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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第17章:勇者と勇者と勇者
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種馬の父親

⋇性的描写あり

⋇残酷描写あり

「リアの父親~っ!? それは確かなのか~い!?」


 まず再起動したのはトゥーラ。一番求めてた感じのリアクションしてくるのがまた憎いね。

 しかしそれも当然か。何せ他ならぬ家庭崩壊ロリサキュバスの実の父親登場だし。僕もその情報を知った時はかなり驚いたしね。


「間違いないよ。記憶読んだ感じだと、リアの故郷で捕まってずっと種馬兼教材扱いされてたみたいだし。あとDNA鑑定――魔法で血縁があるか確かめたし」

「リアの故郷……ああ、なるほど。そういう事か」

「確かに不死身ならば使い道は多そうだな。頭に何か刺しておけばそれだけで行動不能に出来るし、飼い殺しにするのも難しくないだろう。何より環境が劣悪であろうと、不死身なのだから死にはしないだろうしな」

「そうそう。そんな感じでずっと飼い殺しだったっぽい」


 DNA鑑定はさておき『リアの故郷』と『種馬』、『教材』って情報だけでレーンもベルも全てを理解してくれたっぽい。

 そう、何とリュウはリアの故郷で囚われの身となり、ひたすら搾り取られ玩具にされてたんだよ。決して壊れず死なない男とか、サキュバスからすれば完璧な種馬で最高の玩具でしかないよね。だから繁殖用の種馬として、また性処理の道具として、そして幼いサキュバスの性教育のための教材として、マゾの人垂涎の日々を送ってたらしい。頭に杭か何か刺さった状態で、何十年もね。


「それでリアが暴れて故郷が滅んだ後、その跡地で発見されたのを回収されて、秘密裏に魔王の手に渡ったって感じ。まあその時点で精神は壊れてたし、改造手術しようにも下手な傷はすぐ治るからあんまり手は入れられなかったみたいだけど」

「どちらの勇者もつくづく不幸な末路を辿っているね……」


 凄惨極まる勇者たちの末路に、レーンは眉間を揉み解すようにしながら呆れのため意を零す。信じて送り出した勇者たちが種馬や肉奴隷にされた挙句、決戦兵器にされてたら聖人族も悲しいだろうよ。


「そんであとは二人とも僕と戦い、今に至るってわけ。それぞれ苦手な人種がいるのは……まあ、やられてた事を考えれば当然じゃない?」

「うむ。あの反応の違いも経緯を聞けば納得だな」


 勇者たちの過去を聞いて、ベルもこくこくと納得を示す。

 一回目覚めた勇者たちがリアを見るなり発狂したのは、今考えれば当然の成り行きだ。リュウからすればリアは自分を犯し玩具にしてた奴らと同じサキュバス、そしてトオルからすれば自分を犯し苦しめた奴らみたいな立派な角や翼を持った魔獣族。そりゃあ前者は恐怖のあまり発狂するし、後者は殺意天元突破でテスラコイルになりもするわ。

 一応ベルもあの場面にはいたけど、角が小さいし片方しかないミラに変身してたからなぁ……。


「とはいえ、どんな惨い過去を抱えてたってぶっちゃけどうでも良いんだけどね。同情や哀れみは微塵も無いし、むしろまともな状態に戻して蘇生してあげただけでも十分でしょ」

「その通り~! むしろ主がここまでしてあげたのだから、主のために粉骨砕身して恩返しするのが当然だ~!」


 悲しき過去があるのは分かったけど、だからって対応を変えるつもりはさらさらない。トゥーラの言う通り、十分施しはしてるんだから頑張って働いて貰わないとね。じゃなきゃ処分するか、トラウマを追体験する魔法でもぶっ放すぞ?


「ま、もの凄い使いにくい駒だから今のところ使い道は未定だけどね。とりあえずは地道にトラウマ解消でも頑張ってもらうくらいかな」

「経緯と方針は分かった。だが彼らに話をするのはどうするんだい? 女勇者の方は男と魔獣族がトラウマで、男勇者の方は女とサキュバスがトラウマなんだろう? 女勇者の方は私から話をしても構わないが」


 レーンが口にしたのは尤もな疑問。幼女だろうと何だろうと容赦なく攻撃してきた奴らだし、出来ればトラウマに掠らない人が話をしたいところだ。幾ら何でも今の状況やこれからの事をお話しないってのはアンフェアだしね。


