分からせ(本気)
⋇残酷描写あり
⋇拷問描写あり
⋇メスガキ分からせあり
「――アイス・フィールド!」
突発的に始まった第二回メスガキ分からせ試合。その初撃を飾ったのはやっぱりメスガキだった。
ルアがそう叫んだ瞬間、周囲の気温が一瞬で氷点下まで低下。あっという間に空気中の水分が凝結したかと思えば、足元からパキパキと凍り付いてく。氷は瞬く間に高さを増して、気が付けば僕は膝の辺りまで完全に氷に覆われて身動きが取れなくなってた。
ここが水気の多い川の上って事もルアには良い方に作用したんだろうね。橋もかなり凍り付いてるし。
「フフッ。バール様との試合、ちゃんと見てたよ? こういう摩擦と関係ない攻撃は対処できないんでしょ?」
どうやら僕への対抗策を考えるために、僕の試合を見てたらしい。この氷はその結果なのかな?
確かに膝の辺りまで氷の中に埋まってる状態だから、踵が邪魔で摩擦をゼロにしても抜け出ることはできないな。ミニスといいルアといい、最近僕をメタるの流行ってんの?
「わざわざ僕の試合を見てくれたなんて嬉しいなぁ。サインしてあげようか?」
「そんなもんいらないわ。でもその代わり、あんたの心臓を貰うわ。抉り出して、踏み潰してやる……!」
「スプラッタだなぁ……ところで発想は良かったけど、魔力は大丈夫? こんな広範囲を凍らせちゃってさぁ……」
「心配してくれてありがとう! でも大丈夫よ。だって、ほら――」
そう言って、ルアは突然上着をはだけた。
まさかの露出趣味? 何て思ったのも束の間、上着の裏地に所狭しと魔石が並んでる光景を目にしてドン引きしたよ。僕を殴るためだけに魔石を手に入れたらしいミニスも大概だけど、僕に復讐するためだけに魔石を明らかに百以上も集めてるコイツも大概だな。
「――あんたを殺すために、全財産叩いてありたっけの魔石を買い集めたんだから」
「うわー、殺意たけー」
そんなくだらないことのために、全財産を叩くとか……。
いや、でもむしろよく備えてるって言うべきなのかな? 一度自分を負かした相手に挑むために、最大級の用意を整えてきたってことなんだし。逸る復讐心に負けずしっかり準備してきたんだし、ここはむしろ褒めてやるべきなのでは……?
「しっかり準備できたねー。おめでとー。凄いよー?」
「余裕でいられるのも今の内よ! 少しずつ切り刻んで、できるだけ苦しめて殺してやるっ!」
パチパチと拍手しながら褒めてあげたのに、ルアはお気に召さなかったみたい。クワッと険しい顔をして、憎悪と殺意を僕に叩きつけてきたよ。どっかのロリサキュバスに比べたらそよ風みたいなもんだけど。
「覚悟しなさいっ! ポイズン・フレイムソード!」
ルアが叫んだ瞬間、毒々しいピンク色の短剣に禍々しい紫色の炎が生じて、揺らめく長い刀身を形成した。
叫んだ内容から察するに、炎の剣って感じだろうね。しかも聞き間違いじゃなければ毒も含んでるっぽいし……さすがの僕も摩擦をゼロにしようと炎は防げないし、あの紫の炎で身を焼かれれば毒を受けるんだろうし、なかなかキツイ攻撃だ。完全に僕を殺す気ですね、これは……。
「――死ねっ!!」
そして禍々しい紫色の毒炎ソード二本を構えたルアは、欄干から一気に飛び掛かってきた。
対する僕は氷に埋まって身動きが取れない。このままだとゲームオーバーだ。そう、もしここがコロシアムのリングの上だったらね。
「覚悟しろってのはこっちの台詞なんだよなぁ――魔法無効化」
でも、ここはコロシアムなんかじゃない。力を加減する必要も隠す必要もどこにもない。だから僕は遠慮なく、魔法を無効化するための魔法を行使した。橋を覆い尽くす氷も、ルアの禍々しい炎の剣も、かき消えるようにあっという間に消滅。
魔法の炎で形成した刀身で僕を斬りつけようとしてたルアは、刀身が消滅したことでかなり手前で攻撃を空振り。その上足場になるはずの氷も無くなってたから、そのまま橋の上に半ば転ぶような着地をしてた。
「え……なに、これ……?」
「ここはリングの上じゃないから、手加減する必要なんてどこにもない。そっちから襲ってきたんだから、僕は自分の身を守るために力を振るう権利がある。ハハッ、本当に馬鹿だねぇ? あのまま泣き寝入りしてた方が、まだ幸せな日々を送れただろうに」
身体を起こしたルアは何が何だか分からないって顔をしてたから、絶望を煽るために丁寧に説明してあげた。大会ではまだ手加減してたっていう事実をね。
ただルアはこれを優しさじゃなく、『実は手加減しててもお前は僕に負けた雑魚なんだよ』っていう挑発に取ったみたい。音が聞こえるほど激しい歯軋りをしたかと思えば、何かの魔法を行使するつもりなのか僕に片手を向けてきた。おっと、そうはさせないぞ?
