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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第2章:勇者と奴隷と殺人鬼
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奴隷の治療

⋇ちょっとした性的描写あり

⋇ハニエルは癒し

「ただいまー! おーい、ハニエル! ちょっとここ開けてー!」


 奴隷市場でのウキウキショッピングを終えた僕は、その足で宿屋に戻ってハニエルの部屋を訪れた。ちょっと右腕が塞がってるから左手で扉をこれでもかとノックして、ひたすらに大声で呼びかける。

 ショックを受けてるんだからそっとしといてやれって? そんなの僕には関係ないね。というかある意味これもハニエルのためになるわけだし、僕は遠慮なんてしないよ。だからとっとと出て来いやオラァ!


「……おかえりなさい、勇者様――って、その子は何ですか!?」

「あ、これ? 買ってきた奴隷」


 しばらくしてどこか沈んだ顔をして出てきたハニエルだけど、僕が右手に抱えてるものを見て目を丸くして驚いてた。

 まあ勇者様が薄汚れた死体みたいな小柄な奴隷を抱えてたら、驚くのも無理はないかな。あ、死にかけてるってだけで一応まだ息はあるよ? 別に僕が何かしたんじゃなくて、最初からこんな状態だったからね? 本当だよ?

 結局僕はどんな種類の奴隷が欲しいのか自分でも分からないまま見回って、最終的には一番面白いって感じた奴隷を購入したんだ。それが今、僕が右手に抱えてる小柄な女の子。ピクリとも動かないし目は濁って死んでるし、長い髪や肌は皮膚病にでもかかってんじゃないかってくらいボロボロで元の色もさっぱり分かんない。そもそも性別も言われなきゃ分かんなかったしね。

 正直解析(アナライズ)で興味深い情報を見られなかったらこんなもん間違っても購入しなかったよ。おっきな角やら翼やら、長くて細い尻尾が生えてるっていう点はなかなか素敵で心惹かれるけどさ。


「ほ、本当に買ってきてしまったんですね――というかその子ぐったりしてますよ!? 大丈夫なんですか!?」

「んー、どうだろ。ほっといたらすぐに死ぬからって大銀貨一枚で買えたよ?」


 ちなみに大銀貨一枚っていうのは円で言えば千円くらいかな。

 奴隷っていう商品としての維持費とか考えると、明らかに赤字で持て余してたのがはっきり分かる値段だね。可哀そうだから大金貨一枚渡して『釣りはいらない』って言ってきたよ。大金貨一枚はたぶん十万円くらいじゃない?


「問題おおありじゃないですか!? とにかくすぐにベッドに寝かせてください!」

「はいはい。よっこらしょっと」

「もっと優しく! 丁寧にしてあげてください!!」


 うーん、ハニエルは優しいけど口うるさいのがなぁ。ちょっとベッドに放り投げただけじゃないか、全く……。

 とまあ、そんなこんなでベッドに奴隷を寝かせると、ハニエルはすぐさま奴隷の具合や状態を確かめ始めた。あ、具合ってエッチな意味じゃないよ? でも確かに種族的に具合は良さそう……。

 

「……驚きました。この子、サキュバスなんですね」


 そう、この奴隷は世にも珍しく貴重なロリサキュバス奴隷なのだ。だからきっと具合は良いでしょうよ。

 ただ外見が何か物理的な灰被りみたいな状態だから、全くそそられないけどね。一応僕も連れて来る前に治癒とか解毒とかの魔法をかけてみたけど、全然変化無かったし。

 それでどうすればいいか分からなかったから、ハニエルのところに連れてきたわけ。奴隷を助けられずにショック受けてたハニエルなら、きっと何としてでも助けてくれるって思ったからね。助けられればハニエルも少しは元気になるだろうし。

 えっ、助からなかった時? 知らん。


「こんなに幼いサキュバスは初めて見ました。一体何歳なんでしょうか?」

「二十歳だってさ。ロリ期間が長く続くっていうのは最高だよね」

「えっ、二十歳!? 本当ですか!?」

「何でそんな驚いてんの? 若さが羨ましい?」

「違います! いえ、羨ましくないわけではないですけど……この子が二十歳ならこの姿はおかしいんです。サキュバスは普通、十六歳前後で成熟した身体に成長する種族ですから」

