ロリサキュバスとの爛れた日々
⋇一方その頃、主人公
⋇クルス視点
⋇性的描写あり
⋇残酷描写あり
「んー……良く寝たぁ……」
実に気持ちの良い睡眠と爽快な目覚めを経て、僕はベッドの上で大きく伸びをする。
窓から差し込む朝の日差しも、今は僕への祝福みたいに受け取れる。普段はわりと煩わしく感じるのにね?
正直これほどの目覚めは非常に珍しい。いつもは気付いたら犬か猫が潜り込んでる事が多くて、大概眠ってる間にナニカされてる事が多いからね。まあそういう場合、下半身の方はスッキリしてるんだが……。
「ほら、リアも起きろ。もう朝だぞ?」
というわけで、隣でむにゃむにゃ言ってるロリサキュバスも起こす事にする。昨晩は、というか昨晩もお楽しみだったのでよりぐっすり眠れた感があるな。
「んー……やーだー……」
しかしせっかく素敵な朝を迎えられたのに、リアは嫌々するように首を振って起きるのを拒む。その癖僕の身体にしがみついてくるんだから始末に負えないね? あ、当然僕らは生まれたままの姿っすよ。温もりと仄かな柔らかさが堪らんぜ!
「やだじゃない。ほら、早く起きろー?」
「せっかく二人きりなんだから、お昼まで一緒に寝てようよー……そして起きたら美味しい物をいっぱい食べて、いっぱいエッチな事して、またいっぱい寝るのー……」
「一次欲求を満たす事しかしないとか、人間を堕落させる悪魔か?」
見た目完全に可愛らしい幼女なのに、眠た気に口から零れ出るのはひっどい爛れた欲望の嵐。いや、全部本能に根差す欲求だしある意味純粋か? それにサキュバスだし悪魔って分類で間違ってはいないかな……?
「いいから起きるぞ。一応は奴らの様子も見ておかないといけないんだから」
「ぴゃーっ!?」
とりあえず長い尻尾をぎゅっと掴んで握ってやると、途端にリアは素っ頓狂な声を上げて飛び上がる。どうにも付け根の方が弱いらしいんで、ここを弄るとかなり激しく反応するんだわ。その証拠に目論見通り、リアは完全に目を覚ました。
代わりに牙を剥いて翼を広げてこっちを睨みつけてきてるけど、迫力は無いから子猫の威嚇みてぇだな……。
「もうっ、ご主人様ったら酷い! せっかく気持ち良く眠ってたのに!」
「さっきのは惰眠を貪るって言うんだよ。そもそもこの二人きりの生活はまだまだ続くんだし、そんな終わってる生活しなくたってその内満足できるって」
「むー……!」
頭を撫でながらそう伝えるけど、リアの機嫌はいまいち直らない。頬を膨らませて唸ってるし、尖った尻尾の先で僕の身体を槍みたいに突いてくる。
サキュバスってあんまり真面目なイメージ無いし、サキュバスの女王も大概アレだったし、意外とリアもそういう所はあるんだろうか。二人きりだから油断してるのかな?