「――アイス・コフィン!」
「――魔法封印」
何やら氷の棺に閉じ込めそうな感じの魔法に被せる形で、僕はルアに魔法の封印をかけた。
ちなみに初撃で先手を取られてたのは、辺り一帯に結界を張ることを優先してたからだったりする。万が一にでも逃がさないようにしないといけないからね。まずは状況を整えるのが最優先でした。
「なっ……!? 何で!? 魔法が、使えない……!?」
「煩わしいから封印させてもらったよ。これでお前はもう、魔法も使えない役立たずだ。角も翼も尻尾も無い、魔法が使えない小生意気なクソガキなんて、一体何の価値があるんだろうね?」
いよいよ無能で無価値になりつつあるルアをあざ笑いつつ、どんな魔法で分からせるかを考える。
自分で言っといて何だけど、ペットとか性奴隷くらいなら需要ありそうだよね。逆に言えばもうそれくらいしかないんじゃない?
「魔法を、封じる……!? ニカケのあんたなんかに、そんなことできるわけないでしょ!?」
「じゃあ何で魔法が使えないの? 何でその傷が治せないの? 冷静に考えれば分かるよね? 僕はお前みたいな矮小で無価値な存在とは比べ物にならないほど尊い存在なんだよ。崇め奉れ」
現実を認めたくないのか必死に否定してくるルア。論理的に考えてみれば分かるはずなのに、感情を優先するなんて愚かだねぇ。そんなだから三つ揃ってれば偉くて強いとかいう、凝り固まった選民思想に取りつかれるんだよ。
「う……あ……あああぁぁあぁぁぁっ!!」
「やれやれ、聞き分けの無いクソガキだなぁ……」
もうやぶれかぶれになったのか、ルアは必死の形相で短剣で斬りかかってきた。
もちろん魔法が使えないから身体能力とかはメスガキ据え置きで、感情が荒ぶってるからか鋭さとか美しさが欠片も無い太刀筋だ。最早見る所が何一つ無いね。
さて、これ以上戦っても得る物は何一つ無いだろうし、早速分からせに移るとしますか。今回は一切手加減しないぞー。何せどれだけ痛めつけてもレッドカードを出す審判はいないからな!
「――苦痛の茨」
「いっ――!?」
そういうわけで、僕が使ったのは苦痛の茨って魔法。見た目は凄い地味な魔法で、橋の石材の隙間から黒い茨が何本も生えて、それがルアの足に絡みついて転ばせただけ。むしろこの魔法より、転倒させられて鼻を地面にぶつけた瞬間の方が痛そうだったよ。
え? どの辺が分からせなんだって? おいおい、お客さん。気が早いなぁ。この魔法の真価はここからだぜぇ?
