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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第15章:同盟会談
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再度のグループ分け

⋇性的描写あり

 あれから通常の時間(・・・・・)の流れで(・・・・)三日が経過した。今日は遂に停戦と同盟が行われる記念すべき日。この世界の歴史に残るであろう、最も重要な転換点。小さな一歩なんかじゃない、女神様が待ち望んでいた世界平和への大きな一歩を、世界そのものが踏み出す日だ。

 そしてこれから始まるのが、絶対に失敗させられない同盟会談。だからこそ僕も総力を挙げて取り組むため、仲間たちを街の外に集めたわけなんだけど――


「やあ、皆……護衛任務、お疲れ……」

「き、君の方がお疲れな顔をしていないかい……?」


 そんな重要な日に、僕はだいぶふらつく足取りで今にも倒れそうになってた。これにはレーンも珍しく驚きを露わにしてるよ。何かそれ以上に困惑が強めだけど。たぶんマジで酷い顔してるんじゃなかろうか。


「えっ、ちょ、ちょっとあんた、大丈夫……?」

「ミニスちゃんが心配してくれた……嬉しい……」

「まあ、うん……さすがの私も気の毒になるくらいやつれてるし……」


 加えてあのミニスちゃんが本気で身を気遣ってくれるっていう……あれだけ色々酷い事をされてるのに、よく僕の事を心配出来るよね? まあそれくらい今の僕の見た目がヤバいんだろうなぁ。この場には転移で来たけど、膝笑ってて杖着いてるし。


「日の光に当たれば灰になるのではないか? 吸血鬼の我よりも危険な顔色をしているぞ?」

「タガが外れた二匹の獣に加え、更にもう一人を同時に相手取るのは、さしものご主人様でも厳しかったか」

「分かります。リリィも激しかったので」

「二ヵ月以上も会えなかったのです。火がついてしまうのも当然です」


 僕がそんな情けない姿を晒してる理由は皆見当がついてるみたいで、哀れみを滲ませつつそんな事をのたまう仲間たち。

 まあそういう事なんだよ。結局僕は二匹の発情してイカれた犬猫(+恋する乙女)が満足するまで相手させられたからね。もう僕の中には何も残っていない……。


「性欲旺盛な君も、たかだか一晩絞られた程度で弱音を吐くか。随分と情けないね」

「ハハハ。誰が一晩って言った? おぉん?」


 レーンに嘲るような笑みを向けられ、ちょっとムッと来た僕は誇るようにそう返す。

 でも膝プルプルしてるし欠片も決まってない恰好だろうなぁ……。


「えっ。じゃあ何? まさか魔法で時間を引き延ばして……とか、してたの?」

「そうだよ。まさか会談直前まで色欲に耽るわけにもいかないし、かといって中途半端で放り出したら奴らは余計に悪化しそうだしね。やむなく時間の流れを弄ったよ」

「じゃあどれくらいの時間やってたわけ……?」

「……話したくない」


 ドン引きしつつも尋ねてくるミニスちゃんに対し、僕は回答を拒否する。正直僕も何日分やらされたのかは分からんしね。

 だって完璧に発情してイカれた犬猫と、恋する乙女を三人同時に相手取るんだよ? 二、三日くらいで足りるわけないじゃん? 特に猫とか『絶対ブチ犯す』とかって息巻いてたからね。とりあえず僕が無限の魔力でどんな魔法でも使える現人神でなかったら、間違いなく腹上死してたとだけは言っておこう。

 ぶっちゃけ魔法を使えばこの疲労とその他諸々も何とかできるんだけど、そこまで魔法を使うのは何か負けた気がするからね……。


「ていうか僕の性事情は良いんだよ。今日の流れを説明するから、まあ皆適当に座りなよ」

「……あれ? 死体出さないんだ。珍しいわね」


 というわけで下世話な話は打ち切り、今日のお話をするために皆をその辺に座らせる。僕は膝から崩れ落ちて地面にうつ伏せになって手足を投げ出したけどね。この姿勢が今は一番楽なんだわ。

