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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第14章:恋する乙女の末路
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セレスと迎える朝

⋇性的描写あり


「あーあ、まさかこんな事になるとはなぁ……」


 早朝。僕は昨晩取った宿の部屋でシャワーを浴びながら、まさかの展開になった事に一人呟きを零してた。

 セレスが僕に惚れてる事は分かってたよ? でもさ、それって僕がニカケの悪魔である事前提のお話じゃん? 実際は悪魔でも無いし、この世界の人間でも無い、加えてセレスから見れば僕の正体は悍ましい邪神。

 前提が破綻しまくってるんだから、真実を知ればその好意も木っ端みじんに砕け散る。僕はそう思ってたし、実際そうなったよ? 今まで胸に抱いてた愛情が反転して憎悪となり、セレスはそれを僕に躊躇いなくぶつけてきたからね。


「賭けはキラの一人勝ちってマジ? あんなイカれ猫に人の心の理解力で負けた気がして凄い悔しいわ。チクショウめ」


 だけどそれは途中までのお話。散々暴れて心の整理が着いたのか、結局セレスは僕の事が好きだという結論に落ち着いた。世界平和のための悪行だとかそういう事は一切教えて無いから、僕はセレスから見て純粋な悪でしかない。しかしそれでも僕を愛してるって言って、どんな形でも良いから傍に置いて欲しいって言ってきた。

 その気持ちが本物かどうかもたっぷり確かめさせてもらったし、最早疑う理由はどこにも無い。ていうかその場のノリで野外プレイしちゃったのが今更ながらに恥ずかしい。クソ犬とバカ猫に襲われた事を思い出すから、お外ではヤりたくなかったはずなんだけどなぁ……セレスの真実の愛と、反転した愛憎の激しさに当てられてだいぶテンションが上がっちゃってたか。


「ま、賭けの結果はともかくだ。仲間がまた一人増えたって事だし、常に人材不足の邪神一派としてはありがたいね。セレスは美少女で具合も滅茶苦茶良かったし?」


 真の仲間の適性があり、何らかの強い芯を持つ女なら仲間としても情婦としても迎える事に否は無い。何か当初想定してた結末とは違うけど、新しい女が増えて戦力も増強されたのなら言う事は何も無いよね。その上真実の愛の持ち主だし。

 だから僕はキラに負けたっていう賭けの結果だけ気に喰わない想いを抱えながら、シャンプーで頭をわしわしと洗う。


「――本当? 喜んで貰えたならあたしも嬉しいな」

「うひぃ!?」


 そしたら突如として背後から声をかけられ、同時にぎゅっと抱き着かれる! 泡が目に入らないように瞼を閉じてたし、何の音も聞こえなかったから気が付かなった! クソぅ、この僕が簡単に背後を取られるなんてぇ!


「おはよう、クルスくん。あたしも一緒にシャワー浴びさせてね?」


 目蓋の上の泡を落としてチラリと背後を振り返ると、そこにいるのは当然セレス。昨晩あんなガチで襲い掛かってきたとは思えないほど晴れやかで眩い笑みを浮かべ、裸で僕に抱き着いてきてる。

 しかも普段はポニーテールに結ってる髪も、今は下ろしてストレート。髪型変わるだけで妙に色っぽく感じるのは何でだろうね? ギャップ萌え?


「……ああ、うん。おはよう」

「うん、おはよう!」


 背中に感じる裸の膨らみの感触に少しムラムラしつつ返事を返すと、途端にセレスは五割増しくらいに笑みを深める。

 昨晩はたっぷり愛してあげたから精神的に充足してそうだし、負傷も全部治してあげたからお肌もつやっつやだよ。そんな状態で放たれる渾身の笑顔とか最早兵器だよね。


「ベッドから出て来れたって事は、身体は大丈夫な感じ?」

「うん、大丈夫だよ。むしろ邪神と――ううん、君と闘って追い返されたあの時の方が、身体は辛かったかな。柱に叩きつけられて死ぬかと思ったよー」


 なんて反応に困る事を何気ない事のように口走るセレス。

 最早(クルス)イコール邪神っていう事は完全に理解してて、なおかつしっかりそれを受け入れてる感じだ。納得できない気持ちとかは、昨晩暴れに暴れたからやっぱりその時に解消されたんじゃないかな。向こうの大陸はマジで酷い大嵐に見舞われたみたいな状態になってたし。


