表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第17章:勇者と勇者と勇者
484/527

雷光の勇者とメイドたち

⋇性的描写あり

「ひ、酷い目に合ったぁ……」


 しばらく時間を潰してから地下闘技場に向かうと、ボロボロの身体でアリーナに突っ伏すトオルの姿があった。芋臭いパジャマも完全にボロ布みたいになっててみすぼらしいったらないね。最早元がパジャマだって事すら分からんレベル。


「生きてるなら御の字だよ。むしろ良くアイツら相手に生き残れたね?」

「思考速度を電気で強化して、雷の速度で移動しまくって、雷ぶっ放しまくって、ギリギリ満足してくれるまで生き残れた……」

「逆にそこまでしても生き残る事しか出来ないのか……」


 雷速軌道で雷ぶっぱするとか、普通に考えれば超強キャラなんだけどなぁ。やはり相手が悪かったか。普通に空気の変化とか先行放電で雷が落ちる場所を先読みしてくる奴らだしね。

 それでも死なずに生き残ってる辺り、トオルもなかなかやる方なのは否定しないが。それを言ったら調子乗りそうだから言わんけど。


「まあ良いや。ほら、さっさと起きろ。今度はうちのメイドや執事を紹介するぞ」

「メイド!? うん、行く!」


 そんな風に声をかけると、途端に顔を輝かせて起き上がるトオル。執事じゃなくてメイドって所に反応してんな、コイツ? でもメイドもなかなか曲者揃いだし、コイツがお気に召すような奴はいるかなぁ?

 とりあえず恰好があまりにもみすぼらしかったので、パジャマを再生してあげました。そういや雷化してもパジャマは焼けたりしてなかったな。てことはここまでボロボロになったのって、やっぱり犬猫のせいなんだな……。






「我こそは聖人族の希望たる<雷光の勇者>! だが邪神の祝福を受け、我は生まれ変わった! 今の我は<神黒雷の破邪狼>――栗栖(くりす)十織(とおる)! 我を崇め、奉るが良い! ハ~ハッハッハッ――パアッ!?」


 そうして再びリビングで行われる顔合わせと自己紹介。またしても何かふざけた事を言い放つトオルに、気付けば僕は再度ビンタを放ってた。面白いくらいにクリーンヒットしたし、『パァンッ!』って滅茶苦茶良い音したよ。


「……だから何でぶつの?」

「何か調子乗ってるのがムカつくから」

「酷い……」


 ノリなのか素なのか、再びへたり込みすんすんと泣き始めるトオル。微塵も罪悪感を覚えないどころか、もう一発お見舞いしてやりたくなるのは何でだろうなぁ?


「というわけで、元勇者が仲間になりました。みんな自己紹介よろしく」

「私はベルフェゴール。元魔将にしてこの屋敷のメイド長だ。この姿は魔法で変身しているだけで、本来の私の姿は別にある。近い内に見せてやろう」

「よろしくー。双子かと思ったら変身してるだけなんだ。本当の姿が気になるなぁ?」


 今日はキラの姿をしたベルが、遠回しに『お前を廃人にしてやる』という発言を零す。もちろんトオルはベルの本当の姿なんて知らないから、自ら笑って深淵に足を踏み入れようとしてたよ。見たらSANチェックだぞ?


「僕はヴィオと言います。よろしくおねがいしますね、トオル様。何かお困りの際は是非ともお申し付けください」

「おおっ、誠実そうな可愛らしい犬獣人の執事かぁ。よろしくね!」


 ぺこりと会釈するヴィオに対し、トオルは嬉しそうにはしゃぐ。

 しかしさっきから外見通りの事しか口にしてないな、コイツ? 中身がヤバい奴らだって事は気付いてないんだろうなぁ……。

 なんて思ってたら、笑い合うヴィオとトオルの間に割り込むメイドが一人。


「リリアナです。ヴィオの妻です。永遠の伴侶です。なので私のヴィオに手を出そうとしたらぶち殺すです」

「あ、はい……ヤンデレ系ウサミミっ子……?」


 深い闇と粘つく執着を感じるリリアナの瞳に、さすがにトオルもヤバさが伝わったみたい。ちょっと引き気味になりながら頷いてたよ。それでも分類を口にする辺り、まだ余裕そうだな?

