表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪逆非道で世界を平和に  作者: ストラテジスト
第7章:獣魔最強決定戦
183/527

極限仮死

 ⋇残酷描写あり




「ハッハー! 喜べ、バール! 僕はやったぞ!」


 空が茜色に染まりつつある夕刻。バールの城に無断で侵入して、バールの部屋に不法侵入した僕は、エロい天蓋つきのベッドで寝てたバールを無理やり叩き起こした。

 ていうか吸血鬼なのにベッドで寝てるのか。棺桶じゃない事にちょっとがっかりした自分がいる……。


「……クルスか。よくもまあ、城の者に一切悟られず我の寝室にまで踏み込めたものだ」


 寝てる所を無理やり起こされても、バールはあんまり気にしてない感じだ。僕ならキレ散らかしててもおかしくないのになぁ。顔だけじゃなく心もイケメンですねぇ?

 というか今の今まで寝てたってことは、やっぱり吸血鬼は夜に活動して朝に眠る感じなんですね。真の仲間にしたはいいけど、活動時間が違うのがちょっと煩わしいね……。


「僕には無限の魔力があるからね。そんなことより、良いお知らせだ。お前が望んでたモノが完成したぞ」

「何!? 馬鹿な、昨日の今日で完成させたというのか……!?」


 僕がそれを伝えると、一気に眠気が覚めたみたいでバールはベッドから飛び起きた――って、わぁ、素っ裸。というかなかなかにご立派なモノを持っていらっしゃる……。

 でも、そっかぁ。バールは寝る時裸で寝る派かぁ。あれってかなり解放感があって素晴らしいんだよね。気持ちは分かるから何か羽織って?


「その通り。今からお前に夢の性癖を満たせる素晴らしい魔法を見せてやろう……だからその前に凶悪なモノを隠せ」

「む。すまんな、少々気が昂って忘れていた」


 うっかりしていたとでも言うように答えると、バールの身体を闇が包んでいった。そうして闇が弾け飛んだ後に現れたのは、いつものヴァンパイア風タキシード的な恰好。ほんの一瞬で服を着られるとか便利ですね……僕もそういう魔法を創ろうか?

 とにもかくにも、今はもっと素晴らしい魔法を披露する時間だ。そんなわけで僕は空間収納から分からせ済みのメスガキ(ルア)の死体を取り出した。本当はずっと空間収納の中で分からせてても良かったんだけど、どうせなら有効活用しようと思って殺しておいたんだ。


「さあ、とくと見ろ――極限仮死エクストリーム・アスフィクシエ


 床に変な恰好で横たわったルアの死体に、その素晴らしい魔法を行使する。

 特に派手なエフェクトや効果音は一切無い。でも確かに魔法は効力を発揮してる。その証拠にルアの死体が突然ビクリと跳ねたかと思えば、とても自然な動きでその両手が動いた。


「お……おおっ……!」


 感嘆の声を零すバールの前で、ルアの死体が両手を床についてごく自然な動作で身体を起こした。まるで生きてるみたいな淀みも引っかかりも無い動作だ。完全に死んでたら死後硬直とかでこうはいかない。

 でもルアの肌は死人そのものの白さで、百人中百人が死んでるって断言するレベルだ。だけどルアは僕らの前で自分で身体を起こして、自分の足で立ち上がった。そうしてバールの姿を何の感情もこもってない目で見つめると、今度は慇懃な動作で膝を付いて頭を垂れる。


「……お初にお目にかかります。私の名前はルア。バール様に従属する卑しいメス豚です」

「これは……これは、実に素晴らしい……!」


 その口から流れたのは、無感情で抑揚のない従属宣言。

 素晴らしい。自分の創った魔法の完成度に惚れ惚れするね。バールも同じ気持ちみたいで、跪いたルアに駆け寄ってあちこち触りながらじっくり観察してる。相手が従属してるメス豚じゃなかったらセクハラだぞ?


「この肌の冷たさ、正に死人のものだ! だが、こうして確かに自分の足で立ち、動いている……! そして言葉を喋りはするが、個性を排した喋り方で口調にも起伏が無い……! これぞ、正に我が求めていたものだ! 素晴らしい……!」


 妙に呼気を荒げ、瞳を輝かせながら礼賛の言葉を口にするバール。

 うんうん。そんなに喜んでくれると僕も嬉しいよ。捻じ曲がった欲求を存分に満たせるのは最高だよな? これから存分にそのメスガキを凌辱してやってね?


「クルス、貴様は一体どうやってこれを実現させた!?」


 一通りお触りと観察をして満足したのか、無表情のルアを抱きしめながら尋ねてくる。

 フフフ、よくぞ聞いてくれました。聞いてくれなかったら勝手に独り言で垂れ流そうかと思ったよ。


「なーに。大したことはしてないさ。実はコイツ、死んではいないんだよ」

「なに!? 馬鹿な、どこからどう見ても死人の風貌ではないか……!」

「死体を蘇らせることは簡単。死体をゾンビにするのも簡単。でも死体を綺麗な死体のままゾンビにするのは難しい。だから発想を変えて、生者を極限まで死体に近付ける方法を取ったんだよ」


 そう、皆大好きカルナちゃんが教えてくれた方法。それは死体を死体のまま生者のように振舞わせるのが難しいなら、生者を可能な限り死者に近付ければいいという逆転の発想。

 いやぁ、本当に目から鱗の発想だったよ。死人を死人のまま動かそうとするから腐ったゾンビになっちゃうのであって、生者を死人に近付けるのならそんなイメージも湧かないしね。丁寧に優しく死の縁へ背中を押してあげる事で、ようやくバールの望みを実現させることができたんだよ。

 でも結構大変だったなぁ。死体にするには心臓が止まってないと駄目、でも心臓止まると死ぬから魔法で強引に生命維持。脳機能も魔法で保持。死後硬直でまともに動かない筋肉は、筋繊維の断裂も織り込み済みで無理やり動かせて、超速度の再生能力を付与して解決。筋繊維の断裂音とかは魔法で消音。自我が残ってると個性が出ちゃうからそれは封印。命令を何でも聞くように一方的な契約を結ぶなどなど、とにかく非人道的な魔法の数々を施したぞ。これ今の所、僕が作った魔法の中で最大級に外道じゃない? そんなでもない?


