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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第17章:勇者と勇者と勇者
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中二勇者トオル

⋇性的描写あり

「ま、今はそれも良いか。もっと他に話すべき事あるし」


 とりあえず諸々の疑問は脇に置いて、まずは話を進める事にした。何だかんだまともに話が出来るっていうのはとっても有難いからね。これでトラウマバリバリに発揮してて随所で慰めないといけないっていうのは面倒だ。


「そういえば、結局貴様は名を名乗っておらんな。そろそろ名乗るが良い。無論偽りではなく、真名を名乗るのだぞ」

「僕の名前は(かがり)狂守(くるす)。君と同じ日本出身の元勇者だよ」

「何ぃ!? 馬鹿な、貴様はどう見てもこの世界の人間ではないか!」


 トオルはギョッとした様子で僕の顔をまじまじと見つめてくる。

 何言ってんだコイツ――って一瞬思ったけど、考えてみれば今の僕はレーンの身体を借りてるんでしたね。意外と違和感無いから忘れてたよ。胸が軽いせいかな? ハハッ。


「これはちょっと仲間の身体を借りてるだけだよ。今の君の様子を見てると夢だったかと思えるくらいだけど、君に特定の種族・性別の人間を会わせると雷ぶっ放しながら暴れ回るからさ。それだと話も出来ないでしょ?」

「むぅ? 馬鹿な、我がそのような事を……」

「まあ実際襲われた奴がいるし、僕もそれを見てたからね。申し訳ないけど素顔――というか素の身体を晒すのはその内ね」

「むぅ……」


 何かいまいち納得してない感じの反応だけど、これに関しては何も嘘ついてないからね? 実際ベルとリアが襲われてたし。

 まあ普通にベルが反撃したら秒で返り討ちになった事実は別に言わんで良いか。


「で、ここからが本題なんだけど……実は僕は勇者じゃなくて、この世界を生み出した女神様が送り込んだ救世主なんだ。両種族の恒久平和を実現するために、今は世界を滅ぼす邪神を演じて全ての種族に脅威を与えまくる、最大最強の共通の敵になってるんだよ」

「えっ、何それカッコいい! ダークヒーロー!?」


 ちょっとした病気持ちらしいトオルには琴線に触れるものがあったみたいで、テンションをブチ上げ瞳を輝かせる始末。

 ダークヒーロー……ダークヒーローかなぁ? どっちかというとヴィランが気まぐれに良い事してるような感じの方が幾分近い気もするが。


「君はそんな邪神を倒すために、魔王によって送り込まれた改造生体兵器だったんだよ。それを返り討ちにしたんだけどそのまま捨てるのは勿体ないし、蘇生して元の身体に戻して脳みそもまともにしてあげた結果、今に至るってわけ」

「ダークヒーロー……!」


 大雑把にだけどここに至るまでの流れを説明してあげたのに、コイツ話を聞いてるか怪しいぞ? 何か未だにダークヒーローに目を輝かせてる。僕をバッ●マンとかデ●デビルとかゴース●ライダーとかと勘違いしてない? たぶん僕はその人たちに処される側だぞ? うーん、もっかい引っ叩いたらまともになるかなぁ?


「さて、ここまでで何か質問は?」

「えーっと……その、さすがに衝撃的な情報が多すぎて、いまいち信じられないんだけど……」


 どうやら一応話は聞いてたっぽい。

 まあ何の証拠も無く信じろって言われても無理は無いか。いやでも自分の頭の中身が正常になってる事は分かってるだろうし、半信半疑ってところか? エロエログチョグチョされた記憶を思い出せないっていうのもちょっと原因っぽいな。


「別に今すぐ信じなくても良いよ。どのみち君の命運は僕の掌の上だし」

「え、何で!?」

「そりゃあ蘇生する時に奴隷契約を仕込んでおいたからだよ。それも滅茶苦茶一方的なやつ。つまり君は分類的に言えば僕の奴隷だって事」


 安定のレーン印の契約条項なので、基本的人権を尊重しつつ僕が絶対の権力を持つという形だ。だから懇切丁寧に説明しなくとも従わせる事は出来る。最悪の場合は僕の記憶を頭にぶち込めば嫌でも理解してくれるでしょ。


「はー!? ひっど! 何でそんな事するの!?」

「何でって言われても……こうしないと人を信用できないからかなぁ? それに君を健康な状態で蘇らせて、脳みそも元通りにしてあげたんだよ? 僕の奴隷になるくらい安い代償だと思うなぁ」

