お前の物は俺の物
⋇暴力描写あり
⋇性的描写あり
⋇途中だけ三人称視点
「遂に明日が約束の時ね。ようやくこの息苦しい城から出られると思うと清々するわ」
一仕事終えた感じの重いため息を零しながら、ミニスちゃんはベッドの上で大の字に寝転び伸びをする。
魔王城滞在から九日目の夜。無駄に滞在させられ拘束される日々もようやく明日で終わりだ。ぶっちゃけミニスの言う通り、実に息苦しい日々だったよ。食事はいまいちだし、監視の目もあったし、盗聴とかもあったし、まるでケージの中のハムスターにでもなった気分だね。へけっ。
「おやおや。一部の兵士たちに尊敬され、崇拝されているのはお気に召さないのですか?」
「そりゃあそうでしょ。あんなキラキラした目で見られたら、さすがに私も居心地悪いわよ。本当はその、アレだし……」
ちょっと居心地悪そうに、自分の指をいじいじと擦り合わせてぼやくミニス。
まあ気持ちは分からないでもないかな。皆が憧れるニアは正に虚構の存在だし。虚構の鎧を纏った自分に皆がキラキラした目を向けて来るとか、一般村娘的には結構耐え難いんでしょうよ。
「……まあそれはそれとして、結局この九日間何も無かったわね。精々あんたを狙った魔獣族が二、三人仕掛けてきたくらいじゃない?」
「それを何も無かったとおっしゃるニア様も大概ですね。襲撃は事件に含まれないのですか?」
この九日間、魔王たちが何か仕掛けて来る事は無かった。魔王の仕業か判断し難い奴らが散発的に二、三人襲撃してきたくらいで、それ以外は何も無し。ミニスも絶対何か仕掛けてくると思ってたみたいで、拍子抜けって感じの反応してるよ。
「しかしお気を付けください。何も無かったと油断している時に何か仕掛けてくる可能性もあります。私ならそうします」
「何かあんたの言葉なのに、最後のだけ心の底から信じられるわ……」
そう、僕なら油断させてから一気に攻める。そして魔王側には僕と似た匂いがするブレーンがついてるんだし、ほぼ確実に同じ事考えるはず。だから僕はミニスと違って警戒は一切緩めて無いよ。気を張り詰めさせてるせいでだいぶ疲れたけど。はー、しんど。
「ていうか、あんた最初から訳知り顔だったわね。もしかして何を仕掛けて来るか知ってるわけ?」
「ええ、まあ。いつでも来いと構えているので、さっさと来て欲しいくらいですよ」
実際のところ、魔王たちの企みは滞在初日から気付いてたりする。防ぐ事は容易いけど、ここは泳がせてみようかなって思って好きにさせてるんだ。僕としても答え合わせとかしたいしね。
「で、それは教えてくれないのよね?」
「はい。ネタバレは良くありませんから」
「本当クソね、あんた……」
英雄なのにとっても汚い言葉を吐き捨てる悪い子ミニスは、何を仕掛けられるか分からず悶々としてる感じだ。
でも大丈夫。たぶん今日中には仕掛けてくるはずだから。ただそれをミニスが認識できるかどうかって言うのが最大の問題かな……?
「――さて、準備は完全に整いました。そろそろ始めましょうか」
「遂にか、待ち侘びたぜ」
魔王城の一室、最も秘匿性の高い隠し部屋の中。メルシレスは遂に計画を実行に移すため、安置されたベッドの上に自らの身体を横たえた。傍らには伴侶で主人たる魔王ヘイナスの姿があり、一見するとこれから夜の営みを行おうとしているようにも見える。
しかしこれから行うのはそんな甘く淫らな行為ではない。とても凄惨で残酷な、一種の盗人行為であった。
「では私の身体を任せましたよ、陛下。どうしても無防備になってしまいますので」
「任せろ。何があろうと、命を賭して守ってやるよ」
「……はい。よろしくお願いします」
数秒ほど甘く見つめあった後、メルシレスは天井を見上げ身体から力を抜く。
これから行使するのはかなりの精神集中が必要な高等魔法。更にその性質も相まって、己の身体に注意を払う事が出来ないのだ。発動中は完全に無防備な姿となってしまうため、信頼のおける者が隣にいる時しか行使出来ない。
しかしその効力はリスクに見合うもの。いや、むしろ凶悪な効果に対してリスクが軽すぎる程であった。
