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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第13章:最強の敵
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仲間たちがいる生活

⋇残酷描写あり



「ふわあぁぁ……良く寝た」


 目覚ましの音に急かされつつ、僕は新しい朝を迎えて目を覚ました。

 バグキャラの片割れを無事に排除出来た事で気分は爽快。体調も万全の素晴らしい朝だ。一昨日は狐っ子と化したレーンを組み伏せて楽しんだし、昨日の夜はミニスちゃんにご奉仕(強制)させて楽しませて貰ったから、そういう意味でも爽快な気分。二人とも凄く良い反応をしてくれるから、マジで素晴らしい時間だったよ。

 これでミニスが隣であどけない寝顔を晒してたら、もっと素晴らしいんだけど……。


「……ミニスちゃんがいない。先に起きたか。どうせなら朝から続きをしようかなって思ったのに」


 残念ながらミニスは先に起きて身支度して出てったみたいで、隣はもぬけの殻だった。僕より早く起きると大抵朝チュンせずに出て行っちゃうんだよね。ちょっと非常識じゃない? まあトゥーラみたいに僕が起きるまで寝顔を眺めてるのもそれはそれで困るんだが……。

 何にせよ朝チュンも朝からの二回戦も出来ないなら仕方ない。僕もベッドを出ると、身支度を整えて食堂に向かったよ。特に理由がない限り、朝夕のご飯は皆で食べる事に決めてるからね。


「みんな、おは――」


 そして食堂の扉を開けて挨拶を口にした瞬間――ドゴォ! 

 僕の隣の壁に猛烈な勢いで何かが叩きつけられた。見ればそれはウサミミの生えた小柄な女の子だった。ていうかミニスちゃんだった。何か血塗れでボロボロになってて、そのままずるずると床に落ちて動かなくなる。心なしか首が明後日の方向を向いてる気がするな? 少なくとも昨晩抱いてた時はそんな愉快な方向向いてなかった気がするのに。一体何故こんな事に?


「はあっ……はあっ……! クソが……!」


 そう考えつつミニスが飛んできた方向に視線を向けると、そこには妙に呼気を荒くして殺意を振りまくキラの姿があった。その両拳は血塗れでポタポタと真っ赤な血液が垂れてるし、本人も盛大に返り血に塗れてる。その鋭い瞳が倒れ伏して動かないミニスちゃんに向けられてる辺り、まあそういう事なんだろうなぁ。


「……おはよう。朝から仲が良いね?」

「ご主人様、殺人事件だよ!? どうして何も見なかった顔してるの!?」


 とりあえずそのまま挨拶を続け、気にせず食堂に入って席に着く。このスルースキルにはリアもびっくりしてお目々を丸くしてる。でもスプラッタな殺人事件が繰り広げられたくらい、別に驚く事でも無いし……。


「これを仲が良いで済ませるのか、君は。まさか毎朝こんな調子じゃないだろうね……?」

「いや、さすがにそれはない。幾ら何でも毎朝殺しあうならどっか余所でやってもらうよ」


 などとツッコミを入れてきたのは、ご立派な狐っ娘と化したレーンさん。ちょっとデカすぎる尻尾を自分で抱くようにして座りつつ、僕に正気を疑うような目を向けてくる。うーん、やっぱり銀狐スタイルは大変似合ってるな。


「しかし何だって今日は朝っぱらからこんな事してんの? 最近はミニス虐も落ち着いたと思ったんだけどなぁ」

「うるせぇ、ほっとけ……!」

「しかも何やらご機嫌斜め。一体どうしたんですかね……」


 キラちゃんに声をかけると、不機嫌極まる声と殺気をぶつけてる始末。

 ミニスとキラのヴェ●ム合戦辺りから、この二人の関係は以前に比べればかなり改善されたと思ったんだけどなぁ。前までのキラはミニスが通りすがっただけで蹴りを入れたり階段から突き落としたりしてたし。それが今日は朝の食堂で殺人事件。何だろ、女の子の日かな?


