出来損ないの過去
⋇残酷描写あり
⋇胸糞注意
⋇昆虫苦手注意
⋇性的描写あり
⋇いじめ描写あり
⋇話が長め
⋇作中屈指の酷さなのでマジで注意
⋇リ ア 視 点
「ん……もう、朝……?」
ひび割れた窓から入ってくるお日様の光に照らされて、リアは幸せな夢の世界から無理やり汚い現実に引き戻された。ああ、ずっと眠っていたいなぁ。だって現実は本当に汚くて、醜くて、優しくないんだもん。
でもリアにはまだ自殺するような勇気はないから、頑張って生きないといけない。それに、散々苦しめられた挙句にその仕返しもせずに死ぬなんて我慢できない。だから今は必死に耐えなきゃいけないの。いつか復讐を果たせるようになるその時まで。
「今日も、何か……だるい……」
ベッドから出ると、だるさにちょっと身体がふらすらする。
最近、寝ても覚めても身体がだるくて、ちょっぴり困ってるんだよね。たぶん食生活のせいなんだろうけど、これ以上悪化するようなら本当に危ないと思う。だってリアを看病してくれるような優しい人なんて、どこにもいないし……。
「……朝ごはん、食べに行こう」
ボロボロのパジャマからボロボロの服に着替えたリアは、朝ごはんを食べるために支度を始めた。
キッチンからこっそり持ってきた果物ナイフと、昔買ってもらった継ぎはぎだらけの小さなウエストポーチ。あとボロボロのリュック。全部身に着けて、窓からこっそり外の様子を確かめる。
うん。今日は誰もいないみたい。たまに朝から窓の外でいじめっ子が待機してることもあるんだ。出ていくと酷い目に合わされるから、そんな時はいなくなるまで待たないといけないの。もちろんそうすると次に会った時、余計に酷いことをされちゃうんだけどね。でもどっちにしろ苛められるんだから、顔を合わせる回数が減る分、リアはこっちを選ぶよ。
「……みんな、死んじゃえば良いのになぁ」
前に周りの安全を確かめないで窓から出た時、苛めっ子たちに捕まって酷いことをされたのを思い出して、リアはとっても嫌な気分になる。あーあ、空から隕石でも降ってきてこの村が消し飛んじゃえば良いのになー。
そんな風にみんなが死ぬ場面を想像して楽しみながら、リアは近くの森に向かうの。もちろん森の中には危ない動物がいるし、もっと危ない魔物だっているよ? でも森に行かないとリアはご飯食べられないんだ。お母さんはもうご飯出してくれないから。
さすがに酷いと思うけど、家から追い出すまではしてないからまだ優しい方かな? まあいない人みたいに無視されてるんだけどね?
「お腹すいたー……ごはんー……」
森についたリアは、早速ご飯を探すの。木に生ってる果物とか、その辺に生えてるキノコとかかな。
本当は落とし穴とかの罠を作って、ウサギとかの小さい動物を捕まえることも考えたんだよ? それに実際にやってみて、捕まえることだってできたんだよ? でもそれを食べるために頑張って火を起こしたら、その煙で村にいた苛めっ子達にリアの居場所がバレちゃって、それで……うん。やっぱりあの村の奴らなんて、みんな死んじゃえば良いのになぁ……。
「あむっ……ううっ! すっぱいよぉ……!」
ちょうど近くの樹に生ってた木の実を食べたけど、まだ季節じゃないせいでとってもすっぱくて美味しくない。もう少し暖かくなってきたら、もっと甘い果物とか出て来るのになぁ。でも他に食べるものもあんまり無いし、仕方ないよね。
とりあえず木の実を何個か取って、ウエストポーチの中に入れておく。美味しくないけど、貴重なリアの晩ごはんなんだから我慢しなきゃ。
「あ、キノコだ。これは――うん、大丈夫なやつだね」
酸っぱい木の実を食べながら辺りを探すと、食べても大丈夫なキノコを木の根元に見つけた。なんだかとっても毒がありそうな怪しい赤色をしてるんだけど、別に毒は無いんだよ。
