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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第14章:恋する乙女の末路
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セレスとデート3

⋇性的描写あり



 幸せで思考停止しちゃったセレスが何とか復帰を果たした後、満を持して僕らはデートを再開した。重かった腹も何とか動ける程度にはなったしね。

 なのでそこからは二人で洋服屋に行ってお互いに似合いそうな衣装を見繕いあったり、ペットショップ行ってお店を冷かしたり、小舟で川下りしたりとなかなか楽しかったよ。ちなみに洋服屋ではふざけてマイクロビキニ選んだら、恥ずかしがりながらもセレスは着てくれました。サービス精神が強すぎる。

 あとセレスはキスのせいでだいぶ舞い上がってたみたいで、川下りの時ははしゃいでたせいで舟から落ちて川にダイブしてたよ。見てて飽きない奴だな? おもしれー女。


「……えへへ♪」

「幸せそうだねぇ、セレス。もうずっと顔が緩んでるよ?」


 そんなこんなで他にも色々な場所を巡り、日もだいぶ傾いてきた頃。最早手を繋ぐ程度では喜びを表現しきれないみたいで、セレスは終始僕の腕に抱き着いてデレッデレの顔をしてたよ。二の腕に押し当てられる膨らみの感触が下半身にクッソ辛い……!


「だって幸せなんだもん。クルスくんとデートをして、キスまでして貰えて……あー、駄目っ! 顔が溶けるくらいに緩んじゃう!」

「実際キスした時はちょっと溶け気味だったしね……」


 自分の緩んだ表情を誤魔化すようにぶんぶんと振るセレス。その動きに釣られてセレス自身の身体も揺れ、二の腕に押し当てられている膨らみがむにゅむにゅと……おい、やめろ。まさか狙ってやってるんじゃあるまいな?


「だけど、その楽しい時間ももうおしまいかぁ。だいぶ暗くなってきちゃったね……」

「そうだね。僕はもう門限過ぎてるし」

「あははっ! クルスくん門限なんてあるの? あれってクルスくんのお屋敷なのに?」

「そうなんだよ。メイド長がちょっと怖くて門限設定してるからさ。もう普通に過ぎてるからこれは帰ったらお説教コースだね」


 あのメイド長、オカン染みた所もあるからなぁ。今日もポケットにハンカチ捻じ込んできたし。

 ていうかお互いに距離が縮まったせいで遠慮もだいぶ無くなって、今日なんかは僕の服装にもケチをつけてきたくらいだよ。『デートでそんな恰好などありえんぞ! もっと個性を出しながらも相手と釣り合いの取れる格好をするべきだ!』とか何とか言ってた。うるせぇババア!  


「あははっ。クルスくんにも怖い物があるんだ。ちょっと意外かも?」


 まさかメイド長とそんな会話を交わしてるとは知らぬセレスは、意外そうにくすくすと笑う。

 しかし困った。この流れでどうやってネタ晴らしに移ろう? 今回のデートの終わりで僕の正体が邪神だって言う事をバラす予定だったのに、ここでデートが終わったらその予定が崩れちゃう。ここはもうちょっとだけ一緒にぶらついて、適当な裏路地に引きずり込んで転移でどこかに連れてくか?


「どうせ門限破って悪い子になっちゃったなら、一緒にもっと悪い事……しよ?」


 なんて考えてたら、セレスは婀娜っぽい笑みを浮かべて僕の手を引いて歩き始める。どこに向かうのか、何をするのかと思いきや、そのまま少しだけ先にあった建物の前へと導かれた。

 見ればそれは何の変哲も無い宿屋だった。何か変わりがあるとすれば精々少し高級そうなくらいかな。ここでやる事と言えば寝泊まりくらい。でもさっきのセレスの表情や言葉を考えるに、少々事情が変わる。

 僕への好感度が非常に高いセレスが、デートの終わりに、門限破りよりも悪い事を、宿屋で一緒にしようって誘ってるんだ。さすがにこれで分からないほど僕はイカれてない。つまりは性的な意味で、一晩過ごそうって誘われてる。


「セレス、それは――」

「いいの。クルスくんは何も気にしないで良いの。早く秘密を教えて欲しいなんて催促もしないし、代わりに何かを求めたりもしない。ただあたしが君とそういう事をしたくて、君にあたしを捧げたいだけだから」


