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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第12章:呪われた旅路
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カレイドの秘密

⋇性的描写あり


 カレイドのテントの中にいたのは、美味しそうな褐色肌が食欲と性欲をそそるとびきりの美女でした。ハニエルほどじゃないけど胸はデカく、そして鍛えてるのか無駄な肉が見当たらない筋肉質な身体だ。かといってムキムキってわけでもなく、筋肉質な女が嫌いな男も問答無用で魅了できる均整の取れた身体だね。

 そして長い銀髪はウェーブがかっていて、その煌めきはまるで月の光を反射する湖のよう。それに反して瞳は燃える太陽が如き金色に輝いていて、月と太陽の美しさを体現してるとんでもない美女だ。

 まあここまでで驚くべきことが色々あるんだけど、一番驚きなのはもっと別の事。それはこの美女の頭と背中、そしてお尻から凄く見覚えのある角と翼と尻尾が生えてる事だ。ついでに言えば、美女の近くに分解された鎧みたいな金属片が幾つも置いてある事もかな。知ってはいたけどまさかこれほどとはね……。


「……すんませんでした」

「待て。少し……外で待っていろ」

「はい」


 とりあえず謝罪をして外に出ようとすると、美女がハスキーな声でそう指示してくる。素っ裸を見られた割にはわりと落ち着いた対応してるな? まあ種族がら(・・・・)あまり抵抗が無いっていうのもあるのかもしれない。

 そんなわけで一旦テントを出て、お呼びがかかるまで待ちました。いやぁ、わざとじゃないけどなかなか良いもの見せて貰いました。僕の女たちはあんなにグラマーな体型してないからね。


「……入って良いぞ」

「失礼しまーす」


 しばらくして若干不機嫌そうな声がかけられたから、素直にテントの中に入る。

 中にいたのは変わらず褐色の美女のみ。ただしさすがに素っ裸はやめたみたいで、ショートパンツとへそ出しのタンクトップみたいな超ラフな格好してるよ。しかしそんなイケイケな恰好でとっても綺麗な女性なのに、僕を恨めしそうにジトッと睨んでるよなぁ。そんな睨まないでよ、興奮しちゃう。


「えーっと……もしかして、君がカレイドさん?」

「……そうだ。俺がカレイドだ」


 控えめに尋ねると、ちょっと不機嫌そうな肯定が返ってくる。

 そう、この美女こそがあの全身鎧の中身。実は女性だっていうのは初対面の時に解析(アナライズ)してたからすでに分かってたけど、ネタバレになるからあえて今まで黙ってました。だってこういうのはサプライズで判明した方が嬉しいでしょ? 無骨な全身鎧の中から美女が出て来るとか一種のお約束だし。

 しかもコイツね、種族は悪魔じゃないの。実はサキュバス。つまり巨乳褐色高身長金目銀髪ウェーブヘアーサキュバスだ。属性多すぎね?


「そうっすか。いやぁ、これはビックリ……」

「それはこちらの台詞だ。声もかけずノックも無しにテントの中に入ってくるなど信じられん。お前には常識が無いのか?」

「いや、だって男同士だと思ってたからさ。お前も女だって申告しなかったし」

「む……それは、確かにそうか……」


 不機嫌だったカレイドだけど、僕がそう指摘すると苦虫を噛み潰したような顔で納得を示す。どうやら着替えを覗かれたから問答無用で殴り飛ばす、なんてキャラじゃないみたいだね。まあサキュバスだしそれくらいは慣れっこなんだろうか? でも調べたら処女だったしなぁ……。


「そもそもの話、何で性別隠してたの? しかも全身鎧をガチガチに着込んでまで」


 何にせよ、これが聞き出しにきたカレイドの秘密だ。予想外の状況でちょっと面食らったけど、話を誘導する手間が省けたと考えよう。ここからもっと詳しく踏み込んで、できればラッセルと交代で仮眠と警戒をするようにお願いしなきゃね。

