狂気の女神
⋇残酷描写あり
速報! 女神ミーシャの正体は女神デュアリィ様だった! ナーちゃんが泣き叫びながら犯される所が見たいとか言う、人の脳みそペロリと舐めるイカれ女神ミーシャが、実は完全完璧究極ロリ巨乳女神デュアリィ様!
自分で暴いておいてなんだけど無いわー。落差がデカすぎてゲロ吐きそう。何でどいつもこいつもヤバい奴しかいないの? もうハニエルとミニスが数少ない心の拠り所だね。
「女神を引っかけるなんて、君はとっても悪い子だねー? これはお仕置きが必要かなぁ?」
「ごめんなさい。好奇心が抑えられなくて、ついカマかけちゃった……」
ニッコリ笑顔でとんでもない魔力を放って威圧してくるミーシャ――じゃなくてデュアリィ様に対し、僕はとりあえず土下座をかました。ナーちゃんから無限の魔力を授けられてる僕が感じ取れる魔力って時点で相当ヤバい。
そしてカスみたいな信力しか持たないナーちゃんならともかく、目の前にいるのはやり手の女神デュアリィ様。魔力が同じ無限って言っても、絶対向こうの方が色んな意味で強い。こんなん逆らえるわけないやん……圧倒的過ぎる力に空間が悲鳴を上げていらっしゃる……。
「もーっ。次にやったら、脳みそ抉るだけじゃすまないぞー? 君の大切な息子を引きずり出して首を刎ねてあげるからねぇ?」
「はい、肝に銘じます」
誠心誠意の謝罪をしたら許してくれたみたいで、バケモンみたいな魔力を収めてくれた。とはいえもの凄い恐ろしい脅迫をされたけどな! 次やったら僕は女の子にされるそうです。それだけは絶対に嫌だぁ……!
「まあそれはそれとしてぇ、ミーシャの正体がどうして私だと思ったのかなー? 演技力はある方だと思ったんだけどなぁ?」
「まあ、演技力は凄かったよ? ミーシャの時は一目でヤバい奴だって分かったのに、デュアリィ様と会った時は完璧な女神様って印象しかなかったもん」
「じゃあどうして引っかけするくらいに私を疑ったのー? 何か演技力以外の理由があるんだよねぇ?」
「そうだねぇ。ちょっと怪しい要素が三つあったから、ブラフに踏み切ったんだ。二つまでなら胸に秘めたままにしておこうかと思ったんだけどね……」
一つなら気のせい、二つなら勘違いか偶然で片付けたと思う。でもさすがに怪しい要素が三つも揃うと、必然を疑わずにはいられない。まして最後の一つは他二つに比べて段違いの怪しさだ。無視できるほど可愛いものじゃなかったし、好奇心が疼いてどうにもならなかったんだよ。
「あー……もしかしてその一つって、温泉に私の姿をした子がいなかったからかなぁ?」
「そうそう。デュアリィ様ってかなりやり手の女神様っぽいじゃん? そしてミーシャもたぶん同等かそれ以上じゃん? だからそんなミーシャの知り合いを模した女の子たちの中に、デュアリィ様の姿が無いのがちょっと引っかかってね」
そう、実はさっきの湯煙の極楽浄土に、デュアリィ様の姿をした女の子はいなかったんだ。自分の知り合いを元にしたって言ってたのに、やり手であろう女神であるデュアリィ様の姿が無かったのがちょっと気になったんだよ。ついでに言えばナーちゃんの姿も無かったけど、それはあまり関係の無い事か。
「なるほどねぇ? その腐った頭でいっぱい考えてるんだねぇ?」
「デュアリィ様の本性超毒舌ぅ……」
正体を見破られたからか猫を被る気も無いみたいで、キラッキラの笑顔で毒を吐くデュアリィ様。完全完璧究極至高の女神様だと思ってたから、ちょっと幻滅……でも善人じゃあ数多くの世界を平和に治めるなんて到底不可能だもんね。仕方ないね。
「それで二つ目は何かなぁ?」
「二つ目は、ミーシャが本当の自分は胸がある方だって取れる台詞を口にした事かな。デュアリィ様って爆乳だし」
二つ目は前回、というか初めて会った時の話。あの時ミーシャは自分は貧乳じゃないって取れる台詞を口にしてた。
正直すぐに忘れそうなくらいパンチの弱い怪しさだけど、記憶を戻されたばっかりだからまるで昨日の事みたいに鮮明に思い出せる。そしてよくよく思い返してみると、確かにあの時のミーシャはまるで自分の爆乳を見下ろすような目の動きをしてたね。
「ふーん。そんなちっちゃい事よく覚えてるねぇ? でもそれって理由としてはちょっと薄くないかなー?」
「だね。見た感じ女神って胸の大きい子ばっかりだし。でもここで三つ目の理由が活きるわけだよ」
そして三つ目。最後にして最大の怪しさ。一つなら気のせいで流すかもって思ったけど、これに関しては別。一つでも十分怪しすぎるし、何よりミーシャの記憶が戻った今は怪しさが数段上昇してる。というか確信犯としか思えなかったんだよね。だからこそそれを確かめたくて、危険を冒してまでカマかけたんだけどさ。