「……あなたの力は個人に許される域を超えています。恨みはありませんが、国のため――引いては私たちのため、その力を頂きます」
メルシレスは極限まで己の精神を集中させながら、城の一室から感じられるその存在に意識を向けた。
十日かけてじっくりと同調率を高めたため、条件は十分に整っている。魔王どころか魔将すら凌ぐ怪物染みた強さを持つ少女であろうと、概念すらも理解できない魔法を認識外から放たれれば抗う術などあるはずも無いのだ。
「アニムス・インヴァシオ」
故に、メルシレスはその魔法を行使する。
瞬間、その意識は闇に呑まれていった。
「――っ!」
お互いベッドに入って眠りにつこうとしてると、一瞬ミニスが身体をびくっと震わせたのが目に入った。
アレだね。授業中に意識が落ちかけてる奴が、ギリギリで踏みとどまった時に起こるアレ的な? でも普通それってベッドに入ってる時に起きるもんじゃないよね。幾ら魔王たちの襲撃を警戒してても、ベッドなんていう問答無用で安らぎに引きずり込む地獄で耐えられるわけ無いもん。いやまあ、ミニスなら二度寝の誘惑とかも跳ね除けられそうな精神してるけどさ。
「おや? どうかしましたか、ニア様?」
「……いえ、何でも無いわ。それよりちょっと寒いわね。あんたのベッドに入っても良い?」
「ええ、もちろん構いませんよ。どうぞ、ニア様」
まるで可愛い子供みたいなお願いをするミニスに、僕はベッドのシーツを片手で上げて待ち構える。
この部屋ベッドが二つあるせいか、ミニスちゃんはどうしても僕と一緒に寝てくれないんだよね。たっぷり愛し合ってへばってても、根性でもう一つのベッドに逃げてくし。こうやって向こうから来てくれるなら断る理由なんてどこにもない。
「ありがと。それじゃあ――」
そうしてミニスは自分のベッドを出ると、ベッドに乗ってシーツに潜り込むように身を屈め――僕の胸に音速を超える凶悪な貫手を放ってきた。
「まあ、そう来るだろうとは思っていましたよ」
「なっ!?」
とはいえその一撃は僕には通じない。予め張ってた防御魔法が容易く受け止め、心臓を貫かんばかりの一撃を弾き返した。でも衝撃波でシーツとかベッドが吹っ飛んじゃったよ。ハハハ、随分情熱的な夜のお誘いだな?
「馬鹿な! この一撃をあなた如きが受け止めるなど……!」
ミニスは驚愕に目を見開くも、それは一瞬。今度は拳撃と蹴りを交えて殺しに来る。明らかな殺意を込めて、馬鹿みたいに強化された身体能力を贅沢に使いながら。予め僕が魔法で対処してなかったら部屋そのものが吹き飛んでたぞ? 全く……。
「夜更けにここまで騒ぐとは、どうやら魔王の奥方は常識の欠片も無いご様子。いえ、他人の身体を奪い取る時点で人道にもとる鬼畜の所業ですね」
「っ!? 何故私がこの身体を乗っ取っている事まで……!?」
「まあ私にもそれなりの情報網というものがありまして」
警戒して後ろに跳び退り距離を取るミニス――もとい、メルシレス。
口調がアレな事や、明らかに殺すつもりで攻撃を仕掛けてくる事から分かる通り、今のミニスはミニスじゃない。魔王の伴侶メルシレスに身体を乗っ取られてる状態だ。
えっ、超速理解が過ぎる? いやぁ、だってそういう事が出来るんだろうなって事前に知ってたし。確証は無かったけど八割くらいはね。
「……なるほど、やはり真に警戒すべきはあなたの方でしたか。どうやらこの娘はあなたの傀儡に過ぎなかったようですね」
「別に傀儡というわけではありませんが、警戒すべきという評価は正しいでしょうね」
「聖人族という事で、あなたを過小評価していたようです。これは反省し改めなければいけませんね」
ミニスの身体――いや、ニアの姿か。ややこしいな? ともかくニアの姿で肩を竦めるメルシレス。警戒すべきとか言いながら若干の余裕が感じられるのがまた腹立つね?
「とはいえ、力に満ち溢れたこの身体はすでに私のものです。あなたがどう足掻こうが、私をこの身体から追い出す事は出来ませんよ?」
「ほう?」
今何かイラっとくる事言いましたね? ミニスちゃんの身体が自分のものだって? いいや、そいつは心も身体も僕のものだ。寝取られは絶対に許さんぞ!
