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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第15章:同盟会談
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同盟会談3

⋇性的描写あり

『よーく見ろ、テメェら! これで俺ら聖人族と魔獣族の同盟は締結された! 少なくとも邪神の脅威が去るまでは、アイツらは敵じゃなく仲間だからな! 万が一魔獣族に対して犯罪行為を働いた場合、同族相手の場合と同様に処罰するぞ!』

『こっちじゃむしろ厳罰に処すからな! 何せ聖人族は俺らよりもか弱い軟弱な生き物だ! 軽く小突いて殺しちまってもおかしくねぇから、あんま苛めるんじゃねぇぞ!』


 遂に様々な話し合いを終えた両種族の王は、お互いに調印した文書を高々と掲げながら周囲にこれでもかと呼びかける。

 それと同時に二人の王に対してこれでもかと魔法が放たれる気配を感じて、あと文書も何とかしようと対象に入ってる感じの雰囲気が伝わってくる。もちろんそれらは僕らが完璧に対処して無力化、そして暗殺者もぶっ殺す。

 なので当人たちは襲撃されたって事にも気が付かず、これ見よがしに文書を振って会談の成功をアピールしてるよ。僕らがどんだけ介護したと思ってるんだ、全く。給料請求するぞ?


『俺様たちで力を合わせ、あのいけ好かない邪神をぶっ飛ばす!』

『文句がある奴らはかかってこい! 今、この場で相手になるぜ!』

『うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!』


 途端に弾ける歓声と怒号――いや、どっちかっていうと怒号の割合の方が大きいっすね。やっぱ納得してない奴らが大勢いるんだわ。何か闘技大会での民度悪い観客たちを思い出すけど、さすがに相手が王様という事もあって露骨な罵声とかゴミを投げるとかは無かったよ。大観衆に紛れて不満を零すしか出来ない腰抜けどもめ。


『――殺せっ! 畜生と肩を並べるほど堕ちた王など、断じて許せん!』

『ならば望み通り相手をしてくれる! 全員、あの売国奴を殺せっ!』


 そして民衆に紛れてた腰抜けではない反乱軍が、遂にその正体を現す。全員が獲物を手にして周囲の腰抜け共を掻き分け、一か八か真正面からの突撃を敢行する。自分の種族の王と停戦&同盟文書を血走った目で睨み、何としてでも己の種族の誇りを護るために。


「ドカーンッ!」


 まあそんなくだらない誇りなんて僕にとってはどうでも良い事。だから広場を囲う兵士たちの最前列にいた自爆要員たちの時を進め、ついでに爆弾を起爆させてあげました。


『うわあああぁあぁぁぁっ!?』

『ギャアアァアァァッ!!』


 まるで祝砲のように上がる爆発。円周状に並んでいた兵士たちの最前列、その二割くらいが一瞬で爆発して綺麗な爆炎で広場を彩った。

 タイミングを窺ったおかげで王様たちに襲い掛かろうとした反乱軍を巻き込めたけど、それ以上に他の兵士や一般人も巻き込まれてたよ。みんな爆発の衝撃で五体が千切れ飛んだり、飛び散る骨肉を浴びて散弾銃食らったような死に方をしてる。まあ一般人に関しては運が悪かったと諦めて貰おう。


「……いやー、無事に同盟締結されて本当に良かった。これで苦労が報われたってもんだよ」


 そんなカオスな会談の場を見下ろし、僕は一仕事終えた達成感に汗を拭う。

 まだ反乱軍は残ってるけど、大部分は何故か爆死したから兵士や護衛の冒険者たちで十分対処できそうだしね。実際民衆に紛れてた冒険者たちも獲物を取り出し、爆発を逃れた反乱軍を兵士と協力して斬り捨ててるし。


「まだ気を抜いてはいけないよ。この混乱に乗じて暗殺を働こうとしている輩もいるようだからね。彼らがこの場を収め、きっちり安全圏に避難するまでは護衛を続けなければならない」


 これで終わりだと思ってたのに、レーンは未だピリピリしてる感じだ。兵士たちがいる方に慌てて駆けていく聖王と、むしろ自分も反乱軍狩りに参加する魔王をしっかり見守ってるよ。

 さすがに僕もこれ以上おんぶとだっこを続けるのはクッソ面倒なんだけどなぁ。ここまで散々手助けして導いてやったんだから、そろそろ自分たちの力だけで何とかして欲しい……。