「それはそうかもだけど、他人を信用できないとかサイコパスじゃん! 挙句同郷の人間を奴隷にするなんて、とんだ無法者だよ! この犯罪者! チート転生者!」

「無法者って言われても、ここ異世界だし日本人を奴隷にしてはいけませんなんて法律無いよ。飛行機だってその飛行機が登録されてる国の法律が適用されるけど、着陸した時点で降り立った国の法律が適用されるし。ていうかこの程度でサイコパス呼びぃ……?」


 異世界もの好きそうなトオルも、まさか自分自身が奴隷落ちは想定してなかったっぽい。ちょっと身体からバチバチ電気を放ちつつ、ギャアギャアと喚いて今にも掴みかかって来そうな感じだ。


「どうせエッチな事いっぱいするつもりなんでしょ! エロ同人みたいに! この変態! スケベ!」

「いや、ぶっちゃけ散々汚された肉便器に興味は無いかな。何か変な病気移されそうだし」

「このクソ野郎っ!!」


 正直に使い古された中古は勘弁って口にすると、ちょっとミニスちゃんを彷彿させる鋭い罵倒が返って来た。

 ふむ。これはもしかするとツッコミ役として期待できるのでは? でも本人はミニスちゃんと違って病気持ち(中二)っぽいから、ツッコミも出来るボケという役が正しいか?


「まあ今のところ君に命じる事とか割り振る仕事はまだ決まってないし、しばらくここで過ごしながら色々考えてなよ。メイドも付けるからそいつから話とかを聞くのも良いしね」

「変態変態変態っ! メイドさん付けるなら可愛い子が良いっ!!」


 とりあえずの話が終わったから部屋を出ようとすると、背後から罵声と欲望に満ちた声が同時にかけられました。お前意外と余裕あるな? 心配しなくても可愛い子をつけてやるよ。中身は神話生物だけど。 






「ふーむ……思ったよりはまともな奴だったな?」


 トオルとのお話を終えた僕は、会話の内容とかを振り返りながら屋敷の廊下を歩く。

 ファーストコンタクト(VS邪神の時)とセカンドコンタクト(リアを殺そうとしていた時)の印象がアレだったせいで、正直なところ頭のネジが吹っ飛んだヤベーやつだと思ってたよ。でも中二である事を加味してもかなりまともな人間だったな? 強制的に奴隷にした事に対しては滅茶苦茶に罵倒してきたけど、魔法や電撃で攻撃してくる事は無かったしね。全てを理解した感じじゃないとはいえ、話もちゃんと聞いてくれた。予想外にまともでちょっと物足りなさを感じたくらいだね。


「でも何かおかしいな? どうして自分のヤられた事を全く覚えてないんだろ?」


 しかし不思議なのはそれ。長年魔獣族の玩具にされた後は生体兵器として非人道的な改造手術を受けたはずなのに、本人が全くそれを覚えてない事。

 あまりにも辛い記憶だから脳がそれを思い出せなくしてる、っていうのが一番可能性が高くて納得が出来る。でもそれにしたってあそこまでトラウマを刺激する話題で何の反応も出て来ないのはおかしくないか? 実は全て覚えてて、それでも一切動じないクソ強ウサギ娘メンタルだったりする? いや、トラウマで暴れた経緯があるからそれは違うか。うーん、分からんなこれ……。


「……ま、解明は後にするか。その前にもう一人の勇者とお話しないとね」


 ひとまず疑問は脇に置いて、次の勇者とお話しするために自室へと向かう。リュウの方は女にトラウマがあるから、自分のボディに戻るためにね。

 えぇい、面倒だなアイツら。同じ部屋に置いとくことも出来やしない。


「さーて、愛しのマイボディ。ご主人様が帰ってきたぞー」

「……はっ!?」


 なんて自室の扉を開けた所、裸に剥かれたマイボディと絡み合うクソ犬の姿を目の当たりにしてしまう。

 まさかこんなに早く戻って来るとは思ってなかったのか、『ヤベェとこ見られた!』って感じの反応してやがるぞ、あのクソ犬。さては最初からこれを狙ってたのか?


「おいこらクソ犬。僕の身体に何してる」

「いや~、本当はただ見守るだけにしようと思っていたんだよ~? ただ主の身体は眠っていても身体の一部分は元気に起きていたからさ~、ちょっとしたお世話をしてあげようと思ってね~?」


 あっ、そっかぁ……じゃあしょうがないよね!


「……ハウス!」

「クゥ~ン……」


 なんて言うわけもなく、僕はマイボディに跨ってたクソ犬を引っぺがし、裸の尻を蹴って部屋から追い出しました。油断も隙もねぇな、コイツ……。


 トオルに関してはまた後々。次は男勇者の方です。

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― 新着の感想 ―
そういえば中二病キャラはまだ居ませんでしたね それに結構面白いキャラで好き
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