謎の光で隠せばワンチャン?
「どうやらそうらしい。まだ君に教えていないことは山ほどあったんだがね」
「そんなぁ……でも、ご主人様の言う事なら仕方ないかぁ。元気でね、カルナちゃん?」
「ああ。別にお払い箱になったわけではないようだからね、またすぐに会えるだろう。君も身体に気を付けて過ごしたまえ」
「何か今すぐ別れるみたいな言い方してるけど、向こうの砦を越える直前辺りまでは一緒に来てもらうからね? 貴重なツッコミ要員なんだから、出来る限り一緒にいてもらいたいし」
「君は私に何を求めているんだい……?」
何ってそりゃあ淡々としたツッコミよ。レーンが抜けたらメスガキもどきとサイコパスと一般村娘しか残らないし。
この中でツッコミを期待できそうなのは村娘かなぁ。一応聞き上手だしツッコミの素質もあったからね。でもボケ三に対してツッコミ一とかいう比率はかなり大変そう。
「で、僕らは魔獣族の国に行くわけなんだけど……やっぱり人間の姿のまま行くのは無謀だよね。そんなわけでちょっと姿を変えようと思うんだけど、どんな種族が良いと思う?」
「君のイメージで言うと悪魔にするべきじゃないのかい?」
「ヴァンパイアじゃね?」
「リアと同じサキュバス!」
「人間の姿のまま行ってぶっ殺されれば良いと思う――ふぎゃっ!?」
答えたのは順番にレーン、キラ、リア、そしてミニス。ミニスが悲鳴を上げたのは僕が重ねた両手の中からピュッとお湯を飛ばして顔にぶっかけたせいね。ところで女の子の顔に液体をぶっかけるのって興奮するよね。しない?
「サキュバスの男版はインキュバスじゃない? まあそれはともかく、ヴァンパイアは日中行動できないイメージがあるし、ここはやっぱり悪魔にするべきかな? でも翼とか尻尾とか本来無い部分が増えるのは何かなぁ……」
魔法はマイナスのイメージも作用しちゃうのはもう分かってることだから、日光とか銀とかニンニクとか十字架とか、弱点多そうなヴァンパイアは無し。
ちなみに獣人を候補に入れてないのは、獣人しか知らない習慣とか習性とかがありそうだから。一応ここに二人ほど獣人がいるけど、わざわざ聞くのも面倒くさいしね。
「ふむ。確かに自分には存在しない器官が増えるのは少々混乱しそうだね。君なら光を曲げて幻影を周囲に見せることで代用することもできるだろうが、それだと接触された時に気付かれてしまう可能性もある」
「角だけ生えてる悪魔とか見た事あるぜ? 別に無理に翼とか尻尾を生やす必要は無いんじゃね?」
「そっか、じゃあ角だけで良いかな? それなら頭洗う時か帽子被る時くらいしか気にならないだろうし」
「ご主人様ー、リアとお揃いの角にしよー?」
「お前の角デカいんだよなぁ……まあ良さげな角が思い浮かばなかったらそれもアリかな」
「やったー!」
湯の中から諸手を上げて、周囲に湯を撒き散らしながら喜ぶリア。お揃いで喜ぶとか彼女かよ。
とりあえず姿は角だけ悪魔にすることに決定したけど、それだけじゃちょっと寂しい気もするなぁ。目の色とか髪の色とかも弄るべきかな? その辺は道中に考えよう。まだ国境越えの道はもう半分残ってるし。
「あ、そうだ。もう隠す必要も無いんだし、キラの尻尾も生やしちゃう?」
「やってくれんなら頼む。やっぱ尻尾がある方がバランス取りやすいしな」
「お前まだバランス感覚高まるの……?」
今でさえ頭おかしい体幹してるのにまだ極まるってマジ? ここまで来るともうどんな状況なら倒れたりするのか確かめてみたい気さえあるね。今度やってみようかな。
「それじゃ治癒――あら可愛い」
「本当だー、すっごく可愛いー!」
立ち上がってこっちに丸いお尻を向けたキラに治癒の魔法を使うと、すぐにニョキニョキと細長い猫尻尾が生えた。本人の髪の色と同じ赤色で、結構長めだね。確かにこれがあればバランス取りやすくなるって気持ちも分かる気がする。
あ、ついでにキラの背中周りの火傷も綺麗に治療しておきました。コイツ、自分の尻尾切り落としただけじゃ飽き足らず、焼くことで尻尾の生え際も隠してたんだよね。ぶっちゃけお風呂で見た時、虐待か何かかと思ったよ。まあそう思われた方が変なこと聞かれたり見られたりしないだろうから、狙ってやったんだろうけどね。
「今度切り落とした時はお前にやるからな。楽しみにしてろよ?」
「血の通ってない尻尾なんていらんわ」
ニヤリと僕に笑いかけて恐ろしいことを口にしたキラは、そのまま温泉の縁に腰を下ろして何やら尻尾の手入れを始めた。もちろん自分の舌で舐めるとかそういうのじゃないよ。
というかコイツ、お湯の雫が滴る素っ裸のまま尻尾の手入れをしてやんの。そこそこ肉感的な身体を隠す気が一切無いから目の毒極まる感じだね。せめて足を閉じるなり足を組むなりしてくれません?
