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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第15章:同盟会談

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国境に遊びに

⋇性的描写あり

「ふむふむ……なるほどねぇ? 詳しい話は七日後、国境の砦で行われる感じか」


 色々と聖人族の国の情報を集めた結果、魔道具越しとはいえ両種族の王による話し合いが行われる事になったという情報を掴んだ。

 だけどこの情報は一般民には知らされてない、ごく一部の者たちだけが知ってる情報だ。向こうも『敵と停戦します! 同盟結びます!』なんて周知したら民衆の反感を買う事は分かってるんだろうなぁ。

 しかし、何だろう。その対応にもの凄く感動してる自分がいる。当たり前の事やってるだけなのは分かるけど、前が酷すぎたからなぁ……。


「まさかあたしが仲間になった途端、こんなに良い事が起こるなんて……もしかしてあたし、クルスくんにとって幸運の女だったり!? キャーッ!」


 集めた情報をリビングで整理してる僕の後ろで、何やらセレスが嬉しそうに悶えてる。幸運の女かどうかはさておき、自己評価が高いのは良い事だ。


「は~? ただの偶然をそこまで自分に都合良く解釈できるなんて、ちょっと自惚れが強すぎるんじゃないか~い? 頭の緩い小娘だね~?」


 そんなセレスの喜びに水を差すのは妙に不機嫌なトゥーラ。こちらも僕の後ろ、というかソファーの後ろでガンを飛ばしてる。

 やっぱり同族嫌悪みたいで、自分と似た所があるセレスの事が気に入らないみたいだ。セレスが仲間になってからというもの、妙に絡んでて困るよ。


「あれー? 何だろー、何か負け犬の遠吠えが聞こえるなー? クルスくんに愛して貰えなくてワンワン悲し気に鳴いてるなー?」

「は~っ!? 負けてなんかいないが~!? 私と主はいつもラブラブだが~!?」


 そして何か煽り合ってるし……何なんだコイツら。ノリが似てるとこういう事になるのか。ただでさえうるさいクソ犬が更にうるさくなったぞ……。


「七日後か……これは是非ともリアルタイムで見たいし、直接現地に行こうかな?」

「はいはい! あたしも行く!」

「はいはい~! 私もイく~!」


 なんて風に結論を出すと、途端に二人は僕の前に回り込んで笑顔でアピールしてくる。さっきまで喧嘩腰で睨み合ってた空気はどこへやら。まるで鏡合わせみたいに良い笑顔を浮かべてらっしゃる。


「トゥーラはともかく、セレスは最近一緒に過ごしてたじゃん? だから今回はお留守番ね」

「えーっ!?」

「くははは~っ! ざまあみろ~!」


 しかし僕がそう口にすると片方の笑顔は悲しみに染まり、もう片方は邪悪な笑みに変わる。

 お前らマウント取り合わないと死ぬ病気か何かなの? というかセレス、まだ仲間になって日が浅いのにかなり馴染んでるな……。


「そ、そんなのないよ、クルスくん! ほら、あたしはまだ仲間になってからそれっぽい事何にもしてないからさ、まずは一緒に連れて色々見せるのが良いんじゃないかな!?」

「おやおや、随分と浅ましい足掻きだね~? 負け犬は負け犬らしくお家に帰ったらどうだい~?」

「えぇい、うるさい! このーっ!」

「何だ~、やるか~!?」

「仲良いね、君ら……」


 クソ犬にムカつく笑顔で煽られた結果、セレスはトゥーラに飛び掛かった。そのまま二人でゴロゴロと床を転がりながら、髪を掴み頬を引っ張る醜いキャットファイトに移行する。ミニスカのセレスはパンツが丸見えだよ、全く……。

 ていうか、何かアレだね。独占欲の強い甘えん坊な子犬を二匹飼ってる気分だ。子犬同士がじゃれあってると考えれば、なかなか微笑ましい光景なんじゃない? 片方はSM両方いける変態のクソ犬で、片方は邪神に魂を売った恋する乙女だけど。

 あー、でもこの二人との3Pとかめっちゃ楽しそう……楽しそうじゃない?







「――というわけで、国境の砦にやってきました」

「きました!」

「きました~!」

「きましたー!」


 七日後、僕は満を持して国境の砦を訪れた。

 今回の同行者はノリの良い三人。結局押しに押されて同行を許す事になったセレスと、それに対抗して同行をゴリ押ししてきたトゥーラ、そして癒し枠として僕自身が選んだリアだ。何かセレスとトゥーラだけだと、僕を取り合って真っ二つにしそうだからね。一種の清涼剤が必要と判断してリアにしました。


「どうやら両種族共に衝突する事も無く、粛々と準備を進めてるみたいだね。感心感心」


 砦の上の通路に上がって一番人が集まってる所を見に行くと、そこでは魔道具越しの対談に向けて両種族が何やら準備を進めてる。

 ちょうどお互いの砦の広場的な部分が重なり合って合体した場所があるから、どうもそこでやるみたいだね。まあ広場の大きさが違うせいもあって若干位置がズレてるけど、それは仕方ないか。どっちかの砦に集まってやるわけにもいかないしね。


「そうかなぁ? 何か魔将と大天使が睨み合ってない?」

「それはしゃあない。何千年も前から続く犬猿の仲みたいなもんだし。睨み合ってるだけで済んでる分、奇跡みたいなものだよ」


 準備を進めてる兵士たちとは違い、魔将と大天使は自分の国の砦からお互いを睨むように対談の場を見下ろしてる。とはいえその視線に含まれた敵意にはだいぶ差がある感じだ。痴女お姉さんこと大天使ザドキエルは何度も無駄にセクシーポーズを取って、挑発的な笑みを浮かべて自分のスタイルをアピールしてる。

 反面貧相な身体をした竜人魔将ルキフグスは、それを見て悔しそうに唇を噛み射殺すような目で睨んでる。大丈夫かね、これ? キレ散らかして対談がご破算になったりしない?


