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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第9章:忙しない日々
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ウサギ娘の変化

⋇性的描写あり






「――ああ、実に清々しい朝だ。暖かな日差しが身を包み、小鳥たちが歌い、世界の色んな場所で奴隷たちが血反吐を吐きながら死ぬ……散歩にはピッタリの朝だね」


 早朝。とても爽快な気分で目覚めた僕は、二度寝するのもなんだったから散歩に出かける事にした。

 ん? 何故爽快な目覚めだったって? そりゃあアレよ。ついにあのウサギ娘の純潔を奪って、たっぷり僕という存在を身体に刻み込んでやったからだよ。いやぁ、本っ当に良い声で鳴いてくれたよ? 僕に屈するのが嫌なのか、声を必死に噛み殺して耐えてたのがまた堪んなかったよ。グヘヘ……。

 とまあそんなわけで、目覚めも心もスッキリな僕は散歩に繰り出したわけ。行く当ては特に決めてない。とりあえず適当にぶらついて来ようかなって思ったんだけど――


「――おや? いつの間にか花壇に植物があるぞ。しかもいっぱい」


 玄関を出ると、広い花壇に植えられた色んな植物が僕を迎えた。色とりどりで多種多様な綺麗なお花が、所狭しと咲き誇ってる。

 おかしいな? 昨日帰ってきた時点では花壇は土がむき出しで丸裸だったはずなのに、何でこんなに咲き誇ってるんだろ? 鳥の糞とかで種が花壇に落ちたとしても、量と生育速度が異常すぎる。こんなたった一晩で発芽から開花まで行って、花壇を埋め尽くすくらい爆発的に増える植物ってある? 幾らファンタジーな世界でも限度があるわ。


「ん? おお、ご主人様か。おはようだ」


 などと考えてると、顔やメイド服を土で汚したベルが花壇の向こうから現れた。今日はリアの姿だね。背が低いんでお花に隠れて気が付かなかったよ。


「おはよう、ベル。もしかしてこれお前が植えたの?」

「うむ。聞けば花壇は自由に使って良いとの事なのだろう? 誰も使わないようだし、土がむき出しのまま放置してあるのも見た目が良くないからな。私が使わせて貰っているぞ」


 どうやらこの光景はベルの仕業らしい。良く見ると手にスコップとかじょうろとか持ってるし、むしろコイツ以外にいないよね。うちにはガーデニングが趣味って奴もいなさそうだし。


「……ひょっとして、何かマズかったか?」

「いや、良いよ。これで屋敷の見た目も整うしね。ふーん、なかなか綺麗なお花畑ができてるじゃん」


 屋敷の見栄えはわりと切実な問題だったし、ベルがやってくれるなら願ったり叶ったりだ。正直花壇を好きにしても良いって言われても、僕は死体を埋めるか食虫植物を植えるくらいしか思い浮かばないしね。あとは魔法で何か改造した感じのヤバ気な植物くらい?


「そうだろう、そうだろう! 私は植物には詳しいからな! 特に綺麗なモノを見繕って植えたのだぞ!」


 ただ僕と違ってベルは園芸が大好きなのか、綺麗なお花畑っていう僕の言葉に興奮気味に食いついてきたよ。人は見た目によらないんですねぇ……ていうか綺麗なお花畑っていうと、どっかの天然大天使を思い出すな……。


「それはありがとう。でもこれたぶん、夜通し手作業で植えた感じだよね? 万が一誰かに見られたらメイドを休みなく働かせてるクソ野郎って取られかねないから、できればそれはやめてくれる?」

「む、それはすまんな。とても楽しくてつい熱中してしまったのだ……」


 僕の指摘に、ベルは途端にしゅんとする。

 昨日の夜の段階で花壇に植物は植えられてなかった事、今のベルが土で汚れてる事を考えるに、コイツは一睡もせずに庭弄りしてたんだよ。メイドに深夜から早朝まで庭弄りさせるとか、人に見られたら何て言えば良いんですかね?