ただ、これと似た色で変なツブツブがあるキノコは凄く危ないよ? 最初は毒があるかどうかも分からないから、一口だけ食べて確かめてみた時は……うん。さすがに死んじゃうかと思ったなぁ。三日くらいその場から動けなくなっちゃったし……。
「本当はいっぱい持ち帰りたいけど、これくらいにしておこうっと」
キノコも何本か抜いて、ウエストポーチに入れておく。
本当は取れるだけ取りたいけど、後々の事を考えるとそれはやらない方が良いと思うの。だって取ったキノコや木の実がすぐに元通りになるわけじゃないし、あんまり森の深い所に入ると凄く怖い魔物もいるから、森の狭い範囲でしかご飯の調達はできないんだ。だから一回で全部取っちゃうと、それが全部駄目になった時に食べるものが無くなっちゃうもん。
あの苛めっ子たちに捕まったら、取ってきたものは全部踏み潰されてグチャグチャにされちゃうし……予めお腹いっぱい食べてたら、それはそれで後で苦しくなっちゃうだろうし……。
「他にも何か美味しいものないかなー? 今日は川の方に行ってみよーっと」
どうせお腹いっぱい食べれないなら、せめて美味しいものが食べたい。だからリアは美味しいものを探して、森の中を歩き回る。他にすることも無いし、苛めっ子たちに出会わなくて済むしね。あーあ、いつかお腹いっぱい美味しいものを食べたいなー……。
そうして、リアはお日様が沈むまで森の中で過ごした。川を眺めてぼーっとしたり、食べられそうなものを探したり、大嫌いな虫が近付いてきたから走って逃げたり、色々してね。あんまり暗くなると帰る時に道で転んじゃったりするから、まだ空が綺麗なオレンジ色な頃には森を出たんだ。
でも、それが失敗だったみたい。村に着いた時、リアはついにあいつらに見つかっちゃった。
「はぁい、フェリア。ご機嫌いかが?」
「今日も相変わらず小さいわねぇ? ちゃんと食べなきゃ大きくなれないわよ?」
そこにいたのは、リアの昔の友達たち。みんなリアとは違って、身長も高く胸もお尻もおっきく成長した、大人たちとほとんど変わらない普通のサキュバス。そいつらが気さくに笑いながら話しかけてきたけど、心の中じゃ成長しないリアを嘲笑ってるのは分かってる。だっていつもコイツらに虐められてるんだもん。いつも笑いながら酷い事をしてくる、最低な奴らなんだもん。
「……放っておいて」
だからリアは無視して横を通り過ぎようとした。逃げたら酷い目に合わされるし、何も言わなくても酷い目に合わされる。だからいっその事、何事も無かったように通り過ぎれば行けるかなって思ったんだ。
「もうっ、私たちは心配してるのよ? 逃げちゃダーメ?」
「あっ……!」
でも駄目だったみたい。リアは腕を掴まれて、そのまま地面にうつ伏せに組み伏せられたの。いつまで経っても子供の姿のリアは、押さえ込まれても全然抵抗なんてできない。昔はみんな力なんて変わらなかったのに、リアだけが弱くて小さいままだから。
「ほら、あなたのために栄養がつきそうなものをいっぱい取ってきてあげたんだから」
「っ……!」
悔しくて泣きたい気分のリアの目の前に置かれたのは、美味しい食べ物――なんかじゃない。今まで何度も見てきた、気持ち悪い虫がたくさん入った虫かご。
それを見た瞬間、リアは怖くて目から涙がポロポロ出てきた。だって今からこんな気持ち悪い虫をたくさん食べさせられるのに、逃げる事も抵抗することもできないんだもん。一度持ってたナイフで反撃したら、気絶するまで殴られたり蹴られたり、水の中に沈められたりもしたから。だから、リアは大人しくこの苛めを受け入れるしかないの。
何で? 何でリアが、こんな目に合わなきゃいけないの?
