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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第12章:呪われた旅路
331/527

飼い犬との再会

⋇性的描写あり






 邪神の城周辺に散らばったエクス・マキナの残骸を回収して作り直し、なおかつ魔法の改良を行った僕はついに久方ぶりの自由を得た。すでに外の世界は夕暮れ時だけど、堅苦しく煩わしい旅から解放された僕の心は雲一つない青空の様に晴れやかだ。

 ああ、自由って素晴らしい。もう外から女共の悲鳴や嬌声が聞こえてくる中、手の届く距離にいる女に襲い掛かりたい衝動を我慢しなくて良いんだ。僕が一体どれだけ悶々とさせられた事か……あの旅とその時にやってた裏の行動も含め、それに耐えるのが一番辛かったまであるぞ?

 ていうかこんな事なら誰か一人うちの女を連れて行けば良かったかな? いや、連れて行ったら連れて行ったでちょっと面倒そうだしなぁ……やっぱ一人で行くのが正解だったか。


「――ただいまー、今帰ったよー」

「ひっ!?」


 そんなこんなで僕は屋敷のエントランスに転移して帰宅。なお、直後にエントランスを掃除してたミラと目が合い、ガチビビリされました。ご主人様が帰宅したってのに、何で腰を抜かしてへたりこむかなぁ。パンツ丸見え……。


「あっ、お、おか、おかえりゅ、おかえり、なさいませ……ご、ご主人様……!」

「噛み噛みで草」


 ちゃんとメイドとしての自負はあるみたいで、箒を支えにして立ったミラは噛み噛みになりながらも挨拶をしてくる。その足が生まれたての小鹿みたいに震えてるのは……うん、もう何も言わないでおこう。


「えと、その……な、何か、ご用でしょうか……?」

「いや、お前には特には。単に転移先にいたってだけだし。それよりベルとトゥーラは?」

「め、メイド長なら、今はお買い物に行っています……トルトゥーラ様は、お昼寝の最中です……ご主人様の、お部屋で……」

「何で勝手に僕の部屋で寝てんの……?」


 お昼寝は別に良いよ? いつでも呼び出せるよう、暇でいろって言ったのは僕だしね? しかしだからって何故僕の部屋で寝てる? プライバシーとかそういうの知らないのか? 全く……。


「まあちょうどいいか。それじゃあ僕はしばらく寝室にこもるから、あとはよろしくー」

「は、はい……かしこまり、ました……」


 ぺこりと頭を下げるミラを尻目に、さっさと部屋に向かう。

 正直な所もう色々我慢できないから、相手がクソ犬でも構わないかなぁって。というかミニス達はまだ里帰りから帰って来てないみたいだし、この屋敷にいる真の仲間はトゥーラだけだからね。聖人族の国に行ってレーンをヤるのも考えたけど、さすがにここまで積もり積もって濃縮された僕の欲望をぶつけて平気で済むとは思えないし。あとで絶対怒られる。

 しかしその点、トゥーラなら心置きなく何でもヤれる。身体も丈夫で体力もあるし、何よりマゾでもあるからハードなプレイもお手の物。安心して暴力的に犯せるってもんだぜ!


「………………」


 そんなわけで、こっそりと部屋の扉を開けて中に入る。

 え、何でこっそり入るのかって? そりゃあ寝てるなら起こさないようにしないといけないでしょー? 旅の最中は隣で寝てるセレスをチョメチョメ出来なかったから、その代わりに寝てるトゥーラをチョメチョメしたいとかそういうわけではないぞ。決して。

 などと心の中で言い訳しつつ、足音を殺してベッドに近付いていく。トゥーラはどうやら僕の使ってるシーツに包まって胎児みたいに丸くなってるみたいで、ベッドの上がこんもりと膨らんでたよ。僕の匂いに包まれてるみたいで安心するってか? ケッ、今から身体の中にもたっぷり僕を注いでやんよ!

 なんて事を考えながら、シーツをゆっくりと引き剥がし――


「――むっ、これは!?」


 丸まった人の形に整えられた枕と毛布を目にして、自分が騙された事に気が付いた。

 偶然こんな風になる事なんてあるわけない。これは僕の注意をベッドに向けさせるための罠だ! ちょこざいな!


「――いただき~っ!」


 予想通り罠だったみたいで、背後のやや上方からトゥーラの上機嫌な声が耳に届く。どうやら天井に張り付いて隙を窺っていた様子。そこまでして不意打ちをかましてくる癖に、わざわざ声を出して襲い掛かって来るんだから何がやりたいのか良く分からんね?


「ちぇいっ!」


 声のおかげでバッチリ不意打ちのタイミングを察して、華麗な後ろ回し蹴りを繰り出して変態を迎撃にかかる。僕の放った回し蹴りが変態ことトゥーラの横っ腹に見事直撃し、そのまま内臓を弾けさせる勢いで炸裂するも――


「あま~いっ! 今の私は飢えた狼だ~っ!!」


 などと意味不明な事を口走りつつ、空中で横っ腹に受けた回し蹴りの衝撃を体内で分割相殺するという神業を見せる。ついに手で受け止める必要すら無くなったか、コイツ!?