 予想通りだったみたいで、セレスはただただ愛に溢れた微笑みを浮かべてそう言い切る。愛する人に自分の全てを捧げたいだけ、だってさ。ここまで言われたら男冥利に尽きるってもんだよね? これをトゥーラに言われるとただウザいだけに聞こえるから不思議。


「ね……ダメ、かな?」


 一転して不安げに表情を曇らせ、じっと僕を見つめてくる。

 まあかなーり踏み込んだ事、そして恥知らずな事をしようとしてる自覚はあるんだろうね。異世界の倫理観的に考えると、恋人のいない男相手なら一晩過ごすのは特に問題無いかもだけど、僕は今ちょっと五人くらいいるからね。あるいはただ単に、僕に断られるのが怖いのか……。


「……そこまでの覚悟と愛情を見せられたら、こっちが日和るわけにはいかないね?」


 いずれにせよ、向こうからそういう状況を作ってくれるなら願ったり叶ったりだ。それに何より、ここで断れるほど僕は誠実でも無ければ潔癖でも無い。だから優しく肩を抱いて、行動で答えてあげたよ。


「行こうか、セレス」

「……うん」


 恥じらいながらも身を寄せてくるセレスと共に、宿の中へと足を踏み入れる。自分から誘ってきたのにそんな風に恥じらうとか、やはり恋する乙女は攻撃力全振りの狂戦士だ……。






「………………」


 部屋に入って隣にちらっと視線を向けると、目に入るのはガチガチに身体を緊張させて無言で固まってるセレスの姿。

 ここはやっぱりそこそこ高級なお宿だったらしく、防音もしっかりしているから心配はいらないって受付の獣人ババアに言われたよ。ちょっと余計なお世話過ぎん? まあさっきから顔真っ赤にしてるセレスが腕にしがみつく感じで密着して来てたし、そういう目的って事は一目で分かるし仕方ないか……。


「さて、それじゃあどっちが先にシャワー浴びる?」


 さすがに狂戦士もいっぱいいっぱいに見えるし、ここは僕がリードする事にした。具体的にはまずはシャワーを浴びようって提案ね。僕としては一緒に浴びても良いけど、ヤった後ならともかく生娘相手に一緒にシャワー浴びるのは早いかなぁって……。

 ん? 前に何度もそういう事してたろ、って? 良いんだよ、それは。真の仲間である女たちはノーカンって事で。


「えっと、あの……く、クルスくんには、浴びて欲しくないかなぁって……」

「それって僕の匂いが落ちないようにとか、そういう理由? 匂いフェチ?」

「だ、駄目かな? だってクルスくんの匂いを嗅いでると、凄く安心するんだもん……」


 俯き恥じらい、もじもじしながらそんな事をのたまうセレス。まさか女の子側からそんな事言われるとは思わなかった――いや、クソ犬とかクソ猫もそんな感じだったし、驚くほどの事でも無いか。あの二匹は安心とかそういう可愛らしい理由からじゃないけど……。


「まあいいよ。そこまで匂いに神経質ってわけでも無いしね」

「良かった……じゃあ、えと、その……あたしも、シャワー……浴びない方が、好き?」

「良いよ、浴びといで。個人的には浴びない方がむしろそそる所もあるけど、女の子はこういう時には身体を綺麗にしたいでしょ?」


 もちろん浴びない方が好きだけど、僕はちゃんと女の子の気持ちを分かってるのでそう口にした。

 何せあの好感度最底辺のミニスちゃんでさえ、僕が抱こうとするとせめてその前にシャワーを浴びさせてとか言うからね。例え大嫌いな相手だろうと、汚い身体を見られたり触られたりしたくないって事なんでしょうよ。好きな人ならなおさらだろうね。


「う、うん……それじゃあ、その……シャワー、浴びて来るね?」


 予想通り、セレスはちょっと安心した顔を浮かべ、そそくさと浴室の方に駆けて行った。きっとかなり時間をかけてシャワーを浴びて、身体の隅々まで念入りに洗って備えるんだろうね。十分、ニ十分くらいじゃ出てこなさそう。

 しかしそこまで時間をかけるのなら、こっちとしてもありがたい。何せどのように僕の正体をバラすか、どういう風にその状況に持っていくかを、ゆっくりと考える事が出来るからね。いやー、それにしてもまさかデートでこの展開になるとは思わなかったな? 恋する乙女は度胸あり過ぎでしょ?


