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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第9章:忙しない日々
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復活の計画

⋇今回は女神様コスプレしません

⋇性的描写あり




「――ちぇりゃああああぁぁぁぁぁぁっ!!」

「はい! お約束の暴力――ぐはぁ!!」


 ふと気が付いた瞬間、悪鬼羅刹の如き憤怒の表情で杖を振り下ろさんとする女神様が目の前にいた。これを避けたり捌いたりすると余計にヤバい一撃が飛んでくるから、僕は諦めてその一撃を脳天に食らったよ。

 ううっ、頭の天辺から股間まで痺れが走る……今時暴力系ヒロインとか絶対流行らないのにねぇ?


「ふうっ……遂に邪神の存在が世界の知る由となったな。大なり小なり、これで世界の流れに変化が起きていくじゃろう。それが良い方向に変わるのかどうかは未知数じゃがな」

「出会い頭にいきなり殴り飛ばしておいて真面目な話するの? せめて殴った理由を聞かせて貰えたりはしない?」

「お主の悪行を並び立てようと、全く悪びれないのじゃから時間の無駄じゃ。わらわとしても口に出して行く中で胸糞悪い光景を思い浮かべてしまうのじゃから、出来ればそんな事はしたくない。故に今回からは何も言わずとりあえず殴る事にしたぞ」

「バイオレンスぅ……」


 出会い頭にいきなり殴るとかタイラン●か何か? 僕今回はそこまで非道な事はしてないはずなのになぁ……。


「……そういえば今回はデュアリィ様いないんだね。あの揺れる爆乳を見たかったからちょっと残念」


 お約束の暴行が終わって余裕が出来た僕は、真っ白な世界を見渡してあの完璧女神様がいない事に気が付いた。残念ながらあのロリ爆乳を拝むことは叶わないみたいだ。呼んだら来てくれたりしないかな? さすがにここの駄女神様ほど暇じゃないだろうし無理か。


「……どうやらまだ殴られ足りないようじゃな?」

「ごめんなさい。でも男の子ならアレは仕方ないでしょ? あんなの視覚の暴力だよ」

「まあ、それについては否定はせんが……」


 女神様もあの豊満極まるお姿には思う所があったみたいで、正直に謝ると掲げてた杖を下ろしてくれた。

 というか微妙に悔しそうな顔してるように見えなくも無い。僕の女神様はペタンコのロリロリ体型だから、ロリ爆乳のデュアリィ様に焼きもち焼くのも仕方ないね。だからって女神様のペタンコ胸を盛ってあげる気は一ミリも無いけど。未来永劫まな板状態でいて欲しい……。


「……あ、そうだ。実は女神様に相談したい事があったんだ」

「む、何じゃ?」

「邪神として挨拶をしたは良いんだけどさ、今の邪神は精神だけ封印から解放されてるみたいな状態じゃん? 一体どうやって完全に封印から解き放てば良いかな?」


 邪神の設定は出来たし挨拶もしたけど、実はここをまだ悩んでる。世界に満ちた悪意によって駄女神様による封印が緩み、精神のみが解放された状態ってとこまでは良い。問題なのはここからどうするかだ。

 順当に考えれば封印が完全に解けて自由になるとかが一番なんだろうけど、ほんの少し前に精神が解放されたばっかりだしなぁ。さすがに一年も経たずに肉体も解放されました、はちょっと無理があると思うよ。


「むぅ……それはなかなか難しい相談じゃな。人々の負の感情が高まる事で力を増し、強引に封印を破壊する――という展開に持っていくには、世界の情勢は停滞気味じゃからなぁ……いや、血で血を洗う戦争の真っ最中であっても困るんじゃがな……」

「だよねぇ。それなのに数ヵ月くらいでいきなり完全復活っていうのもちょっと説得力薄いし、しっかりとした理由を付けて邪神を解放させないと次の段階に移れないよねぇ……」

「うむむ……難問じゃなぁ……」


 女神様も良い案が思い浮かばないみたいで、腕を組んで可愛らしく首を捻ってる。

 まあぶっちゃけポンコツ女神様にはそこまで期待してないけどね? これは僕が話す事によって情報を改めて纏めて、何か良い案が出て来ないか頭を刺激してるみたいなもんだよ。デュアリィ様がいたら良い案を出してくれたかもなのに、残念……。


「それにあの大量殺戮兵器の魔法陣もどうにかしないといけないんだよねぇ。アレはアレで危険だし……」

「じゃなぁ……勇者召喚の魔法陣に関しては未だ魔力も少なく、発動しても直接の害は無いのじゃが、アレばっかりはのう……」

「……ん? 勇者召喚の魔法陣……?」


 そこでふと、僕のネジが外れた頭脳にピリリと電流が走る。脳細胞を駆け巡る電流が、大量殺戮兵器の魔法陣と勇者召喚の魔法陣、そして封印された邪神という情報を一繋ぎにしていく……!