「さ、たくさん食べて? おかわりはいっぱいあるから、何も気にしなくていいわよ?」
「い、嫌……やだぁ……!」
そうして足をカサカサ動かす黒い昆虫が、リアの目の前に突き出された。それはリアの手の平よりも大きい、生きたゴキブリ。こんなものを口にするなんて絶対に嫌。だからリアは必死に唇を閉じて、歯を食い縛った。
「ほらほら、口を開けなさいよっ!」
「ああああぁあああぁぁぁっ――ぐぶっ!?」
でもやっぱり抵抗は無意味だった。尻尾を力任せに捻じられたリアは痛みに叫んで、その瞬間にゴキブリを口の中に放り込まれた。そしてそのまま口を塞がれて、鼻を抓まれて食べる事を強制される。
「っ……ぐ、ぶ……ぉ……!」
どうしようもないから、リアは口の中で動き回るゴキブリを必死に噛み砕いて飲み込み始めた。一噛みする度にもの凄く苦い味が口いっぱいに広がって吐きそうになるけど、吐いてもそれを飲み込むまでは口も鼻も塞がれたままだから、吐き気ごと飲み込む。
細かく噛み砕いてもまだ動くゴキブリがもう嫌だけど、だからって丸呑みしても碌な事はないんだよね。一度丸呑みしたらお腹の中で大暴れした後、無理やりお腹から口の中に上がって来たんだもん。
「あはははっ!! 食べた食べた! ゴキブリを踊り食いとかマジ馬鹿みたい!」
「っ……っ……!」
しばらく頑張ってゴキブリを何とか飲み下したリアを、サキュバスたちは指を差して大笑いする。
あーあ、リアはどうしてこんな目に合わなきゃいけないんだろう。リアはただおっきくなれなかっただけで、悪い事なんて何もしてないのに。それともおっきくなれなかった事が悪い事なの? でもそれって、リアをそういう風に産んだお母さんのせいじゃないの? 何でリアがこんな目に合わなきゃいけないの?
「ウフフフッ。じゃあ次はムカデ行ってみましょ? はい、あーん?」
「っ……!!」
そして今度は、身体が凄く長くて何十本も足がある気持ち悪い虫――ムカデを口の中に捻じ込まれた。無力なリアは何もできないから、ゴキブリの欠片がお腹の中で動いてるのを感じながら、必死にムカデを噛み砕いて飲み干していったよ。
ああ、みんな死ねば良いのになぁ……。
「ぅ……げぼっ……ぐっ……ご……!」
虫かごの中身が無くなった所で、ようやくリアを地面に押さえつける手が離れた。
気持ち悪いたくさんの虫を必死に食べたせいで、口やお腹の中が酷い事になってる。歯の間には虫の足とか触覚みたいなのが引っかかって動いてるし、口全体がもの凄く苦くて吐きそう。お腹の中は欠片になったたくさんの虫が動いてて、凄く気持ち悪い。今すぐ何もかも吐き出して楽になりたい。
「ふうっ。今日もいっぱい楽しませてくれてありがとう、フェリア。明日も私たちを楽しませてね?」
「明日はもっといっぱい、栄養のあるものを持ってきてあげる。こんなものよりよっぽどね?」
「楽しみにしてなさい? あはははははっ!」
でも、吐くわけにはいかないの。だって森で集めて持ってきた食べ物は、全部コイツらに踏みにじられて台無しにされたから。気持ち悪くて大嫌いな虫でも、栄養にはなる。だから、吐くわけにはいかないの。
「ぐ……ぅ……うぅ……!」
でも、口の中の気持ち悪い味だけは耐えられない。だからリアはアイツらが笑いながらいなくなった後、グチャグチャに踏み潰された果物の汁をすすった。やっぱり酸っぱくて美味しくないし土の味もするけど、虫の味に比べたらまだ美味しい。
だからリアは吐き気が収まるまで、地面に広がった果物の汁をすすった。サキュバスなのに、まるでワンちゃんになった気分だなぁ? ワンワン。アハハ。
「――あら、見て? 出来損ないがいるわよ?」
「本当ね。いつまで経っても成長しないなんて、サキュバスの面汚しね」
「挙句今度は犬の真似? サキュバスになれないから犬になるだなんて、出来損ないは考える事が違うわねぇ?」
そんな風に地面の染みを舐めるリアを、通りかかった大人のサキュバスたちが嘲笑う。
出来損ないに面汚しなんて酷い事を口にして、誰もリアの心配なんてしてくれない。リアがこんな風なのは、リアのせいなんかじゃないのに。何でリアがここまで悪者扱いされなきゃいけないの?
