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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第12章:呪われた旅路
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魔道具の代償


⋇性的描写あり







「――というわけで、作戦が第二段階に進んだらハニエルと一緒に僕の屋敷にお引っ越しね。一つ屋根の下で一緒に暮らそうぜ?」


 などとプロポーズ紛いの言葉を口にする僕の目の前にいるのは、優雅にコーヒーを啜るレーンさん。銀髪のクール系美少女がコーヒーを嗜む姿はそれだけで絵になる素敵な光景だ。だから馬鹿みたいに砂糖入れてたのは見なかった事にしてやろう。

 皆さまお察しの通り、ここは聖人族の国の首都にあるレーンのお家。他の仲間たちには計画を第二段階に進める事を話したけど、レーンには諸事情あってまだ伝えてなかったんだ。本当は昨日皆に話した後、すぐにレーンにも話しに行こうと思ってたんだよ? でもベルがとんでもねぇ化物の話をしてきたせいでまずそっちの話を優先しないといけなかったから……。

 まあ何にせよ僕の障害になりかねない化物の話を聞いてある程度は対策も考えたし、こうして満を持してレーンに夜のお話をしに来たわけさ。凄いどうでも良いけど、頭に『夜』って付くだけでとっても嫌らしく聞こえるよね。不思議。

 あと僕が旅に出てたせいで一カ月近くお話出来なかったせいか、本題に入る前にもの凄いおしゃべりに付き合わされたよ。ぶっちゃけ僕とおしゃべりしててそんなに楽しいか? 鏡としてたほうがまだ有意義じゃない?


「引っ越しか。それは別に構わないが……」

「どうした、言い淀むなんて珍しい。いつもはアホほど言葉の嵐で殴って来るのに」

「いや、この私が魔獣族たちの中に混ざって暮らすなど、少々感慨深いものがあってね。そうか、この私が魔獣族の首都で暮らすのか……」


 コーヒーカップを一旦置いて、小さくため息を零しながら虚空を見つめるレーン。

 ため息はどっちかっていうと呆れとかそういうのじゃなくて、感嘆のそれに近い感じだね。もしかして今までの転生経歴では魔獣族になった事が無いのかな? いや、仮になった事があったとしても過激派時代のレーンなら即自害を選ぶだろうなぁ。自分自身が怨敵そのものになったとか耐えられなくて発狂してもおかしくないし……。


「ちなみに偽装のために部分的に変身させて悪魔とか獣人になって貰うつもりなんだけど、何か種族のリクエストとかある?」

「リクエストか……ふむ、吸血鬼はどうかな?」

「日が高い内は出歩けないムーブしないといけないから止めといた方が良いよ? あとあくまでも外見を変化させるだけだから、血を飲んでも魔力は回復しないからね」

「そうか、ならばやめておこう」


 僕の指摘の後半の所で、レーンは即座に前言を撤回する。

 やっぱ吸血鬼を選んだのはそういう理由だったか。以前にバールが血液をグビグビ飲んで魔力を高速で回復する姿を見たから、きっとそれ目的で選んだんだろうなって予想はドンピシャだった。本当にコイツは魔法の事しか考えてねぇな? <カドケゥス>を手に入れてもまだ貪欲に欲しがるか。よくばりさんめ。


「別に今すぐ決めなければならない、というわけではないのだろう? できればしばらく考えさせてもらえるかな?」

「そりゃあね。決まるまで屋敷から出なければ良いだけの話だし、じっくり考えると良いよ」


 優柔不断ってわけじゃないけど、種族の特性を得られないのならレーンにとってはどれも無価値だろうし、決めるのには時間かかりそう。決まるまでは外出できないし、じゃあひたすら僕とベッドの上でプロレスだな!


「擬態する種族に関しては理解した。それで? 私とハニエルはどのような流れの元、君に拉致される展開なのかな?」

「拉致とか人聞きが悪いなぁ? 夢の世界に誘う、くらいにぼかして言ってよ」

「仮に夢の世界に誘うのだとすれば、きっとそれは悪夢の中だね」


 気持ちの良い皮肉気味のツッコミをして、再びカップを手に取りコーヒーを口にするレーン。そんな事言う悪い子にはマジで悪夢を見せちゃうぞ? 否定しようにも実際悪夢を見せるくらい容易いから困るんだよ。


「……しがない魔術師である私はともかく、ハニエルは曲がりなりにも大天使だ。平和な世界を維持する役目を任せるというのなら、無事に戻ってきても違和感が無いようにお膳立てしなければならない。故に筋書きはとても重要だ。一体どのようなものを考えているんだい?」

「強く当たって後は流れでお願いします」

「は?」

「はい、すんません。冗談です」


 ふざけて適当に言ったらびっくりするくらい冷たい一言が返ってきた。

 何が悲しいって、実はそこまで的外れな事言ってるわけじゃないって事なんだよなぁ。最初と最後は決めてあるけど、その間の事はほぼアドリブになっちゃうし。これそのまま伝えて大丈夫かな……?