「こんな状態でも、一応コイツ本人の意識や感覚はちゃんと残ってるよ。それを表に出せないだけでね。その証拠に自我を封じてる魔法を解くと――」

「――アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

「うわ、うるさ。まあ、こんな感じに苦痛に叫び続けてるんだよね。無理やり死体に近付けて魔法で強引に生命維持をしてるから、苦痛を感じるのも当然と言えば当然かな?」


 一瞬だけその自我を解放すると、獣の咆哮みたいな悲鳴が血反吐と共にルアの口から迸る。表情も一瞬だけ苦痛に塗れた形になったよ。自我を再封印したら無表情に戻ったけど。

 え? 苦痛は抑え込んでやらないのかって? やだよ、そんなの。面白くないじゃないか。分からせはいつまでも継続中だ。


「貴様……貴様は、何という……!」

「何? もしかして幻滅した? 萎えた?」


 外道極まる僕の行為に、バールは俯いて打ち震えながら絞り出すような声を出してた。

 せっかくお好みのモノを作ってあげたのに、軽蔑されたりしたら悲しいなぁ……何て思ってたけど、相手は死体をコレクションして眺めて楽しむ変態吸血鬼だ。そんな心配はいらなかったみたいで、次の瞬間に顔を上げたバールはそれはもう会心の笑みを浮かべてたよ。


「貴様は、何と素晴らしい魔術師なのだ……!」

「フフフ、そうだぞ。僕は素晴らしいんだぞ」


 おまけに僕に向けられる切れ長の瞳には、輝くほどの賞賛が浮かんでた。

 うんうん。相手が野郎とはいえ、惜しみない賞賛を向けられると実に気分が良いねぇ? 頭を悩ませていた時間が報われた気分だ。


「本当にこれを貰って良いのか……!?」

「いいよー、あげる。あと気に入った女の子がいたら、また極限仮死エクストリーム・アスフィクシエをかけてあげるよ。ただお前のコレクション多すぎるから、数日に一回くらいにしてくれると助かるかな」


 千体以上もあるバールのコレクション全てにこの魔法をかけるのは正直骨だ。皆纏めて出来ないことも無いのかもしれないけど、人様の空間収納の中の知らない物にまでピンポイントで影響を及ぼすのはさすがに難しいかな。かといって全部いっぺんに出して貰うのもそれはそれで骨だし……。


「了解した……フフフ、では我は早速この娘と愛を育もうではないか。娘、名を何と言う?」

「ルアです。よろしくお願いします、バール様」

「我の事はご主人様と呼べ」

「はい、ご主人様」

「コイツの性癖もなかなか捻じ曲がってんなぁ……」


 さっきの人が上げるものとは思えない悲鳴を聞いてなお、容赦なく自分の性癖を満たすために使う気満々のバール。それはもう酷薄な笑みを浮かべて楽しそうにしてるよ。

 でもご主人様呼びがそそられるのは僕も同意見だ。でも最近はリアのおにーちゃん呼びもなかなか捨てがたくなってきたんだよなぁ。まるで妹を奴隷にしてるみたいな背徳感が堪んないんだよなぁ……。


「ああ、そうだ。貴様にこれをやろう。受け取れ」


 などと呼び方について考えてると、唐突にバールが僕に何か小さな物体を投げてきた。パシッと掴んで見てみると、それは指先で摘まめるくらいの小さなエンブレムみたいな物体だった。コウモリみたいな形状の真っ黒なエンブレム……いや、これをどうしろと?


「我の庇護下にあることを保証する証明書のようなものだ。それを見せれば、大抵の事柄は優遇されるであろう。確かに我は貴様の仲間となったが、さすがに我がこの街を離れると大きな混乱が巻き起こってしまうからな。貴様が本格的に活動を始めるまでは、それで手を打ってくれ」

「あー、考えてみれば当然だよね。領主がいきなり街を開けたら大混乱だよ。大天使なのについて来れたアイツがおかしいんだよなぁ……」


 要するにこれはバールの権力と力の象徴を示す印籠みたいなものらしい。バール本人はちゃんとお仕事してる魔将だし、下手に街を離れられないから代わりにこれをくれたんだね。

 そこから考えると簡単に街を離れる事ができたハニエルは、やっぱり仕事の無い無職大天使だった……?


「まあいいや。じゃあこれは貰っておくね?」

「ああ。それを使えば人間牧場も自由に見学できるはずだ。一度見に行ってみるのも悪くないのではないか?」

「おおっ! そりゃあ良いねぇ。グヘヘ……」


 バールの言葉に、僕は思わず舌なめずりをする。

 聖人族の奴隷たちを繁殖(意味深)させて教育(意味深)を施してる人間牧場(意味深)を見学できるだって? それはとても楽しみだ。一体どのような運営をしてるのか、大いに好奇心と知識欲が刺激されるね。決して下心からではないよ?

 よーし、明日は牧場見学だ! 乳搾り(意味深)とか体験できるかな?








⋇二度分からされた後に永久に生ける屍にされたメスガキの成れの果て

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