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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第18章:国に蔓延る悪意
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魂の概念

⋇性的描写あり

「ふうっ……思ったよりは楽しめたね」


 数時間後、僕はベッドに身体を投げ出したまま心地良い疲労感に浸っていた。

 ニア(中身メルシレス)との熱い交わりは実に楽しかったよ。何より本気で嫌がり泣き叫んでくれたのが最高だね。ミニスちゃんみたいに歯を食いしばって堪えてくれるのも好きだけど、やっぱ女の子が一番輝くのは泣いてる時だもんね。

 そんなわけでたっぷりじっくり心も体も犯し、僕の所有物に手を出した罪をきっちり清算して貰いました。


「このぉ……変態ゴミカスクソ野郎ぉ……!」


 なお、無理やりそれに付き合わせられたミニスちゃんは現在グロッキーな状態。

 身体の負傷は直してあげたけど、快楽の余韻に痙攣して涎を零しながら僕を罵倒してくる始末。ベッドに手足を投げ出したまま、大事な所を隠す余裕も無いみたいだ。

 えっ、何で身体を乗っ取られたミニスちゃんが表に出てるのかって? それはもちろん、僕らの愛がメルシレスの力を上回ったからさ!


「まあまあ、そう怒らずに。ミニスちゃんもすっごく気持ち良かったでしょ?」

「それどころか頭おかしくなるかと思ったんだけど!? 何か頭の中でプチプチいうのが聞こえたわよ!?」

「逆にそこまでいって狂わないのがおかしいんよ……」


 ミニスの肉体の感度を徐々に引き上げて存分に楽しんでたんだけど、最終的に五百倍くらいでメルシレスは限界に達したんだよね。キリが悪いからその後千倍まで付き合って貰ったら、何か完璧に壊れちゃってさ。

 よくよく考えたら手足や内臓が壊れたままだったから、その痛みも増幅されて耐えられなかったんだろうなぁ……まあ我らがミニスちゃんはしっかり耐えましたがね? 感度千倍で犯されても大丈夫とか、対●忍の素質がありそう。


「……それで? ある程度は把握してるけど、一体何があったのか教えてくれない? もう体験したんだからネタバレにならないでしょ」

「それもそうだね。早い話、お前の身体にあの女の魂が憑依したんだよ。ここで出される食事にあの女の血液が混ぜられてて、お前はちょっとずつ同調率的なのを高められてたわけ」


 要はそういう事。メルシレスは自らの魂を憑依させる事で、他者の肉体を操る事が出来るらしいんだ。僕にほとんど驚きが無かったのは、ある程度それを予測してたから。

 何故予測できたかというと、あの人形偏愛の男勇者くんのおかげだったりする。実は邪神城で戦った時、深い解析(アナライズ)を行使したら名前が二つ出てきたんだよね。一つはリュウで、もう一つはメルシレス。明らかに精神崩壊してたあの時のリュウが魔法を使ったり、小賢しい作戦を実行できたのも、全てはメルシレスに身体を乗っ取られていたからだったわけ。

 とはいえまさか自分の魂を直接憑依させる形式だとは思わなかったけど。


「あー……確かにあんたは毒は入って無いって言ってたわね。毒、は」


 ミニスちゃんはぐったり倒れ伏したまま、責めるように鋭い瞳を向けてくる。

 あの時の僕は何も嘘言ってなかったしね。厳密に言えば毒じゃない物が混入してただけで。

  

「魂っていうのは、何か前にあんたがそういう概念について言ってたわね。てことは、あのメルシレスとかいう奴もそれを知ってたって事?」

「たぶんね。まあそれは驚きこそすれ不思議には思わないよ。冷静に考えれば独力でその概念に辿り着いた奴が身内にいるし」


 この世界には存在しない魂の概念を知ってたのは驚いたけど、レーンだってそこに辿り着いたんだから別に不思議じゃない。何ならちょっと運命の歯車が違えば、レーンが同じ技に辿り着いてた節もあるしね。転生も憑依による乗っ取りも、死を免れる技としてはピカイチだし。


「私が表に出て来れたって事は、もう安全なわけ?」

「うん、大丈夫。今あの女の魂はこの瓶の中にあるから」


 そう返して、僕はミニスに瓶詰めの魂を見せる。何か青々とした火の玉みたいな感じです。

 原理さえ分かってればどうとでもなるし、たっぷり犯して満足した後はこの瓶の中にメルシレスの魂を移し換えました。今は魂そのものに記憶の書(ライフ・グリモア)で干渉して、記憶の改ざんを行ってる所。


「……それが出来るなら、あんな事する必要無かったんじゃない?」

「そこは必要だよ。僕の趣味だから」

「このクソ野郎……」


 ゲシッとミニスが蹴りを入れて来るけど、さすがに快楽の余韻が酷いのかいまいち力がこもって無い。まるで撫でるような貧弱な一撃が僕の背中を打ち据えたよ。何だ、もっとやって欲しいのか? ハハッ。


「……で? これからどうすんの?」

「出来れば僕のモノに手を出した報いを受けて欲しい所だけど、魔王があんな脳筋である以上は優秀なブレーンがいないと国が終わりそうなんだよね。だからこれは元の肉体にお返しする予定」

