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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第9章:忙しない日々
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スライム(遺伝子組み換え)

⋇性的描写あり

「さ、それじゃあ次の遺伝子組み換え行ってみよう!」


 アシッド・スライムの作成が成功した事でテンションが上がった僕は、早速次の生命冒涜行為を働くことにした。次はどんなスライムにしようかな?


「どうでも良いけどまずこのスライムをどっかやってくんない? 触れただけで溶けるようなのが足元うろつくのは落ち着かないんだけど?」

「えー? 怖がりだなぁ、ミニスは」


 でもその前に、ミニスからそんなご指摘が入った。見ればミニスは椅子の上で膝を抱えるようにして、床を這ってるアシッド・スライムを全力で避けてる。まあ僕以外が触れたら一瞬で溶けるからね。そんな反応も仕方ないか。


「じゃあ適当に街の外にでも放り捨てておくよ。転移(テレポート)

「それを外の世界に放逐すんのもまずくない!? って、あー!? やりやがったわ、この野郎!」


 要望に応えてアシッド・スライムを街の外に転移させたら、ミニスは顔色変えて噛みついてきたよ。床を這いまわらせても文句言うし、どっかにやっても文句言う。難儀な奴だな、じゃあどうすればよかったんだろうね?


「大丈夫大丈夫。所詮はスライムだからそこまで生態系を破壊する事にはならないよ。たぶん」

「たぶん!? さては何も考えず外に放ったわね!? アレが人を襲い始めたらどうすんのよ!?」

「別にどうでも良いじゃん? そもそも魔物が人を襲うのは当たり前でしょ? あのアシッド・スライムは身体を強酸性にしただけで、別に凶暴にしたわけじゃ無いし」


 そう、改造したのはあくまでも体色と酸性の度合いだけ。それ以外は何ら普通のスライムと変わらない。核を破壊すればそれで死ぬだろうし、強酸って言っても直接触れなければ良いだけの話。魔法の炎とか使われたらあっさりやられるよ。


「だからって……! あーもうっ、あんたも何か言ってやりなさいよ!」

「そうだね。強酸の身体を持つだけなら別にそこまで脅威では無いだろう。そんな事より、次はどのようなスライムを創るつもりなんだい?」

「あーもうっ!! コイツもコイツでイカれてる!」


 この中では常識人寄りのレーンに一縷の望みをかけたっぽいミニスも、実はそいつが魔法実験っていう魅力に勝てなかった狂人だって事を理解したっぽい。テーブルを叩いて罪の無いスライムたちを吹っ飛ばしながら、怒りの叫びを上げてたよ。


「大丈夫ー、ミニスちゃん? ゼリー食べる?」

「だからそれスライムっ!!」

「ハハハ。いや~、賑やかで楽しいね~?」

「私は全然楽しくない! 異常者ばっかで頭おかしくなりそうよ! うあああぁあぁぁあぁぁっ!!!」


 リアが差し出したスライムをぶんどって全力で床に叩きつけたかと思えば、頭を掻きむしって叫びを上げるミニス。メンタルが強いからこそだいぶ精神ダメージ受けてるみたいだね。そのうち円形脱毛症とか発症するかもしれんな、これ。


「さて、気を取り直して――これが次の遺伝子組み換えスライムだ」


 ミニスが発狂してる間に改造を終えてた僕は、テーブルに一体のスライムを置いた。今度のスライムの体色は薄い白。白濁色って言えばどんな感じか分かりやすいんじゃない?


「今度は白っぽいねー?」

「触っても大丈夫なのか、コイツ?」

「ふむ。先程もそうだがわざわざ体色まで変えている辺り、この色にも何か意味があるんだろうか? 一体何の意味が……?」

「ん~。今回は普通に触れるね~? それに指先が溶けている感覚も全くないな~。まるで水に手を入れているみたいだ~。殺傷能力は無い感じなのかな~?」


 みんな警戒してる感じなのに、好奇心に染まった目でスライムを見つめるレーン。そしてまたしても指を突っ込んでるトゥーラ。コイツ全然懲りないな? まあ今回のスライムは人体に一切害を及ぼさないから、むしろ普通のスライムより安全なんだけどさ。


「そこの二人の推測はどっちも正解。この色にも意味はあるし、人間が何時間触れてても溶けたりはしないよ。ただコイツはねぇ……ヘイ、ミニス! パス!」

「わっ!?」


 発狂して疲れたのか肩で息をしてたミニスに、僕は白濁色のスライムを掴んでポイっと投げた。不意を突かれてもさすがは獣人の反射神経で、ミニスはちゃんとスライムくんを抱きしめるように受け止めてくれたよ。よしよし、かかったな?


「いきなり何なのよ、一体……って、きゃああぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


 一拍の間を置いて、ミニスは顔を真っ赤にして悲鳴を上げた。何故って? そりゃあスライムくんが触れてた部分の服がドロドロに溶けて、その下の真っ白な柔肌が露わになったからだよ。一瞬でスライムくんを手放して胸を隠してたけど、僕は確かにピンク色のモノを見たぜ?