「………………」
ようやく吐き気が収まったリアは、散らかされた荷物を纏めて家に帰る。まだお腹の中で色々動いてるけど、少し気分が悪いくらいで済んでるから。
そんなことよりも今は泥だらけの身体を綺麗にして、早くベッドに戻りたい。お母さんはお世話をしてくれないけど、シャワーを使ったりしても特に何も言ってこない。それだけがリアにとって唯一の救いなのかな? ただ無視されてるだけなのかもしれないけど。
だからリアはなるべくお母さんにも会わないように、自分の部屋の窓から家に戻った。でもシャワーは部屋には無いから、一旦部屋の外に出ないといけない。だからリアは雑巾みたいなボロボロの着替えを抱えて部屋を出たんだけど――
「――うわっ」
「………………」
そこで運悪く、お母さんと顔を合わせちゃった。リアが泥だらけなせいなのかな? それともリアが成長しない出来損ないだからなのかな? 何だか凄く汚い物を見るような目で見られたよ。
「あーあ、こんなのが私の娘だなんて。本当に恥ずかしいったらないわ……」
「………………」
「汚したとこはちゃんと綺麗にしときなさいよ。じゃなきゃ叩き出すから」
「………………」
それだけ言って、お母さんはリビングの方に歩いて行った。『大丈夫?』とか『怪我は無い?』何て心配の言葉はかけてもらえなかった。リアが歩いてきたから汚れた床の方が、心配そうな目で見られてたよ。
でも、こんなのはいつもの事。だからリアは何も言わず、何も期待せず、そのままお風呂場に向かった。汚れた服は後で自分で洗うから、脱いだら洗面所の端に寄せておく。
そうしてお風呂場に入ったリアは、暖かいシャワーを出して頭から浴びた。身体についてた泥が流れ落ちて行って、身体が綺麗になっていく。
「……うあああぁぁああぁあぁぁああぁぁっ!!」
だけど、リアの心は綺麗になんかならない。日に日に自分の心がささくれていって、黒い何かがどんどん広がってくのを感じてる。広がる黒さと沸き上がる感情のままに、リアは床を殴りつけて叫んだ。
「殺してやる殺してやる殺してやるっ! いつか絶対、みんなみんな殺してやるっ! 欠片も残らないくらいバラバラのグチャグチャにして、殺してやるうぅぅぅぅぅううぅぅっ!!」
みんなみんな、死んじゃえば良い。リアを苦しめる奴らは、リアを苛める奴らは、リアを無視する奴らは、全員惨たらしく死んじゃえば良い。苦しみにのた打ち回って、とっても情けない姿で死んでほしい。
こんな酷い生活、耐えられるわけなんて無かった。お母さんに無視されて、昔の友達には苛められて、碌な食べ物も食べられなくて、毎日のように気持ち悪い虫を食べさせられる。
リアが悪いなら諦める事もできるよ? でも、リアは何一つ悪くないよね? なのに何でこんな目に合わなきゃいけないの? もう日に日にアイツらへの殺意と憎しみが募って、リアは頭がおかしくなりそう。リアに復讐を果たす力があるのなら、今すぐにでもリビングでくつろいでるあの女を殺しに行くもん。
ううん、違う。おかしくなりそうなんじゃなくて、本当はもうおかしくなってるのかも。
「――良いよ。そのために、僕が力を貸してあげる」
「え……」
だってリア以外誰もいないはずのお風呂場に、聞いたことも無い人の声が聞こえたもん。
驚いて後ろを振り向いたら、そこには見た事も無い人が立ってた。黒い髪に黒い目をした、凄く優しそうな人。リアは見た事無いから分からないけど、たぶん男の人だと思う。アイツらよりも背は高いのに、お尻も胸も全然無いから。
でもそんなことより、どうして男の人がこんな所にいるんだろう? それに、力を貸してくれるって……どういう事?