「そんな事よりシャワー浴びに行くぞー。いや、どうせなら今日は泡風呂にでもするか」
「泡風呂!? あのあわあわでぶくぶくなお風呂!? 入りたい入りたい!」
「じゃあ三大欲求の限りを尽くしてないで、さっさと行くぞー」
「うん!」
とはいえ身も心も幼いまま成長しないリアは、やはり合法ロリサキュバス。泡風呂一つで目をキラキラさせてご機嫌に笑ってたよ。単純で扱いやすいなぁ……。
「ふうっ……」
「あわあわー、ぶくぶくー」
入浴剤と間違えて洗剤ぶちまけたみたいな様相の泡風呂の中、僕は全身を包む熱さと滑りに一息つきながら、魔法で展開したモニターを眺めてた。隣じゃあリアが口元まで泡風呂に沈んで心底ご満悦って感じだ。
今の所、護衛任務はとっても順調。何かすっごい弾けてる奴とか絶望してる奴もいるけど、前者はちゃんとやる前に連絡入れて許可取って来たし、後者に関してはくじ運が悪かったと諦めて貰うしかない。今の所僕の出番は無さそうだし、このまま任せてても問題無さそうだ。
「どっちも問題無いのは良いとして、逆にこっちがちょっと問題アリかなぁ……」
そう、どちらかと言えば僕とリアのお留守番組に問題がある。しかも結構深刻な感じの。
二週間くらい経った今、その問題がどうにも顕在化してきてて最近ちょっと頭を悩ませてるんだよねぇ。
「えー? ご主人様、リアと二人っきりは嫌なの?」
「別にそういう訳じゃない。ただメイドも執事も任務に就かせてるから、屋敷の事は全部自分たちでやらないといけないのがね。ちょっと忘れてたけどハニエルもいるし」
「あっ、そっかぁ……」
この答えにはリアも納得したように頷く。
そう、問題っていうのは身の回りの事。仲間も協力者も全員出払ってるから、火事炊事掃除、全部僕とリアでやってるんだよね。もちろん魔法をフルに使ってるからそこまでの労力では無いんだけど、段々とそれすらも面倒になって来たんだ。
特にヤバいのはハニエルのお世話。何せ止めてくれる人がいないから、顔を合わせる度に満足行くまで心を抉った結果、ちょっと一時期の完全に壊れた廃人に逆戻りしちゃいました。一体誰がこんな事を……。
とまあ要するに、やっぱり身の回りの世話をする人が必要だって事。いなくなって初めて分かる、メイドたちの必要性……。
「じゃあリアが全部やっても良いよ? お昼はご主人様のために働いて、そして夜はご主人様にエッチなご奉仕っていうお仕事をするの。そういうプレイも楽しいってリリスちゃん言ってたよ!」
「何を教えてるんですかね、あの魔将は……」
こんな合法ロリサキュバスに変な知識を与えている事に少し引いたけど、内容自体は実に素晴らしいのが性質悪い。主従プレイって良いよね……。
「こういう風に洗ってあげるのも効果的なんだよね! 痒いところはございませんかー?」
「泡風呂なせいでどう見てもソープじゃん、これ」
加えてリアが背後に回り、身体を擦り付けてゴシゴシしてくるのが大変下半身に悪い。朝から泡風呂で事に及ぶとか退廃的過ぎん? 何かもうやっちゃってもいいかなって気分になってくるのが困る。
「……それはともかく、さしもの僕でも見た目幼女のサキュバスに家事を丸投げしてふんぞり返るほど畜生じゃないぞ?」
「そうだね! ご主人様はその程度で済むちくしょうじゃないもんね!」
「………………」
何か酷い罵倒を受けた気がして、ちょっとイラっと来た。もしかして僕そういう方向にも振り切った外道だって思われてる? これはお仕置きが必要ですねぇ?
「わっ!? きゃ、あはははははははっ! ご、ご主人様、やめっ、くすぐったい! あはははははははっ!」
そんなわけで、振り返ってリアの未成熟な身体をひたすらにくすぐってやる。泡風呂のせいで全身ぬめぬめしてるせいか妙に堪えたみたいで、リアは涙が零れるほど笑いながら手足や翼をばたつかせてたよ。オラ、ここか!? ここが良いのかぁ!?
「ま、何だ。確かに屋敷の人手が足りないせいでちょっと困ってるけど、どうせならこの状況を最大限に利用して楽しむのも良いんじゃないかな?」
「利用って、何するのー?」
「いるだろぉ? 言えば何でもしてくれそうな、リアがとってもご執心な奴らが地下の牢屋にさぁ?」
「あー……ふふっ、楽しそー?」
意味深な笑いと共にそう伝えると、リアは泡風呂でも決して洗い流せないほどの闇に溢れた邪悪な笑みを浮かべた。
「さ、みんな頑張ってお掃除してね! ご主人様のために心を込めて、一生懸命にお屋敷を綺麗にするんだよ!」
「は、はいっ、頑張ります!」
