表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第10章:真実の愛
274/527

閑話:残り二人の面談

⋇家庭訪問の時のリアとミニスの面談です。

⋇前半ミニス視点、後半リア視点

⋇性的描写あり





 今日は少し前に冒険者ギルドで出会った、この屋敷の前の持ち主たちとお話をする日。ただそれだけで何の確執も無いなら良いんだけど、不幸な事に確執しか無いのよね。そもそもあの人たちが私たちとお話をするのは、あのクソ野郎の事を私たちから色々聞き出したいからだし。

 ぶっちゃけ望みの情報を渡してあげたい気持ちもあるけど、これでも私はクソ野郎の仲間の一員。だからクソ野郎が望んで昨日散々話し合った通り、変な疑いを持たれないような答えを返さないといけない。だから私は緊張と不安で胃がキリキリ痛むのを感じながらも、話をする事になった女の人を自分の部屋に案内したわ。


「まずは初めましてです。私はリリアナ。Sランク冒険者パーティの<ネバー・アゲイン>の一人です」


 部屋に通してお互い椅子に座って向かい合ったところで、向こうが先に挨拶してきた。この人は私と同じ兎人のリリアナって女の人。ピンクの髪にピンクの目、それに私と同じか少し大きいくらいの身長だから凄く可愛い女の子に見えるわ。まあうちの妹には敵わないけどね。

 でもちょっと無表情だから何だか睨まれてるように思えるし、そもそもこの人三十年前から高ランク冒険者やってるのよね。確実に私より三倍は年行ってそうだわ……。


「あ、は、はい、初めまして! 私はミニスっていいます! Cランクの冒険者です……!」


 私は緊張のあまり裏返りそうな声で何とか自己紹介を返した。何せこれからあのクソ野郎に関しての事を色々聞かれ、それに対してクソ野郎が怪しい男じゃないって分かってもらうための答えを返さないといけないもの。

 実際は怪しい所しか無いから嘘で塗り固めて何とか納得させないといけないのよね。そのために昨日はクソ野郎からじっくりカバーストーリーを仕込まれたり話し合ったりしたし……尋問を受ける犯罪者ってこんな気分なのかしらね……。


「私がSランクだからといって、そんなに固くならなくても大丈夫です。同族ですし、もっとゆったり楽にしてくださいです」

「は、はい。努力します……」


 向こうは私が緊張と不安でガチガチなのはランクの差だと思ってくれたみたい。安心させるようにほんのちょっと微笑んでくれたわ。

 でも表情があんまり変わってないからいまいち緊張は和らがないわね。レーンの奴みたいに表情に感情が出にくいタイプなのかしら。まあ私と同じ兎人なのはちょっと安心できる要素だけど……。


「それで、早速なんですが……ミニスちゃんは、あんな男のどこが良いのです?」

「え? 何一つ良くないですけど?」

「……ん?」


 あ、ヤバい。反射的に答えちゃった。クソ野郎に好きな所なんて一つも無いからつい……まあ、別にその辺は自由に答えて良いって言われてたから問題なしね。

 というかこんな答えが返ってくるとはリリアナさんも思ってなかったみたいで、首と一緒にウサミミを曲げてるわ。きっと私があのクソ野郎に惚れてて無意味に持ち上げるとでも思ってたのね。


「……あの男の恋人、あるいは情婦。そういう立場、なのですよね?」

「えっと……まあ、そうです。でも別にあのクソ野郎の事は好きじゃないですよ。そこは勘違いしないでください。あのクソ野郎の事は普通に嫌いです」

「ご、ごめんなさい、です……」


 あんなクソ野郎に好意を抱いてるなんて思われるのは虫唾が走るから、そこだけは強く否定した。これにはリリアナさんもウサミミを縮こまらせて謝って来たわ。まさかあのクソ野郎の仲間の一人がここまでアイツを嫌ってるなんて思ってもいなかったでしょうね……。