 さて、これでメイドと執事の自己紹介も終わり……と言いたいところだけど、もう一人いましたね。ビクビクしながら必死に目立たないように振舞ってる奴。


「ほら、お前も自己紹介するんだよ。同じ勇者でも僕よりは害が少ないから」

「ひっ……! あ、は、はいぃ……!」


 僕が声をかけると、ベルの陰に隠れてたミラがびくっと怯えて恐る恐る出てきた。まあ今のベルは身長低いキラの姿だから、全然隠れられてなかったけどな! コイツ本当に僕に慣れないな!?


「え、えと……み、ミラ、です……よ、よろしく、お願いします……」

「デッッッ! はい、よろしくぅ!」


 一瞬ミラの胸元に視線を釘付けにしたトオルは、清々しい笑顔を浮かべて手を差し出した。握手するみたいに片手を差し出すんじゃなくて、指を広げた両手をね。あ、コイツさてはまたやる気だな?


「きゃっ……!?」

「ナチュラルに揉みおったぞ、コイツ」

「いやいや、こんな巨乳揉まなかったらむしろ失礼でしょ。しかも気弱メイドとか、エロい事されるために生まれてきた存在でしょ」


 そしてガッツリ正面から揉むし、全く悪びれもしないっていう。いっそ潔くて惚れ惚れするな?

 でも確かに言う事は尤もだ。気弱メイドとかエロい事されるのが仕事だよね。まあミラの場合はそういう事やるとショック死しそうだから手は出してないんだけどさ。別にミラにやらずとも良い女(内面は考えないものとする)はいっぱいいるし。


「や、やぁ……やめて、くだ、さい……!」

「む……」


 凄い恥ずかしそうな表情で、若干甘い震えた声を零すミラ。そしてその胸元の大質量がふにふにと形を変え、トオルの指が食い込み沈んでいく堪らない光景。刺激がかなり強かったから、ちょっと僕の愚息が反応しちゃったよ。


「おい、ご主人様よ……」


 足を組んでそれを隠すも、ベルに目敏く見抜かれる。ちょっと呆れたような顔をされちゃったよ。しかし反応してしまった僕を一体誰が攻められようか。男なら誰だって感じるものはあるだろ?

 まあヴィオは特に何も感じて無いのか、微笑みを称えて突っ立ってるけどさ。お前もしや、ロリコンか……?


「よしよし、堪能した。それじゃあ次は――ぐげっ!?」

「急に背後に回るな。驚いただろう」


 そしてトオルは当然のようにベルの背後に回り、当然のように首を掴まれて捕獲される。雷速だろうが何だろうがお構いなしだし、何なら今実体化する前の雷状態を掴んでた気がする。


「何でこんなに初見で対応する人いるのぉ……? 私、雷速なのにぃ……」

「大体相手が悪い」


 そのままぽいっと床に放り捨てられ、めそめそし始めるトオル。

 うん、普通は初見で対応出来るのがおかしいんだよね。でもここは普通の奴らが少ない魔境だし、何ならベルは現状この世界で最強の生物だからなぁ。

 なんて改めてこの屋敷の住人のいかれ具合に想いを馳せてると――バシィ! めそめそ状態からの雷化で、トオルは次なる標的であるリリアナの背後に回り胸を揉んでたよ。


「良し、今度は成功! ぐへへ、良い感触~っ!」

「は? 何するですか? 私の身体はヴィオだけのものです。殺す」

「おっと! やだなぁ、これはただのスキンシップだよ? フヘッ」

「ひゃっ……!?」


 そして躊躇いなく繰り出されたリリアナの殺人キックを雷化で回避し、再びミラの巨乳を揉みに行く。コイツ自己紹介なのに胸を揉んだ印象しかねぇな?


