表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第3章:白い翼と黒い悪意
69/527

引率役

⋇レーン視点

⋇普段の二倍近い文字数

⋇長話注意

「この方向にしばらく進むと、小川と洞窟の入り口が見える開けた場所があるようだ。まずはそれが見える辺りまで移動しよう。とはいえ見張りや罠があることも考えられるから、各自警戒を怠らないように」

「あいよ」

「はーい!」


 私の提案に対して、キラとリアは素直な返事を返してきた。

 ただキラに関しては素直というより、そもそも興味が無いと言うべきか。殺人行為さえ働ければ、過程にあまり興味は無いのだろう。つくづく理解しがたい存在だ。

 クルスと別れた私たちは、そのまま近くの魔獣族の潜伏場所を目指して歩みを続けていた。彼が魔法を用いて地図にマッピングし直してくれたから、精度はほぼ百パーセントに違いない。この広大な森全域を探査できるとは、彼の疑似的な無限の魔力は実に羨ましいね。彼の魂を吸収でもすれば、私のものにならないだろうか。


「ねぇねぇ、カルナちゃん。どうしてご主人様は二手に分かれる時、あの男の人と二人きりの方を選んだの? ご主人様ってあの人嫌いなんでしょ?」

「それは消去法だろうね。獣人は相手が同族かどうか匂いで判別できるようだから、魔獣族だと知られてはいけないキラはクラウンと同じグループにしない方が賢明だ。そして君も魔獣族である以上、クラウンにはあまり良い印象を抱かれていない。私なら特に問題は無いはずだが、あのクルスが自分の女を他の男と二人きりにさせるとは到底思えないからね。それなら自分がクラウンと二人きりになった方がまだマシだと判断したんだろう」


 優しさ溢れる見た目に反して、クルスはかなり性根も性格も歪んでいる男性だ。そして彼は私を始めとして、真の仲間に対しては酷く捻じ曲がった愛情を抱いている。そんな彼としては、自分の女が他の男と二人きりでいるなど許せないのだろうね。

 人によっては重すぎる愛も好きだと言うかもしれないが、恐らく私は少々苦手な方だと思う。そもそも彼の愛はどちらかと言えば愛ではなく、もっと別のおぞましい何かに思えてならない。尤も私自身、愛という気持ちを抱いたことが無いから、全て憶測でしかないが。


「なるほどー。ご主人様は焼きもち焼きなんだね?」

「少し違うが……まあ、似たようなものだね。私たちに固執していることは確実に違いない」


 クルスからすれば、私やリア、キラはとても貴重な存在だ。

 全ての種族に対して敵意を持たず、あったとしても本当にごく一部の種族だけ。更にはそれぞれ目的や信念を持ち、そのためなら外道の極みであるクルスに身体を捧げることも厭わない。彼からすればこれ以上ないほど喜ばしい存在だろう。

 それに人の命を路傍の石くれ程度にすら思っていない彼でも、私たちには防御魔法をかけてくれているあたり、根底にある気持ちがどのようなものであれ、私たちを大切に思ってはいるようだ。

 とはいえ替えが利くのなら容赦なく切り捨ててもおかしくはない。彼はそういう人間だ。


「……ところで、リア。君は本当に良いのかい?」

「えっ、何が?」


 上機嫌に鼻歌を奏でながら歩くリアに対して、私は問いを投げかける。まるでピクニックにでも来ているかのような様子に思わず尋ねてしまったが、どうやら少々言葉足らずだったようだ。


「これから私たちは魔獣族の殲滅に向かう。それはつまり、君も自らの手を汚さなければいけないということだ。しかし今ならクルスの目は無い。躊躇いや恐怖があるなら、私たちに任せて下がっていても構わないんだよ?」

