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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第14章:恋する乙女の末路
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閑話:妹、襲来! 6

⋇みんなに無垢な幼女をしばらく預かる事を報告する、の巻

⋇復活したニコニコを見てたら投稿遅れました。申し訳ない。

「今日はお前らに報告がある。この子はレキ。ミニスの妹で、何も知らない無垢な子供だ。しばらくここに泊まる事になったから、みんな優しくてしてあげてね?」


 屋敷に入った僕は、まず使用人たちをリビングに集めてレキの紹介をした。仲間内で唯一レキの事を知らなかったトゥーラにはもう紹介も済ませてるしね。本当はレーンも知らないけど、まあこの屋敷にはいないからあんまり関係は無いか。

 

「こんばんは! 私は、レキっていいます! よろしくね!」


 僕が背中を軽く押して促すと、レキは一歩前に出て元気な自己紹介をする。

 予め『何も知らない無垢な子供』って紹介したし、この自己紹介も相まって僕らの闇の部分を知らない子供だって事はみんな分かってくれただろう。実際メイドたちも執事も『ああ、何も知らなくて幸せそうだな』って感じのやんわりとした笑みを浮かべてるし。


「うむ、そうか。私はベルフェゴールという。この屋敷のメイド長だ。気軽にベルと呼ぶことを許してやろう。よろしくな?」


 真っ先に自己紹介を返してきたのはメイド長ことベル。今日はキラの2Pキャラの姿をしてるんだが……しまったな。ちょっと説明が面倒になりそうだ。どう見てもキラの双子とかそういう感じだけど、実際は赤の他人だし……。


「よろしく、ベルちゃん! ねーねー、ベルちゃんはキラちゃんのおねーちゃんなの?」

「む? いや、それはな……」


 実際そんな流れになってしまって、ベルは真実を口にして良いものか困ったような顔を僕に向けてくる。本当は見ただけで精神が壊れちゃうくらい醜い化け物の姿をしてるから、人の形を真似してるんだよ……なんてさすがに言えないか。

 うーん、とりあえず重要な所はぼかした感じにした方が良いな?


「……コイツはちょっととある事情で、いつも誰かにそっくりの姿に変身してるんだ。今はキラそっくりに変身してるだけで、別に姉妹でも何でも無いんだよ」

「そうなの!? じゃあ、レキみたいにもなれる!?」

「ふむ、そうだな……」


 ぼかした『とある事情』よりも、自分に変身できるかどうかの方が気になるみたいで、レキは瞳を輝かせながらベルに迫った。対してベルは少し考え込む様子を見せながら、レキの姿を頭のてっぺんから爪先までじっくりと眺める。まるで脳裏に焼き付けるみたいに。


「……こうか?」


 そしてたっぷり十数秒後。不意にベルの身体が光に包まれたかと思えば、そこにはレキの2Pキャラと化したベルの姿があった。髪の色が紺色で瞳の色が黄色な事を覗けば、むしろ本物の姉であるミニスよりもそっくりだ。


「わー、すごーい! すごーい!!」

「うわ、レキそっくり……」

「ふむ、この身体もなかなか悪くないが……さすがに少々小さすぎて業務に支障が出そうだな?」


 これにはレキも大興奮の笑顔を浮かべて拍手の嵐。対して姉であるミニスちゃんは大好きな妹が二人に増えたのに複雑そうな表情。まあ片方は正真正銘の化物だし仕方ないか。むしろ幸せな家庭を恐ろしい何かに侵食されてるような気分なのかもしれない。


「さて、それじゃあ他の奴らも紹介しようか。あそこにいる二人はメイドと執事の猟奇――じゃなくて、ラブラブカップル。ヴィオとリリアナだ」

「ヴィオと申します。どうぞよろしくお願い致しますね、お嬢様」

「リリアナです。リリィと呼んで結構ですよ。よろしくお願いしますです」


 相手が幼女でも慇懃に頭を下げるヴィオと、手とウサミミを振って友達感覚で自己紹介をするリリィ。

 しかし何かこの場のウサギ密度が滅茶苦茶高いなぁ? ベルを含めて四人もいるやんけ……。


「よろしく! 二人は恋人さんなんだね!」

「はい、僕とリリィは真実の愛で結ばれた恋人同士なんです。お互いが相手を好きで好きで堪らないんですよ」

「愛し愛されるというのはとても素晴らしい事です。あなたもきっといつか、素敵な人が見つかるです」


 ぎゅっと手を繋ぎ指を嫌らしく絡め合いながら、お互いへ熱い視線を送りあう猟奇カップル。言ってる事自体は何も間違ってないし、とってもそれっぽい台詞なんだけど、その裏で現在も酷い目に合ってる元仲間たちがいるって考えると途端に醜く思えますね……この二人、今でもかつての仲間たちを拷問してるらしいっすよ?


「そっかぁ……レキにもいつか、素敵な恋人さんが……!」


 羨望の眼差しを二人に向けながら、期待のこもった呟きを零すレキ。

 さり気なく僕にチラッと視線を向けてきた辺り、姉の方と違って好感度稼ぎはしっかり出来てる模様。レキの前じゃあ優しくて気の良いおにーちゃんっぽい振る舞いしかしてないもんね。本性を見せてるミニスとは違って。


「レキぃ……何でこんなクズに、そんな意味深な目をぉ……!」

「ハッハッハ。これが人徳ってやつさ」


 可愛くて純真な妹が僕みたいなクズを意識してるっていう現実に耐えられなかったのか、突如としてミニスがその場に崩れ落ちる。鋼メンタルでも寝取られには耐えられなかったんだろうか……?


