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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第14章:恋する乙女の末路
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ダメダメな裁判

⋇性的描写あり


 リビングへと護送された僕は、有無を言わさず被告席ソファーに座らされた。正面に二人の司法の犬(猫)が立ち、僕の背後には呼び出した弁護士(一般村娘)が立つ。真正面から裁判に臨む形だ。

 でも何だろう、この状況。何なら弁護士が一番僕に敵意を抱いてる気がしなくもない……。


「さ~、裁判の始まりだ~! 被告人は我らが主~! 罪状は浮気~! 判決を決定する~!」

「略式裁判やめろ。僕には裁判を受ける権利があるし、弁護士だっているんだぞ」


 何とトゥーラ裁判長は尋問も弁護もせずに即判決へ直行。こんなん司法制度崩壊待った無しじゃん。冤罪で有罪食らったら堪んないよ。まあ日本では刑事事件の有罪率はほぼ百パーセントだから、裁判起こされた時点で負けって気もするけど。


「死刑。ぶち殺す」

「早い早い。しかもぶち殺すってセレスの方かよ。被告じゃないのに死刑食らうとかどういう状況?」


 両手に鉤爪を装着して外に出て行こうとするキラさん。放っとくとマジに殺しに行きかねないので、被告席を立って首の後ろを引っ掴んで持ち上げて止める。

 おかしいな? この裁判、司法側の奴らの方がヤバい気がするぞ?


「弁護士さん、弁護お願いします!」


 一縷の望みをかけて、ソファーの後ろにつまらなさそうに立ってる弁護士ミニスにお願いする。

 しかしこっちもこっちで人選ミスだったっぽい。返ってきたのは酷く冷めた感じの視線だった。


「去勢くらいで良いんじゃない?」

「おい、弁護士ぃ! この役立たず! 給料ドロボー!」

「ただの村娘に何を期待してんのよ、あんたは。ていうか仮に私が真っ当に弁護したとして、この二匹が止まるわけないじゃない」

「それはそう。真理だね」


 僕の弁護士としては役立たずだったけど、自分自身への弁護は素晴らしく真理を付いてた。たぶん論理ではキラはともかくトゥーラには勝てないだろうし、暴力じゃあキラにも勝てないだろうからね。むしろ呼んだら一応は僕のところに来てくれただけマシな方なのでは?


「……まあ茶番はこれくらいにして、ちゃんと説明をしようか」


 裁判ごっこはここまでにして、猫みたいに(まあ猫だけど)掴み上げてたキラを離して再びソファーに腰掛ける。二人も分かってて付き合ってくれたみたいで、今度は僕の両隣に腰掛けてきたよ。異様に近いのがちょっと怖いけど。


「じゃあ私もう部屋に戻って良い?」

「ダメ。この二匹の間に置いてかないで」

「………………」


 別にもう弁護士は必要ないけど、嫉妬と独占欲に狂った犬猫と同じ部屋に閉じ込められるのは怖いので絶対に逃がさない。下手するとこの二匹は襲い掛かって来るからね。性的に。さすがにミニスが一緒にいればそれはないだろうし……ないよね? どうだろう?


「じゃあ聞かせて貰おうか~、主~。主はどうして壊す気満々だったあの女とねんごろの仲になり、下の世話を任せるほどの関係になったのかな~?」

「言い方に悪意がありすぎる。何だその特殊な趣味を持ってるみたいな言い方」


 そっと僕の脇腹に触れながら尋ねてくるトゥーラ。これ変な事行ったら腎臓にノーモーションで衝撃打ち込んできそう。キラはキラで首筋と瞼を撫でてきて滅茶苦茶ゾッとするしよぉ……。