「おいおい、お前過保護だなぁ? 人生なんて人殺ししてなんぼだろ? 若い内に経験させてやった方がためになるぜ?」

「快楽殺人鬼の基準で話さないでくれたまえ。君には分からないことかもしれないが、普通は人殺しなど誰であろうと忌避感のある行為なんだ」


 私がリアを気遣ってそんな提案をしたというのに、キラは小馬鹿にするような発言を口にする。

 幾度もの転生によって感情が擦り切れてきている私や、生まれた時からそういう精神を持っているのであろうキラと違い、リアはどう見ても普通の子供だ。いや、こう見えて実年齢は二十歳のはずだから、果たして子供と評していいものか……。

 ともかく、リアは私たちと違ってごく普通の精神を持つ子供のはずだ。それは普段の天真爛漫な様子や、勉強中の真面目で勤勉な姿を見れば容易に察せる。そんな子供に血生臭い場面を見せ、あまつさえその手を汚させるなど、私としてはとても心苦しい。


「リア、どうするね?」


 だからこそ、問いを投げかける。

 世界の敵になろうとしているにも拘わらず、自分の人間性がだいぶ甘いのは理解している。しかし仲間に対しての接し方なら、このくらいは許されて然るべきだろう。すべきことをしっかり果たしていれば、クルスもとやかく言わないはずだ。

 故に私はリアを気遣い、提案をしたのだが――


「リアは大丈夫だよ? それにご主人様に言われて、人殺しはもうしたことあるもん。初めてじゃないよ?」

「いつの間にそんなことを……」


 どうやら予想以上に早く、クルスの闇に引き込まれていたらしい。無垢な丸い瞳を瞬かせながら、リアは何てことも無いように恐ろしい事実を口にしていたよ。

 こんな小さな子に殺人を経験させるとは、クルスは相変わらず頭のネジが外れているね……いや、そういえば私も彼に殺人を経験させていたか。どうやら私には人のことをとやかく言う資格はなさそうだ。


「さすがあたしらの勇者様だな、手が早いぜ――っと……何かいるな」


 妙に好意的な感想を零した次の瞬間、キラは視線を離れた位置にある樹木の上へと向けた。どうやら見張りがいるようだ。キラに視線を向けられ動揺したために隠形に乱れが生じて、今は無風にも拘わらず木の葉の擦れ合う音が聞こえてくる。

 潜伏している敵を発見したこと自体は賞賛に値する鋭さだ。しかしできることなら気付いていることを悟らせないで欲しかったね。いや、異常者に他者への気遣いを求めても無駄なことか。教えてくれたことだけでも感謝するべきだろう。


「では、備えておこうか――オーバー・リフレクシス」


 相手がいつ攻撃に移ろうと対応できるように、私は身体能力強化の魔法を自分にかけた。

 だが私がかけているのは膂力や耐久力を向上させる類の魔法ではない。もっと身体の内面に作用する魔法だ。

 そもそも純粋な魔術師にとって必要なのは身体能力ではない。必要なのは魔法を創造するためのイメージ力、戦闘時にイメージを素早く練るための思考速度、あらゆる状況に即座に対応するための反射神経。極論この三つさえあれば良く、この三つの中で私にとって最も重要なのは反射神経だ。イメージ力と思考速度には自信があるが、魔術一辺倒であるが故に反射神経には自信がない。

 だから私は魔法を用いて、思考速度に加えて反射神経を極限まで高めている。その強化倍率はおよそ三十倍という所だ。

 もちろん反射神経を強化する魔法は私だけの固有の魔法ではない。探せば使う者は幾らでもいるだろう。だがここまでの強化倍率の魔法を使う者は、恐らくそうそう見られない。理由は単純、あまりにも強化倍率が高すぎるが故に、普通に使えば即座に魔力が尽きてしまうからだ。

 無論私の魔力も有限な以上、その法則からは逃れられない。だが魔法とは詳細なイメージであればあるほど、働きかける事象の規模が小さければ小さいほど、魔力の消費を抑えることができる。つまり大雑把に『反射神経を強化する』魔法を使うよりも、より詳細に『反射神経に関わる生体電流の速度を強化する』の方が格段に魔力の消費を抑えられる。そして私が使用している魔法は後者に当たる。