「わー、服が溶けてるー……」

「おい、まさか服だけ溶かすスライムとか言わねぇよな?」

「そのまさかだ。このスライムは名付けてアパレル・スライムってところかな。人の衣服だけを溶かす、男の子の夢から創られたエロスライムだぞ。人体は溶けない完全にエロ特化の罪深い生物だぜ」


 そう、今回作ったのは男の夢。服だけ溶かすエロスライム。もちろん人体に害は無いから、放っておけば女の子は丸裸だ。ただこのままだと男女差別とか色々うるさそうだから、ちゃんと男の服も溶けるよ。需要は知らんけど。


「罪深いのはあんたよ、変態!」

「何だと? 言っておくけどこれでも控えめな方だぞ? 纏わりつかれた人を痺れさせて性的興奮を催させる効果も付与しようとしたけどやめといたし」

「変態っ!!」


 大事な事なのか、顔を真っ赤にして二度も変態と罵ってくるミニス。

 おかしいなぁ? 催淫効果とか麻痺効果とかはやめておいたのに、どうして変態呼ばわりされるんだろう? 別に僕は男の夢を実現させただけで、スライムに襲われる女の子に興奮する性癖は特にないのに。裸にするなら自分の手で衣服を引き裂いて剥いていくのが性癖だし。

 何にせよガチのトーンで変態呼ばわりされるのは意外とグサリと来るから、仕方なしにミニスの服を魔法で直してやったよ。男の子ならみんなこんなもんで、僕が特別変態ってわけでもないのにねぇ?


「クルス、一つ良いかな?」

「はいはい、どうした?」

「先ほど衣服のみを溶かすと言っていたが、君の事だ。布製品には限らないんだろう? 金属製の鎧や、革製の衣服でも溶かすのかい?」

「おっと、さすがの慧眼。そうだよ、女の子がヒラヒラな衣服来てるとは限らないからね。ちゃんと金属鎧とか革鎧もばっちり溶かすぞ」


 さすがはレーンというべきか、しっかりそこに気が付いてくれた。

 そう、冒険者の女の子とかはヒラヒラの服を着てる事は少ないだろうし、金属とか革も溶かすように造ったんだ。何が何でも対象が身に纏う衣装を溶かして、肌を露出させるエロスライム。アパレル・スライムここに降臨。


「ん~? それはつまり、金属製の武器も溶けると言う事かな~……?」

「ん? それは……ちょい待ち」


 ちょっとトゥーラが気になる事を言ったから、空間収納に手を突っ込んで適当な金属製の物を探す。ちょうど金属の盾っぽいものがあったからそれを取り出して、床を這ってるアパレル・スライムに投げてみた。すると――


「……うん、溶けるね」


 どろどろと盾が溶けていって、最終的に消えてなくなった。

 そっか。服を溶かすだけじゃなくて、金属や革も溶かす様にイメージして改造したからかな? どうにも武器破壊とかもしてしまうスライムに仕上がったみたい。これはちょっと想定外だね。


「……ま、溶けるのに数秒かかるしそこまで問題は無いでしょ? というわけで用済みのこの子も自然に帰すねー」

「ちょっと!? だからそういう危ない奴を外に放つのやめろって言ったじゃない!?」


 想定外だけどそこまで危険じゃないし、僕はアパレル・スライムも街の外の自然に送り出してやった。途端にミニスがキレてそこら辺這いまわってた普通のスライムをぶん投げて来たよ。でも僕にぶつかる前にトゥーラがはたき落して、その衝撃で核が壊れて死んじゃった。スライムくん本当にクソザコですね……。


「心配性だなぁ? ぶっちゃけさっきの奴と今の奴は少し特殊なだけで、戦闘能力は据え置きスライムだぞ。火球の一発でも放てれば倒せるし、それすらできないならそもそも街の外行くのが悪いわ」

「それは……! そうかも、しれないけど……」


 さすがに一般村娘でも魔物が蔓延る世界に暮らしてるだけあって、その辺の考え方はシビアみたい。僕の言葉に上手く反論できないみたいだ。まあスライムに勝てる力すらないのに街の外に行くとか、完全に自殺志願者だからね。


「そんなに心配なら後でお前が見つけ出して退治すれば? その代わりアパレル・スライムに取っ捕まってエロ展開に持ってかれても知らないからね」

「ぐぅ……! あんたも何か言ってやってよ!」


 言葉に詰まったミニスは、ここで他の人物に助けを求めた。もちろんその相手はこの中では比較的まともな部類に入るレーンだ。ぶっちゃけ他の奴らは他人がどうなろうと興味ない奴らだからね。レーンも若干そういう所あるけど、キラたちに比べたらだいぶマシ。

 

「そうだね。では、あのスライムの体色が薄い白色をしている理由は何だったんだい?」

「そういう事聞けって言ってんじゃないわよ! 魔術狂い!」


 でもタイミングが悪かった。さっきと同じで今のレーンは魔法による生物実験に好奇心と興味が振り切れてるから、常識や倫理観なんてものは脇に放り捨ててる。ミニスの切実な訴えもどこ吹く風だよ。案外コイツが一番ヤバいのでは?


「そんなの簡単。あの色なら子種をぶっかけられてるように見えて興奮するからだよ。衣服を溶かして露わになった肌を、白濁した液体で彩る。そういう理由からあの色にしました。素晴らしいと思わない?」

「なるほど。聞いた私が馬鹿だった」

「あんたらみんな馬鹿よ! もうやだコイツら……! 何で私だけこんな思いしなきゃいけないわけぇ……!?」


 納得したように素直に頷くレーンの傍ら、ミニスが顔を両手で覆って大いに嘆き始めた。何やらすすり泣く声も聞こえてくるし、今日は妙に感情が荒ぶってますね? もしかして今生理?

 


レーンのAiイラストが出来ましたが、カクヨムと違って小説家になろうでは画像を直接張れないようなので、後日改めてか纏めてかにします。何か別のサイトに画像を投稿してそこから張る形じゃないとダメみたいで……

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