 あと個人的にもこの美貌とスタイルを隠してた理由が気になる。自信が無いとかそういう風には見えないし、ぶっちゃけサキュバスの中でもかなりの上玉に見えるんだよなぁ。

 カレイド自身、自分の姿を知られたからには語る必要があるって判断したみたい。一つ深いため息を零してから口を開いたよ。


「……見ての通り、俺は女だ。そして種族も悪魔ではなく、サキュバス。その上でこの見た目だ。商売女の類を目指すならともかく、高ランクの冒険者を目指すにはあまりにもそぐわない。見た目で舐められ、侮られ、ランクの昇格にすら悪影響を及ぼすかもしれない。だからこそ俺は全身を鎧で覆い隠しているのだ。俺にはSランクの冒険者となる――いいや、強くなるという夢があるからな」


 なるほど、飽くなき強さを求める求道者だったか。サキュバスなのにキャラを間違えてない? でも実際間違いレベルだからこそ、この見た目が邪魔になると判断したんだろうな。セレスでさえかなり舐められてるし、カレイドみたいな美女、しかもサキュバスならもう滅茶苦茶その手の絡みを受けそう。

 でもだからって常日頃から全身鎧で身を隠すかなぁ? そこまでしてSランク冒険者になりたいの? これは強さを求める理由が何かありますね……。


「何でそこまでして強くなりたいの? もしかしてお前も憧れの人がいるとか?」

「憧れ、か……恐らく、そうなのだろうな」


 どうやら正解だったらしく、カレイドは少し遠い目をして虚空を眺める。あ、これは長い語りが入りますね。間違いない。回想シーン入りまーす。


「……俺は幼少の頃、首都に住んでいた。母親は城に務めるメイドの一人で、種族的な問題もあって父親が誰かは分からず、女手一つで俺を育てていた」

「やっぱり語り入った。ていうか種族的な問題って何?」

「サキュバスだぞ。察しろ」

「あ、そういう事ね……」


 基本的にサキュバスの貞操観念はガバガバ。始まりのサキュバスとも言えるリリスもかなりアレだったし、まあ不特定多数とヤりまくってて父親が誰か分かんないんでしょうよ。

 しかしそう考えるとリアはサキュバスにしては滅茶苦茶一途だよね。何せ相手は僕だけだし……。


「女手一つで仕事と育児を両立するのは難しい。そのため母はたまにメイドの部屋に俺を連れて行き、手の空いているメイドたちに世話を手伝ってもらう事もあった。まあそれは他のメイドもやっていた事だがな。一種の託児所のようになっていた」

「職場に子供連れ込み放題とか、魔王城って意外と風紀とか規則緩そうだね……」


 まあ魔王も理論派というより武闘派に近そうだし、意外とその手の規則とかは緩めなのかもしれない。何より本人が束縛嫌いそうだしね。アレは絶対俺様至上主義だよ、間違いない。


「そしてある時、俺がいつものように城のメイドの部屋で過ごしていると、突如として城が揺れ、地響きのような轟音が鳴り響いたのだ。城内も騒がしくなり、気になった俺は部屋を出て中庭へと向かい――そこで奴を見た」

「奴……?」

「――勇者だ。電撃を自由自在に操り、稲光の如く宙を舞い、雷光そのものの剣を振るう聖人族の勇者。そいつが魔王と正面から戦っていたのだ」


 お、勇者だって。魔獣族の国に来て初めて情報を聞いた気がする。内容からしてたぶん雷光の勇者とかいう奴かな? というか突破率三割の国境を抜けたばかりか、魔王の元まで辿り着いたのか。スゲェなぁ、マジで勇者じゃん……。


「そして、俺は勇者の姿に強い憧れを抱いた。どれだけ傷つき血反吐を吐こうとも、決して諦めず倒れない不屈の精神で魔王と切り結んでいたのだ。その迫力と心の強さが子供心に刻み込まれ、以来俺は勇者のように強くなる事を目的として生きてきたのだ」