 ミニスちゃんが何か言ってたけど、ちょっとそういう元気も無いから今回は椅子無しで我慢してもらう事にしました。


「その前に一つ良いか? 我らがここで話している間に何か起きたらどうするつもりなのだ?」

「大丈夫、今はアホ女三人組とミラとリアが色々監視してくれてるから。特にアホ女三人組は元気百倍で活力が漲ってるから、任せても大丈夫そうだしね」


 本題に入る前にバールがそんな事を聞いてきたから、僕はぐったりと身体を投げ出したまま顔も向けずに答える。

 聖王も魔王も、そして会談の場所も監視はつけてるから今の所問題無し。何かあれば連絡来るだろうし、こうやってお話する時間くらいはあるよ。無いのは僕の元気くらい。


「ご主人様の精気を吸収したんですね」

「もっと別のモノも吸ってそうです。私もやったですから」

「えぇい、そっちの話から離れろ!」


 猟奇カップルが下世話な話に戻してきたから、一喝して真面目な話に戻ろうと試みる。

 でも言ってる事は何も間違ってないのが困る。散々色々吸われたしね。何でサキュバスとヤるよりも精気を吸われてんのか不思議でならない。


「ともかく、今日は会談の日だ。だからどうしてもこの会談を食い止めたい反乱分子は死に物狂いで妨害に来るぞ」

「だろうね。暗殺も襲撃も辞さなかった奴らだ。最早手段を選ばず被害も考慮せず攻めてくるだろう」

「今まではどっちのグループでも王様たちに危機感を与えるために、罠を残したりあえて襲撃者をけしかけたりしてたけど、今回はそういうの必要無いよ。反乱分子は見つけたら周囲に悟られないように完全排除の方向でよろしく」

「こっちもなりふり構ってられないって事ね……」


 極めて真面目な方のレーンとミニスは、固い表情(見えないから予想)で応えてくる。たぶん他の皆も似たような顔してるんじゃないかな? 過激な襲撃を特等席で見てきたんだし、反乱軍がヤバい事するくらいは簡単に予想ついてそう。

 

「僕とレーン、あとリリアナ。そしてそこに隠れてるメイドは罠とか道具、あと魔法とかへの対抗役ね。何か異存はある?」

「いや、何も無いよ。任せてくれ」

「ヴィオとまた離れるのは辛いですが、役割はしっかり果たすです」

「が、頑張り、ましゅ……」


 そうして再びのグループ分け。今回選んだ面子は魔法が得意かどうかで決定した。

 だって絶対会談の場所に広範囲の爆撃染みた攻撃魔法とか、高威力高精度のライフル狙撃みたいな攻撃打ち込んでくる奴絶対いるでしょ。反乱軍には一般人だけじゃなくて冒険者とかも混じってるみたいだしね。まあそれもピンキリっぽいが。

 会談場所の周囲を魔法が使えないエリアにする事も考えたけど、万一これを王様たちに気付かれて変に勘繰られたりしたらやだからね。それで会談がご破算になったら笑えない。だから魔法対抗要員は必須。

 僕とレーンは言わずもがなだし、リリアナは腐っても元Sランクの冒険者。フィジカルに定評のある兎獣人とは言え、本人は魔法の方が得意らしいし。あとミラに関してもクソビビリなだけで、魔法の才能に関してはレーンのお墨付きだしね。魔法対抗要員はこんなもんでしょ。


「ミニスとリア、そしてセレスは会談が無事に進行するか監視して貰う役ね。場合によっては他の役もやって貰うよ。ここまでやってあげて同盟とか結ばなかったらムカつくし、その場合は何らかのアドリブを起こして無理にでも同盟結ばせないといけないから。あと他にも一つ仕事があるけど、それは後で教えるね」

「分かったわ。女神様が望む世界のためだし、頑張らないとね」

「うん、リアも頑張るよ!」


 この三人――いや、一人監視任務中だからいないけど、とにかくこの三人は会談の行く末を見守る監視役だ。ぶっちゃけ何の問題も無く進行すれば仕事が無いとも言う。

 だからここに配置したのは、真面目で職務に忠実だけど僕の事大嫌いなミニスちゃん。そして喜んで言う事聞いてくれるけどアホな戒律のせいでやれる事に限りがあるリア。最後に本気を出すと自分以外を全て吹き飛ばす大嵐を呼ぶ困り者、セレスの三人。本人の性格とは無関係な問題児を集めて、その保護者をミニスちゃんにさせてる――って言った方が正しいかな、これ? まあさすがに口には出さないけど。


「で、残りのメンツはさっき言った通りの殺し屋役ね。反乱分子を見つけたら周囲にばれないように抹殺よろしく。万一それが無理そうな奴がいたら、僕に連絡ちょうだいね」

「うむ、了解だ。殺された事にも気付けないほど手早く殺してやるぞ」

「了解しました。ご主人様の期待を裏切らないよう頑張ります」


 残りの奴らは大体フィジカルに定評のある奴らだから、フルにそれを活かしてもらって索敵と暗殺に専念してもらう役回り。特にベルとかは相手が魔将だろうと大天使だろうと一撃で殺せそうだし、どんな奴が反乱軍にいようがあんまり関係ないよね。ベル以外にも生粋の殺人鬼とか馬鹿みたいに武術や体術を収めてる変態とかもいるし、こういう任務に関しては頼りがいがあるよ。


「また、コイツらと……同じグループか……!」


 何か一人、絶望の声を上げてる人がいるけど……まあ、コイツも腐っても魔将だし問題無いでしょ。無いよね? 最近残念過ぎていまいち信頼が無いな、コイツ……?




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