「――それだ! それだよ、ナーちゃん!」

「誰がナーちゃんじゃ! 気安くその名で呼ぶでない!」


 カッコいい僕は女神様のおかげで名案を閃いた。女神様とお話して閃いたわけだから、いっそ天啓って言っても良いんじゃない? まあ肝心の女神様は分かってないみたいだから、ちょっと有難みが薄いけど。

 とにもかくにも、僕は情報整理のためにも閃いた名案を女神様に語った。女神様にはあんまり期待してないとはいえ、話す事で僕の中でその名案が計画としてしっかり肉付けされていく。うんうん、良い感じだ。これなら効果的かつ自然な形で邪神の完全復活を演出できるぞ! 駄女神様も話相手としては役に立つじゃん!


「――っていうのは、どうかな?」


 語り終えた後、僕の中では計画が完璧に固まってた。それでも一応反応を求めたのは、しっかり聞いてくれた女神様に対する多少の敬意ってところかな? 敬意を払うような大層な存在かってところは疑問だけどね。ハハッ。 


「……お主に頭の回転で負けたような気分がして酷く気分が悪く、正直な感想を述べたくはないのじゃが……魔獣族の魔法陣に対処しつつ、勇者召喚にも対処できる……実に、素晴らしい……案じゃぁ……!」


 なお、女神様は発想力で僕に負けた事が相当悔しかったのか、苦渋の末に血反吐吐きながら絞り出すように同意してくれたよ。どんなに悔しかろうと頭ごなしに否定しない辺り、根は普通に良い子なんだよね……ただやる事成す事が全然上手く行かない残念な女神様なだけで……。






「ふああぁぁ……良く寝た……」


 窓の外からうっすら差してくる朝の日差しで、僕は現実世界へと戻ってきた。

 あれからクッソ悔しそうな女神様を慰めてから、更にお喋りして細かい作戦を煮詰めたよ。その中で女神様が良い感じの案を思いついたような形に話を誘導したおかげで、終わり際には結構機嫌良くなってたね。女神様なのにクソちょろくて心配になっちゃう……。

 何はともあれ、これで邪神の完全復活までの流れも完璧だ。唯一問題なのは時間かな? このままだと完全復活に一年以上はかかっちゃうんだよなぁ。クソ速いよりはマシだけど、もう少し何とか縮められないかなぁ……。


「……お、おは……よう……」


 なんて起き抜けの回らない頭で考えてたら、隣から恥ずかしそうな挨拶。見ればシーツで口元まで隠したミニスが、赤い顔でこっちを見てた。いつもの氷点下の冷たい目じゃなくて、比較的暖かみのある瞳でね。

 若干見える二の腕やら何やらが白い肌を晒してるし、どういう状況かはチェリーな諸君にも分かるよね? そう、朝チュンです。まあ僕もミニスもこれが初めてじゃないがね?


「おはよう。まーたしおらしいのが再発してるなぁ。僕がド屑だって事忘れちゃった?」

「う、うるさい! ていうか自分でド屑を名乗るなら、何だってあんなに優しく……ううぅぅぅっ!」


 僕が笑顔で挨拶すると、ミニスは一瞬表情を険しくした。でもすぐに顔を真っ赤に染めて、シーツの中に潜り込んで顔を完全に隠す。ウサミミがぴょこぴょこ出てるから隠れきれてないよ?

 もちろんミニスがこんな反応してるのは、昨晩たっぷりと優しく愛してあげたからだ。こんな風にしおらしくなるのはつまんないと思ってたんだけど、慣れれば意外と愉快だって事に気が付いたんだ。だっていつもは僕を蛇蝎の如く嫌って、ゴミでも見るような冷たい目を向けてくるミニスが、少し丁寧に愛してやっただけでこんな風になるんだよ? このギャップを楽しむのも趣があって良いと思わない?


「いやぁ。普段はツンツンしてて罵倒嘲笑軽蔑何でもござれのお前が、優しく愛情深く抱いただけでしおらしくなるのが面白くてねぇ。どう? どんな感じ? 僕の心に良心や人を愛する心が欠片くらいは残ってるって感じちゃう? 人間の善性を信じちゃう?」

「死ね、馬鹿っ……!」


 シーツから目を覗かせて睨みつつ、ベッドの中で蹴りを入れてくるミニス。

 でもその蹴りの威力は猫パンチ並みにとっても控えめ。普段のミニスの蹴りの威力を考えれば、まるで甘えてるみたいに思えてくるよ。さすがに僕の心に良心とかが残ってるとはもう考えてないだろうけど、僕に優しく愛情深く抱かれたせいで今はどうにも心の底からは嫌えないらしい。まともな心を持ってると色々大変だねぇ?


「フフフ。いたいけな村娘の心を弄ぶのは楽しいなぁ?」

「やっ……! 来るな、馬鹿ぁ……!」


 縮こまるミニスに覆い被さると、真っ赤な顔で可愛らしく嫌がるからもう堪らんわ。

 なので僕は朝っぱらからもう一回ミニスを愛してやりました。もちろん丹念に優しく、誠心誠意、愛情をこめて、ね?

 



9章はこれにて終了です。邪神が挨拶したり、正妻戦争が勃発したり、猫とウサギが殺しあったりわりと色々ある章でした。書いてる時は盛り上がりに欠ける章だと思ってたんだけどなぁ……?

まだストックがあるので10章も普通に二日後から投稿していきます。11章は……うん。間に合わないかな……。


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