「別に僕とセレスの間には肉体関係は無いよ。そんな事する暇も無かったしね。まあそれなりに誘惑された事は否定できないけど」

「なら、テメェは何でキスなんてしてんだよ」

「それは……その場のノリ?」

「よし。ぶっ殺してくる」

「ハハハ、私も手伝うよ~?」

「待って? お願いだからもうちょっと弁明させて?」


 揃ってソファーを立つ二人の腰に手を回し、無理やりに再着席させる。まるで左右に女を侍らせ抱き寄せるハーレム野郎みたいな絵面になったけど、どう考えてもそんな甘くて美味しい状況じゃない。本当にもう過激すぎるな、コイツら……。


「……ま~、私は別に主を束縛するつもりは無いし、何なら主の女が幾ら増えようとも別に構わないんだよ~。いずれ正妻は私になるのだからね~。ただ一体どういう考えの下、壊すつもりだったあの女を手籠めにしているのかという事が気になるんだ~」

「あたしは普通に気に入らねぇ。コイツはあたしのもんだ」


 一見寛大そうな態度を見せつつも嫉妬丸出しのトゥーラと、普通に怒りと殺意を撒き散らすキラ。やっぱり行き摺りの女の子と関係を育む時はコイツらが最大の鬼門だよね。

 というか僕、こんな奴らがいるハーレムを良く今までまともに維持できてるよなぁ。これって何だかんだ凄くない? 誰か褒めて?


「実際キスは半分くらいノリでやったんだけどさ、状況的にちょっと仕方なかったんだよ。『ここは僕に任せて先に行け!』っていう展開にしたかったのに、意地でも僕と死地に残るつもりっぽかったしね」

「そのまま死ねば良かったのに」


 などと酷い事をのたまうのは背後に立つ元弁護士。弁護士にまでこんな事言われるとか、裁判はどう考えても絶望的だよねぇ。さっき敗訴したっぽいし。


「ん~、確かにそういう場面なら私も残りたいね~。あ~、でも主の命令ならそれに従う方が良いのかな~……?」


 なお、トゥーラはちょっと迷うっぽい。僕と共に死地に残り運命を共にするか、あるいは最後の命令を忠実に遂行するか。いずれにせよ美味しい展開なのは確かだ。


「それでキスの後の反応も凄い乙女っぽくて完璧惚れてる感じだったし、こうなったらもう行ける所まで行ってからネタ晴らしした方が楽しいかなって思ったんだよ。僕に夢中になれば夢中になっただけ、正体を知った時の絶望が深くなりそうで楽しそうじゃん?」

「最っ低……」


 元々仲良くなってから正体バラす方向だったけど、予想外に惚れられてるからもう行けるところまで行ってみたいって欲求が沸き上がって来たんだよね。セレスが僕に夢中になれば夢中になるだけ、真実を知った時の衝撃と絶望は強くなるし。

 分かりやすく言うと、敵に大ダメージを与えるためにバフを積んで攻撃力を上昇させてる、って感じ? どれくらいのダメージが出せるかワクワクするでしょ? 僕もそんな感じで楽しみなんだわ。


「相変わらず良い趣味してんな? よし、今回は特別に許してやるぜ」

「心狭いのか広いのか分かんないね、君……」


 キラは僕の答えが大層お気に召したみたいで、何やらニヤリと笑いながら肩を組んできた。心底面倒な奴らだけど、わりとご機嫌を取るのは難しくないんだよね。何でだろ?


「ん~……確かにその方が楽しそうなのは私も同意見なのだが、大丈夫なのかい~? 主に夢中になりすぎて『正体が邪神だろうと構わないっ! 愛してるっ!』という展開になってしまうんじゃないかな~?」

「ハハッ、無い無い。セレスは僕がニカケの悪魔なのに最大最強で傍若無人で品行方正なところに惚れたんだよ? 実は魔獣族じゃないって時点でそんな展開は成り立たないよ」

「品行方正? あんたみたいなクソ野郎が……?」


 トゥーラがメロドラマのワンシーンみたいな馬鹿げた展開を口にしたから、僕はそれを笑い飛ばす。

 現実にそんなアホみたいな展開実現するわけないじゃん? セレスが僕に惚れた理由はニカケの悪魔なのに誰にもへりくだらず、その強さを誇示してるからだし。ニカケの悪魔って前提条件が消えた時点で、それが成り立つ可能性はほとんどゼロだ。まして僕は聖人族ですらない、異世界より召喚された元勇者だからね。実際はそれすらも違って、本当は女神様より送り込まれた使徒なんだけど。嘘ばっかだな、お前の経歴!