 案外誰でもこの方法に至りそうなものだが、この世界では魔法があまりにも万能すぎるためか、医術を始めとしてあらゆる分野に然程発展がみられない。恐らくその道の、しかもよほど詳しい者でなければこの方法にはたどり着けないだろう。かく言う私も魔術の深奥に近づくため、捕えた魔獣族で人体実験と研究を繰り返して辿り着いた方法なのだからね。

 しかし、ああ……私の研究の犠牲にしてしまった人々のことを思うと、罪の意識で酷く胸が痛むよ。まさかこの私がここまで丸くなってしまうとは。時の流れとは恐ろしいものだ。


「あれは……」


 そうして思考速度と反射神経を加速させたところで、木々の間から数本の煌めきがこちらへ飛んでくるのを認識する。

 形状を見るにアレは苦無かな。まあ毒を塗ってあるのが当然と考えるべきか。クルスの防御魔法のおかげで傷は負わないが、毒物に触れても問題ないかどうかは想定していなかったね。後で実験して防御魔法の更新を頼んでおいた方が良さそうだ。


「おっ?」


 しかし反射神経を加速している私と違い、キラはどうやら素の状態で反応できているようだ。私に僅かに遅れたとはいえ、明らかに飛翔してくる物体に反応していた。

 以前から思っていたが魔力もかなり高いようだし、かなりの逸材だね。クルスは随分仲間集めが上手いようだ。尤も仲間の性格や人格に関しては最悪も良いところだが。


「ふっ……!」


 飛んできた苦無は三本。その全てが私を狙っていたため、その場から飛び退って全て躱す。余裕はあったとはいえ、リアと視線を合わせるために膝をついていたのが良くなかったね。

 これで三本の苦無は全て地面に刺さるはずだったが――


「――木の上じゃ爪は振りにくいしな。これ貰うぜ」


 あろうことか、その内の二本をキラがあっさり受け止めていた。しかも自身が地を駆けつつ、苦無の握りを逆手に掴む形で。

 私でも反応はできるが、実際に行動に移すことは無理だろう。まず肉体がついていかない。それを魔法の補助も無くあっさり実行できるとは、メンタルが狂っているならフィジカルも壊れているようだね……。


「よっ、ほっ、っと」


 そうして獲物を手にしたキラは、次々と木の幹を蹴って樹上へと飛び上がり、苦無が飛んできた方向へと消えていく。

 どうやら手助けは必要なさそうなので、私はオーバー・リフレクシスを解除した。魔力の消費量自体は微々たるものだが、必要も無い状況で維持するほど無駄に有り余ってはいないからね。

 それにこの魔法は尋常でない強化倍率を誇るが故に、長時間使用すると副作用が酷い。無理やりに頭を高速で働かせているようなものなのだから、結果的に酷い頭痛に苛まれることになる。まあ数秒程度の使用なら特に問題は無いが。


「ひゃあっ!? な、なにこれー!?」

「敵の不意打ちだ。とはいえキラが向かったから早々に片が付くだろう。立てるかい?」


 一連の流れに気付いていなかったリアは、足元に突き立った苦無に驚いて腰を抜かしていた。

 手を汚した経験があるといっても、戦いに向かないのは明らかだね。やはり後ろに下がらせて、私が守ってあげた方が良さそうだ。


「――はいよ、一丁上がり」

「ぴゃーっ!?」


 リアの手を取って立たせ、スカートについた汚れを払ってあげていると、上からキラが音も無く降りてきた。

 尤も音が無かったのは彼女だけで、彼女が抱えて運んできたであろ魔獣族の遺体は乱暴に地面へドサリと落とされた。おかげでリアはまたしても腰を抜かして尻もちをついてしまったよ。