「それじゃあ、どうしてあんな男と一緒にいるんです? 弱みでも握られてるんです?」

「……実は、あのクソ野郎は命の恩人なんです。私の両親と、妹の。ただの村娘の私には逆立ちしても返しきれない恩があるので、そういう方法で返してるっていうか……」


 ここだけは反射的に答えるわけには行かない内容だったから、予め決められた通りの内容を話した。あながち嘘でも無いからわりと躊躇いなく素直に口に出来たわ。少なくとも私とレキの恩人である事は確かだし。

 それにこの内容なら、クソ野郎が私を無理やり手元に置いて縛り付けてる事にはならない。あくまでも私の自由意思で、クソ野郎の所にいる事を選んだだけ。真っ黒なアイツを少しでも良く見せるためのカバーストーリーってやつね。

 虚実を交えた内容で説得力もあるからか、リリアナさんも信じてくれたみたい。無表情でこくこくと頷いてくれたわ。


「なるほど、そういう理由があるのですね。しかし、あなたはそれで良いのです?」

「まあ、それ以外に恩を返す方法も無いですし……それに向こうは私の事を気に入ってるので、わりと贅沢もさせて貰えますし、いざという時は家族のために力になってくれる事にもなってますし……」

「ミニスちゃん、意外と強かです……」


 ちゃんと私にもメリットがある関係なんだって事を伝えると、リリアナさんはちょっと驚いたように目を丸くした。無表情だからほんの少しだけ変わった程度だけど。

 でも強かかどうかはともかく、わりと待遇が良いのは事実なのよね。故郷のお母さんやお父さん、そしてレキとお話しできる魔道具をくれたし、屋敷の一部屋を自室として貰えてるし、偽造通貨だけどお金も貰えるし、特に行動も制限されないし。まあその代わり、定期的にクソ野郎に抱かれないといけないのが辛い所ね……。


「でもそれはつまり、クソ野郎に身体で支払っているって事ですね。その……平気なんです? 大嫌いなクソ野郎に、自分の全てを曝け出し弄ばれるのは……?」


 やっぱりそこが気になるみたいで、リリアナさんは躊躇いがちに聞いてきた。内容が内容だからちょっと恥ずかしいのかウサミミがもじもじしてるし、心なしか頬っぺたもちょっと赤い。

 正直私も恥ずかしいからあんまりこの話題は続けたくないけど、私はあのクソ野郎のマイナスイメージをできるだけ払拭しないといけない。それが出来ないならせめて今以上に疑われるのを避けないといけないわけだし、ここは我慢して話を続けるしかないわね……。


「正直嫌ですけど、その……て、テクニックが、凄いので……そこまで、悪くは……」


 自分で口にするのも認めるのも嫌だったけど、私は顔が熱くなっていくのを感じながら何とかそれを口に出した。あー、自分のウサミミが荒ぶってるのが分かるわ……。

 悔しい事に、これに関しては全く嘘が無くて全部真実なのよね。本当にアイツのテクニックは凄くて、私がどんなに屈しない覚悟を決めて歯を食い縛って堪えても途中からは……あーっ、思い出したくない!


「そ、そこまで凄いのです? 私はクソ野郎との交わりを思い出すと吐き気がするですが……」

「は、はい……何というか、もう途中から訳が分からなくなって、何も考えられなくなるくらいで……」


 もうあまりの恥ずかしさにリリアナさんの顔が見れなくて、自分の熱い顔を両手で覆ってそのまま続ける。

 ていうか何で私、初対面の年上の同族にこんな事語ってるの? どういう罰ゲーム? これならまだ痛めつけられた方が遥かにマシなんだけど……。 


「それに、乱暴に抱かれた事は一度も無いんです。いつも優しく愛情深くしてくれますし……」

「そ、そうなんです? 意外と見かけによらないですね。てっきり首を絞めたり殴りながらヤるくらいはしていると思っていたです」


 リリアナさんは私の言葉を信じてくれたみたいで、はっきり分かるくらいに驚いた声を出してた。たぶん私と同族だからこそウサミミの動きで嘘か真実か分かったんでしょうね。私今は何も嘘ついてないし。ただただ恥ずかしい事実を口にしてるだけだし……。