「それとも、私を拷問でもしますか? 残念ながら私はこの肉体から伝わる感覚を遮断出来るので無意味ですよ。ただ元の持ち主であるこの娘が苦痛を味わうだけです。傀儡というわけでは無いのなら、この子が無駄に苦しむ事は避けたいのでは?」
「なるほど、確かに」
「――ぐぼっ!?」
一つ頷いた僕は、一気に距離を詰めて鳩尾に拳を叩き込んでやった。頑健に強化してる肉体だから手加減とかはせず、衝撃を小さな腹の中で炸裂させる形で。
ミニスの小柄な身体はくの字に折れ曲がり、口から鮮血を迸らせながらがっくりと膝をついてたよ。内臓が幾つか破裂しただろうし無理も無いか。
えっ、メルシレスの注意聞いてたのかって? うん、聞いてたよ。それが何か?
「な、何故、痛覚が……!? 遮断しているはず、なのに……!」
「考えるのは得意なのでしょう? 是非とも理由を考察してみては?」
「ごぼっ……!?」
バッチリ激痛が走ってる事に戸惑いを隠せてないメルシレスに対し、更に胸に蹴りを叩き込んだ。片方の肺が破裂する形に衝撃を操った結果、痛みと絶息の苦しみでミニスの身体が倒れ伏す。
だが大丈夫。肺が片方でも人は生きていける。何より魔法で頑丈に仕立て上げた今のミニスの肉体なら、たぶん心臓と脳みそだけでも十分くらいは生存できるはずさ。
「や、やめな、さい……! この娘も、同じ苦痛を味わっているのですよ!? 胸が、痛まないのですか!?」
血反吐交じりの呼吸に苦しみながら、メルシレスはその事実を突き付けてくる。
どうやら身体の持ち主であるミニスちゃんも、コイツと同じ苦痛を味わってる様子。そりゃあ大変だ。でもそれさっき聞いたしなぁ。
「人の身体を乗っ取るあなたにそんな事を言われましてもね」
「ぐ、ぎっ!? ぎゃああぁぁぁっ!!」
まあ罪悪感は欠片も無いから、特に気にせず大腿骨を踏み潰し粉砕する。実に心地良い絶叫が染み渡るね? 姿形はニアだから、まるで最強の英雄ニアをより強い力で屈服させてる気分になっちゃう。
「それと、ニア様を舐めないで頂きたい。私の主は鋼の如き硬い意思を持つ稀代の英雄です。この程度の苦痛、覚悟はしています」
「ああぁあああぁっ!?」
忠臣みたいな事を口にしつつ、主の肉体を更にぶっ壊していく。せっかくだから残りの手足も踏み砕き、完全に身動き取れないようにした。手足自体は残ってるけど動かせないからダルマみたいな状態だね。これだけやっても死なないのが英雄ニア状態の凄い所。
「とはいえ、さすがの私もニア様を痛めつける趣味はありません。なのでここからはもっと穏便な方法で報いを受けて頂きましょう」
身動き取れない女の子に対してやる事と言えば? そう、エッチな事だね!
というわけで、ほぼダルマ状態になったミニスの身体をベッドにポイっと放りました。肉体的にはミニスを犯し、精神的にはメルシレスを犯す。これぞ超高レベルな3Pダブル凌辱だ!
「こ、こうなったら、一度身体に戻って――えっ!? も、戻れない!? どうして!? 魔法も、使えない……!?」
ここに来て撤退しようとするメルシレスだけど、その辺はすでに封じてるから逃げられない。魔法も使えず、手足も動かせず、目を白黒させて悶える事しか出来て無かったよ。陸に打ち上げられた魚みたいで可愛いね?
「さあ、あなたはどこまで耐えられますかね?」
「――ひっ!?」
せっかくだし、僕は仮面を外して素顔を晒した。途端にメルシレスは顔を恐怖に引きつらせ凍り付く。
それというのも、実は仮面の下は物凄い酷い顔にしてるんだよ。あ、ブサイクって意味じゃないよ? 唇や目蓋、そして鼻が切り取られ、更には酷い火傷を負って爛れたようなかなりグロテスクなツラに設定してるんだ。
一応そんなツラしてる事も、そしてあえて治さずにいる理由もあるんだけど、それはここではどうでも良い事だな! そんな事より超高レベルな3Pダブル凌辱だ!
「まずは感度百倍から始めましょうか。快楽に神経が焼き切れる感覚、存分にお楽しみください」
「い、嫌ああぁああぁぁあぁっ!!」
腐ったゾンビにも引けを取らない顔を晒したまま、ゆっくりとベッドに上がり覆い被さる。
抵抗出来ないメルシレスは、ニアの姿で生娘みたいな悲鳴を上げたよ。今思ったけどこれって精神的寝取りでもあるのかな……?
良い感じに腐ったゾンビみたいな顔を想像して貰えば分かりやすいです。