セレスを紹介
⋇性的描写あり
遂にくっついたカレンとラッセルだけど、どうもデート中だったらしいから二人の時間を優先してあげる事にしました。僕もこれから屋敷に帰って、新たな仲間であり新たな女でもあるセレスを皆に紹介しないといけないしね。すっげぇ気が重いけど観念して屋敷に戻ったよ。
「――というわけで、セレスも僕の仲間に加わりました。みんな仲良くね?」
「よろしく! あたしはセレステル! 昨晩はクルスくんと激しく愛し合ったんだ! そして朝には二人でシャワー浴びながら続きをして、その後はベッドの上でイチャイチャもしたよ!」
「ぐあああああぁぁあぁぁぁぁあぁ~っ!?」
「はい、挨拶からの先行ワンキルはやめようね」
満面の笑みでの自己紹介からの、流れるような先制攻撃。セレスの無慈悲なダイレクトアタックにより、哀れクソ犬はライフがゼロになり爆発四散。僕、先行ワンキルは会話する気がないみたいで嫌いだなぁ……。
「リアはフェリアだよ! リアって呼んでね!」
「よろしく、リアちゃん! 高いたかーい!」
「きゃーっ!」
死体になったクソ犬を尻目に、とことこセレスに近付いて笑顔で挨拶をするリア。基本サキュバス以外に対してはコミュ力の高い普通の幼女だからね。セレスも笑顔で応えて、その身体を持ち上げて高い高いして遊んであげてるよ。ていうかそいつ一応二十歳です。本人も何か喜んでるけど……。
「んで? 賭けの結果はどうなったんだ?」
なんて二人の触れ合いを眺めてたら、ここで唐突に連続殺人鬼が肩を組んで尋ねてくる。チラリと見れば、何やら全てを察したような嫌らしい笑み。コイツ分かってて聞いてやがるな……。
「お前の一人勝ちだよ。クソっ、こんな奴に人心の理解度で負けたなんて悔しい……!」
「女が増えたってのはちょっと気に入らねぇが、まあ賭けに勝ったってんなら良いか。あたしの言う事を何でも一つ聞くって事、忘れんなよ?」
「チッ!」
賭けに勝ったおかげか、あるいは僕への命令権を得たからか、女が増えたってのにキラはご機嫌だ。まあセレスの仲間入りを認めず殺しあうよりはマシか。とはいえ、この殺人鬼が何をお願いしてくるのか不安で堪らんね?
「私はレーンカルナ。レーンでもカルナでも好きに呼ぶと良い。ちなみに私はクルスの魔法でこんな見た目になっているが、この中では唯一の聖人族だね」
「そうなの!? どうしてそんな恰好に――はっ!? クルスくんの好みに染まって、寵愛を一身に得ようって魂胆だね!?」
「君もそういう口か。まともな奴が来たのかと期待した私が馬鹿だった」
セレスはリアを肩車しつつ、今度はレーンと自己紹介してる。
邪神である僕すらも受け入れたセレスが今更聖人族程度に拒絶反応を示すわけもなく、ただただ驚いた顔してたよ。直後に何か独自理論で嫉妬を浮かべてたけど。まあレーンを狐っ子にしたのは僕の趣味だから、あながち間違いでもないか。
「ぐうっ……あんな女が、主の女になるだなんてぇ~……!」
ここで死んでたトゥーラが復活し、ギリギリと歯ぎしりしながら僕の下に歩いてくる。やはりセレスの事が気に入らない様子。
「何か毛嫌いしてるけど、君らわりと似たとこあるよ? ていうか気に入らないのは単なる同族嫌悪じゃない?」
「何~っ!? 私とあの小娘の一体どこが似ているというんだ~!?」
「自分じゃ分かんないの……?」
酷く心外って感じの反応をされるけど、そっくりとは言わないまでも似てる所は多いんだよなぁ。やたら僕にベタ惚れな所とか、愛情表現に躊躇いが無い所とか。マウント合戦してたアレもノリが近いからこそ成立した事だろうし。
「はあっ……結局こっちに堕ちてきたのね。警告は全然意味無かったじゃない……」
「ごめんね、ミニスちゃん? あたしも色々考えたけど、やっぱり自分の気持ちに嘘はつけなかったんだ」
「そう。私、完全に罰の受け損ね……」
「罰? あたしに警告してくれたせい? クルスくんに何されたの?」
「やめて聞かないで言いたくない」
次にセレスとお話してたのは死んだ目をしてるミニスちゃん。警告に行った時に顔を合わせたから、一応初対面ではないんだよね。まあ本人が口にした通り、警告は完全に無駄になったわけだが。
しかしさすがのミニスちゃんも触手に一晩中嬲られるのは堪えた様子。今にも吐きそうな感じに顔を青くしてるよ。それでもメンタルは壊れてなかったから、やっぱミニスちゃんはミニスちゃんなんだなって。
「珍しくまともな少女を仲間に引き込んだものだと感心したものだが、どうやら私の目が曇っていたようだ。アレもなかなか狂っているね」
セレスと自己紹介を済ませたレーンが、今度はこっちに近寄ってくる。何か不満気な目をしてるのは、セレスが狂人側に片足突っ込んでるからだろうか。この屋敷、メイドや執事を入れてもまともな奴は二、三人くらいしかいない魑魅魍魎の巣窟だからなぁ……。
「まあね。混乱もしたし怒りもしたし暴れもしたけど、最終的には全てを投げ打って邪神への愛を選んだ奴だからね。少なくともまともではないよ」
「なるほど。こんな男に惚れてしまう時点で到底まともではないか。見る目が欠片も無い少女だね。まだその辺の野盗の方が幸せにしてくれそうだというのに、こんな倫理観皆無の人間のクズを選ぶとは……」
「アッハッハ」
「――ひ、ああっ!?」
何か盛大にディスられてムッと来たから、その見事な狐尻尾を鷲掴みにしてやる。途端にメスみたいな声を上げ、その場に崩れ落ちるレーン。僕が触れた時のみ、感度十倍っていう調整は実にいい仕事してるねぇ? オラッ、にぎにぎしてやる! 気持ち良いかぁ!?