 しかし頭頂部と後頭部に苦無を突き刺して殺すとは、また随分と惨い殺し方をする……。


「鮮やかなお手並みだね。まるで呼吸するように人を殺す」

「何だよ。褒めても何も出ねぇぞ?」

「褒めてはいないよ。それと当然の行為のように目玉を抉ろうとするのは止めてくれないかな?」


 見ればキラは銀色のスプーンと謎の液体に満ちた瓶を取り出していたので、行動に移す前に止めておいた。百歩譲って目玉を抉り出すのは構わないとしても、せめて私たちの与り知らぬ所でやってほしいものだね。


「ああ? ったく、うるせぇババアだな。クルスの奴はそんなとやかく言わなかったぜ?」

「彼は君と同類だから、それは当然のことだろう。それから私はババアではない」

「はいはい、分かりましたよ。まあ好きなだけ殺せるならそれでいいか」


 キラは渋々といった表情でスプーンと瓶を空間収納に戻し、遺体をそのまま打ち捨てた。ババア呼ばわりされたのは非常に癪だが、こちらの要求を聞き入れてくれるだけ良しとしよう。

 とりあえず遺体をこのまま打ち捨てておくのは病気の発生に繋がりかねないので、魔法で地面に穴を開けてそこへ遺体を埋葬しておいた。いつかの夜襲の時、ハニエルとそれに付き合わされたクルスは手作業で掘っていたが、私にはそこまでのこだわりや遺体に対する敬意は無い。尤もクルスやキラに比べれば十分すぎるほどあると思うが。


「つーかよ。お前はともかく、そこで目を覆ってるそいつはちゃんと戦えんのか?」

「……どうだろうね。昨日の内に戦闘時に有用な魔法は可能な限り教え込んだが、理論と実践の間には深く狭い谷が付き物だ。本人は大丈夫だと言っているが、実際に戦えるかどうかは未知数だね」

「あぅ……役に立たなかったらごめんね……?」


 キラがスプーンを手にした辺りから両手と翼で顔を覆っていたリアは、そこから恐る恐るといった様子で不安げな瞳を覗かせた。

 まあ殺人と戦闘は似ているようで根本的に異なるものだ。どちらもほとんど初めてのリアにとって、難しいのは当たり前だろう。


「まあ大丈夫じゃね? あたしらにはクルスがすげぇ防御魔法張ってんだし、戦えなくても怪我一つしねぇだろ?」

「ひゃあっ!?」


 そう言って地面に刺さった苦無を引き抜き、それをリアに投げつけるキラ。クルスの防御魔法のおかげで額に当たっても掠り傷一つできていなかったが、リアの驚愕は当然だね。


「うええぇぇぇん! カルナちゃああぁぁぁぁぁぁん……!」

「わざわざ他人で実践するのは止めたまえ。全く……何故私が引率役という損な役回りをしているんだ……」


 半泣きになりながら抱き着いてくるリアの頭を撫でながら、自らの立ち位置にため息を零す。

 精神的にも外見的にも子供なリアや、頭の中の大半を殺人欲求が占めているキラに任せるわけにも行かないので、仕方なく私がクルス不在時のリーダーになっているが、早くも後悔の感情が沸いてきたところだ。

 ああ、クルス。私は君が恋しいよ。早く合流してこの胃が痛くなる立場を君に押し返したい……。







「ふむ、どうやらあそこが魔獣族の拠点の一つのようだね。クルスがマッピングし直した地図によると、少なくともその時点でおよそ十人程度はいたらしい。恐らく正規兵ではなく一般人のはずだが、油断はしないことだ」


 しばらく三人で歩き続けた結果、最初に接敵した見張りとの戦闘以外は特に何事も無く、目的の位置まで辿り着けた。木々の間からは清浄な水が流れる小川と、そのほど近くにある魔獣族の拠点と化した洞窟が遠くに見える。