「えぇ……それって大丈夫なわけ?」

「大丈夫じゃないから、今記憶の改ざんをしてる所。とりあえずは謎の力に阻まれて憑依できなかったって事にしておくよ」

「それなら良いんだけど、私が摂取した血とかそういうのも何とかしてくれるわよね?」

「お、忘れてた。じゃあほいっ」


 うっかり忘れてた僕は、すぐさまミニスの身体に吸収されてたメルシレスの血液を分解する。厳密には高まってた同調率をゼロにした感じだけど。これ忘れてたら即座にまたボディジャックされるところだったね。危ない危ない。

 ちなみに僕の分の食事にはメルシレスの血液は混入されてなかったから、最初からニア狙いだった模様。まあ乗っ取るなら野郎の身体より若い女の子の身体だよな。一時的か恒久的かで話は変わって来るが。


「よし、これでオッケー。後は記憶の改ざんも……うん、こんなもんで良いかな?」


 メルシレスの魂に対する改ざんも終えて、証拠隠滅は完璧。

 元々ボディジャックしてきた辺りで部屋内の時間を弄ってあるから、外部では時間がほぼ経過してない。だからこの薄汚い魂を送り返せば、あくまでも乗っ取りに失敗した感じになる。仕方ない事とはいえ、徹底的にお仕置きしてあげた記憶も消しちゃったのはちょっと勿体なかったな。


「じゃあ後はその魂を送り返して終わり? 何事も無かったみたいに振舞えば良いの?」

「まあその方がお互いのためでしょ。でもそれじゃあ面白く無いし、ちょっとだけ仕込みをしようっと」

「仕込み……?」


 怪訝な表情を浮かべるミニスを尻目に、最後に一手間を加える。

 僕の所有物に手を出しておきながら実質無罪放免とか許せないしね。ここはたっぷりその罪を償って貰おう。


「よし、完了。これでメルシレスは眠る度に愛娘が拷問される夢を見るようになったぞ」

「……本当に外道ね、あんた」


 ナイスアイデアだったのに、どうにもミニスはお気に召さない様子。身体乗っ取られてた癖に心が広いですね? でも僕に対する好感度は最底辺なのが解せぬ……。




「――はっ!?」

「んっ!? どうした、メルシレス!?」


 他者の肉体に己の魂を憑依させる魔法――アニムス・インヴァシオを行使したメルシレスだったが、意識が闇に落ちたと思った次の瞬間には一気に覚醒した。まるで熟睡している所を叩き落とされるのにも似た衝撃に、メルシレスは弾かれたように身体を起こした。

 これにはヘイナスも飛び上がるが、一番驚いていたのは他ならぬメルシレス自身だった。何せ己の血液を摂取させて同調率を極限まで高めた状態で行使したというのに、感覚的には明らかな失敗だったからだ。


「……分かりません。どうやら憑依に失敗したようです。申し訳ありません」

「チッ! あのガキ、お前の魔法すら通用しねぇってのか!?」


 この結果にはヘイナスも怒りより驚愕を色濃く見せる。

 本来メルシレスの憑依に失敗など存在しないはずなのだ。例え同調率が低くともあまり長時間身体を乗っ取れないだけであり、憑依自体は出来るのだから。それすら敵わず弾き返されるなど初めての事であり、メルシレス自身動揺を抑えられなかった。


「どうやら彼女は想像を遥かに上回るほど規格外の存在のようです。これ以上不審な真似を続けるのは自殺行為かもしれません。もしかすると憑依など出来ない事も織り込み済みで、こちらが泳がされていた可能性もあります」

「おいおい、冗談だろ? そんなん笑えねぇぞ……」

「そうですね、さすがに荒唐無稽な考えかもしれません。しかし向こうには優秀なブレーンがついているようですし、可能性はゼロでは無いかと」


 冷静に考えてみれば、毒物混入騒ぎがあったにも拘わらずこちらが提供した食事を摂っている時点でかなりおかしい。毒物に気付いておきながら混入させたメルシレスの血液には気付かないというのも都合が良すぎた。

 あまり考えたくない事だが、もしかするとメルシレスたちは掌の上で弄ばれていたのかもしれない。


「クソッ! これですぐにでもアポカリピアを救い出せると思ったのによ!」

「力及ばず、申し訳ありません……」


 魔将すら凌ぐ最強の力を手に入れるチャンスだったが、見事にそれが潰れてしまった。これにはヘイナスも頭を掻きむしり怒りを露わにする。今も囚われの身で苦しみ喘いでいるであろう愛娘の救出がまた遠ざかってしまったのだ。その反応も無理はなく、またメルシレスも自責の念に苛まれていた。


「……ともかく、こうなればプラン二で行くしかありませんね」


 しかし過ぎてしまった事は仕方がない。故にニアの肉体を手に入れる事が出来なかった場合の代案へ移る事を決めるのであった。あくまでも国として、常識的な範囲で彼女の助力を求める事を。


「プラン二……ああ、アレか。ちょうどいい。胸糞悪いあの集団をクソガキにぶっ潰して貰うか」

「ええ。本人たちも被害に合ったようなので、協力はして頂けると思います。いっその事丸投げ出来るかもしれませんね」

「ったく、ふざけやがって……あんなクソみたいな集団、出来れば俺の手でぶっ潰したいところだぜ」


 不快気に眉を寄せ、拳を握るヘイナス。

 肉体を奪う事が出来なかった以上、ニアにはその力を存分に振るって貰わなければならない。どのような流れで彼女を動かすべきか、メルシレスは考えを巡らせるのであった。何故か妙に火照った身体を、少々疑問に思いながら。


 ヤられた記憶を消されたけど身体は覚えてるっていう展開もエロい……エロくない?

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