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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第10章:真実の愛
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朝帰り



「ただいまー。邪神のお帰りだぞー」


 たっぷりとレーンを貪り迎えた新たな日。アダルトな事に、僕は屋敷へと朝帰りを果たした。

 朝帰りとか普通なら絶対に何か勘ぐられるけど、他の皆には予め目的や何をしてくるのかも話してあるから問題無し。さすがのクソ犬やバカ猫も、この大陸から五千キロ離れた場所にある別大陸に一日以内に辿り着くなんて到底無理だから、邪魔も入らないって分かってたからね。実際距離が遠すぎて悔しそうにしてたし。これ近場なら絶対邪魔しに来たな、コイツら……。


「おかえりなさーい、ご主人様ー!」


 食堂に顔を出すと、いの一番にリアが突撃してきた。満面の笑みでぴょんと抱き着いてくるから、とりあえず受け止めてやったよ。こうやってちゃんと歓迎してくれる奴って貴重だよなぁ。席についてるミニスとかこっちを一瞥しただけだしね。


「おかえり主~! げふぅっ!?」


 わざわざ背後に回り込んでから抱き着こうとしてきたトゥーラの頭部に肘鉄をかまして沈めると、僕も朝食の席に着いた。とはいえまだ朝ご飯は出来てないみたいで、バターロール的なパンが出てるだけだね。でも昨晩はハッスルしてだいぶ疲れたからこれを食べて待ってよう。もぐもぐ。


「僕が留守にしてる間、何かあった?」

「特に何も無いわよ。精々そこの犬が寂しくて鳴いてたくらいじゃない?」

「そっか。なら良かった」


 無人島デートから数えてほぼ一日の間留守にしてたけど、特に変わった事はないみたい。ミニスが仏頂面でパンをもくもく食べながら教えてくれたよ。犬の夜鳴きがうるさかったらしいけどね。

 ちなみにその犬は打ち所が悪かったのか、食堂の床に倒れてピクリとも動かない。まあトゥーラだし大丈夫でしょ?


「全く、朝帰りとは感心せんな? 門限は六時だと言っただろう?」

「無茶言うなよ、オカン……」


 などとぷりぷり怒りながら、僕の前に紅茶と角砂糖二つを置いていくメイドのベルさん(リアの姿)。

 予め朝帰りする事は伝えてたし、その理由が邪魔の入らない所で男女の営みをするためって事で納得はしてもらったけど、やっぱり門限を破った事がちょっと気に入らないみたい。千年以上も寝てたせいか倫理観とかその辺の価値観が古すぎるんだよなぁ。あるいは元々こういう奴なのか……。


「……お前の身体からレーンの奴の匂いがすんな」


 などと不機嫌そうに言うのは、隣の席に座ってたキラさん。これが焼きもちなら可愛いんだけど、絶対独占欲とか支配欲とかその手の感情だしなぁ。いやまあ、その手の感情も嫌いじゃないが?

 でもゴリゴリと抉り込むような頭突きをして匂いを上書きしようとするのはやめて? ちょっと痛いです。あっ、紅茶が零れるっ!


「そりゃあ昨晩たっぷり抱いたからねぇ? いやぁ、めっちゃ良い感じに乱れてくれたから、マジで最高の夜だったよ。ちょっとやり過ぎてまだ目覚めてないけどね」

「……それなのに一人放って帰ってきたわけ? 最低ね」


 おっと、対面に座るミニスから侮蔑の表情を頂きました。ちょうど切らしてたから助かる。

 そう、実はレーンはまだ目覚めてない。本当は朝チュンも体験したかったんだけど、行為が激しすぎて疲弊しきってるのか全然目が覚めなかったんだよ。だからやむなく僕だけ戻って来たってわけ。


「仕方ないでしょ、起きなかったんだから。というかエッチの最後の方に気を失ってそのままなんだよね。その内目覚めるとは思うんだけど……」

「初めての相手をどんだけ激しくヤったのよ、この変態鬼畜野郎……」

「ぜ、絶倫……!」


 侮蔑五割、羞恥五割って感じの顔で僕を罵ってくるミニス。そして隣の席で顔を真っ赤にしてるリア。二人にそんな反応されると僕の息子がちょっと反応しちゃうから控えて欲しいなぁ? あと一応補足しておくと、別段僕が絶倫だったわけではない。


「フハハハハ~! 主との初めての逢瀬で気絶~!? なんて情けない結果だろうね~!? これは正妻の座は私のモノになったも同然だね~!」


 と、ここでトゥーラが高笑いしながら復活。ここにいないレーンに対して勝ち誇るような笑みを浮かべつつ席に戻った。

 ただ百歩譲ってレーンが情けない結果だったとしても、僕に逆レイプ3P仕掛けてきたお前が正妻とか絶対にありえないから。それならまだミニスを正妻にするわ。


「残念ながら今回に限っては僕が悪いかな。つい獣人やサキュバスのお前らを相手にするのと同じ感覚でヤっちゃったからね……」

「あー……そういえばアイツ、聖人族の人間だったわね」


 珍しくも僕が非を認めた事に対して、驚くでもなく納得を示すミニス。

 実際レーン相手に僕はちょっとやり過ぎた。人間の三倍以上の体力や身体能力を誇る獣人と、生きるエロの塊であるサキュバスを相手にするために培ったテクニックを、処女な上に貧弱な聖人族であるレーンに全力でぶつけちゃったんだよ。