「一応、大体の流れはこんな感じになってます……」


 ちょっと怯えつつ、展開を記した台本を両手で丁寧に渡す。無言でそれを片手で受け取り、記された内容にしばらく目を通すレーン。徐々に眉が曇って行くのがヤバそうだけど、幸いな事に怒りじゃなくて呆れを覚えてる感じだ。最終的には一つ深いため息を零すだけで済んだよ。


「……これは、大丈夫なのかい? どう考えてもちょうど良い機会とばかりに全力で殺しに来そうなんだが」

「そこはたぶん大丈夫でしょ。僕からキツく言ってあるし。まあ本気でやらないと周囲に変に思われるかもだから、ある程度はマジで襲ってくるかもしれないけど」

「……不安だ」


 頭が痛そうに額に手を当て、何やら嘆くレーンさん。

 とはいえここまでの流れや会話の内容で、察しの良い人ならどんな展開が待っているのかは何となく分かるでしょ? 良い機会とばかりに全力でレーンを殺そうとする奴なんか一匹しかいないし。


「まあ、それはこれ以上考えても詮無き事だから置いておこう。転移の方法はどうするんだい? さすがに私は君の屋敷まで転移などできないよ。ましてお荷物があれば猶更だ」


 などと口にしつつチラリと客間の方に視線を向けるのは、そこで精神ダメージにより絶賛療養中のお花畑大天使が眠ってるからだ。

 あと何で唐突に転移の話が出て来たかって言うと……まあ、これくらいは言っても良いかな? 最終的にレーンたちに転移の魔法を使って貰って、僕の屋敷に来てもらう予定だからだよ。僕はちょっとその時は忙しくなる予定だから、自分で出来なくは無いけど精度やタイミングがブレそうだからね……。

 

「それは大丈夫。僕が作ったこの魔道具の腕輪を装着すれば、自由に転移ができるようになるからね!」


 だからこそ、その問題を解決するために創り上げた魔道具を虚空より取り出す。

 見た目は何の変哲も無いオシャレな腕輪だけど、これは装着者が自由に転移魔法を扱う事が出来るようになる最高に便利な魔道具だ。もちろん消費魔力は僕持ちだから、使用者の魔力量は一切関係ない。誰でも扱えて、誰でも超長距離の転移が出来るようになるっていう、この世界の常識をぶっ壊しかねないヤバい代物だぜ。


「それを寄越せ。さあ、早く」


 もちろん魔術狂いのレーンがこんな逸品を前にして、平静でいられるわけがない。ガタッと席を立ったかと思えば、僕の手から腕輪を奪い取るように手を伸ばしてきたよ。あさましいなぁ!


「クックック、簡単に渡すと思ったら大間違いだぜ!」


 しかしそれくらいはするだろうと読んでた僕は、すぐさま腕輪を空間収納に戻す。あまつさえレーンを嘲笑うように見下すというおまけつき。

 ご馳走を前に待てを命じられた犬の気分なのか、珍しくもムッとした表情で僕を睨んできたよ。あら可愛い。いつもはゴミを見るみたいに冷ややかに見つめてくる程度なのに。 


「それが無ければ計画は破綻するだろう。ならば一刻も早く私に献上する必要があるはずだ。くだらない真似をしていないで早く私に寄越すんだ。さあ、早く」

「相変わらず魔法関係に目の色変えるなぁ、コイツ……」


 ある種の圧力を感じる極めて真剣な表情で迫ってくるレーンに対して、相も変わらずな魔法大好き加減に呆れを越えて尊敬すら覚えるね。<カドケゥス>を手に入れた事で少しはマシになるかと思ってたのに、全然変わらないなこれ? 人の欲は限りが無いってはっきり分かんだね。

 だけど、僕もその限りない欲を持つ人だからその気持ちはよーく分かるよぉ? クケケケ。


「これが無いなら無いで僕が遠隔から転移させるだけだから、絶対に必要ってわけじゃないんだよ。とはいえ、お前は例え不必要だろうと喉から手が出るほどこれが欲しいよねぇ? んん~?」


 だから僕は、溢れる愉快な気持ちを嫌らしい笑顔に変えつつ確認を取った。

 とはいえ確認するまでも無く、レーンがこの腕輪を喉から手が出るほど欲しがるのは分かってた。それを手に入れるためなら、どんなお願いでも聞いてくれるだろうって事もな! そう、ここまでの流れは予定調和だ! どんな犠牲を払っても欲しがることが分かってるのに、このチャンスをみすみす逃して素直に渡すなんてありえないよなぁ!?


「……何をすれば、それを渡してくれるんだい?」

「ふっ、決まってるだろ?」


 クールに答えた僕はスッと手を挙げ、空間収納を開く。そこから床にドサドサと落とすのは、とても可愛らしかったりエロかったりする女の子用の色んな衣装。それこそ学校の女子用制服などのオーソドックスなものから始まり、スク水とメイド服を合体させたマニアックなものまで色々だ。

 えっ、何でそんなものが空間収納にしまってあるのかって? そりゃあこのチャンスを予想して持ってきたに決まってるだろ? 全部レーンが着られるようにサイズを合わせてあるぜ!


「コスプレエッチだ! スク水とか体操服とかメイド服とか、色々着てもらうからな! 真面目にやってくれたら腕輪をプレゼントするよ!」


 元よりすでに身体を重ねてる仲だから、恥ずかしげもなくそう叫ぶ。

 ああ、そうそう。勘違いしないで欲しいんだけど、別にコスプレエッチに飢えてるわけじゃないよ? トゥーラとかリアは頼めば何でも着てくれるし、たまにやってるからね。ただあの二人は喜んで従ってくれるからいまいち風情が無いんだよ。僕としてはこう、恥じらいや怒りを堪えながら着たくも無い服を身に着ける感じの反応が欲しいわけよ。分かる?


「……ゲスめ」


 うんうん、正にこんな感じの反応だ。頬を僅かに染めながら短くも直球の罵倒を口にして、ゴミを見るような目で悔しそうに睨みつけてくる。でも腕輪は欲しいから逆らわないし拒絶もしない。

 やっぱこういう反応が一番だよね。まあ一番良い感じの反応してくれるのはミニスだけどな! さーて、それじゃあレーンにはまず何を着て貰おうかなー? 今夜は寝かせないぞ? ウヘヘ……。


⋇もちろんミニスにもコスプレエッチをさせてます。当然です。

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