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悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第8章:夢のマイホーム
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マイホーム案内2

⋇性的描写あり






「さて、お昼も食べたのでまたマイホームの紹介だ。というわけで、ここがリビングだぞ」


 ベルの手作り料理を食べた後、僕はマイホームの案内へと戻った。

 いやー、それにしてもびっくりだ。千年以上眠ってた魔将の手作り料理だからとんでもない代物が出てくると思ったのに、普通に豪華で豪勢な洋食がわんさかと出てきたよ。しかもこれが普通においしいの。僕の周りにいる奴らは何故かとても個性豊かだし、一人くらいメシマズがいそうなもんなんだけどねぇ?

 それはともかく、次に僕が仲間たちを案内したのはリビング。ここも家具やその他は最低限。幾つかのソファーとテーブルがあるだけの殺風景なリビングだ。ただし備え付けの暖炉があるから他よりは多少マシに見えるね。


「わーっ、広ーい!」

「お~っ、実に座り心地の良いソファーだ~」

「……暖炉なんかあるのね。珍しい」

「………………」


 リアが諸手を上げてリビングを走り回り、トゥーラはソファーに深く腰掛け、ミニスは物珍しそうに暖炉を見る。

 そしてキラだけど……コイツ、何か無言で暖炉をじっと眺めてるな。何か思い入れでもあるの……?


「暖炉は備え付けだよ。でも暖炉があって良かったよ。煙突無いとサンタさん入ってこれないからね」

「サンタさんー?」

「冬のとある日に現れる、深紅の衣装に身を包んだ老人の事だよ。サンタさんは良い子の所にはプレゼントを、悪い子の所には石炭を持ってくる超常の存在なんだぞ」

「良い子にプレゼントはまだ分かるけど、何で悪い子には石炭……?」

「さぁ? 良い子にしないとお前をいつか石炭みたいに燃やして燃料にするぞっていう脅しか何かじゃない?」

「えぇ……」


 ミニスが若干困惑気味な呟きを零す。

 でも本当に何で石炭持ってくるんだろうね? 悪い子にあげるための石炭なんて、プレゼント入れた袋を圧迫するだけだから無しでも良さそうなのに。


「リアは良い子だよね? サンタさん、プレゼント持ってきてくれるよね?」

「まあ……うん。たぶんね?」


 果たして同族を残虐に殺したり、ひたすらに拷問にかけたりする奴は良い子なのか。凄いツッコミどころがあったけど、僕はツッコミ役じゃないからスルーしておいた。

 まあリアはともかく、僕の所には来てくれるでしょ。だって僕は世界平和を実現するために頑張ってる聖人だぞ? 良い子の鑑みたいなものでしょ?


「それでサンタさんは皆が寝静まった真夜中に煙突から入ってきて、子供の枕元にプレゼントを置いて行くんだよ。だから煙突があって助かったってわけ」

「え。それ煙突無い時はどうするの?」

「そりゃあ、お前……こう、排水溝とかからにゅるりと……」

「怖いっ!? サンタさん怖いよー!」

「化け物じゃないそれ! そんな恐ろしい生き物がプレゼント届けに来るの!?」


 サンタさんの侵入経路を説明すると、ロリコンビは何故か恐怖に顔を青くした。

 でも煙突無いなら仕方ないじゃないか。それに僕の母親はお風呂の排水溝からせり上がって入ってくるって言ってたよ? 他に考えられる経路としては玄関の鍵穴から入って来るとか、換気扇を通って入って来るとか?


「化け物とは失礼だぞ。サンタさんはたった一夜で世界中の子供にプレゼントと石炭を届けるほどの超高速移動を可能とする超越者なんだからな。それでいて誰にも姿を見られない超隠密能力も兼ね備えてるんだぞ」

「ば、化け物っ……!」

「リ、リア……サンタさんは、来なくても良いかな……ぶるぶる……」


 サンタさんのスペックに震え上がるロリコンビ。

 失礼な奴らだなぁ。そんな反応してるとサンタさんが石炭届けに来るぞ?


「ハハハ。お前らは怖がりだなぁ――」

「――よし、開いた」

「って、オイ!? 何してる殺人鬼!」


 サンタさんのお話で怖がるロリコンビを笑ってると、キラがちょっとシャレにならない事をしてた。見れば暖炉の薪がくべてある場所がゴゴゴと煙突方向にせり上がって、暖炉の下に隠された階段が露わとなってた。何やってんだコイツ!?


「いや、何か変な空気の流れがあったから、暖炉の下に地下室の入り口でもあんのかなって思って」

「あるけどそこの紹介は後なの! 今は閉じといて!」

「あるんだ、地下室……」

「牢屋とかもあるの!? 拷問部屋も!?」


 ドン引きするミニスと、目を輝かせるリア。クソぅ、最後に紹介するつもりだったのに、キラのせいで存在がバレちゃったじゃないか。全く……。

 

「私は主と一緒に物件を探しに行ったから存在は知っていたが、実際に見てはいないんだよね~。早速案内してくれないかな~?」

「その紹介は後! あーもうっ、ほら次行くぞ!」


 暖炉の上の鳥の置物を弄って、地下への入り口を閉じる。完全に暖炉が元通りになっても、キラたちはチラチラと視線を向けてた。

 全く、コイツらはまともに家の紹介もさせてくれないのか……地下牢と拷問部屋に興味を示し過ぎでしょ。確かにどっちもあるけどさぁ?