「いやいや、そうとは限らないよ~? 女心は複雑で流動的なものだ~。確かに主に惚れたきっかけはそれなのかもしれないが、主と過ごす内に主という存在そのものに好意を抱いている可能性がある~。惚れたきっかけはあくまでもきっかけ、所詮は着火剤でしか――わふぅ!?」

「お前みたいなクソ犬に恋愛論だの女心だの語られると腹立つわ。コイツめ」


 得意げになって語るクソ犬にイラっと来たから、その犬耳を乱暴にわしゃわしゃと揉み回す。あー、出来立てのパンの耳を揉んでるような柔らかさと弾力が堪らん。


「ふわぁ……! 主に耳を揉まれて頭が馬鹿になってしまうぅ~……!」

「元々馬鹿でしょ……」


 犬耳揉まれてトロ顔を晒すトゥーラに対し、容赦なくツッコミを入れるミニス。でも僕もそう思う。コイツは元々イカれて――おふぅ!? 犬耳を揉んでたら今度は猫が頭突きをしてきた! 自分にもやれってか! 本当にコイツらはよぉ!


「まあ万が一『邪神でも良い! あなたが好きなの!』なんてなった場合は、協力者として働いてもらうよ。絶対無いけど」

「私は意外とあると思うんだがね~……あっ、イきそうだ~……!」

「あははっ、無い無い。こんなクズの本性を見せられて惚れる奴とか、あんたたちみたいな頭のイカれた奴らしかいないわよ。これのどこに普通の女の子が惚れる要素あるわけ? 自意識過剰も甚だしくて笑っちゃうわ。あははっ!」


 犬耳と猫耳をわしゃわしゃする僕に対して、ミニスちゃんはおかしそうに笑いながらそんな事をのたまう。どうやら僕らは相当自意識過剰な話をしてたみたいで、ミニスは近年稀に見るくらいの珍しい笑顔を浮かべてる。

 しかもそんな笑顔でクズの本性だのイカれた奴だの、すっごい猛毒を吐いてるんだからエグイよね。自覚はしてるとはいえ、そこまで言われるとさすがにイラっとくるよ?


「ハッハッハッ、その通りだ。お前ら、ミニスを押さえつけろ」

「おう」

「りょうか~い!」

「はっ!? 何で!?」

「いや、さすがに今のはちょっと傷ついたし……」


 なので犬猫に命じてミニスを床に押さえ込ませる。両腕をキラに、両脚をトゥーラに押さえつけられたミニスは、無様に仰向けで大の字にされて驚愕と焦りに目を丸くしてたよ。まあ僕を含め、自分を押さえつけてる二人も楽しそうに(サディスティックに)ニヤニヤ笑ってるんだから無理も無い。


「ちょっとおしおきだ。なーに、痛くはしないから安心しなよ」

「ひゃっ!? ちょっ、どこに手を入れて――っ!!」


 そんなわけでミニスのスカートの中に手を突っ込み、大事な所をわしゃわしゃしまくってたっぷりお仕置きをしてあげました。いやぁ、屈辱と恥辱に唇を噛みしめながらも、叩き込まれる快楽にどうしようもなく身体を痙攣させる様はとっても無様で面白かったね!


 


 裁判は弁護士が快楽攻めを受けて終了。法廷侮辱罪待った無し。

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[一言] も、、もしかしてセレスちゃん救済ルートか!?
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