「ああ、そうそう。そこの奴隷コンビは首輪とか手錠とか全部外してね。あと僕の事をご主人様って呼ぶのは禁止」
「えー、何でー!? これ気に入ってるのにー!?」
「えぇ……?」
傷ついたような表情を浮かべるリアと、そんなリアの正気を疑うような目を向けるミニス。
でもこの場合はミニスの反応の方が正しいかな? 首輪とか手錠を気に入っちゃいかんでしょ。
「何でって、そりゃ同族の幼女に手錠だの首輪だの付けさせて『ご主人様ー♡』って呼ばせてる男って、見るからにヤバいからに決まってるでしょうよ」
「一応ヤバいという自覚はあるんだね、君は……」
僕の正論に対して、ボソリとツッコミを入れるレーン。やっぱりこのツッコミがいなくなるのは寂しくなるなぁ。
それはともかく、魔獣族の国に行くからには魔獣族を奴隷扱いするのは絶対ダメだろうからね。しかも見た目幼女だから余計ヤバいし、絶対法執行機関のお世話になっちゃう。
「むー、分かった……ぶくぶく……」
渋々だけどリアも納得してくれたみたいで、頷いた後に口元まで湯に潜ってジト目で睨んできた。本当に何でそこまで手錠やら首輪を気に入ってるの? マゾなの? 緊縛趣味でもあるの?
「で、あんたのこと何て呼べばいいわけ? ご主人様?」
そんな怪しげな趣味が一切無いらしいミニスは、すっごい皮肉っぽく『ご主人様』呼びして尋ねてくる。
いいねぇ、この反抗的な感じ。やっぱ奴隷はこうじゃなくちゃね!
「そうだねぇ……お兄ちゃん、って呼んで?」
「……キモッ」
「うわー、まるで絶対零度のような冷ややかな目……」
ちょっと欲望を出したら凄い心のこもった罵倒と蔑みの目が飛んできたよ。もちろんこもってる心は愛情とかそういうのじゃなくて、百パーセントの嫌悪だね。幾ら何でもそこまで嫌がること無くない?
「まあ嫌なら別に好きな呼び方でいいよ。おじさん呼び以外なら」
「分かった。じゃあクソ野郎って呼ぶわ、クソ野郎」
「リアはおにーちゃんって呼ぶね、おにーちゃん!」
ひっどい呼び方をしてくるミニスと、素直に可愛らしく呼んでくるリア。
うんうん、反応が対照的な感じでなかなか良いね。反抗的なのと従順なの、これは3Pしたらかなり楽しめそう……さすがにまだ経験がないのに三人でとかは難易度が高そうだけどね。
「さーて、それじゃあのぼせない内にどんどん決めていこう。旅の設定とかも決めとかないとね」
その後も温泉に浸かってまったりしながら、僕らは今後の予定や設定を話し合っていった。
ちなみにのぼせはしなかったけど、僕のせいでちょっと湯に変なもんが混じっちゃったかな。まあ可愛い女の子たちの裸を前にして興奮しない方がおかしいし、仕方ないよね。うん。透明だからバレないし。