「うーん……」

「どうした、ご主人様。何やら難し気な顔をしているが」

「うん。もしかしてアイツ、男より女の方が好きなんじゃないかなって」


 胸を揉まれるメイド二人を眺めつつ首を捻ってると、それに気付いたベルが話しかけてくる。せっかくだからありのままの感想を口にしたよ。

 だってせっかく見た目は良い犬獣人執事(中身は触れない事とする)がいるのに、あんまり興味無さげで女の子の胸ばっか揉んでるんだよ? これってつまり男に興味無くて女の子が好きって事じゃない?


「確か囚われの身で男たちに凌辱の限りを尽くされ、惨たらしい拷問に合ったのだったか。ならば男に興味が無くなってもおかしくは無いが……だからといって女が好きになるのか?」

「そりゃあ男が嫌いになったら相手は女しかいないしなぁ。いや、あるいは元々そういう素養があったのかもしれないけど」

「ふむ。私には良く分からん世界だな。私としては見目が整っていれば性別など些末な問題に思えるが」


 などと聞きようによっては両刀とも取れる発言を零すベルさん。まあコイツが言う『見目が整っている』は、たぶん『目が二つに鼻が一つ、口が一つあって耳が二つ』っていうレベルだからな。人の形をしてれば脂ぎった肥満体系の中年オヤジでも良いんじゃなかろうか。

 いや、ていうかベルの性別ってどっち? そういや特に性別に触れた事無かったっけ。まあ元の姿がアレな以上、欲情は出来ないからどっちでも良いか。


「どれ、ちょっと試してみるか」


 だからベルの性別問題はスルーして、目下最大の疑問を確かめて見る事にした。すなわち、トオルは女の子に欲情する女の子なのかって事をね。


「試す? どうやって試すのだ?」

「それはこうやる。とうっ」


 小首を傾げるベルにそう返すと、僕はベルのメイド服のスカートを思いっきり捲り上げた。ハイソックスに包まれた太腿から妙に可愛らしいフリフリの緑パンツ、そしてヘソまで見えるほどに思いっきりね。

 というか見た目キラの2Pキャラでも、下着まではコピーしてない様子。キラがこんな可愛いの履いてる所見た事無いしね。という事は下着のチョイスはベルさんなんです?


「う、うおおおおおおぉぉぉぉっ!?」


 そしてパンチラどころかパンモロヘソチラしてるベル(キラの姿)に、トオルは興奮の雄叫びを上げて雷と化して迫ってきた。そしてベルの足元にしゃがみ、じっくりと下から拝む。だらしなく口元を緩め、瞳を興奮と喜びに輝かせた状態で食い入るように。

 うーん、間違いない。コイツはアレだ。百合だな?


「やっぱ反応が男子のそれなんよ」

「反応に納得はしたが、何故私で試したのだ?」

「ぐぎゅっ!?」


 などと若干不機嫌そうに零すベルは、スカートが元の位置に戻るのに合わせて足元のトオルを踏みつけた。頭をもの凄い力で踏まれたトオルは、そのまま床にうつ伏せになり変な声を上げて動かなくなる。

 でもこれってかなり手加減してる方だよな。ベルがその気になれば今頃トオルの頭は踏ん付けたトマトみたいにぐしゃっといってるだろうし。


「だってミラでやったら心停止とかしそうじゃん。さすがに自己紹介で死亡とかはトラウマになりそうだし」

「……まあ、それもそうか」


 どうやら納得してくれたらしい。ベルは一つ頷き、トオルの頭から足を退けた。ちなみに特に恥ずかしがる様子も無かったよ。性別とか超越してて無性の可能性もあるもんね。


「ご主人様、トオル様は気絶しているようですがどうしますか?」

「適当に部屋に放り込んどいてよ。ラッキースケベの代償って事で治療はしない」

「悪は滅びたです」


 そして意識を失ったトオルは何発かリリアナに蹴りを入れられた後、ヴィオの手で部屋に運ばれて行きました。


「はぁ……はぁ……!」


 なお、一番胸がデカかったせいで一番多く長く胸を揉まれたミラは、呼吸を荒げてへたりこんでました。ちょっと股間に悪いからやめて欲しいな。

 しかし中二病で百合で二重人格の元勇者かぁ……何でどいつもこいつもキャラが濃いかなぁ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