 相手が正規兵でないと判断した理由は、一つは見張りの装備があまりにも貧弱だったこと、そして二つ目はここまでの道中で聖人族に対する罠を見かけなかったからだ。落とし穴やトラバサミといった罠なら幾つか見かけたが、アレは設置されていた場所を考えるに狩猟用の罠だと思われる。街で食料を買い込むことができない以上、基本は森の中で現地調達になるだろうからね。それに今も何人かが小川で釣りをしているようだ。


「よし、じゃあ正面から殴りこもうぜ。一番殺した奴が勝ちな?」

「待て、待ちたまえ。確かにクルスの防御魔法のおかげでそれは可能だと思うが、幾ら何でも慢心が過ぎるのではないかな? そんな調子ではいつか足元をすくわれてしまうよ?」


 何の作戦も警戒も無く突撃しようとしたキラの手を、すんでのところで掴んで止める。

 昨晩はクルスと一緒に首都へと転移し、殺人欲求を発散してきたらしいが……この様子では完全に発散できたわけではないようだね。


「逆にお前は警戒しすぎじゃねぇの? ていうかいちいち過保護なんだよ。お前はあたしらの母親か? なー、頼むから行かせてくれよ、おふくろー」

「君ら精神異常者は、何故揃いも揃って私を母親扱いするんだい……?」


 母性が滲み出ているから、と勝手に結論付けるほど自惚れてはいない。正直その手の魅力には疎い方だし、肉体的な魅力に至ってはかなり乏しい方だ。まあ、クルスはだいぶ魅力的に感じていたようだが……そ、それはともかく、冗談であろうと私に母性を感じる理由などないはずなんだがね……。 


「あっ……」

「うん? どうかしたのかい、リア――っ!?」


 思わず首を傾げていると、隣で唐突にリアが小さな声を漏らした。つられてそちらに視線を向けた私は、久々に懐かしい感情を味わう羽目になったよ。全身の鳥肌が立ち、気温はむしろ暖かいのに凍えるような寒さを覚えるこの感情――これは恐怖だね。

 だがそんな感情を覚えるのも仕方が無かった。何故なら無垢で天真爛漫な少女だったリアが、狂気としか言いようのない笑顔を浮かべ、不気味に瞳を細めていたのだから。


「あはっ、あはははははっ! サキュバスだぁ! サキュバスがいるぅ!」

「あっ、おい、待ちたまえ……!」


 そして私の制止も聞かず、両手に短剣を携え藪を抜けて駆けていく。

 見れば確かに小川で釣りをしている魔獣族の中には、サキュバスと思しき姿があった。リアが同族であるサキュバスに対して強い憎悪を抱いているのは話には聞いていたが、まさかこれほどとはね……。


「ちっ、一番槍を取られちまった。けどあたしも負けねぇぞ!」

「あ……」


 私が驚愕と戸惑いに固まっていると、キラも同様に正面から突貫していく。

 キラに関しては予想の範囲内なので驚きは特にないが、まさかリアまでも制御不能の問題児だったとは。真面目に話を聞いてくれる上、向上心もあって素直な良い子だと思っていたので、この事実は少々ショックだね……。

 とはいえリアは悪くない。悪いのは同族に対する憎悪が抑えきれなくなるほど、リアに対して凄惨な扱いをしたサキュバスたちだ。やはりリアのような不幸な子供を増やさないためにも、この悪意と争いに満ちた世界を平和にしなければならないのだろう。

 私は改めて、この世界を平和に導くことを決意するのだった。


「やれやれ。先が思いやられるね、これは……」


 とはいえ仲間があんな者たちな以上、平和への道のりは前途多難に間違いない。進む先に待ち受けているであろう苦難と苦労にため息を零しつつ、私も戦闘に参加するため、杖を片手に藪を抜けて行った。

 ああ、クルス。さっき別れたばかりだが、一刻も早く君に会いたいよ……。


⋇いつぞやの決闘時の敗因は純粋な倍率不足

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