「……まさか帰りの旅路も護衛を続けるんです?」

「万全を期すならそれも必要だろうけど、帰りも護衛やらせるとおかしくなりそうな奴らがいるからなぁ。帰りくらいは自分たちで頑張って貰おうよ。幸い反乱分子は大部分壊滅してるだろうから、行きの時ほどの大規模な襲撃とかは無いだろうしね」


 ちょっと不安気にウサミミを曲げたリリアナの問いに、僕は内心の面倒臭さを誤魔化して答える。これ以上僕と離れる事になると発狂しかねない奴らがいるのは事実だしね。まあ奴らはすでに発狂してる節もあるんだが……。


「確かに。だがそれでも少々不安だね……」


 しかしレーンさんは楽観論を受け入れず難色を示す。

 くっ、まさか本当に王様たちが首都に帰るまで護衛しないといけないのか!? さすがにそんなのマジで面倒でやりたくないぞ!? 


「あ、あの……それなら一人か二人程度で護衛をして、それをローテーションするのは、どうでしょうか……?」


 なんて焦る僕に救いの手を差し伸べてくれたのは、何と蚤の心臓に定評のあるミラ。控えめに手を上げ、実に賢い提案をしてくれたよ。


「なるほど。それなら一人当たりの負担も少なそうだし、採用かな? 最悪ベルなら文句言わずに帰りの護衛も続けてくれそうだし。あとは自分から提案した辺り、ミラも問題無い感じ?」

「えっと、それは……その……はい……」

「あんな伏魔殿でメイドとして過ごすよりは、陰ながら彼らの護衛を続ける方が精神衛生上良さそうだからね」


 あ、そういう事ね。出来ればもっと穏やかな時間を過ごしていたいから、あえて自分から少人数での護衛任務を提案したのか。賢いっていうより小賢しいな、ミラちゃん。まさかこの僕相手にそんな腹芸をするなんて、このメイド……初対面より好印象だぞ?

 ていうかレーンさん、僕の屋敷を伏魔殿と言いますか……これ翻訳の影響で伏魔殿とかいう悪魔(魔獣族ではない)の巣窟の表現になってるけど、原語だとどんな表現だったのか大いに気になりますねぇ……。


「そういえばミラ、この旅を始めてから心なしかちょっと肉付き良くなってるです」

「言われてみれば確かに。良く見れば顔色も肌艶も素晴らしく輝いているじゃないか。よほどストレスの無い日々だったんだね」


 どうやらミラにとってはこの護衛任務、考えてたよりも相当穏やかな時間だったっぽい。肉付き良くなって血色も肌艶も良くなるレベルか。

 見れば確かにかなり痩せ型だったミラのボディラインが多少マシになってるし、心なしか胸も大きくなってるような気がする。えっ、待って? 肉付き良くなったら相対的に胸は小さくなって見えるはずじゃない? 元々大きかった巨乳が更に成長するほど居心地の良い旅だったの? そしてそんなに僕の伏魔殿――じゃなくて屋敷はストレスフルだったの?


「そんなに僕のお屋敷で過ごすのは嫌い? いや、それとも僕の事が嫌いなのか? 随分嫌われたもんだねぇ。僕はとっても悲しいよ?」

「ひ、あ……! ご、ごめん、なさい、ごめん、なさいっ……!」


 ちょっと皮肉を込めてそんな言葉を投げかけると、ミラはガチビビリして涙目で縮こまる始末。

 しかも今回はストレスフリーだった反動がもろに出たのか、立っていられなくなって膝から崩れ落ちた上でぷるぷる震えてるよ。その上で必死に謝罪と嗚咽を絞り出すのが可哀そうになるほど痛々しい。

 本来ならこういう光景はそそるもんなんだけど、ミラは普段からこんな様子だから正直全然胸に響かない。これが生意気なメスガキだったら死ぬほど興奮するのになぁ……。


「……ねえ。ぶっちゃけお前には最初に一回殺した以外、特に何にも酷い事してないよね? なのにどうしてそんなに怯えるわけ? さすがの僕だって傷つくんだぞ?」

「君を怖がるには十分な理由だと思うんだが……」

「です」


 ちょっと一回首をへし折って殺しただけなのに、何故か怖がられるには十分な理由だとレーンとリリアナが断じる。

 でもちゃんと蘇生させたんだから、実質何もしてないのと同じじゃない? それなのにこんなガチビビリされるとか、むしろこっちの方が傷つくよ。


「ご、ごめんなさい……許して、ください……!」


 軽く詰め寄ると、ミラは気の毒になるほど泣きながら許しを請い始める。

 うーん、駄目だ。普段からこんな調子だから全然興奮しない。どうしてもミラで興奮したいなら、一回デレデレにしてから元の調子に戻す必要がありそうだな、これ……でもミニスちゃん並みに攻略難しそう……。