「ん? いや、でもこの子本当にニ十歳だよ? そこは間違いないよ」


 奴隷商人のデブオヤジが奴隷契約を結んだ当初に聞き出した内容だし、僕も魔法で確かめたからそこは間違いない。見た目十歳かそこらでも、この子は間違いなく二十歳だ。だから間違いなく合法ロリータだよ。


「そうですか……だとするとたぶん、この子は何らかの要因で成長できなかったんでしょうね。それにこの弱り切った身体……もしかすると……」


 何やらぶつぶつと独り言を零すハニエル。

 成長できなかったってことはもしかしてこの子、ずっと合法ロリのままなのでは? 何だそれ、最高かよ。これで見た目が何とかなればなぁ……。


「あの、勇者様……散々お説教をした私がこんなことを言うのはおかしいと思われるでしょうが、どうしても必要なことなんです。この子の情報を、魔法で調べてください。そ、その……経験人数と……じ、自慰行為の、経験の有無を……」


 とか色々考えてたら、ハニエルが頬を赤らめて恥ずかしそうにおかしなことを言い始めた。

 何か経験人数と自慰行為の経験の有無を調べろとか聞こえたな。僕の頭がついにおかしくなったか?


「ごめん良く聞こえなかった。もう一回恥ずかしそうに言ってくれる?」

「で、ですから! この子の経験人数と、自慰行為の経験の有無を調べてください!!」


 どうも聞き間違えじゃなかったみたい。ハニエルは顔を真っ赤にしながらわざわざ大声で言い直してくれたよ。羞恥攻めしてるみたいで興奮するね。


「急にどうしたの? 実はロリっ子サキュバスが好みのタイプだったとか?」

「違います! 訳は後で説明しますから、とにかく早く調べてください!」

「はいはい、解析(アナライズ)――」



経験人数:0人

自慰行為の回数:949037回



 おっとぉ……『もうっ、調べるのは私じゃないです! 勇者様のエッチ!』っていうラブコメ的展開にしようと思ってハニエルのを調べたら、シャレにならないとんでもねー回数が出てきたぞ……。

 まあ三千年生きてたら一日一回でも尋常じゃない回数になるのは当たり前か。むしろ百万行ってないだけマシかな? これはちょっとコメディにならないので僕の胸の中にだけ秘めておこう。改めてこっちのロリサキュバスを解析(アナライズ)だ。


経験人数:0

自慰行為の回数:0


「純真無垢で綺麗なおぼこですね、これは……」

「や、やっぱりですか……」


 僕が答えると、何だか頭が痛そうな顔をするハニエル。女の子の日かな?

 というかロリサキュバスで処女とかどんだけレアなんだ、コイツ。本当に惜しいな。これで見た目がマシだったら……!


「で、何でそんなこと調べさせたの?」

「じ、実はですね、成人したサキュバスは、その……え、エッチなことをした時の、か、快感が……身体にとって、必須の栄養源のような存在になるんです……」

「何そのエロい存在。エロゲーか何か?」


 つまりはエロいことをしないと生きられないってことだね。まるで寝ても覚めてもスケベなこと考えて致してる男子中学生みたいだ。

 というか、全ての生き物は女神様が創ったんだよね? じゃあサキュバスがそういう種族っていう風に設定したのも女神様ってことで……これはいつか真意を問いたださないといけませんねぇ?


「えろげー……? そ、それはよくわかりませんけど、この子が二十歳だというのなら恐らくその栄養が全く足りていないんだと思います。そ、その、経験もないようですし……」

「でもそれはおかしくない? 奴隷商人は最低限奴隷の世話はしてるって言ってたよ?」

「たぶん、サキュバスのその性質を知らないんだと思います。彼女たちにとってみだりに話すことではないですし、どうしようもない時は、その……じ、自分の手でも、できますし……」


 あー、なるほど。だからわざわざ自慰行為の経験まで聞いたってことね。何か無性に恥ずかしがりながら口にしてるけど、そりゃ九十万回以上も致した経験があるなら恥ずかしいわな。このスケベめ!