「い、いたっ……いたっ!? 痛い痛い痛いっ!! 何っ!? 何なのよこれ!? 何でこんなに痛いのっ!?」
鼻を擦りながら身を起こそうとしたルアは、足に茨が絡みついてるだけにしては尋常でないほど痛がり始める。そして必死に短剣で茨を斬って拘束を抜け出ようとするも、当然僕の魔法がその程度で破壊できるわけもない。
むしろ必死に外そうともがいて抵抗する度、茨の棘はより深くルアの足に刺さって――
「きゃああぁあぁぁぁっ!! 痛いっ、痛いよぉっ!!」
ルアは更に過剰なまでに痛みに泣き叫ぶ。
もちろんその間も茨はどんどんと長さを増して、ルアの太ももの辺りまで絡みつきつつある。曝け出された真っ白な太ももに茨が刺さって、つーっと赤い血が流れる様はエッチだよね。エッチって言え。
「その茨の棘で刺される度、痛覚がどんどん鋭敏になっていくんだよ。ほらほら、早く外さないとどんどん痛くなってくぞー?」
まあ僕の性癖はさておき、ルアが妙に痛がってることへの答え合わせはコレ。
苦痛の茨は魔法で創り出した茨で対象を拘束しつつ、その棘が刺さるたびに対象の痛覚を増大させるとっても嫌らしい魔法なんだ。ちなみに増大の比率は通常時の痛覚が百だとすると、大体一律十くらいかな。さすがに一回刺さるごとに倍とかだと、すぐに悲鳴すら上げなくなってつまらなさそうだからね。
あ、そうそう。当然だけどこの茨には貫通も付与してあるから、厚手の服だろうがフルアーマーだろうが容赦なく貫いて肉体に刺さるよ。ついでに刺さった対象に気絶禁止を付与する効果もあるから、無理やり意識を保たせて痛めつけることができるんだ。
本当はミニスに試す予定の魔法だったんだけど、アイツも真の仲間になっちゃったから試すのは忍びないなって思ってたんだ。さすがに幾らドMでもこんなのトゥーラに使う訳にもいかんしね。いや、アイツならむしろ望むところかもしれないな……。
「あああぁぁあぁあぁっ!! いだっ、痛い痛いっ!! は、外して! お願いだからぁ!」
「んー? 何だって? 聞こえないなー?」
「あ、謝るっ! 謝りますっ! だから、ごれ、外じて、ぐださいっ! も、もう、いだくて、死んじゃ――ああぁぁあぁっ!!」
ボロボロと涙を零しながら必死に許しを乞い願ってくるルアに対して、茨は無情にも蹂躙を続ける。シュルシュルと伸びる茨が腹にまで達して、剥き出しのお腹を棘が刺しまくる。ほんの数秒放置しただけでも、痛覚は滅茶苦茶増大してるだろうなぁ?
「ハハッ、外すわけないじゃん? 僕を小馬鹿にしてたクソガキが激痛に悶え苦しむ素敵な光景を見られるのに、何でやめなきゃいけないの? 大人しく僕を楽しませる盆栽にでもなりなよ」
「あっ、がっ!? ぎ、い、ああぁああぁぁぁあっ!!」
もちろん僕はルアがどれだけ苦しもうが止める気は一切無い。むしろもっと苦しめたいまである。
だから茨の動きを操作して、ルアの曝け出されてるキュートなおへそに先端を突っ込ませた。瞳を見開いて変な悲鳴を零すルアを尻目に、腹の内側にも茨を伸ばして侵食させてく。ここからは中も滅茶苦茶にしてあげるよ。心配しなくても内臓は傷つけないからね?
「おっと、深夜にそんな大きな悲鳴を上げるのは近所迷惑だぞ?」
「あっ……っ……が……!!」
ついでに上半身にも茨を巡らせた後、口の中に数本の茨を侵入させる。身体の中と外を痛覚を増大させられつつ蹂躙されてるせいで、ルアは白目を剥いてビクビクし始めたよ。涙とか涎とか色々垂れ流してるし、はしたないなぁ。おっと、下の口にも突っ込まなきゃな。
ちなみに性癖が多種多様な人たちがいるだろうし、『色々』に何が含まれるかはあえて名言しないよ。個人個人が自由に思い描けば良いさ。
「ハハハ、本当に素晴らしいオブジェの出来上がりだぁ。やっぱ女の子は死にかけてる姿が一番可愛いって、はっきり分かんだね」
茨でルアの身体を持ち上げて無理やり立たせると、まるで触手に囚われ嬲られてるヒロインみたいな素敵なオブジェが出来上がった。最早悲鳴すら上げられず悶絶してるけど、これはこれで実に良いものだ。よーし、茨を更に十本くらい追加しちゃうぞ?
「ひ、ひいっ……!」
「ん? あっ、そうだ。そういえば君もいたんだっけ」
ふと怯えまくった声が聞こえてそっちに目を向けてみると、橋に入るか入らないかの微妙な場所に、腰を抜かして震えてる人物――透明少女ことミラがいた。
別に無視してたわけじゃないんだよ。たぶんルアの不意打ちに警告を出してくれたのはコイツだし。ただ例の如くどこにいるか分からなかったし、ルアと対峙しなきゃいけなかったからね。とりあえずかなり広めに結界を展開しておいたから、何とか内側に閉じ込めることはできたみたいだ。これなら対処は楽勝だね。
「ひえっ!? な、何でもしますから、命だけは……!」
警戒させないように普通に歩いて近寄ってるのに、ミラは気の毒になるくらい震えた声で命乞いをしてきた。
おかしいな。僕の顔は人に安心感を与える人畜無害な優しい作りをしてるはずなのに……あっ、もしかして後ろの絶賛分からせ中のメスガキオブジェのせいか……?