 しかし当然ここで諦める僕ではない。後ろ回し蹴りを放った事で連動して振られる形となった方の腕で手刀を放ち、変態を打ち落とそうとする。そしてこの手刀に込めたのは衝撃合奏インパクト・アンサンブルの魔法。一つの衝撃を同時に重ねて打ち込む、トゥーラにも相殺できないはずの一撃だ。これなら迎撃できる!


「それを受ける道理はな~いっ!」

「はあっ!?」


 しかし今回に限ってトゥーラは受け止めず、掌でするりと流して見当違いの方向に手刀を逸らした。まるで僕の摩擦支配フリクション・コントロールを使ったみたいに、綺麗に滑らせる感じに。本当もう何なのコイツ? ちょっと見ない間に技量が跳ね上がってるんだが?

 迎撃の二連撃を捌かれ、しかも身体の前面ががら空きになってしまった僕。そしてそのチャンスを逃すような変態じゃない。トゥーラは一つニヤリと笑うと――


「クンクンクンクン!! スーハースーハー! あぁ~っ!! 三週間と二日と二十二時間ぶりの主の匂いだ~っ!! ワフゥ~ンッ、ワフワフッ!!」


 両手両脚でがっしりと僕に抱き着き、首筋に顔を埋めて狂ったように匂いを嗅ぎまくってきた。その顔はもうヤバい薬をキメてるんじゃないかってくらいに蕩けて夢心地で、尻尾も千切れそうなくらいに激しくぶんぶん振られてる。

 どうやらあまりにも会えない期間が長すぎて壊れちゃったらしい。いや、前からこんな感じだったかな? それはともかく何で壊れていようと技の冴えは研ぎ澄まされてんのか本当に謎。


「相変わらずイカれてんね、お前。ていうか昼寝してたって話を聞いたんだけど?」

「確かに寝ていたよ~。でも主の足音が聞こえたから一気に目が覚めたんだ~、ワフワフ」

「足音で誰か分かるの……?」


 変態の片鱗を新たに見つけた気がして、ゾッとして思わず一歩下がる僕。しかしがっつりとだいしゅきされてるので逃げられない。犬獣人だから耳が良いのは分かるけど、足音で個人特定まで出来るレベルなの? もしやその聴覚の良さを利用して、僕のプライベートを盗聴とかしてないよね? コイツならやりかねんぞ……。


「もちろんさ~! 有象無象ならともかく、主の足音ならバッチリだよ~! 何ならその時の足音で主がご機嫌か不機嫌かくらいなら大体分かるよ~!」

「キモッ」

「ああ~っ! 主の冷ややかな目と直球の罵倒が心地良い~……!」


 ストレートな罵倒と軽蔑の目を向けたのに、トゥーラは快楽に悶えるように息を荒げる始末。このまま無視して放置プレイしようと喜ぶだろうし、ぶん殴ってもむしろ喜ぶのは目に見えてる。本当にコイツは無敵だな……。


「ところで~、こんな明るい内に戻ってきて大丈夫なのかい~? それとも仕事は一区切りついたという事なのかな~?」


 しばらくヤバい表情でトリップしてた癖に、唐突に抱き着くのを止めて表情を元の朗らかなものに変え、普通の人みたいにまともに話しかけてくる変態。この切り替えの速さは何? テンションの高低差で風邪ひきそう。


「まあそんなところ。でも詳しい事を話す前に――ベッドに上がれ、クソ犬。長い長い旅路の果てに積もりに積もった欲望を、余さずお前にぶつけてやる」


 とはいえこんな変態でも見た目は美少女。その上どんなプレイだろうと喜んで受け入れ、従順に奉仕する気概がある便利で都合の良い女だ。禁欲の旅で溜まった欲望をぶつける相手に、コイツほど相応しい相手は早々いないね。

 というわけで僕はベッドを親指で指し示し、上着を脱ぎ始めました。


「わふっ!? あ、主が自らベッドに誘ってくれるとは~……!」


 トゥーラは僕がベッドに誘った事が相当嬉しかったみたいで、犬耳をピンと立てて尻尾を爆速で振り始めたよ。瞳もキラキラしていらっしゃる。ぶっちゃけミニスが帰って来てたらミニスを襲おうと思ってたんだけどなぁ。


「さあっ! いつでもどんなプレイでもどんとこいだ~! 私にはどのような特殊で異常なプレイでも受け入れる覚悟があ~るっ!」


 なんて事を考えてるのは、さすがに足音から個人の特定と機嫌の良し悪しを計れるトゥーラも分からないみたい。素直にベッドにぴょんと飛び乗り、まるで本物の犬みたいに仰向けで腹を見せる始末。しかもメス犬の顔しながらね。