 まあ本当は私も、首を絞められたり殴られながらヤられる事も覚悟はしてたのよね。でもその割には普通に愛されるだけで拍子抜けしたっていうか、予想してなかったから余計に効いたっていうか……。


「いえ、そういうのは一回も無いです。というか、むしろ普段は私が蹴ったりしてるような……?」

「そ、そうなんです? 恩人を蹴って良いんです?」

「でも蹴りたくなるんです。ムカつくし大っ嫌いなんで」


 紛れも無い真実だって事を伝えるために、私は顔を覆っていた手を退けてリリアナさんの目を真っすぐ見ながら口にした。

 実際私はあんなクソ野郎大嫌いだから、蹴る事に躊躇いなんて全然無い。あの闘技大会で顔面をぶん殴った時は人生で一番スカっとしたくらいよ。というかあのクソ野郎自身、私にそういう行為をされるのを楽しんでる節もあるし。どうせどれだけ蹴っても効かないし。

 それに何より、私はいつもいつも死ぬほど優しく抱かれて心も身体も弄ばれてる。その時に感じる怒りと屈辱を思い出すと、どうしても腹が立ってくるのよね……あー、何か無性にあのクソ野郎を殴りたくなってきた……!


「……あの男より、ミニスちゃんの方がヤバい気がしてきたです」


 思わずギリギリと拳を握る私に、リリアナさんは酷く心配そうな目を向けてきた。

 あのクソ野郎への疑いの矛先を逸らせたのは良かったけど、代わりに私がヤバい人認定された気がするわね。確かに恩人を蹴りまくってるとか、傍目から見ると人としてちょっと駄目かもしれないわ……。






 今日はこの前お家にやってきた、ご主人様の敵の人たちとお喋りする日! ご主人様が悪い人だっていう情報を集めたいみたいで、リアたちと一人ずつお話したいみたい。その割には何だかトゥーちゃんだけ無視されてた気がするけど、まあトゥーちゃんだし仕方ないよね。

 だからリアはお望み通りお喋りするために、敵の一人をお部屋に引っ張って案内してあげたよ。


「こんにちは。私の名前はクラリエット。気軽にクララって呼んでね?」


 ふかふかのベッドに二人で向かい合って座ると、敵の人――クララがにっこり笑いながら挨拶してきた。金色の髪とかフサフサの尻尾がとっても綺麗な、狐の獣人さんだ。

 向こうはリアが子供にしか見えないせいでとっても親しみやすい笑顔を浮かべてるけど、リアはこの人嫌いだなー。おっぱいも大きいし、全体的なふんいきがサキュバスに似てるから気に入らないや。こう、大人の色気っていうのかな? それが凄くてちょっとムッとしちゃう。  


「リアはリアだよ! よろしくね、クララ!」

「ふふっ、こちらこそよろしくね?」


 でもそれを悟られちゃいけないから、頑張って普通に挨拶を返す。本当のサキュバスだったら我慢できなかったかもけど、あくまでサキュバスっぽいだけで種族が違うもんね。

 それに昨日ご主人様から色々教えられたのはこの時のためなんだから、ここで変な事したら怒られちゃうもん。我慢我慢。リアは我慢が出来る良い子だもん。


「それでリアちゃん、実はあなたに聞きたい事があるのだけれど……構わないかしら?」

「んー? 良いよー、何が聞きたいの?」

「あなたは、その……クルスくんと、エッチな事をしているの?」


 え、そこから聞くんだ? ちょっとびっくりしちゃった。もっとご主人様はどんな悪いことしてるのかとか、人を何人殺したのかとか聞いてくると思ってたのに。

 もしかしてリアの見た目が子供だから、まずその辺りが気になったのかな? 