 結果はもちろん、ご存じの通り。朝になっても目が覚めてません。やり過ぎてすみませんでした。


「だからまあ、今回は僕が悪いって感じ。むしろレーンは頑張った方だと思うよ? というわけで、お前は特に正妻でも何でもない」

「が~ん……!」


 酷いショックを受けたような表情を浮かべたかと思えば、そのままテーブルに突っ伏すトゥーラ。わざわざ口で『が~ん』とか言うのがわざとらしい。というか少なくともお前だけは正妻にするのは躊躇うぞ。


「……それはさておき、僕はレーンの処女を奪って大いに楽しませて貰った。十分に英気を養った。だから――そろそろお礼参りに行こうと思うんだ」


 僕が満を持してそう口にすると、和やかだった食卓の空気が一変する。まあこう言うとギャグっぽい空気がシリアスムードになったみたいに聞こえるけど、実際はワクワクした感じになっただけだからそこまで変わってはいないかな? ミニスだけは緊張した感じに息を呑んでたけど。


「……アイツらか。ぶっ殺すのか?」

「いや、地下牢にぶち込んで生き地獄を味わわせたい。だから捕まえる方向で行く――ごふっ」


 空気がちょっと変わった事で匂いの上書きを止めたかと思ったら、再び抉り込むような頭突きで上書きを始めるキラさん。コイツ独占欲強すぎぃ!


「あれー? でもご主人様、もう少し時間が経ってからにするって言ってなかったー?」

「うん、言ったね。でも考えてみたらやるなら今の内にするべきだと思うんだ。本格的に邪神としての活動を始めたらそっちが忙しくなって、お礼参りも難しくなるだろうしね」

「なるほどー、確かに……」


 以前と僕の発言がちょっと違うけど、そう答えるとリアも納得してくれた。

 実際本格的な活動を始めたら滅茶苦茶忙しくなるだろうし、あの三人娘へのお礼参りも難しくなる。何よりあの三人娘はSランクの冒険者パーティだ。自国の危機が迫ったら向こうも色々と忙しくなるだろうし、危機をもたらす前にやるしかない。


「向こうは拉致されたり殺されたりする事を警戒して、色々備えてるんじゃなかったっけ? それなのに踏み切って大丈夫なわけ?」

「処理の方法を多少複雑にすれば大丈夫だと思うよ。まあ面倒になるのは確かだけど、そこは我慢して頑張るよ」


 ちょっと青い顔してるけど、ミニスもしっかり僕の仲間で一蓮托生。だから止めるでもなく、大丈夫なのかどうかを尋ねてきた。

 もちろん絶対では無いよ? でもその辺は大丈夫だと思ってる。だって向こうは僕が魔法で人を自由に操れるって事知らないからね。まあそのためにはまず一回殺さなきゃならないから、ちょっと処理が面倒か。でも一回一方的な契約で奴隷にしちゃえば、後は自分の手で備えを処理しろって命令すればいいだけだし。


「フフフ、主を馬鹿にした奴らについに制裁が加えられるというのなら喜ばしいね~? というわけで主、これは必要か~い?」


 などと口にしながら、トゥーラが僕に一枚の羊皮紙を差し出してくる。見ればそれには街を上空から見下ろした感じの簡単な地図が描かれていて、その内の一点が矢印で差されてこれでもかとばかりに強調されてる。

 このタイミングで渡してきたって事は、これってもしかして……?


「……これアイツらの住んでる場所の地図? 何で用意してんの?」

「そりゃあ主ならいつか絶対仕返しをすると思って、情報を集めておいたんだよ~。ちなみにここ数日は依頼を受けずに過ごすようだから、やるなら正に今がチャンスだね~?」

「ふむ……よくやった」

「ワフ~ン!」


 何だかんだで面倒を省く有能な働きを見せたから、普通に褒めてやった。尻尾をブンブン振ってデレデレと嬉しそうに頬を緩めちゃってるよ。従順なメス犬でとっても可愛いね?

 何にせよ場所が視覚的に分かったのはありがたいし、直近の予定が分かったのも収穫だ。


「んじゃ、朝メシ食ったら早速殴り込みか? やるなら手伝うぜ?」

「いや、夜まで待つよ。できれば三人いっぺんに捕まえたいし、朝ごはんの後だと何人か出かけるかもしれないからね」


 匂いの上書きを終えて満足気なキラさんはやる気十分。でもさすがに朝食後即行動はしない。あの三人娘だって休みの日にダラダラするだけで家から一切出ない、なんて事は無いだろうからね。仮にダラダラしたとしても三人同時って可能性は低そう。複数回に分けて襲撃をかけて拉致を敢行するのも面倒だし、一度で済むように夜に仕掛けます。


「……というわけで、それまでに一つ面白い実験をしようと思うんだ」

「うわ、出た……」


 時間潰しと趣味を兼ねて実験を行う事を口にすると、途端にミニスが嫌そうな顔をする。碌な事しないって思われてるのが悲しいなぁ? 僕そんなにえげつない事しかしてない? 精々生命を冒涜したりしかしてないじゃん?


「ほうほう、今度はどういった実験をするというんだい~?」


 でもトゥーラは本心なのかご機嫌取りなのか分からないけど興味津々だ。わくわくした目で僕を見てくるね。真偽はともかく嬉しい反応だ。だからって正妻の座に近付いたりはしないがな!


「……これ、なーんだ?」


 何にせよ尋ねられたら答えるのが道理。だから僕は空間収納にしまってたとあるモノ(・・)を取り出して、全員に良く見えるように指で弄びながら顔の前で掲げた。

 キラもリアもミニスも首を傾げてたけど、ただ一人これが何かを知ってるトゥーラは僕が何をするつもりなのか理解できてるみたい。面白がるように瞳の輝きを深めて笑ってたよ。うんうん、やっぱり咄嗟に確保しといて良かった。





朝チュンは無かった(レーンは気絶してた)

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