 この反応だけならまだマシなんだけど、実際にどんなプレイでも受け入れる覚悟がありそうだから困る。何ならマウント取って殴りながらでも絶対オッケーだぞ、コイツ……。


「僕はお前ほど高レベルじゃないから、そこまでイカれた事はしないわ。とにかくさっさとヤるぞ。もう正直我慢の限界だ」

「わぅ~ん! 私を無茶苦茶にしてくれ、主~!」


 こんな変態でも、見てくれは美少女。そして今の僕は禁欲の旅のせいで爆発寸前。なので仕方なく変態を抱き、欲望を発散する事にしました。何が悔しいって身体の相性は悪くないって事なんだよなぁ、クソぅ……。






「――ふむふむ、なるほど~。邪神討伐の旅は予定通りの結末を迎えた、というわけだね~」

「そうそう。最終的に生き残ったのは四人。全滅も生温い壊滅状態だね。まあその四人、ていうか僕を除いて三人は意図的に生かしただけなんだけどさ」


 数時間ほど変態を思うがままに貪り、ようやく欲望が一旦鎮まった頃。僕はトゥーラと現状報告っていう名のあんまり色気のないピロートークに興じてた。

 悔しい事にめっちゃ気持ち良くて最高で、心はスッキリで欲望もスッキリの濃厚な時間だったよ。盛大に貪って楽しませて貰った身でこう言うのはなんだけど、こんな変態相手に大いに満足しちゃうのが滅茶苦茶腹立つわ……。


「ともかくあの三人はもう馬車も無く、そして僕の肉人形を抱えたまま移動しなきゃいけないから、どうしたって街に辿り着くのは時間がかかる。その間に僕本体は自由に行動できるってわけさ」

「さすがは主~! 抜け目が無いね~!」


 僕の腕の中に抱かれたまま、喜び溢れん笑顔で褒め称えてくるトゥーラ。

 一見わざとらしいけどコイツの場合は本心で言ってるんだろうだし、そこまで悪い気分では無いね。むしろ盛大に褒めてくれてるから気分良いわ。


「ふふふ、そうだろう。もっと褒めろ」

「よっ、世紀の大悪党~! 人でなし~!」

「フフフ」


 そしてノリも良いから悪くない。禁欲の長旅で色々疲れた身としては、今だけは厳しいツッコミ役よりも従順でノリの良い女の方が心地良いね。よりにもよってこの変態っていう点はマイナスだが、まあ贅沢は言うまい。


「それで、主はこの後どうするんだい~?」

「そうだね、ひとまず数日くらい休もうかな。長旅でクッソ疲れたし、まだミニス達は帰って来てないし。その後は計画を第二段階に進めるよ」

「おおっ、もう第二段階か~。エクス・マキナの時を倍する混乱が世界を襲うね~?」


 僕の発言にトゥーラは楽しそうにニヤリと笑う。

 世界平和のための計画には幾つかの段階があって、途中まではわりと速いペースで進むつもりだ。第一段階は皆ご存じ、邪神降臨と大陸整形、エクス・マキナによる定期的な脅威の演出。そして楽しい第二段階は――いや、ネタバレになるから今は秘密ね。


「しかし、こんなに早く段階を進めて大丈夫なのかい~? 世界規模で不可避の行動を起こすのだし、もう少し慎重にチャンスを窺った方が良いんじゃないかな~?」

「その辺の話は後日にしようよ。数日はゆっくり休みたい……」


 確かにトゥーラが言う通り、チャンスを窺った方が良いって指摘も一理ある。それに対する反論も僕にはある。

 とはいえ今の僕は長い重労働から解放され、素晴らしい自由を謳歌してる身だ。今はそんな難しい事考えず、肉欲や狂気を楽しみたい。そんなわけでトゥーラの裸の胸に顔を埋め、嫌々するように頬ずりしました。


「お疲れ様だね~、主~。そういう事なら、今は私の胸の中でゆっくり休んでくれ~?」


 トゥーラは嫌がりもせず、むしろとっても暖かい声音で優しく語り掛けながら抱きしめてくれる。これがミニスやレーンなら、ゴミでも見るような目で見下ろしながら冷たく罵倒してくるからなぁ……あ、ちなみに実体験です。やったら実際そんな風な反応でした。正直ちょっと興奮した。

 でもまあ、トゥーラならむしろ喜んで迎えてくれるからね! コイツはなかなか包容力があるよ! あー、変態である事を差し引いても癒される……良い気分で凄く眠くなってきた……。


「……目が覚めたら、話の中で意図的に省いていた、主に想いを寄せていたあの女の事を聞かせてくれると嬉しいな~?」


 などと僕がうとうとしてると、とっても優しい声音でそんな冷たい囁きを耳元で零すトゥーラ。予めセレスの匂いを消して帰ってきたから今まで何も言われなかったけど、どうやら忘れたわけでは無かったらしい。

 うん、ちょっと訂正。包容力がある代わりに嫉妬とかもかなり強いですね、これは……。






何だかんだでクソ犬ともお似合い

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― 新着の感想 ―
[一言] 翻訳アプリで失礼します。 やはり、大な胸の戦闘力(包容力)のある全肯定ダメ犬は癒し枠にふさわしい
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