「が、頑張ります! 何でもしますっ!」
ニッコニコ笑顔で金槌の素振りをするリアの前に並ぶのは、金属製の首輪を嵌められた一糸纏わぬ姿のサキュバスたち。皆一様に恐怖に震えながら、必死に笑顔を形作ってリアの激励に応えてる。
そう、彼女たちは地下牢に幽閉してるリアの玩具たち。人手が足りないからコイツらを引っ張り出して、掃除とか諸々を任せようって事になったんだ。何か軍隊の上官が新兵たちにする扱きよりも酷い絵面だけど。ちなみにサキュバスたちが全裸首輪なのは僕の趣味じゃないよ。
「あれれ? お返事してない子がいるなー? 何か文句でもあるのー?」
「い、いえ、そうではなく、その……掃除道具が、無いのですが――うぎいっ!?」
真っ当な質問を投げかけようとした一人のサキュバスが、金槌で横っ面をぶっ飛ばされ床に倒れる。何の情け容赦も無く金槌を顔面に叩き込むリアも大概だけど、殴られても即座に置き上がり平伏するサキュバスの方も大概だよね。リアによる調教とその恐怖が魂の奥底にまで刻まれてそう。
なお、サキュバスに怪我はない模様。これはリアが自分に課した馬鹿みたいな戒律のせいだね。だから幾ら殴っても平気って事で、倫理観もゆるゆるになってるんでしょうよ。元からこんなだった気もするが。
「だったら舐めて綺麗にすれば良いんじゃないかなー? 舌でペロペロするのは得意でしょ? 嫌だっていうのなら、今からお仕置きしちゃうよー?」
「や、やります! お仕事、させて頂きますっ!」
ゴツゴツと頭の天辺を軽く叩かれたそのサキュバスは、這い蹲って床に舌を這わせた。そうしてペロペロと床を舐めて綺麗にするっていう犬猫みたいな真似を始め、他のサキュバスもドン引きする事無くそれに続く。
不思議だなぁ。サキュバスが舌使ってるのに全然エロくない……。
「うんうん、みんな頑張ってね! 一番頑張った人はここから解放してあげるからね!」
「は、はいっ……!!」
全員が良い返事を返すも、そこに喜びとか期待は欠片もこもってない。十中八九、嘘だって事を理解してるんだろうね。まあ僕が前に似たような嘘をついたからだと思われる。
というわけで僕の目の前では、金槌を笑顔で素振りする合法ロリサキュバスと、その周囲で這い蹲って床を舐めて掃除する全裸のサキュバスたちっていう、実にツッコミどころの多い光景が繰り広げられてます。なんぞこれ。
「……どうよ、リア。楽しい?」
「うん、すっごく楽しい! あの偉そうでワガママな奴らが、這い蹲って汚れをペロペロ舐めていってるんだよ! 胸がスカッとするよね!」
「そりゃあ良かった。でもさ、どれだけ変なモノを咥えて舐めたかも分からんサキュバスの舌で舐めて掃除とか、ちょっと僕としては嫌悪感あるんだが?」
リアが楽しんでるのに水を差すみたいで気が引けるけど、あえてそれを口にした。
ぶっちゃけ床全面がサキュバスの唾液でコーティングされたら、むしろ汚いとしか思えない。だからこの光景もあんまり興奮しないんだろうなぁ。というか他のサキュバスに性的興奮なんて催したらリアが静かに闇を漂わせるし。
「そっか、それもそうだよね! こんなびっちたちが綺麗に出来るわけないもんね!」
どうやらリアも分かってくれたらしい。目から鱗って感じに笑顔で頷いてくれた。
そしたら何故かいずこかへとテトテト走って行き、戻ってきた時には何か箱を抱えてたよ。良く洗面所とか、洗濯機の近くに置くようなやつ。
「それじゃあはい、洗剤だけは使わせてあげるね! これで汚い口と舌を綺麗にして、それに床にも使ってお屋敷をいっぱい綺麗にしてね!」
「笑顔で毒を吐いて毒を提供するっていう……」
恐ろしい事にそれは洗剤の箱だった。それも液体じゃなくて粉状のやつ。それで口を濯げとか悪魔か? いや、悪魔だったわ。
「は、はい……わ、わか、分かりました……」
「そして震えながらも洗剤を自ら呷るっていう……」
調教――もとい、訓練されたサキュバスたちは躊躇わない。受け取った粉洗剤を自ら口に含み、唾液で泡立て濯いでいく始末。尋常じゃなく泡立つから、何かカニみたいに口から泡吹いてるみたいに見えてウケる。
「頑張ってね! ちょっとでも休んだり失敗しちゃったら、焼きごてを押し当ててお仕置きだからね!」
あっ、これもしかして洗剤が人体に有害だって気付いてない感じか? 食べ物じゃなくて味は苦いってだけの認識? だったらリアのこの対応も納得だ。これ確実に中毒症状でダウンする奴出て来るもん。
ま、リアが楽しそうだからいっか! 精々頑張って耐えような!
こっちはこっちで地獄。