「はいはい、すんませんね。生かして帰してあげたんだからむしろお礼を言って欲しいくらいだよ」

「もうっ、クルスくんの極悪人。世界の破壊者……あっ、ちょっとごめんね?」


 ぷりぷり怒りながら罵ったかと思えば、セレスは僕に背後から抱き着いたままシャンプーのボトルに手を伸ばす。

 すると更に密着する事になって、背中に押し付けられた膨らみがむにゅむにゅと形を変えるわけでして。よろしくない。非常によろしくない。何がよろしく無いかっていうと邪神の邪神が大いに反応しちゃう。

 たくさんの女を抱いてる割にはチェリー過ぎる反応だって? うるせぇ、セレスとは昨晩ヤっただけなんだぞ。それなのにこんなソープ染みた状況とか刺激強すぎでしょ。あと真の仲間内ではセレスが一番胸大きかったしね。理性は保ってるだけマシと思って貰いたい。


「……あのさ、朝から誘ってらっしゃる?」

「えっ? クルスくん、あれだけあたしの事を苛めたのにまだし足りないの?」


 どうやら無自覚にやってたみたいで、返ってきたのは驚愕の表情。コイツ、以前まであれだけ露骨にアピールして迫って来てたのに、今になって無自覚だと……!?


「お前のせいであの旅の最中、ずーっとムラムラしてたんだぞ。あの程度で気が済むもんか」

「わあ、クルスくんったらエッチな人なんだぁ。もうっ、しょうがないなぁ……朝だから、ちょっとだけだよ?」


 とはいえ、今はお互いに我慢する必要はどこにもない関係。僕はムラムラを抑える必要は無いし、セレスも更に露骨な誘惑を実行しても問題無い間柄。

 だからこそなのか、セレスは軽く僕にキスをすると、実にエッチな表情で気持ちに応えてくれました。何か手玉に取られてる気がするな……。


 




「ふうっ……」


 バスローブを見に纏い、エアタバコをふかす真似をしつつ、ベッドの上で気持ちの良い虚脱感に浸る僕。

 結局バスルームではセレスと致しました。泡塗れになってぬるぬるのプレイでエッチでした。はい。

 それはともかく、セレスを相手にするのは実に良い感じだ。身体の相性も良い感じだし、何よりセレスが悪魔の女の子って事が大いにプラス。獣人だから素の身体能力が馬鹿みたいに高いやべー奴ら(トゥーラとキラ)とは違って、あくまでも普通の女の子の範囲の体力。サキュバス魔将から色々仕込まれた上に、合法ロリとはいえサキュバスであるリアみたいな化物とも違う。

 実に扱いやすくて、それでいて楽しい。レーンと同じ系統だけどあっちは澄ました顔をメスに変えるのが楽しいタイプだから、何かシンプルに良い相手だと思う。仲間に加えるのは英断でしたね、これは……。


「えへへぇ……お腹の中に、クルスくんを感じるぅ……」


 当のセレスも幸せそうで、僕と同じくバスローブ姿でベッドにゴロゴロしてる。下腹部を愛しそうに撫でつつ、ちょっとだらしない顔してね。しかしこの反応的にはクソ犬に近いのが何とも……やはり微妙に奴と仲が良い(悪い)のは同族嫌悪の類か。


「……さて、それじゃあ真面目な話をしようか。邪神に身体を捧げた売女であり、世界の裏切り者であるセレスさん?」

「さすがにその言い方はちょっと酷いかも。でも、大体合ってるよね。あたしは世界より恋を選んだんだし」


 真面目なお話って事を雰囲気から察したのか、だらしなく緩んでた顔を引き締めて身を起こすセレス。

 そうして僕らはベッドの上で膝を突き合わせるが……お互いにバスローブ姿なせいかいまいち格好がつかないなぁ。あとセレスの白い太腿がバスローブの裾から見えるせいもある。どうやら長い旅の間にセレスに感じた劣情は未だに全て発散し切れて無いっぽい。