「――おはよ~、主~! キラが荒れている理由はこれだよ~」


 などと首を捻ってると、朝から引っ叩きたくなるようなウザさで朗らかに挨拶をしてくるトゥーラ。それと同時に僕に新聞を恭しく差し出してくる。まあ新聞って言ってもチラシとか号外レベルの薄さと内容だけど。

 とりあえず受け取って確かめてみた結果、何がキラの逆鱗に触れたのかは詳しく説明されるまでも無く一目瞭然だったよ。


「ふむふむ、なるほどそういう事。邪神の下僕としての立場や強さが、ミニスより下だと大衆に判断されたのが気に喰わなかったわけだ」

「チッ……!」


 その内容をあえて口に出すと、途端にキラは舌打ちをかました。そればかりかテーブルの上に無意味に置いてある果物が入ったカゴから林檎を取り出し、倒れ伏して動かないミニスちゃんにぶん投げて死体蹴りする。ミニスの頭部にぶち当たった林檎は果汁を撒き散らしながら弾け飛んだ。

 それはそうと、新聞の内容はもちろん一昨日の事一色だ。奴隷たちが反乱を起こし、復讐という名の虐殺と破壊行為を繰り広げた事やその顛末。魔将バールが邪神の下僕と交戦の末、連れ去られた事。更に両種族のお姫様が凄惨な拷問にかけられ、邪神のエネルギー供給源になってる事実などなど。それらの被害状況や考察や対策云々って感じ。

 重要なのは邪神の下僕について触れられてる所。魔獣族の国にはキラことタナトスが現れたから、それについて触れられてるのは別に良いんだよ。猫人で戦闘狂と思われるとか、そういう事を書かれてるのも問題無し。エクス・マキナと同種だが<隷器>による攻撃が通用しない防御魔法を展開している、という情報もむしろ広めて欲しいから大丈夫。

 問題なのは、突然現れた名前も分からないもう一人の邪神の下僕ミニスちゃんの事。本来あんな風に表舞台で活動させる予定は無かったから、偽名も何も無いアドリブ的な存在だ。でもタナトスとキラの戦いを見てた奴らからすれば、突然その場に現れて全ての魔法を一方的に無効化し、有無を言わさずタナトスを従え、転移魔法と思しきものでバール諸共連れ去った化物だ。これはタナトス以上の実力者、と判断されても仕方ないよね。新聞にもそんな風に推測されてるし。

 で、キラちゃんはミニスより下だと判断されたのが気に喰わず、八つ当たり気味にミニスをボコったと。これミニスちゃん滅茶苦茶とばっちりでは?


「……クソ野郎の命令で尻拭いしてやっただけなのに、逆恨みされてボコボコにされて殺されるとか……貧乏くじも良い所よ……ゴホッ!」

「お、生き返った。おはよう、ミニス」


 ここでようやくミニスちゃんが生き返り、頭から林檎の果汁を滴らせつつ立ち上がる。

 ふむ……ウサギ娘の果汁がけ、か。お肉が甘く柔らかくなって美味しそう(食欲と性欲)。


「昨晩は楽しかったよ? やっぱりミニスはとっても抱き心地が良いなぁ」

「あ?」

「こんな状況でそんなクソみたいな事言うのやめてくれる? ていうか明らかにあのクソ猫を煽ってるわよね?」

「だってボコボコにされて死にそうになってるミニスを見るの大好きだし……」


 せっかくだから昨晩の営みの感想を口にすると、キラが更にキレたような声を上げる。

 なお、ミニスちゃんはどこからともなく現れたビビりメイドからタオルを受け取り、自分の身体や服に付いた血と果汁をゴシゴシ拭ってたよ。殺されるのにもボコされるのにも慣れてて可哀そうで可愛い。


「クソ外道。あと死にそうっていうか死んだから。ついさっき、三回くらい」

「マジか。もうちょっと早く起きてれば良かったな?」

「そのまま寝てれば良かったのに。永遠に」

「ほぷぅ!?」


 冷たく罵倒したかと思えば、丸めたタオルを僕に向けて投げてくるミニス。昨晩はあんなに熱く激しく愛してやったっていうのにこの対応よ。あんなにエッチな鳴き声上げて乱れてた癖に、素直じゃないんだからぁ?

 あ、タオルは普通に避けました。そしたらトゥーラの顔面に直撃してたよ。変な声はそれね。


「君もだいぶ擦れてきたというか、慣れてきたというか……ともかく、随分と苦労しているようだね、ミニス」

「慣れなきゃやってられないわよ、こんな生活……」


 などと同情の声をかけたのはレーン。昨日この屋敷での生活が始まったばっかりなのに、何かもう完璧にこの場に馴染んでる感じだ。見た目も狐の獣人と化してるから違和感も全然無いね。


「さ、ともかく朝ごはんにしよう――って、バールとハニエルは? 一応朝と晩は皆で食べるのがここのルールだぞ?」

「バールならまだ寝ているんじゃないか~い? 主の魔法で日光も平気になったとはいえ、基本夜型の生活だったから寝坊しているのだろ~」

「なるほどね。無理やり起こすのもなんだし今回は大目に見てやるか。それじゃあハニエルは?」

「……部屋にいるわよ。あんたたちみたいな異常者と一緒には食べたくない、って言ってる。ていうか何でまだあんな状態な訳? あれから結構時間経ってるわよね?」


 何事も無かったかのように席に着き、僕の質問に答えてくるミニスちゃん。三回くらい殺されたのにそんな普通に過ごせる辺り、君も大概精神に異常をきたしてるんじゃない?