「クルスくん、リアちゃんとミニスちゃんって、クルスくんの仲間なのにもの凄く良い子だね。 みんなそこの犬猫みたいな感じだと思ってたから、ちょっとびっくりしたよー」
そんな風にレーンを苛めてると、ここでようやくセレスが僕の所に戻ってきた。表面上は普通の女の子に見えるロリコンビの様子に心底驚いてる感じだ。今までセレスが遭遇した奴がヤバかったから、その反応も致し方なし。
「大丈夫。その二人も中身は引けを取らない感じだから」
「あんたらと一緒にしないでくれる!?」
「大丈夫だよ! リアはサキュバスにしかそういうの無いからね!」
優しい僕は二人の精神面は他の奴らと遜色無いって教えてあげたけど、ミニスちゃんの方は異常者たちと一緒くたにされたのが不満だったみたい。酷く心外って感じの声を上げてたよ。でも君もある意味では狂ってると思うんだ……。
「あとレーンさんもまともに見え――あれ? 何で気持ち良さそうな顔しちゃってるの?」
「まあ色々あってね」
「な、何が色々だ……君のせいだろう、クルス……」
床にへたり込んでメスの顔してるレーンに、セレスは不思議そうに首を傾げる。もしかしたら唐突に気持ち良くなっちゃう変態さんって認識しちゃったかもね。一体誰のせいなんだろうなぁ?
「まあ、いっか。それと、そこの二人への挨拶は――いらないかな。初対面でも無いし」
「新入りの癖に生意気な野郎だ。いっぺん痛い目見せてやろうか?」
「あ~、それは良いね~? 結局主に止められて碌にやり合えなかったからね~」
「あ、新入りの歓迎会を開いてくれる感じ? 良いよ、やろう?」
「巻き込まれない内に逃げるわよ、リア!」
「きゃー! 逃げろー!」
そして因縁でもあるかのように、犬猫に対して喧嘩腰で接するセレス。色々あったせいですでに覚悟決まっちゃってる感じで、最早少しも恐れた様子はない。むしろ楽しそうにニヤリと笑って戦意を迸らせ、それに呼応する感じで犬猫もやる気を漲らせる。
なお、ミニスちゃんは巻き込まれないようにリアを連れてさっさと逃げました。逃げ足はやーい!
「何だってうちは血の気の多い女ばっかりなのかなぁ……」
「君がそういう奴らばかり好んでいる異常者だからだろう――ひゃあっ!?」
人を異常者なんて罵るレーンに、その狐耳をぎゅっと摘まんでお仕置きする。途端にビクンと身体を痙攣させ、甘い喘ぎを零す姿がとても印象的。ほらほら、これか? これが良いのかぁ? もっと鳴けやぁ!
「まあ歓迎会も良いけど、それはもうちょっと後にしてくれると嬉しいな。セレスにはまだ他にも会わせたい奴らがいるしね」
「あ、もしかして他にも仲間がいるの? どんな人?」
「魔将が二人」
「えっ」
僕の完璧かつ簡潔な説明に対して、セレスは虚を突かれたように目を丸くする。
でも仕方ないか。さすがに魔将が仲間にいるとは思わなかっただろうしね。普通に魔王より強いし、ある意味では魔王よりも偉い立場の特殊な存在だもん。そんなのが仲間にいるとか普通誰も予想しないよ。
しかし魔将を除いても、メイドや執事もなかなか曲者揃いなんだよなぁ? ガチビビリで存在感も気配も殺せる臆病メイドと、元Sランク冒険者と元死刑囚の猟奇カップルとか。
ていうか良く考えたら、臆病メイドことミラは闘技大会でセレスを下して本戦に進んだんだっけか。セレス本人が気にしなくてもミラの方が色々考えてビビりそう。本当にそろそろ心臓麻痺か何かで死ぬんじゃねぇかなぁ……。