「こんなのに熱中できるとか……もしかして園芸が趣味なの?」

「うむ、その通りだ。植物は良いぞぉ? 何せ私の声を聞いても叫び声を上げないし、私の姿を見ても何の反応も示さない。そして誰に対してもそのスタンスは変わらず、世話をすればした分だけ綺麗に咲き誇る。醜い者が育てようと、綺麗な者が育てようと変わらない。人間よりよほど付き合いやすいぞ。フフフ、フフフフフ」

「あー、そういう……」


 明らかに植物に向ける感じじゃない怪しい笑顔で花を愛でるベルに、僕は引き気味になりながら頷いた。

 さすがに植物ならベルの真の姿でも問題無く接する事が出来るんだね。ていうか園芸が大好きなのに、光の届かない魔王城の地下深くで眠らざるを得なかったって……コイツ、いちいち可哀そうな所あるな?


「……よし! ひと段落したしご主人様も起きたからな、朝食の支度に移るとしよう」

「その前にシャワーとか浴びてね? 結構土で汚れてるぞ」

「うむ、了解だ!」


 とはいえ、今のベルはめっちゃ充実してて幸せそうに見える。もしかしてベルをメイドとしてあそこから連れ出したのって、僕にしてはかなり珍しい善行の部類に入るんじゃなかろうか。これは来世に期待が出来ますね……。

 





「ただいまー。もう朝ごはん出来てる?」


 しばらくお外を散歩して戻って来ると、食堂にはとてもいい香りが漂ってた。それに全員席について朝ごはんを待ってるみたいだ。まあ朝食と夕食はできればみんなで食べようって言ってあるからね。

 ちなみに僕の屋敷では基本的に朝食は白米だよ。元日本人としては一日に一回は白米食べないと落ち着かないからね。だからご飯の炊き方を始めとして、僕の知ってる限りの日本食の知識をベルの頭に直接注いでやったってわけ。おかげで懐かしい物を色々出してくれるよ。ご飯で望郷の念を煽って来るとかオカンかな?


「おはよう、主~! もう出来てるよ~。さあ、私の隣へ~!」


 などと笑顔で挨拶しながら隣の席を示すトゥーラはスルー。そのまま僕はできるだけ縮こまって存在を薄めようとしてるミニスの隣に腰掛けた。


「っ……!」


 途端にミニスはウサミミをビクッとさせて、更に縮こまる。顔が見えないくらい俯いてるから表情は分からないけど……いやぁ、実にいじらしい反応ですねぇ? やっぱり昨晩の事が相当効いたに違いない。


「おはよう、ミニス。身体の調子はどう?」

「あっ、えっ、その……だ、だい、大丈夫……」


 僕が声をかけると、ミニスは女子に話しかけられた陰キャみたいにどもりながら答えてくれた。

 嘘みたいだろ? コイツ、今まで僕に対して罵声やら冷たい眼差しをひたすらに浴びせかけてきた好感度最底辺の女の子だったんだよ? それが今じゃこんな有様。あまりにも愉快で気分も昂るってもんだ。


「そう、良かった。身体が小さくて壊しちゃうかと心配だったから、大丈夫なら安心したよ?」


 そう言って僕は得意の優しい笑顔を浮かべて、ミニスの頭を撫でようとした。でもその瞬間――


「――っ!!」

「あれ!? ミニスちゃーん!?」


 ミニスは弾かれたように席を立ったかと思えば、兎獣人特有の馬鹿げた素早さで食堂を走り去って行った。突然の逃走にリアが目を丸くしてびっくりしてる。もちろん去り際に見えた顔は真っ赤に染まってたよ。可愛いなぁ?