「その代わり、お前の全てを僕に差し出せ。そうすればお前の願いを叶えてあげるよ、リア?」
混乱するリアの前に、その人は右手を伸ばしてきた。リアの願い――復讐を叶えてあげる代わりに、リアの全てを寄越せって言いながら。とっても優しい顔に、凄く悪い笑顔を浮かべて。
「リア、は……リアは……」
この人が誰なのかは分からない。本当に力を貸してくれるかもわからない。
でも、何でだろう。この人は凄く信頼できる気がする。それこそリアを放ってリビングでくつろいでるあの女よりも、顔も名前も知らないお父さんよりも。
「……全部、あげる! リアの全部あげるから、アイツらを苦しめて皆殺しにするために、力を貸して!」
だからリアは、全部捧げる事にしたよ。復讐を果たせるなら、リアはどうなったって構わない。もう死んだって構わない。今までだって自殺を選ばなかったのは、まだ死ぬのが怖いのと、復讐も果たせずに死ぬのが嫌だからだもん。
だからリアは、この人の腕の中に飛び込んだ。この人が誰かとか、どうしてこんな場所にいるのかとかはどうでもいい。だってこんな酷い日々の中で、唯一できたリアの味方だもん。
「良いよ、お前の願いを叶えてあげよう。その代わり、お前の全ては今日から僕のモノだ」
「あぁ……ご主人様ぁ……!」
その人は――ご主人様は、リアを優しく抱きしめてくれた。凄く懐かしい、愛情溢れるとっても素敵なハグ。涙が出ちゃうくらいに久しぶりな、人の温もり。嬉しくて幸せで涙が止まらないリアを、ご主人様は優しく押し倒して、そのままリアたちは――
「――ふあっ!?」
そして気が付いたら、リアはとっても柔らかくて気持ちの良いベッドで目が覚めた。
隣を見れば、リアをぎゅっと抱きしめたまま眠ってるご主人様の寝顔が見える。しかもご主人様、服を着てないよ!? どうして裸でリアと一緒のベッドにいるの!?
「……あっ、そっか。リアは昨日、大人の階段を登ったんだった」
それを思いだして、リアはようやく落ち着いた。でも思い出した事で、ちょっとお腹の奥が痛くなってきちゃった。たぶんリアの身体がちっちゃいせいだよね? ご主人様はとっても優しくしてくれたけど、ご主人様を受け入れるのがちょっと痛くて……。
「いつもの吐き気がする悪夢を見ちゃったけど……今回は、最後だけは、悪く無かったかな? えへへ……」
まだ痛みは残ってるけど、凄く幸せで気持ち良い時間だった。それこそいつも見てる悪夢にちょっと影響が出るくらいに。
これでリアはご主人様の女。立派なサキュバスで、大人の女。もうアイツらに、出来損ないや欠陥品なんて呼ばせない。アイツらと同じ――ううん、アイツら以上の立派なサキュバスになったんだから。
「……お母さんも、みんなも、ちゃんと元気にしてるかなー? リアが復讐をしに行くその時まで、元気で過ごしてくれてると嬉しいなー?」
だから今のリアは、アイツらが元気に過ごしてる事を願う余裕もあった。そもそも元気に過ごしててくれないと、復讐でいっぱい苦しめる事ができないもんね。病気も怪我もせず、元気に過ごしててくれると嬉しいな?
「今まではずっと、悔しさに歯を食いしばって耐えるしかなかったけど……今のリアは、もう何の力も無い無知な子供じゃないもんね。リアにはご主人様がいるし、リリスちゃんからエッチな事をいっぱい教えてもらってるもん。それに、今のリアは……えへへ」
じんわり痛むお腹の下を撫でると、どうしても頬っぺたが緩んじゃう。大人の女になれた事がこんなに嬉しいなんて思わなかったよ。
それにしても、リアは本当に幸運だなー? 売れない奴隷としてそのまま処分されるところだったのに、ご主人様に買って貰えて。快感が無くて死んじゃいそうになってた所を元気にして貰えて。特に酷い扱いもしないで、むしろリアの復讐に力を貸してくれて。そして優しく抱いて、大人の女にもしてくれた。
ああ、リアは今、本当に幸せ。だから故郷のアイツらにも、幸せでいて欲しい。だってその幸せを壊して、限りなく絶望に浸らせたいから。
「いつかリアにした仕打ちをいっぱい後悔させてあげるから、それまでは幸せに暮らしててね? お母さん、みんな?」
故郷のアイツらにそう呟いてから、リアは瞼を閉じてご主人様の胸に顔を埋めた。
おやすみなさい、ご主人様。これからもリアを、よろしくね?
なろう小説は苛め描写は作者の実体験だからそこだけやたらリアルとか言われてますが、私の場合は実体験では無く単なる性癖なので大丈夫です。可哀そうな女の子は可愛いです
それはともかく、これでこの章は終了です。まだストックがあるので次回も二日後から投稿していきます。とはいえ拠点という名のマイホームが出来た分、次回からは動きは少ないかな……?