「いや、別に君に恨みは無いよ? あ、でも何でもするって言うなら、フードを外してくれないかな? 君の素顔が見てみたいんだ」
「は、はい……わ、分かり、ました……」
敵意が無い事を示すようにしゃがんで視線を合わせると、腰を抜かしてるミラも少しは安心したみたい。いや、あるいはもう諦めてるのかな? 何にせよ素直に頷いて、震える手でフードを外してくれたよ。
「あー……何でそんなに怯えて自信無さげなんだろって思ってたら、そういうことか……」
そしてフードの下から現れた光景に、僕はミラが異常に消えたがってる理由を理解した。
といっても、別に顔が醜いとかそういうわけじゃなかったよ? 目鼻立ちも普通に整ってるし、青っぽい髪も普通にさらさらだし、水色の瞳も綺麗だし、肌も白くてきめ細かだし。むしろこれは美しいと言っても差し支えないレベルだね。
ただ、向かって右の側頭部に小さな角が一本だけ生えてた。そう、一本だけ。もう片方には生えてないんだよ。ニカケならぬニイテンゴカケってところだね。『三つ揃ってないと屑!』っていう謎な風潮がある中でこの姿は、なかなか肩身が狭かっただろうねぇ……。
「ご、ごめん、なさい……!」
「いや、別に僕は怒ってないよ? あ、そうだ。これを返して欲しかったんでしょ? はい、返しそびれて持って帰っちゃってごめんね?」
「あ……」
ポロポロ泣きながら生まれたての羊みたいに震えてるミラを安心させるために、借りパクしてた古びた杖を空間収納から取り出して握らせてあげた。途端に震えがちょっとだけ収まった辺り、やっぱり大事な物なんだねぇ。
というか今この場にいる辺り、たぶん返して貰うために今まで傍でタイミングを見計らってたんだろうなぁ。あるいはまともに話しかけられなかっただけか……。
「試合終わった時に言おうと思ってたけど、言えなかったから今言うね? 君、本当に凄い魔法を使うね? 正直僕が見た中で一番の魔法使いかもしれないよ」
「え? そ、そんなこと……ない、です……」
安心させるように笑いかけながら褒めると、ミラはぽっと頬を赤くして照れた様に視線を逸らす。
案外チョロいなぁ。まあ消失と同レベルの不可視化魔法を使えるほど自己肯定感が低い女の子だ。褒められ慣れてないだろうし、ちょっと褒めればこんな反応をするのも当然か。これはチョロインの素質がありますね……。
「謙遜することは無いよ。僕もあんな真似しないと対抗できなかったくらいだからね。それに君は確かに角が一つしかないけど、こんなに綺麗な顔をしてるんだ。もっと自信を持っても良いと思うよ?」
「はぅ……!」
さりげなく頬に手を触れながら口説くと、ミラはまるで凍り付いたように動かなくなる。でも凍ってないのは手の平に伝わる熱さで分かったよ。まるで茹でダコみたいに真っ赤になってきてるし。
とりあえず凍り付いてる今の内に、僕はミラの頬に触れてた手を自然な動作で下に滑らせると――
「あ、あの……わた――ギュッ!!」
ゴキリ! と首を掴んでへし折った。
ミラは変な断末魔を上げて、恥じらいを浮かべた表情のままバタリと地面に倒れた。急速に光を失ってく瞳は、最後に僕に困惑を向けながら完全に闇に落ちたよ。何が起こったのかも良く分かってなかっただろうね?
「……透明少女、ゲットだぜ!」
ミラの死亡を確認した後、僕は虚空に向かってそう叫んだ。
よーし、これでリアにサキュバス特攻の魔法を教える先生を手に入れたし、レーンのお願いも叶えられるぞ! 悶絶するメスガキオブジェも手に入れたし、今夜はとっても実りのある夜だったなぁ!
⋇生意気なメスガキを無事分からせました(鬼畜)