「僕の元いた世界を管理してるのはデュアリィ様。数多の世界を平和に管理する素晴らしい女神様。じゃあ何でそんなお方が――駄女神が唯一管理する世界に住むクズ共が使う魔法程度で、自分の管理する世界から人間を引っこ抜かれてるのかな、って」
そう、一番引っかかったのは勇者召喚について。アレは異世界こと僕の故郷の世界の人間を召喚する魔法。でもそこは駄女神ナーちゃんの管轄する世界じゃなくて、デュアリィ様が治める世界。完全完璧究極至高の女神であるデュアリィ様が、クズ共が使う魔法程度で自分の治める世界から人間を持っていかれるかって話。
当然答えはノーだ。絶対あり得ない。つまり、見逃してやってるかわざとやらせてるかの二択になるんだわ。そしてミーシャの時に口にしてたナーちゃんに対するヤベー想いを考えるに、恐らくわざとやらせてる可能性が濃厚。
そんな僕の考えを裏付けるように、デュアリィ様はご機嫌な笑みを浮かべた。
「フフフ。やっぱり、私が見初めただけあるねー? そこに気付くなんて、とっても良い子だよぉ」
「……やっぱり、わざとやらせてた感じ?」
「そうだよぉ。だって、その方が面白いでしょー? 念願の異世界に心躍らせてた勇者が少しずつ精神を蝕まれて廃人になっていくのも愉快だしぃ、そんな勇者にゴミのように殺される魔獣族たちも痛快でしょー? 何よりも、それでナーちゃんが心を痛めて苦しんでくれるのが凄く素敵ぃ!」
うっとりと恍惚の笑みを浮かべつつ、悍ましく恐ろしい言葉を並べ立てるデュアリィ様。
なるほどね。一粒で三度美味しいってか。率直に言って狂ってんな? 神様だけあって性癖も神レベルなの?
「……ちなみに、デュアリィ様の性癖は?」
「えっとねぇ……寝取られ好きのリョナラーレズって言えば分かるかなぁ?」
「あ、うん。はい。分かりました」
気になって尋ねてみたら、もの凄い捻じ曲がった性癖が返ってくる。これにはさしもの僕もちょっと返答に困ったね。
寝取られ好きのリョナラーレズ……つまり、あの駄女神様が誰かに暴力を振るわれつつ犯される光景とかが大好物なのか……やっぱ狂ってんな? でもちょっと分かっちゃうのが悔しい……。
「だから、君がナーちゃんを滅茶苦茶にする時は是非とも見学させてもらうねぇ? あの子が恐怖に歪んだ表情で泣き叫びながら、君に滅茶苦茶にされるところが見たいんだぁ?」
「ヤッベーなこの人。女神ってみんなこうなの……?」
このヤバい性癖がデュアリィ様個人のものなのか、それとも創生の女神全体に共通するものなのか、その辺果てしなく疑問だね。仮にこれが女神共通のものだとするなら、駄女神様にも何らかのヤバい性癖が……?
「……あっ、そろそろ時間かなぁ? もう少しお喋りしてたかったのになぁ」
これも尋ねるべきかちょっと迷ってると、唐突にデュアリィ様が天を見上げてそう呟く。どうやら僕のお目覚めの時間が近いみたいだ。残念なようなほっとしたような複雑な気持ちだね。まあとりあえず駄女神様だけは変な性癖なんて無いと信じておこう。うん。
「それじゃあ頑張ってね、クルスくん? たくさん悪事を働いて、人々の悲鳴を聞かせてくれると嬉しいなぁ?」
「うん、まあ頑張るよ。ナーちゃんを手に入れるためだもんね。それじゃあそういう事で――ぐぎっ!?」
ニッコリ笑顔でヤバい事を口にするデュアリィ様に別れの挨拶を口にしようとした瞬間、再び僕の側頭部に指が突き刺さる。クッソ、警戒してたのにやっぱり反応できなかった……!
「ふふふ。私とお話した記憶はまた奪わせてもらうよぉ? ナーちゃんに知られちゃったら面倒だもんねぇ?」
「だからって、何でわざわざ物理的に記憶を――あっあっ」
「だってこの方が楽しいからぁ。ほらほら、こことか気持ち良いんじゃないかなぁ?」
「あっ、ちょ、やめ、あっあっあっ!」
そうして僕はまたしても脳みそを弄られ、変な声を上げる羽目になった。
あー、チクショウ! せっかくデュアリィ様の本性を暴いたのに記憶を奪われるなんて! これ何とかして記憶を保持する事できないかなぁ? あー、駄目だ。意識が遠のいていくぅ……。
これで10章は終了です。ようやく前座が終わり、本格的に世界滅亡……じゃなくて世界平和を実現するための活動が始まります。
これに伴ってデート話を始めとする本筋に関係の無い話が入れづらくなり余計に本編が殺伐としそうなので、中和するためにそういう話は閑話としてぶち込みます。現状考えてるのはクソ犬とのデート話とかその辺ですが、リクエストとかがあればそっちも書くかもしれない。まあ仮にリクエストが来たとしても、実際に書くかどうかはものによるし、何より最速でも更新停止期間を挟んで次の章の終わりとかになるし……。
まあそういうわけで、リクエストがあればご自由にどうぞ。万一規約とかに引っかかるなら活動報告の方にでも。それから次話に一つ閑話をやってから二ヵ月ほど更新停止期間です。間に合わなかった……。