「んー、面倒だけどどっちも僕がやるよ。性別種族云々は魔法でどうとでもなるし、同郷って事で話も通じやすいだろうしね」

「いや、同郷である点を差し引いても私の方が話が通じると思うがね。少なくともあの勇者たちの精神性は、君のような異常者では無かったはずだ」

「大丈夫大丈夫。異世界に召喚された奴なんて自分が主人公で特別な存在だって舞い上がってただろうし、精神性も僕と大差ないでしょ」

「仮にそうだとしても、恐らくもう死ぬほど現実を思い知っているはずだが……」


 ちょっと微妙そうな表情でレーンは呟く。

 確かに喜び勇んで異世界ファンタジーに突撃して行った結果が、肉便器や種馬を経由しての強化改造兵士とか現実が嫌になってそう。逆にこれでまだ『異世界ファンタジーだヤッフー!』とか出来る精神してたら尊敬するね。壊れちゃった結果なのかもしれんが。


「まあ、君がやると言うならそれでいいか。人心掌握は君ほど得意ではないからね」

「何か不本意だけど、納得してくれたならまあいいや。あ、男勇者の方がリアの父親って事はしばらく黙っといてね。父親にもリアにも。折を見て話してもいいけど、サキュバスのリアはトラウマ直撃の分類だし」

「まあ今話しても誰にもメリットは無いからね。賢明な判断だと思うよ」

「ワゥ~ン。了解だ~」

「出来れば本物の親子として親しい間柄になって欲しいとは思うが、種馬として囚われている最中に知らぬ間に出来た子では難しいだろうな……」


 最終的には皆も方針に納得してくれたみたいだ。親子である事を伏せるのも含めてね。

 ていうかベルが滅茶苦茶優しさに満ちた事言ってんな? 結構リアと二人でガーデニングしてる光景も見るし、実はわりと仲良しか? 


「――ご主人様ー、お茶とお菓子持ってきたよー!」

「お、お待たせ、しました……」


 とか考えてたら、若干ヒヤっとするタイミングでリアが扉を開けてこんにちは。ついでにミラも紅茶やお菓子を乗せたカートを押して登場。

 一瞬リアに話を聞かれたかと焦ったけど、ニコニコ笑顔な上に口元につまみ食いしたお菓子のカスつけてるしそれは無いか。幾ら何でも聞かれてたらもうちょっと何かそれっぽい反応してるだろうしね……。





「さて、それじゃあまずはトオルとの対話だ」


 そんなわけで翌日の昼過ぎ。英気を養った僕は早速面倒な事に取り掛かる事にした。

 傍らにレーンとトゥーラを伴い、ベッドで強制的に昏睡させてるトオルを見下ろす。とはいえもちろんこのまま起こしたりはしない。だってクリティカルにトラウマを刺激する男(僕)と魔獣族トゥーラがいるし。あと魔法でレーンは狐獣人、僕は悪魔になってるからこっちも駄目だな?


「それでどうするんだい? 彼女は魔獣族と男がトラウマになっているんだが」

「僕が女になるか、女の身体を借りるかの二択だねぇ。正直自分の身体を女に作り替えるのは抵抗があるし、ここはレーンの身体を貸して貰おうかな?」


 トオルの視覚や聴覚に働きかけて幻影を見せるっていう手もあるけど、それくらいならレーンの身体に憑依した方が早いしお手軽だ。お手軽に他人の身体を乗っ取れるっていうのはだいぶ間違ってる気もするが……。


「な、なに~っ!? それはつまり、主とこの女が一心同体になるという事ではないのか~!?」

「言い方」


 ただちょっと身体を借りるだけなのに、何やらトゥーラが騒ぎ出す。ガッツリエロい事をしてるのは許すのに、身体に憑依するのは駄目な訳? 基準が良く分からん。


「まあ別に構わないよ。ただそうなると君の身体が抜け殻になるんじゃないかい?」

「それもそうだね。じゃあトゥーラ、僕の身体を部屋に運んでおいてよ」

「むっ!?」


 何かうるさくなりそうな予感がしたから、僕の身体を運ばせるっていう名誉ある業務を投げかける。途端にトゥーラは目の色を変え、姿勢を正して静かになりました。チョロい。


「……分かったよ、主~。ひっじょ~に癪だが、私は主の命令に従い、大切な主の玉体を丁重に運ばせてもらお~」

「うん、任せた。やっぱりトゥーラは忠実で信用がおけるなぁ? よしよし」

「ワゥ~ン! もっと、もっと撫でてくれ~!」


 ついでに頭を撫でると、尻尾を振って満面の笑みで抱き着いてくる。一応忠実で信頼がおけるのは事実なんだけど、何かいまいち頼っちゃいけない気がするのは何でだろうなぁ……。


「……フフ~ン!」

「いや、そんな勝ち誇った顔をされてもね。だからどうしたという話なんだが」


 僕に抱き着き頭を撫でられながら、何故かレーンに渾身のドヤ顔を向けるトゥーラ。しかしレーンはこれをスルー。

 うーん、これか? こういう残念な所が問題なのか?

 一応436話(復讐は蜜より甘い)に種馬が囚われている事を示唆している描写があります。三人称だったのであまり触れなかったけど。

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