「とりあえず仲間になったお前にはこの内容の魔術契約を受け入れて貰うよ。仲間たちにはみんなこれを受け入れて貰ってるから。奴隷契約みたいなものだけど、あそこまで理不尽じゃないし縛りも緩いから安心して良いよ」

「えっ? 契約魔術はもう使えないんじゃ――あっ、クルスくんが邪神だったね。じゃあ使えて当然かぁ」


 一瞬驚くセレスだけど、すぐに納得して僕が渡したレーン印の契約条項の書類に目を通す。さすがに内容を確かめずに全てを受け入れるほどぶっ飛んではいなかったか。そこは安心したね。


「うん、良いよ。どうせあたしは身も心も君に捧げたもん。これくらいの契約で縛られるくらいなんでも無いよ」

「良い心がけだ。それじゃあ契約を始めるよ?」


 最終的にセレスは問題無くこれを了承し、笑って契約を受け入れてくれた。すでに引き返せない所まで来てるとはいえ、明確な最後通牒みたいな感じだったのにめっちゃ軽い気持ちで頷いてくれたね。さすがは邪神を愛し、すでに二度身体を重ねた女だ。面構えも心構えも違う。

 

「――これで良し。ここまでやって、晴れてお前は僕の仲間の一員だ。おめでとう」

「やった! これであたしもクルスくんの女の一人だね!」


 そして無事に契約を済ませ、満を持してセレスは僕の仲間であり、同時に僕の女となった。本人もかなり嬉しいみたいで、当然のようにぎゅっと抱き着いてきて喜びを表現してるよ。三戦目したくなるからやめてくれない?

 しかし、これ大丈夫かなぁ……出先でハーレム要員を増やした不埒な男みたいな気分だぁ。いや、気分っていうか実際そうなのかな? まあ特にヤバい奴ら(犬猫)はセレスが僕を受け入れるに賭けてたし、ある程度覚悟はしてるんだろうか。


「……あっ。てことはもしかして、クルスくんの女たちはみんな邪神の仲間なのかな?」

「まあそうだね。他にも一人とはいえ男の仲間もいるし、仲間ほどじゃない協力者も何人かいるから、近い内に顔合わせをしようか」

「そうだね! この世界を滅ぼすために、皆で力を合わせて協力しないといけないもんね!」


 などと過激な発言を笑顔で口にする、すでにして染まり切ってるヤベー女。確かにその身体を抱いて中からも外からも染めたのは否めないけど、ちょっと適応が早すぎん? 

 ていうかそうだ、まだ本当の事言ってなかったわ。まあもう仲間になったんだし、そろそろネタ晴らししても平気か。


「えっとね、実はその点についてまだ言ってない事があるっていうか、まだ嘘ついてる部分があるんだ」

「えっ、何? もしかしてこの星だけじゃなくて、宇宙も滅ぼすつもりとか!? スケールが大きすぎてついていけないかもだけど、クルスくんがやるっていうなら、あたしも……!」

「勝手に僕を宇宙の破壊者にしないで?」


 そして無駄に殺る気を見せるセレス。宇宙を破壊する事を企むって、僕はどこまでヤベー奴って認識なの? サ●スでさえ宇宙の半分だからな? まあ後に全宇宙を滅ぼして作り直すとか言ってたけど……。


「実はさ、僕の目的は世界を滅ぼす事じゃなくて、世界を平和にする事なんだよ。聖人族と魔獣族が手を取り合い、争わずに平和に暮らす世界を創る事。それが僕の目的なんだ」

「……?」

「うーん、理解できないって顔してるぅ……」


 今までセレスに見せた本性が悪かったのか、丁寧に説明したのに宇宙猫みたいな顔された件。そんなに僕が世界平和とか言うの意外……?


 もう何か馴染んでる感じの恋する乙女の適応力……!

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