 それはさておき、ミニスちゃんの僕を責めるような目付きよ。どうやらハニエルが未だ精神崩壊気味なのが僕のせいだと思ってる様子。まあ実際僕のせいなんだけどな!


「いやぁ。それが顔を合わせる度に面白半分で心を抉ってたせいか、なかなか精神面が修復されないみたいでさぁ。ハハッ」

「あんた絶対あの大天使に近付くんじゃないわよ。近付いたらぶっ飛ばすからね」

「えー? それじゃあハニエルをヤりたくなったらどうすればいいの?」

「そこの犬でもヤってなさいよ」

「っ!」

「はいはい、座ってろ」

「………………」


 期待に輝く笑顔で立ち上がったトゥーラが、僕の一声でしゅんと肩を落として残念そうに座り直す。何だかんだ言う事を聞いてくれるのは本当に助かるよね。

 しかしハニエルに近付くなって言われちゃった。精神面の影響もあってかなり痩せたとはいえ、あの見事な巨乳はとっても美味しそうなのに。むしろあの今にも壊れそうな儚さが良いんだよねぇ。厳密にはもう壊れてるようなもんだけどさ。まあヤっても反応薄そうでつまらなさそうだから別に良いけど、それはそれとしてお話くらいはしたいなぁ。


「……ん?」


 なんて考えてたら、お膝の上にモゾモゾとした感覚。見下ろしてみれば、そこにはいつのまにか愛らしい合法ロリサキュバスが乗って来てた。

 その姿を見て『わあ、可愛い』――なんて感想を抱く事は無かったよ。だって何か僕に向けられてる目が妙に淀んで濁ってるんだもん。これは……闇!


「ご主人様はハニちゃんみたいなおっきぃのが好きなの? ちっちゃいのよりも好きなの? 本当はサキュバスみたいなおっきなのが良いの? ねぇ、ご主人様?」

「……僕としては大小どっちも嗜む性質なんだけど、男っていう生物は本能的に大きいのに反応してしまうんだ。だからそれだけで、決して一般的なサキュバスみたいなのが好きな訳ではない。オーケー?」

「……そっか、良かったー!」


 僕の答えを聞いたリアは、一拍置いて闇を消していつもの愛らしい笑顔を浮かべてくれた。どうやら満足のいく答えだったみたいで、ご機嫌な表情で僕に一つ口付けしてから自分の席に戻ってく。

 サキュバス関連が地雷なのは知ってたけど、まさかサキュバス染みた巨乳も地雷とは……リアは僕がどれだけ女を抱こうが滅茶苦茶寛容なんだけどねぇ? まあ何となく予想はついてたから、ヤりたくなったら行き摺りの巨乳を見つけてこっそりヤってるけどさ。


「あーもう、朝から心底ビビった――うごぉ!? やめろぉ、頭突きをするなぁ!」


 そしてリアが僕の膝の上に乗ってキスまでした事にムッと来たのか、こっそり背後に忍び寄って来てたキラが頬に抉り込むような頭突きをかましてくる。心なしか普段より頭突きが激しいのは、たぶん昨晩ミニスを抱いたからその匂いがついてるせいなんだろうなぁ……。


「私も主に匂いをつけた~いっ!」

「オラァ!」

「ぐふ~っ!?」


 キラの行動に触発されたトゥーラが飛び掛かってくるものの、当然僕はそれを拒否。渾身の右ストレートで迎撃しました。だって何かキモかったから……。


「……こんな賑やかなやりとりが毎朝毎晩続くのなら、胃薬を常備した方が良さそうだね」

「それならオススメのやつがあるわよ。後で幾つか紹介してあげるわ」

「それは実にありがたい。是非ともお願いするよ」


 この微かに混沌とした状況の中、わりとまともな方のレーンとミニスは胃薬の話で盛り上がってたよ。ていうかミニスちゃん、もしかして胃薬常用してるの? 大丈夫……?

 きっとあのウサギ娘こそが真の右腕なんだろうなぁ、と思われるのも当然といえば当然の事。こっち魔獣族の国なので情報来てないだけで、何なら聖人族の国でも同じように思われてます。キラちゃんは激おこです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 世間の認識と実態の乖離はままよくあること。 それでも納得できないキラちゃんは ちゃんと乙女心を持ってるんだなぁ(遠い目)
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