「ここはお風呂だよ。本当はわりと手狭な感じだったけど、僕が拘りたかったから魔法で強引に増築して広げておいたんだ」


 そうして次に案内したのはお風呂。と言ってもどうせ増築するならってことで、小さめの屋内温泉みたいな感じに仕上げたんだ。だから浴槽は床への埋め込み式で、跨いで入る必要は無し。広さも十人は軽く入れるくらいに余裕があるから、とてもゆったりとした空間だね。

 あ、もちろんお風呂とトイレは別だぞ? お風呂で羽を伸ばしてる時に便器なんて見たくないしね。潔癖症ってわけじゃないけど、お風呂とトイレが一緒とかちょっと僕は無理です。


「わーっ、広ーい!」

「お前広いとしか言わないね。もっと他に感想無いの?」


 バスルームを走り、お湯の張ってない浴槽にズカズカ入って行くリアを呆れ半分で見送る。まあ突然レーン染みた長い台詞で感想を言ってきたら、それはそれで困るんだけどさ。


「ふむふむ、どうやらこの部分だけ床の材質が違うようだ~。柔らかくて弾力性のある作りだね~? さてはお風呂で致す時のベッド代わりという事かな~? 主はエッチだね~?」

「何でお前らはそういう所にばかり勘が良いの? そうだよチクショウ、大正解」


 そしてキラとトゥーラはバスルームの床の一部分を撫で擦って、僕が密かに用意してたお風呂場エッチ用の一角を把握しやがる。

 でもほら、お風呂でのエッチって男の子の夢の一つじゃない? 女の子に身体を洗われ、逆にこっちが洗ってあげて、後はそのまま押し倒して泡塗れになったまま組んず解れつ……グヘヘ。


「お風呂で、エッチ……リア知ってる! ソープってやつだね!」

「そうだよ。まあお前にはスポンジ代わりにできるようなモノはないけどね?」

「あーっ、酷ーい! リアだってやり方教わったから、ちゃんとできるもん!」

「本当に手広く教わったね、君ぃ……」


 ソープするには身体が貧相過ぎるって遠回しに言うと、ぷくっと頬を膨らませるリア。

 ソープの知識はもちろん、やり方まで教わってるのか。徹底してるなぁ。こうなるとリリスがどこまで床上手だったのかちょっと気になってくるな……でも軽く千人以上の男に抱かれてきたのは確定してるし、それを考えるとあんまり手を出したくは無いな……。


「私だってソープ嬢の真似事くらいできるよ~? 何度か主にやってあげただろ~?」

「何故それを今ここで言う? あー、ほら。キラがこっちをロックオンしてるぅ……」


 トゥーラの爆弾発言に、キラが獲物を見るような鋭い視線を僕に向けてくる。どうやら僕が自分とやっていない事があるのが許せないみたいだね。

 でも今回に限ってはキラ自身に問題があるんだよなぁ。トゥーラは僕とイチャつきたい気持ちもあるから、一緒にお風呂で汗を流しつつスキンシップだってしてくるし。反面キラは愛とか恋とかじゃなくて、ほぼ独占欲とか快感目当てに僕とヤってるみたいなもんだし……。


「好き好んでそんな事するとか、コイツらの気が知れないわ……」

「本当にね。正直僕もそう思う――あ、こらやめろ! 脱がそうとするな!」

「うるせぇ。さっさと脱ぎやがれ」


 隣で呆れたようなため息を吐くミニスに視線を向けて僕も頷くと、ちょっと目を離した隙に近付いてきたキラが僕の服を脱がそうと躍起になってた。ていうかこれ脱がすんじゃなくて剥ぎ取ろうとしてない? 僕の上着がビリっと破かれたんですが? 


「お、この場でおっ始めるのかい~? いいよ~、それじゃあ私も手伝おうじゃないか~」

「リアも手伝う! リアだってちゃんとできるもん!」

「おいこら! 悪乗りするな狂人ども!」


 そうして肌を晒した僕を更に剥こうと、リアとトゥーラまで迫ってくる。

 だからコイツらは何故まともにマイホーム紹介すらさせてくれないんだ? このままじゃ用意したお風呂場エッチ用スペースを使う羽目になっちゃう!


「クソッ、多勢に無勢だ! こうなったら――兎肉の盾(ラビット・シールド)!」

「たぶん意味無いと思うわよ、私を盾にしても……」


 迫りくる狂人共の前に久方ぶりの兎肉の盾(ラビット・シールド)を構えたけど、当の盾本人は諦めにも似た声を出して完全に脱力してぷらぷらと揺れるだけだった。クソぅ、役に立たない盾だなぁ!?





⋇ちなみに作者が好きなサンタ映画は「エルフとして育てられた人間の男の子が、ニューヨークに来てクリスマスを救う映画」と「屋根から落ちて死んだサンタの代わりにサンタをしなければいけなくなった映画」


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