「で、最後にそこの影に隠れてる奴がもう一人のメイド。名前はミラ。見ての通り臆病な奴だから、適当に脅かしてやると良いよ」

「そんな酷い事しないよ? ミラちゃん、よろしくね!」

「ひうっ!? あ、そ、その……よ、よろしく、お願いします……」

「うん、よろしくね!」


 どうやら本当にレキが純真で穢れの無い子なのか疑ってるみたいで、ミラは未だに及び腰だ。

 純心な幼女だと思ったら復讐に取りつかれた破綻者だった、みたいな経験をしてるからね。警戒するのも無理はないか。


「よし、これで紹介も済んだか。十日間この子を預かる事になったから、何か困ってたりしたら率先して助けてあげてね? レキの方も、何かお願いとか欲しいものがあったら遠慮なく誰かに言ってくれて良いからね」

「うむ、了解だ」

「うん、分かった!」


 使用人を代表して頷くベルと、元気いっぱいに頷くレキ。どっちも姿形が同じだから今ちょっと紛らわしいな? このロリウサギ率の高さよ……。


「それじゃあレキ、早速おにーちゃんにお願いがあるの。良いかな?」

「お、何かな?」

「えっとね、レキ、何だかもう眠いから、ちょっとお昼寝したいなぁって……」


 人の家に来て早速言う事ではないと思ってるのか、若干恥ずかしそうに口にするレキ。

 でも考えてみれば納得のお願いだ。母親譲りか姉譲りかはさておき、その争えない血による意志力で以てここまで旅を続け、あまつさえこの街についてからは僕と一緒に姉をストーカーしてたから休む暇が無かった。ぶっちゃけそこまで気にしてなかったから今気づいたけど、さすがに幼女には辛かろう。


「良いよ、それじゃあ屋敷の案内とかは明日にしよう。今日はミニスと一緒に寝てなよ。夕食の時間になったら起こしてあげるから」

「うん! ありがとう、おにーちゃん!」


 僕の優しさに満面の笑みを浮かべるレキ。その無垢で穢れの無い純真な笑みを前にして、心の中でムクムクと悪戯心が湧いた事を一体誰が責められようか? 

 えっ、ロリコンのド変態? そんなのリアを抱いてるんだから今更じゃん? あと今回は別にレキに対する悪戯じゃないよ?


「どういたしまして。お礼は頬っぺたにチュウしてくれると嬉しいな?」

「は?」


 そんな提案に対しドスの利いた怒りの声を返すのはレキ――じゃなくて、姉の方。『は?』のたった一言なのに、不思議と『今何て言ったこのクソ野郎』っていう副音声が聞こえたよ。圧縮言語の一種かな?


「分かった、チュウだね! チュッ!」

「あっ!?」


 ただし僕に対する好感度が高く、ミニスと僕の確執も知らないレキはとっても素直。ぴょんと僕に飛びついたかと思えば、頬っぺたに可愛らしくキスしてきたよ。それを見て驚愕の声を上げるミニス。ちなみに今回は副音声が聞こえなかったので、純粋な驚愕の声だと思われる。


「――さ、お姉ちゃんと抱き合ってゆっくり眠ると良いよ。ふっかふかのベッドだし気持ち良いよ?」

「うん!」


 そうして僕はレキの頭を一撫でしてから床に下ろし、姉の方へと行かせる。ミニスはとことこ歩いてきたレキを僕から守るように抱き寄せると、無言で歯軋りしながら鋭い睨みを向けてきたよ。一体どうしてそんなに警戒されてるんだろうなー?


「それじゃあおやすみ、レキ?」

「うん! おやすみなさい、おにーちゃん!」

「………………」


 そのままレキは警戒した様子のミニスに連れられ、お昼寝のために寝室へと歩き去って行った。

 しかしミニスの様子がアレだね。手負いながらも子を守る獅子みたいな、ヤバめな気迫を感じたよ。まあ実際は兎なんだが……。


「……いやぁ、これでミニス弄りに張りが出るってもんだね!」

「分かります。女の子はからかうと可愛いですものね」


 その様子を目の当たりにして、僕は確信した。レキを引き合いに出せば、普段よりも新鮮で楽しいミニス弄りが可能になる事を。これにはヴィオ君も無駄に良い笑顔で賛同してくれたよ。

 何せレキはミニスにとって、自分の身を犠牲にしてでも守りたいほど愛する妹。しかしレキは何も知らない無知で純真な存在。そんな無防備な存在が隣にいて、僕というちょっと危ない奴がいるとなれば、それはもう気が休まらない事だろう。こんな機会は早々無いし、是非ともこの状況を楽しみたいところだね。


「さすがにミニスが不憫になるな、これは……」

「ご主人様は兎獣人に恨みでもあるのです?」

「か、可哀そう……」


 とはいえ日頃からのミニスの苦労を知っているせいか、メイドたちの方はさすがにミニスに同情的だった。ミラまでもそういう意思表示をしてる辺り、相当ですね……だが面白いから決してやめない! さあ、この機に乗じてミニスちゃんを弄り倒すぞ!


⋇レキの教育に悪い奴しかいませんがこれがデフォルトなのでどうしようもない

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