「おやおや、ミニスは一体どうしたのかな~? まさか主に惚れてしまったという訳でもあるまいに~」

「昨日はミニスちゃん、ご主人様と初めてエッチしたんだよね? もしかしてそのせい?」

「アイツが犯された程度で絆されるタマか? 何やったんだよ、クルス?」


 席に着いてたトゥーラたちが口々にミニスの様子の異常さを尋ねてくる。まあこのイカれポンチたちにもおかしいって思われるほど様子が変だからね。あとキラでさえ犯された程度じゃへし折れないクソ強メンタルだって認識してるのちょっと笑える。


「うん。どうせ激しく犯しても折れないだろうことは分かってたから、むしろ逆をいってみた」

「逆~?」

「そう。ひたすらに優しく、愛情深く。身体を気遣い、愛を囁き、現状の僕に出来得る限りロマンチックで慈愛に溢れた抱き方をしてあげたんだ。もちろんピロートークでも砂糖が溶けるくらいに甘い空気を演出してあげたよ」


 ミニスの様子がおかしいのはたぶんこれが理由だ。クソ犬バカ猫ロリサキュバス、それからたまに行き摺りの女の子を相手して順調に経験値を溜めた僕は、その集大成とでも言うようにミニスを徹底的に愛してあげたんだよ。

 独りよがりな感じじゃなくて、相手の身体を気遣って心も愛するようにひたすらに甘く優しく丁寧に、ね? なかなか難しいし面倒くさかったけど、ミニスの反応がいちいちそそるから最後まで楽しく純愛を演じられたよ。


「で、その結果がたぶんアレ。妙にしおらしくなっちゃったね?」


 早朝に目覚めた時はまだミニスが寝てたから分かんなかったけど、様子がおかしくなってるのはさっきの一幕で一目瞭然だ。それに抱いてる時も最後の方辺りは、僕に熱を上げてる感じになってたしね。

 やっぱりクソ強メンタルの一般村娘とはいえ、普通にまっとうな愛情を注がれて育った一人の女の子。こっちもまっとうな愛し方をすれば防御不能攻撃みたいに滅茶苦茶効くみたいだ。


「たぶん、その優しい主が実は本当の主だと思っているんじゃないか~い? それでいつもの主にどう接すれば良いか分からず、どぎまぎしているってところかな~?」

「そんな感じなのかな。まさかここまで絆されるとはちょっと予想外だけど。家族大事な奴は愛だの優しさだのに弱いねぇ?」


 さすがに僕が本当は良い奴だとは思ってないだろうけど、良心の欠片くらいはあるんじゃないかって思ってたりはしそう。真っ当な人間なら誰の心にも愛情や優しさがあるもんだって信じてそうだからね。僕からすれば頭お花畑だなって感想しか出て来ない青臭い理想論だけど。


「……ところで主~? 私もたまにはそんな風に優しく愛情深く抱いて欲しいな~?」

「おとといきやがれ。そこの猫もな」

「あ~!? ひどい~!?」

「まだ何も言ってねぇよ。言うつもりだったけどな」


 メスの顔でふざけた事を抜かすトゥーラに中指を立て、ついでに先回りしてキラにも拒絶する。ミニスはともかく、コイツらを優しく愛してやる必要ある? 野外で瓶詰めの眼球コレクションに囲まれた状態で3P逆レイプしかけてきた奴らだぞ?


「ご主人様ー、リアはー? リアもそんな風に優しく抱かれたいなー?」

「リアは……オッケー!」

「やったー!」

「何故だ~!?」

「納得いかねぇぞ、チクショウ。ふざけんなよ」


 僕の答えに諸手を上げて喜びを露わにするリアと、その場に崩れ落ちるトゥーラ。そして席を立って僕の胸倉掴み上げてくるキラ。

 そんな事言われても自業自得っていうか、お前ら自分の行いとか色々省みてみなよ……?





ベルの趣味は園芸(見た目に似合わず)

ミニスが暴力的に犯しても折れない奴なのは分かっていたので、逆に徹底的に優しく愛してやる意地の悪さ。これにはミニスもだいぶ堪えた模様……

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