「それに、この子は身体が十歳前後から全く成長していないようですし、もしかするとそれが原因でサキュバスとしての教育を受けさせてもらえなかったのかもしれませんね。彼女たちにとって女性的な身体や知識は、一種の誇りのようなものですから」

「はーん、なるほど。確かに奴隷契約で何でもかんでも話す状態になってても、エッチしないと死ぬかどうかなんて聞く奴いないもんなぁ」

「は、はい……そういった事情から、恐らくこの子に足りていないのはその栄養素だと思います。先ほどからずっとヒールをかけていますが、回復の兆しが見られないので……」


 なるほど。そりゃ傷の治療とか体力の回復とかに使う魔法じゃどうにもならないよね。細かく指定して使おうにもイメージや対象が曖昧だと馬鹿みたいに魔力食われるらしいし、下手すると治療以外の何かっていう判定がされて更に消費魔力も高まるだろうし。

 まあ無限の魔力を持つ僕には関係のない話なんですがね?


「……つまり、アレかな? 気持ち良くさせてあげれば回復するってこと?」

「お、おそらくは……」

「なるほど……」


 うーん、どうしよう。僕ならたぶん魔法でできなくもないとはいえ、何でもかんでも魔法で済ませちゃうのは面白くないなぁ。僕としてはロリっ子とまぐわう大義名分を得たんだから喜んでヤりたいとこだけど、さすがにちょっとコイツの見た目がアレだし。

 だからここはちょっとした実験も兼ねて、魔法で間接的に治療してあげよう。治療のお代が人体実験だけなんて、僕はとっても優しいなぁ?


「っ……!!」


 そんなわけで、とある魔法をロリサキュバスにかけてみた。反応は劇的で、死んでたはずの目が見開かれて身体がびくりと痙攣した。でも声を出すほどの元気は無さそう。残念。


「何をしたんですか、勇者様?」

「感度を三千倍に引き上げる魔法をかけてみました」

「何てことをするんですか!?」


 首を傾げたかと思いきや、怒りを露わに詰め寄ってくるハニエル。

 え、何でそんなに怒ってんの? 快感感じさせてあげないと駄目だからたっぷり感じられる身体にしてあげただけなんだけど……やっぱり三千倍じゃ中途半端ってこと? 一万倍くらい行っとく?


「だってこのままじゃ死んじゃうんでしょ? それよりはマシじゃない?」

「だからといってそんな……ああ、でも確かに命にかかわっていますし……!」

「まあそういうわけで命の方は心配ないから、看病ついでに早速この子の身体を洗ってやってくんない? 三十分くらいで効果は切れるし、僕が洗うとどうせあーだこーだ言うでしょ?」

「この状態で身体を洗うんですか!? だ、大丈夫なんですかそんなことをしても!?」

「元々死にかけてたんだし、やってもやらなくてもあんまり変わらないと思うよ? むしろ身体の隅々まで洗ってやって気持ち良くしてやった方が、回復も早まるんじゃないかな?」


 あるいは快感で発狂して頭がおかしくなるかもね。でもその時はその時だ。すでにレーン印の奴隷契約が結んであるから、発狂したら記憶を弄って正常に戻すくらいはできそうだし。やっぱ先に契約してると、受け入れるように命令すれば何でもできるのが嬉しいね。


「な、なるほど……分かりました。それじゃあ私はこの子と一緒にシャワーを浴びてきます。覗かないでくださいね、勇者様?」

「お、それは覗けっていう振りかな?」

「違います! とにかく覗いたら怒りますからね、もうっ! というか出て行ってください!」


 何やら怒りつつ、僕を部屋から締め出すハニエル。

 おいおい、これじゃあお風呂が覗けないじゃないか。まさか本当に覗くなってことなの? そんな馬鹿な。エロゲやアニメなら間違いなくエッチなシーンが見られるお約束の展開だろ!? くそっ、これが規制ってやつか……! 



⋇ハニエルは卑しい

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