「さて、それじゃあ改めて――みんな本当にご苦労さま。お前たちのおかげでこの護衛ミッションとかいうクソ下らない任務を最小限の労力で終える事が出来たよ。いやぁ、仲間ってのは素晴らしいよね!」


 聖王と魔王が一旦宿に退避するのを見送った後、僕は混乱冷めやらぬ広場の片隅に全員を集めて素晴らしい仲間たちを労った。ミラとベルは交代での護衛任務中だからこの場にはいないけどね。

 あと周りはまだ反乱軍と兵士や冒険者が戦ってて凄くうるさい。ちょっとは空気を読んで欲しいよ、全く。


「仲間は素晴らしいとか、一番このクソ野郎に似合わない言葉来たわね……」

「リアもご主人様には似合わない言葉だと思うなー。リアたち最初は奴隷だったもんねー?」


 そしてせっかく僕が労ったのに、誰の心にも響いてない感じがする。ミニスちゃんはすっごいジト目で睨んでくるし、リアでさえ笑いながら言葉の棘で突き刺してくる始末。

 ただどちらかと言えば、この二人の反応も比較的マシな方なのが悲しい所。


「よし、そんじゃとっとと続きやるぞ」

「グヘヘ~、第二回戦の始まりだ~!」

「クルスくんが危ない! これはまたあたしも参加して見守らなきゃ!」

「はい落ち着こうね、そこの三匹。落ち着け落ち着け、頭を冷やせー?」


 発情した犬猫と恋する乙女は、労いの言葉をガン無視してヤバい目付きでにじり寄って来る始末。三方向から囲うようにじりじり近付いてくるのを、僕はジュラシックポーズで抑えようと試みる。

 ていうかまだ搾り取る気なの? もう僕の息子はミイラよりも干乾びてるから、しばらく出る物も出ないよ?


「ではこれで屋敷に帰還だな。よし、我は先に帰らせて貰うぞクルス。我らが居城へ。今すぐに。速やかに」

「随分帰りたがるね、君は……」


 猛烈にお家に帰りたがるバールは、言うだけ言ってから魔道具の力で転移を発動。一人でさっさと帰ってった。ブラザーが肉食獣に襲われそうになってるのに無視すんじゃねぇよ。レーンも呆れ顔でさっさと転移して帰っちゃったし。


「ヴィオ、帰ったらまずは二人で一晩中愛し合いたいです……」

「うん、僕もだよリリィ。壊れるほどに君を愛してあげるね? それではご主人様、僕らもこ――」


 そして猟奇カップルもさっさと転移して屋敷に戻った。というかリリアナが強引にヴィオを連れてった感じだ。ヴィオ君、言葉を言い切る前に消えてったし。


「何か発情してる奴ら多い……多くない?」

「イカれた奴らは性欲も強いんじゃない? じゃあ私も帰るから」

「リアよりエッチな子いっぱいだよねー。何かちょっぴり悔しいかもー」


 思わずツッコミをぽつりと零すと、律義に答えてくれたミニスちゃんも消えてった。それに続いてリアも。

 つまりこの場に残ったのは発情したヤベーのが三人と、その獲物としてロックオンされてる哀れな僕。こ、ころさないで!


「オラッ、帰ってとっととヤるぞ。何ならこの場でひん剥いてやっても構わねぇんだぜ?」

「私もそれで構わないよ~! さあ、快楽によがり悶える主の姿をもう一度見せてくれ~!」

「お外なんて恥ずかしいけど、この二人を野放しにするわけにはいかないよね! あたしも頑張るよ!」

「ハッハッハ。おいおい、せめてもうちょっと待って――って、マジで待てって! やめろ、本当に脱がそうとするな!」


 そうして僕は無駄に連携の取れたコンビネーションで襲い掛かってくる三人に強姦されかけながらも、何とかやり過ごして転移で屋敷へと帰還しました。

 とりあえずまた別行動とかがある時は、定期的に顔を合わせて発散してやろうと思います。じゃなきゃ極限まで絞られて僕そのものがミイラになっちゃう……。

 ようやく帰れてバールはとてもご満悦。

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