「はえー……」


 勇者の姿に憧れを抱く。良くある話で物珍しさはそんなに無いけど、この世界での勇者は聖人族が魔獣族の国に送り込んでくる使い捨ての生物兵器だ。それに憧れを抱くって事は、子供心によっぽど衝撃が強かったんだろうなぁ。

 あるいはそれくらいに雷光の勇者が強かったのか。まあどちらにせよ魔王が健在である辺り、戦いの結果は推して知るべしだ。


「なるほどねぇ。やたら電気を好んで使うと思ったら、そういう事情があったわけか」

「そうだ。強く鮮明にイメージできる分扱いやすく、魔力も少なくて済む割に威力も高まるからな。尤も俺が子供の頃に見たそれには、今でも近付けている気はしないがな」


 そう口にしつつ、カレイドは拳を握ってパリパリと電気を纏わせて見せる。憧れをしっかり力に変えてる辺り、強さを追い求めてるのは本当みたいだ。


「サキュバスであるこの俺が、全身鎧で身を隠しながらもSランクの冒険者を目指している理由がこれだ。幸いな事に俺はかなり背が高く、角や尻尾も悪魔のそれに似ているからな。誰も彼もが俺を悪魔の男だと思ってくれている」

「そりゃあねぇ……」


 長身に加えてデカい角とデカい翼、そして長い尻尾が全身鎧から出てるんだ。そんな奴が電撃を放ちながら物騒な戦斧を振り回す姿を見て、誰が中に女、しかもサキュバスが入ってるって思うよ。ただでさえハスキーな声もヘルム越しだから女の声には聞こえないしね。


「ちなみに、ラッセルはこの事知ってるの?」

「いいや。ラッセルだけでなく、誰も知らん。知っているのは母くらいだな。俺の母もサキュバスにしては若干変わり種で、誰の子とも知れぬ俺を女手一つで育てるような人間だ。俺がそうしたいのなら夢が叶うように一生懸命応援すると、背中を押してくれている」

「ふーん、なるほどねぇ……」


 やっぱりラッセルは知らないか。まあどう見ても強い男に憧れるショタにしか見えなかったもんなぁ。これ中身がサキュバスの美女だって知ったらラッセルくんどうなっちゃうんだろう? 全身鎧を纏った憧れの男は、実はとびきりの褐色美女でした! ラッセルくん性癖壊れちゃうかな? おねショタ展開になっちゃったりするんだろうか。それはちょっと面白そうだな……。


「……さて、話はこんな所だな」

「そだね。じゃあ――って、ちょい待て。何故脱ぐ?」


 昔話と身の上話が終わったみたいだから早速本題に入ろうとした僕だけど、ここでまたしても意表を突かれる。だってカレイドがタンクトップみたいなの脱ぎ始めたんだもんよ。そしてその胸元の果実が弾みながら顔を出し――エッッッッッッ!!!


「俺は秘密を誰にも知られたくない。そしてお前は男で、俺は女。しかもサキュバスだ。それなら秘密を守らせるために俺が払える対価は一つしかないはずだ。俺はまだ未通女だが、お前は経験豊富なようだし、好きなようにしろ」


 などと上半身素っ裸で言い放ってくるカレイド。未通とか言ってる割には少し不機嫌そうな顔をしてるだけで、顔が真っ赤になってるとかは無いね。良くも悪くもサキュバスって事か。

 しかしこれどうしよう。美味しい展開なのは否めないけど、ここで僕がカレイドを抱いたらラッセルくんはおねショタどころの話じゃないな? 脳が破壊されて廃人になってしまう……。


 全身鎧の中身は美女でした! というお約束の展開。なお、作者は全身鎧の中身が美女とかいうのはラ●アータの大隊長くらいしか知らないかな。

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