「ふむふむ……ハニエル以外の大天使を見るのは初めてだが、なかなか強そうだね~。やっぱりアレが特殊なだけなのかな~?」

「そういえばクルスくんの仲間には大天使っていないんだね。あのハニエルって子は仲間じゃないんでしょ?」

「まあ機会が無かった感じでね。一応勧誘した奴もいるけど即座に蹴られちゃったし」

「蹴られたって、その後どうしたの?」

「宇宙の果てに追放した」

「うわぁ……」


 セレスの疑問に答えると、何故かドン引きされてしまう。

 おう、僕の全てを受け入れる真実の愛はどうした? ちょっと不死身の化物を宇宙の果てに不法投棄した程度で冷める愛なのか?

 

「……それにしても、本当に誰もあたしたちの姿や声には気が付かないんだね。クルスくんの魔法凄いなぁ」

「これに関しては同じ事が出来る奴もいるけどね。うちのメイドとか」

「あー、あの子ね。クルスくんの所でメイドやってるのはさすがにびっくりだったよ……」


 若干遠い目をして、セレスは半笑いを浮かべる。

 うん、透明メイドことミラを紹介した時はそれはもうびっくりしてたからね。何せ闘技大会の予選で自分を打ち負かしたステルス魔法使いが、想い人の屋敷でミニスカメイドになってんだもん。『お手付きとかしたの!?』ってセレスに散々詰め寄られました。驚くって言うか反応するのそこなのね……。


「覚えてるかは知らないけど、僕に散々な真似をしてくれたメスガキもいるよ。まあアイツは魔法で死体みたいな状態にされた上でバールのメイドやってるから、ミラの方が扱いはマシだよね」

「うわぁ……」


 セレスさん、ここで二度目のドン引き。しかしさっきの宇宙への不法投棄の時に比べると、微妙に反応は薄めだ。あのメスガキはニカケへの差別意識がクッソ強かった生意気な奴だったもんね。しょうがないね。


「ん~……」


 ここで唸るような声が聞こえてそっちに目を向けると、そこには酷く真剣な表情をして考え込んでる感じのトゥーラがいる。

 いつも頭ぶっ飛んでる奴にしてはいっそ珍しいくらい真剣だ。何か重要な事柄でも思いついたんだろうか。馬鹿なだけで頭は良い奴だし。


「……あの大天使、なかなか胸がデカいね~? 私にもアレくらいあったら、主はもっとガツガツと私を求めてくれるのかな~?」

「真面目な顔で何考えてんのかと思ったらお前よぉ……」


 しかし僕のそんな予想は見事に裏切られた。トゥーラはザドキエルの巨乳を見てそんなアホな事を考えてたようで、自分の胸を揉むようにしながらバカの極みみたいな事を口走る。最早呆れて言葉も無いよ……。


「そういえばご主人様、あの人のおっぱい揉み揉みしてエッチな顔してたよねー?」

「な、何だって~っ!?」

「それ本当なの、リアちゃん!?」

「うん、本当だよー」

「あー、そんな事もあったか……」


 ここで何故か火に油を注ぐような発言をするリアに、トゥーラだけでなくセレスも食いつく。

 そういや確かに揉んで良いって言われたから、お言葉に甘えて揉ませて貰ったっけ。よく覚えてたな、コイツ。あ、もしかしてあの時もこっそり闇を漂わせてたんだろうか? 確かに痴女でスタイルの良いお姉さんとかサキュバスみたいなもんだしな……。


「くっ、やはりデカ乳か~!? 巨乳なのか~!? 挟んで扱けるのが良いのか~!?」

「クルスくんの浮気者ぉ~……!」

「何だコイツら……」


 そして|ノリの似通ったアホ二人トゥーラとセレスが、僕に縋りついて涙目でそんな事をのたまう。

 確かにデカいと色々な事が出来るから嫌いじゃないのは確かだけど、かといって貧乳が嫌いってわけでも無いんだぞ? あとお前ら僕の女の中ならどっちかというと大きい方だろ。トゥーラだってバスト八十あるし、セレスに至っては八十六くらいあるし……。


「やれやれ、どいつもこいつもアホばっかだ。ねえ、リア?」

「やっぱりご主人様は、サキュバスみたいなおっきなおっぱいが好きなの? ねえねえ?」


 縋りついてくるアホ二人を尻目に、唯一まともそうなリアに視線を向けると――こ、これは……闇! ハイライトの消えた淀んだ瞳で僕を見つめるヤベーロリサキュバスがいる!


「んー……ここが地獄か……」


 三人の誤解を解くのにかかる労力を考えて、僕は思わずそんな事を呟いた。連れてくるメンツ間違ったかな、これ……。

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