「うん、してるよー? だってリアはサキュバスだもん。エッチな事をしなきゃ死んじゃうよー」

「そ、そうなの!? いえ、でも、あなたみたいな小さな子とエッチだなんて……」


 やっぱりそうだったみたいで、リアが正直に答えるとクララは狐の耳をピンと立てて驚いてた。

 あ、エッチな事をしなきゃ死んじゃうっていうのは言っちゃ駄目な事なんだっけ? でもこれはリリスちゃんが言ってたサキュバス関係の事だから別に良いかなー。ご主人様の言いつけだけ守ればそれでいいよね?


「リア、こう見えても二十歳だよ? 身体が成長しないだけで、立派なレディだもん」

「そうなの!? そんな子がいるのね、珍しい……」

「ふふーん」


 クララはもう一回驚いて、リアの身体をジロジロ見てくる。せっかくだからリアは堂々とせくしーぽーずを取ってあげた。ご主人様が言う所のちびっこ盗賊の格好をしてるリアは、お腹や太腿が丸出しでとってもせくしーだよ!


「……ふふっ」


 あっ、笑われた! どうして!? リアはとってもせくしーなのに! ご主人様だって夢中でむしゃぶりついてくるのに!


「それで、あなたはどうしてクルスくんと一緒にいるの? あなたほど可愛い子なら、もっと良い人が見つかると思うのだけれど……」

「だってリアはおにーちゃんが大好きだもん!」


 リアのせくしーポーズを流されたのはちょっとムカムカしたけど、今大切なのはご主人様が悪い人だって疑われてるのを何とかする事。だからリアは怒らず正直に答えたよ。ご主人様が大好きなのは本当の事だから、自然にとびっきりの笑顔で答えられたんだ。


「リアはね、大きくならないから不気味だって言われて村を追い出されたの。それで一人寂しく泣いてる所を、おにーちゃんが助けてくれたんだよ。美味しいご飯をいっぱい食べさせてくれるし、暖かいベッドも広いお部屋もくれたし、お庭に遊具も作ってくれたんだよ! それに、リアを一人前のサキュバスにしてくれたし……だからリアは、そんな優しいおにーちゃんが大好きなの!」


 そこからは嘘と本当を混ぜ合わせた、ご主人様と話し合って決めた過去を話してく。でも大体本当の事だから、リアは特に嘘をついてる気分にはならないなー。ご主人様は無関係の人とか敵はゴミみたいに扱うけど、仲間にはとっても優しいもん。あっ、でもトゥーちゃんに対してはそうでもないかな……?


「ふふっ、そうなの。クルスくんは見かけによらず優しいのね。ちょっと意外だわ?」


 ほとんど嘘は言ってないから、クララも信じてくれてるみたい。ご主人様に対する悪いイメージがちょっとだけ良くなったのを感じたよ。

 でも、うーん……これくらいじゃあくまでもちょっとだけかな? もっとご主人様の良い所をアピールしないと!


「うん、おにーちゃんは優しいよ! 初めてのエッチの時も、リアの身体を気遣ってとっても優しくしてくれたもん!」

「あらあら、そうなの? 愛されてるわね、リアちゃん?」

「うん! リアとおにーちゃんは相思相愛だよ! それでねそれでね、初めてのエッチの時にはちょっと怖くて緊張してたリアに、とっても優しくて甘いキスをしてくれて――」


 だからリアはもっとご主人様の良い所をアピールするために、初めてのエッチの事を最初から最後までいっぱい聞かせてあげたよ。できる限り詳しく丁寧にね!

 クララも最初の方は余裕たっぷりに聞いてたけど、何でか段々顔が赤くなっていってたなー。何でだろ? クララだって恋人とエッチな事いっぱいしてたはずなのに……。


 以上、キラと悪魔っ子の面談時の二人の面談でした。あの面談が飛び抜けてイカれていただけで、二人は普通にちゃんとお話(性関連)してました。

 というわけで今度こそ10章は終了です。そして書き溜めが間に合わなかったのでまた二ヵ月ほど更新停止期間です。次回の投稿は9月1日からになります。閑話のリクエストは引き続き募集中。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