「いいよ、セレス。そこまでの覚悟と愛を見せるなら、たっぷりと確かめてあげるよ。君の愛が本物かどうかを、ね。果たして君はどっちに転ぶのかな?」


 なので僕はキングサイズのふかふかベッドに腰掛け、期待に胸を弾ませながら今後の展開を考えるのだった。

 ま、さすがに僕を受け入れるとかありえねぇよな! 女の子の心を良く分かってる僕がそう断言するんだから間違いないぜ! 少なくとも絶対キラが賭けたみたいな展開になる事はないね! もしそうなったら全裸で街を一周してやるよ! ミニスちゃんがな!






「お、お待たせ、クルスくん……」


 しばらく、それこそ軽く三十分以上経過した辺りで、ようやくセレスが戻ってきた。ポニーテールに結ってた髪を解き、身体にバスタオルを巻いただけの、実に頼りなく悩ましい姿で。

 予想通り念入りに身体を清めたみたいで、見えるお肌は滑らかでいっそ光沢を放ってるみたいな感じだ。しっとりと湿ってるのがまた食欲と性欲をそそる。肌を流れる水滴が果汁みたいに甘くて美味しそうだぁ……。


「アハハッ。緊張してるね、セレス? 無理しなくても良いんだよ?」

「む、無理なんかしてないよ? ただ、その、やっぱり恥ずかしいなって……」


 まるで短いスカートの裾を引っ張ってパンツを隠すみたいに、バスタオルの裾を引っ張るセレス。とはいえそうすると胸元がずり落ちてくるので、今度は胸元を押さえるっていう……初心で可愛いなぁ! やっぱ初めての子はこういう純真で初心な反応が良いわけよぉ!


「大丈夫。確かに恥ずかしいだろうけど、すぐにそんな事気にならなくなるくらいに乱れさせてあげるよ。だから、ほら……見せて?」


 僕の自己犠牲系主人公フェイスを最大限に生かし、これでもかと優しい微笑みを見せつける。こういう時便利だよね、僕のツラ。


「……うん」


 効果はてきめんで、ほんの数秒ほど緊張に躊躇ってたセレスが、やがて意を決したように頷く。

 そうして僕の目の前で、自分の身体を包むバスタオルを脱ぎ捨てる。はらりと床に落ちたタオルの下から現れたのは、正に思い描いた通りの綺麗な肌。そして女の子らしい膨らみ。どうやら着やせするタイプって予想は間違ってなかった。これはたぶん、僕の女の中で一番大きいトゥーラ(バスト八十)よりも確実にデカい……!


「……綺麗だよ、セレス」

「っ……!」


 率直な感想を、胸の大きさに対する感動で修飾して言い放つ。ただでさえ真っ赤だったセレスの顔は耳の先まで真っ赤になり、同時に恥じらいからか身体の要所を隠そうとする。

 でもこれから僕たちがするのは、そんな風に恥ずかしがっていたら始められない事。だからセレスは躊躇いながらも身体を隠そうとする腕を止めて、むしろ見せつけるように背後へと回してた。さすがは恋する乙女。覚悟ガン決まりだ。


「ほら、おいで?」


 だからこそ、僕は手を伸ばしてセレスを招く。こんなに覚悟と諸々を見せつけてくれてるんだから、ここは僕がリードしてあげないといけないでしょ? 例えこの後何をするにしてもね。


「うん……」


 セレスは導かれるまま、僕の膝の上に腰を下ろす。横座りで、僕とじっと見つめ合いながら。

 ああ、青い瞳がとっても綺麗だ。僕への純粋な愛情が感じられて、凄く美しい。抉り出して瓶詰めにしてずっと保管しておきたいくらいだよ。


「クルスくん……」


 そして、セレスはゆっくりと目を瞑る。何のために、そして何を期待しているのかは考えなくても分かる。まずはキスをしないと始まらないもんね。僕の方からキスして欲しいからキス待ちの姿勢なんでしょうよ。

 だから僕は一つニヤリと笑い――


「――睡眠(スリープ)


 期待には応えず、魔法でセレスの意識を落とす。幸せな時間はここまでだ。セレスにはここから醜く残酷な現実を見て貰わないとね。どんな反応をしてくれるか楽しみにしてるよ、セレス?

 突き落としタイム到来!

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